
3月に旬を迎える魚介一覧
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ハマグリ(総称) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
3月頃に旬を迎える魚をご紹介します。
また、おいしい食べ方も紹介するので、参考にしてみて下さい。
3月に迎える魚介とおすすめの食べ方
ヨロイイタチウオ
見た目と名前からは想像できない非常に上品な白身魚です。昔は以西底引き船で大量に水揚げがあり、安価で美味しい白身魚として流通していましたが、外国漁船との漁場競合や、資源の減少により、今では滅多にお目にかかれない高級魚となってしまいました。小さなものは比較的まとまった水揚げが稀にありますが、鮮度保持が十分でない場合が多いので主に練り物の原料に向けられています。なので、小さなものを買われる際は鮮度確認が必須です。
底曳漁が終わる晩春頃にはさらに見かける機会が少なくなりますので、機会があれば一度はお召し上がり頂きたいお魚のひとつです。
ヨロイイタチウオのおすすめの食べ方
上品な甘みを持った白身ですが、少し水っぽいので、下処理で塩や昆布などで適度に水分を抜いた方が美味しくなります。鮮度が良いものであれば、下処理をしっかりした後に氷温で数日寝かせるとさらに旨味が増します。
濃い味付けにすると魚自体の旨味が感じにくくなりますので、煮物や焼物などにするばあいも控えめな味付けが良いでしょう。小さなものは皮や骨が付いたままブツ切りにして鍋や揚物にすると美味しく頂けます。
イカナゴ
イカナゴは暑さに弱いため6月頃から晩秋過ぎまで砂に潜って夏眠する珍しい魚です。冬に産卵期を迎え、孵化した稚魚が2cm前後に成長する2月下旬から3月頃が新子の水揚げが増えるため、この時期を旬とする地域が多いです。
産地としては兵庫県(瀬戸内海側)が有名で全国水揚げの40%を占めています。他には北海道、宮城県、愛知県などでも比較的多く水揚げがありますが、明石や淡路島のように郷土食として根付いている地域はなく、2月下旬から3月初頭の解禁時に、鮮魚店などに並ぶのを待ち構えるように地元の方が集まる光景がニュースになることもあります。三重県でも佃煮が郷土食になっていますが、調理方法などは兵庫県から伝えられたとされています。
イカナゴのおすすめの食べ方
兵庫県(瀬戸内海沿岸)で解禁時期に獲れる新子は各家庭で釘煮と言う郷土料理に調理されます。まとまった量の釘煮を作り、小分けして冷凍保存したり、近所におすそ分けしたりするのが慣習となっており、この時期には10kg以上買って帰る人もいるそうです。
また、ちりめんじゃこのように天日干しして「かなぎちりめん」として出回ることもあります。
少し大きなものは釜あげされて出回ります。そのまま食べることも出来ますが、さっと炙ってレモンや醤油をかけてた方が美味しいと言われています。
また、この時期は大きいと言っても4~5cm程度で骨も柔らかく気になりませんので、かき揚げなどにもしても美味しく頂くことが出来ます。
コショウダイ
コショウダイはイサキの仲間で、イサキと同じく産卵期は夏です。産卵期には沿岸に集まって来るので、定置網などににかかりやすく漁獲量も増えるため見かける機会が増えますが、イサキと異なり産卵期の身質はかなり落ちます。また、イサキのように真子や白子を珍重するお魚ではないので(食べられないことはないですが、正直あまり美味しいものではありません)、産卵前後の秋から春先にかけての身が充実する時期が最も良いとされています。
3月も下旬になると水揚げもわずかながら増えてくる上に、産卵前で食欲も旺盛になってくる頃なので、一番脂がのって美味しい時期になるかも知れません。
コショウダイのおすすめの食べ方
この時期のコショウダイは一番脂がのっているはずなので、お刺身はもちろん、煮魚や焼魚で一番美味しく頂ける季節と言っても良いでしょう。
ただ、沿岸近くで獲れたものだとしても、野締めなど下処理があまり良くないものはどうしても磯臭さが残りやすいお魚ですので、出来れば活締めのものを購入された方が良いでしょう。
イシダイ
イシダイは釣りの対象魚としては非常に人気が高く、お魚自体も西日本から南日本の暖海域では1年中見られます。ただし、水揚げ自体は非常に少ないのでスーパーなどに並ぶことは滅多にありません。わずかですが養殖を行っているところもありますので、料理屋などで見かける機会は少しずつですが増えています。
春から初夏にかけて産卵を迎えて磯廻りに集まるため、この時期は磯釣りの対象魚となりますが、残念ながら滅多に釣れるものではありません。小さなものは堤防などで見かけることもありますが、ほとんどが餌取りサイズで、食用になることはありません。
暖海系のお魚ですので1年を通して身質が大きく変化する魚ではないと言われていますが、実際には秋から冬にかけてはしっかり脂がのります。しかし、この時期は深場にいるため水揚げはほとんどなくなく、釣りの対象にすらなりません。したがって、産卵を控え磯の廻りに集まってくる春から夏にかけてが旬となります。
イシダイのおすすめの食べ方
鮮度が良ければお刺身がお勧めですが、天然ものは若干磯臭さが残る場合もありますので、下処理が非常に重要です。養殖の場合は、活物を重宝する傾向が高いのですが、身が非常に硬いので、出来れば下処理をしっかりしてから、氷温で最低でも1日程度寝かせた方が食べやすい硬さになり旨味も増します。皮を付けたままお刺身にすることも出来ますが、少し硬いのでしっかり火を入れておく必要があります。ただし、あまり大きなものは身が非常に硬くなるので、特にお刺身にする場合は大きくても2kgくらいまでにしておくと良いでしょう。
加熱調理する場合は、身に脂があまりない時期ですので、少し濃い目の味付けにしたり、ソテーや揚物など油分を加える調理が良いでしょう。
※60cmを超える大型サイズは、ごく稀にシガテラ毒を持っている場合がありますので、捌く時に内臓は絶対に破らないようにして、しっかりと腹の中を水で洗って下さい。極端に大きなものや亜熱帯が産地のものは避けるなどの配慮も必要となります。
メダイ
1年中全国各地で水揚げがありますが、何故かメジャーな魚にならないお魚のひとつです。流通しているものの多くは50~60cmくらいですが、大きなものは1m程度にもなることに加え、歩留まりも良いお魚です。産地も伊豆半島沖から小笠原諸島、種子島や屋久島周辺など広く、鹿児島県ではプライドフィッシュにも指定されていますが、比較的深いところに生息しているため、水揚げが安定しないと言うのが欠点です。したがって、産地であってもスーパーなどに並ぶことはほとんどありません。
産卵期は冬なので、その前の夏から秋が旬となりそうですが、産地によって様々な説があり、三重県では春、鹿児島では1月から3月、山陰では7月から10月にかけてが美味しいとされています。
メダイのおすすめの食べ方
流通価格は安価な部類で、適度に脂が噛んだ白身はクセや臭みがなく、火を通しても硬くなりにくいなど、メジャーになっても良い要素ばかりですが、身質の個体差が激しいと指摘されるほど、当たり外れが多いお魚と言われています。なので、調理前に身質をしっかり確認して、それに見合った調理をすることをお勧めします。
脂が適度に噛んでおり、身に透明感がある場合は、どのような調理にも合いますが、身が白濁していたり、脂が少ない場合は、揚物やソテーなどに仕向けた方が無難でしょう。
アオメエソ
標準和名のアオメエソより、流通名のメヒカリの方が恐らく馴染みがあるでしょう。この魚の最大の特徴は、流通名の由来にもなっている大きな目で、光を当てるとエメラルドグリーンに光ることです。厳密にはアオメエソとマルアオメエソの2種に分かれており、見た目はそっくりです。前者は静岡県以南、後者は千葉県以北に棲息しており、産地で区別することが出来ますが、味わいに大きな違いはないので、あまり気にする必要はないと思います。
福島県のいわき市では「いわき市の魚」に指定されており、福島県と宮崎県では「プライドフィッシュ」にもなっています。産地では非常に馴染み深いお魚ですが、深海魚であることなどから漁獲量は決して多いわけではなく、消費地に出回ることはあまりありません。
旬の時期は、千葉以北では主に冬から春とされており、南九州の日向灘では漁期が7月から翌年の4月(5月から6月は産卵のため禁漁)で、ピークは7月から8月の夏と、12月から1月の冬となっています。
アオメエソのおすすめの食べ方
大きさはキスくらいで、決して大きくはありませんが、クセがなく脂ののった白身で、旨味が強いお魚です。ただし、少し水っぽいところがありますので、調理前に少し水分を抜く下処理をしておくと良いでしょう。
鮮度が良いものであればお刺身がお勧めですが、鮮度落ちが早いので、とにかく手早く処理する必要があります。加えて小さなお魚ですので、骨を取り除くのにかなりの手間がかかりますが、それだけの手間をかける価値があるお魚です。
骨は柔らかいので、揚物にすると身と一緒に食べることも出来ます。そのほか、焼物、煮物などにしても美味しく頂くことが出来ます。
カサゴ
カサゴは1年中見ることが出来るお魚で、旬には諸説あります。12月から2月頃までの冬から初春と言う説が一番多いようですが、初夏から冬と言う説もあり、また俳句の世界では春の季語となっていたりもしますので、本当にややこしいです。普通に考えると、産卵前の夏から秋が良いと言えますが、この時期は水揚げが少なくなる傾向にあります。ただ、いつ食べても大きく味が変わらないお魚のひとつですので、ここでは水揚げが比較的増える冬から春を旬として紹介します。
カサゴのおすすめの食べ方
カサゴに毒はありませんが、体中に鋭い棘が多数ありますので、調理する際には注意して下さい。特に揚物にする際には、ヒレや棘は全て取り除いておきましょう。
大きくても20cm程度で、30cm以上になることは滅多になく、見ての通り頭が相当大きいので、特にお刺身にすると極端にか食部分が減ります。
ただしカサゴは、クセのない美味しい白身ですので、無理にお刺身にせずとも、焼物、煮物、揚物など、なんでも美味しく頂くことが出来ます。
メカジキ
メカジキ科に属する唯一の種で、カジキに中でも大型で、成魚になると全長5m、重さ400kgを超えます。他のカジキに比べて目が大きいことからメカジキという名前が付いたと言われています。
1年中水揚げされていますが、特に10月から翌3月に獲れるものは脂ののりがとてもよく、「冬メカ」とも呼ばれています。
国内では北海道から九州まで広く生息し、世界でも熱帯域から温帯域でも水揚げがあり、冷凍での出回りも比較的多いお魚ですが、スーパーなどに並ぶことは何故かほとんどありません。
メカジキのおすすめの食べ方
お目にかかる機会は少ないのですが、脂ののりが良いものを見かけたら、ぜひ味わってほしいお魚のひとつです。
皮も骨も外した切身や柵で流通しているので、調理は簡単です。鮮度が良いものが手に入ればお刺身も美味しいですが、加熱しても身が硬くなりにくいので、様々な料理にすることが出来ます。
カツオ
カツオは毎年北上南下を繰り返す魚で、3月頃に九州南部で漁が始まり、5月頃本州中部、8月から9月頃に三陸北部、北海道南部あたりまで進み、そこからまた南下します。カツオは初夏の季語になっていますが、これは5月頃に当時の江戸周辺で初物の水揚げがあったことに加え、当時は「初物は縁起が良い、初物を食えば長生きできる」と言う文化からきているものと考えられます。
また、近年では遠洋漁業が主体になっており、冷凍の流通が非常に多いことなどから、正直何をもって旬と言うか難しいお魚のひとつにもなっています。
一般的には4月から5月のいわゆる初カツオのシーズンと、8月下旬から10月頃に三陸沖で漁獲される戻りカツオのシーズンを旬と呼びます。
また、各地でブランド化も進められており、この時期だと宮城県の金華鰹などがお勧めです。
カツオのおすすめの食べ方
3~5月は初カツオの時期なので、あっさりとした味わいが特徴です。
カツオの身は加熱するとパサパサになってしまいます。この時期は脂ののりは期待できないでの、必然的にタタキやお刺身などがメインになります。
※カツオにはサバなどと同様にヒスチジンという成分が含まれており、鮮度が落ちて古くなるとヒスタミンというアレルギーを起こす成分に変化しますので、鮮度が悪いものは食べないようにして下さい。
アカカマス
カマスには20数種の仲間がいますが、日本国内で食用として流通しているのは、主にアカカマスとヤマトカマスで、流通量はアカカマスの方が多いようです。アカカマスはこの中では味が良いと評価されており、人気も高く、一般に市場でカマスと呼ばれているのはアカカマスです。また、ヤマトカマスと区別するのにホンカマスと呼ばれることもあります。
水揚げは1年中ありますが、産卵期が夏頃なので、産卵に食欲が旺盛になる春と、産卵後に身が戻る秋から初冬が最も美味しいとされています。
アカカマスのおすすめの食べ方
大きくて鮮度が良いものが手に入ればお刺身がお勧めです。
加熱調理する場合は、下処理時に塩などで水気を軽く抜いてあげると旨味が増します。干物の材料としても広く用いられており、焼物材料としての評価も高いです。また、癖のない白身ですので、色々な料理に合わせることが出来ます。
アカガレイ
ヒラメのように大きな口をしていますが、カレイの仲間です。名前の由来は、裏表ともに全体に赤みがあり、特に腹の白い側や尾鰭の付け根辺りは血がにじんだように赤くなっていることからです。
主な産地の漁期は、北海道、福井県、京都府、鳥取県などで、福井県では「越前ガレイ」としてブランド化されています。
水揚げは1年中見られますが、産卵期に浅場に集まってくる2~3月は水揚げが増えます。また、身質は最も良いのは11~1月初めの産卵前前とされています。
アカガレイのおすすめの食べ方
3月になると産卵期の真っただ中ですので、抱卵したものの入手が容易になりますので、2月に続き一番のお勧めは煮付けです。下旬には産卵後の身が痩せたものの出回りも増えますので、購入される際にはお腹に張りがあるものを選びましょう。
クロガレイ
クロガレイの主な産地は北海道で、クロガシラガレイに混じって漁獲されることが多く、また良く似ているため、区別することなくクロガレイまたはクロガシラガレイとして流通しています。ただし、割合的には圧倒的にクロガシラガレイの方が多くいようです。
クロガレイも他のカレイと同じように、腹に真子を持つ時期に多く漁獲され、真子ともども煮付けて美味しいお魚とされていますので、真子を持ち始める冬から春が旬となります。
クロガレイのおすすめの食べ方
子持ちの時期になりますので、お勧めは何と言っても煮付けです。ただ、他のカレイ類と比べてしまうと、水分が多いがため、やや旨味に欠ける可能性もありますので、出汁を含めて少し濃い目の味付けが良いかも知れません。
ババガレイ
水揚げされたばかりのババガレイは粘液で体全体が覆われているため、見た目もあまり良くなく、名前の由来になっています。しかしその身は、クセがなく上品で、昔から煮付け向けの高級魚として扱われてきました。
主な産地は北海道太平洋側から東北の沖合にかけてで、八戸沖には大きな産卵場があります。産卵期は3月から4月で、腹に卵を持ったものは特に人気があります。
食べて美味しい旬の時期は脂がのる晩秋辺りから、腹に子を持ち、産卵してしまう前の初夏辺りまでと言われています。三陸地方では子持ちで縁起がいい「歳とり魚」として正月に食べる風習のある地域もあり、年末には非常に値が上がるそうです。
ババガレイのおすすめの食べ方
ババガレイの身は白身でクセが無く、甘みが強いのが特徴です。加熱調理しても身が硬く締まらずふわっとしたままです。特に3~4月のものはも子持ちとなるため、産地では特に人気が高くなります。
ムシガレイ
標準和名のムシガレイで呼ばれることはほとんどなく、ミズガレイとかミズクサガレイと呼ばれて流通しています。
産卵期の晩秋から春先にかけて、浅瀬に寄ってくることに加え、冬場は底曳網のシーズンに当たるため、水揚げは一気に増えます。産地では、美味しくて安い惣菜魚として人気があります。
全戸各地で水揚げが確認出来ますが、冬場に底引き網漁が盛んになる北陸から山陰地方、北九州から長崎にかけての日本海側で多く見居られます。
ムシガレイのおすすめの食べ方
鮮度抜群であっても、水分が非常に多い魚ですので正直お刺身には向きません。2月から3月は産卵前で最も身が充実している時期なので、煮付けが最も良いでしょう。
焼物や揚げ物などにする際は、塩などをして水分を抜いた方が、適度に身が締まり美味しく頂けますが、下処理が面倒な場合は干物を利用すると良いでしょう。
シロギス
日本国内には、アオギス、ホシギス、モトギスなどがいますが、いずれも希少種で、一般にキスと言うとシロギスを指します。ただし、海外から開きなどに加工されてて輸入されているものにはシロギス以外のものも多いです。
シロギスは遠浅の砂浜に生息していますが、護岸工事などの影響からか、他のキス類と同じく漁獲量は年々減少しており、魚価も高騰しています。首都圏や京阪神などの大きな消費地市場で流通しているものは、近隣の三重県や千葉県などから入荷したものがほとんどで、消費地の前浜で獲れることほとんどありません。
シロギスは主に初秋に産卵期を迎えるため、身が美味しい時期は産卵前の春から初夏までとされています。ただし、産卵前にわずかながら水揚げが増えることもあるため、6~7月を旬とする地域もあれば、8~9月頃に抱卵したものを好む地域もあるなど、旬の捉え方は様々です。
シロギスのおすすめの食べ方
この時期は小さなものが主体になりますが、鮮度が良ければお刺身で美味しく頂くことも出来ます。ただし、血合い骨の除去など、手間が多少発生しますし、小さい分手早く処理しないと鮮度が落ちてしまうので、注意が必要です。皮は柔らかいので、湯霜造りなどにすれば一緒に食べることも出来ますが、身が薄いので加熱し過ぎにならないように注意して下さい。
特に小さなものは、頭を落とすだけで骨が付いたまま唐揚げにしても良いでしょう。
キビナゴ
キビナゴは、スマートな体は美しい銀色で、中央には鮮やかな青色の帯模様が走っています。その見た目から、「帯(きび)」の「小魚(なご)」と名付けられたと言われています。
大きくなっても10cm程度と、ニシンの仲間の中では最も小さな部類です。
産地としては、鹿児島県、熊本県、長崎県、宮崎県、大分県など九州地方に多く、その他は愛媛県、高知県、和歌山県、三重県、静岡県などにもみられますが、鹿児島県、高知県、長崎県が特に多く、鹿児島県では郷土料理のひとつになっています。身が締り美味しくなるのは12~2月頃の寒い時期とされていますが、産卵期を迎える春から初夏頃にかけては海岸近くに産卵のために寄って来るので水揚げが増えるため、12~6月まで旬が続くと言っても良いでしょう。
また、キビナゴは小さいこともあり鮮度落ちが早いので、干物に加工されたものも多く流通しています。
キビナゴのおすすめの食べ方
3月になるとわずかですが大きくなってきます。キビナゴと言うとまずはお刺身なのですが、焼物、煮物、揚物などは頭から丸かじりも出来ますので、簡単かつ美味しく頂く調理法でもあります。
また、水揚げが増えると干物の出回りも増えます。干物は旨味がギュッと詰まっていますので、唐揚げ、フライ、南蛮漬けなどにすると美味しく頂くことが出来ます。
チカ
チカは主産地である北海道では水揚げも多く、安価で流通していることもあり、知名度100%と言っても過言ではありません。しかし、その他の地域では、水揚げ自体が少ないことなどから知名度はかなり低く、良く似たワカサギと区別なく流通していることもあるようです。
チカは大きくなると20cm程度となり、ワカサギより一回り大きくなります。またワカサギは海淡水両方に棲むことが出来ますが、チカは海水のみしか棲息出来ません。
3月は抱卵し始めたものが混じり出すようになります。
チカのおすすめの食べ方
抱卵したものは、煮物、焼物、揚物などにすると、身とともに卵のホクホクとした食感が味わえます。ただし、大きなものは骨が硬く食べにくいので、特に揚物にする場合は、出来るだけ小さなものを選んだほうが良いでしょう。
ワカサギ
ワカサギの主な産地は青森県、北海道、茨城県、秋田県などの北日本で、水揚げの最盛期は産卵を控えた冬から春先です。凍結した湖の一部に穴をあけて釣り糸を垂らす「穴釣り」は冬の風物にもなっているため、寒いところのお魚、冬のお魚と言うイメージを持たれる方も多いとは思いますが、実ははほぼ1年中安定したた水揚げがあります。また、北陸や山陰でもわずかながら水揚げがあります。
前述したように湖での釣りがイメージとしてありますので、淡水魚と思われる方も多いのですが、実ははアユと同じように河川と海を行き来する両側回遊型と、一生を淡水で過ごす陸封型がいます。また、同じ水域で生活していても両側回遊型と陸封型が混在することもありますので、獲れる場所は湖だけではなく、河川、汽水域、海岸など実に様々です。
産卵期は地域差があるため、1~5月と幅があります。ざっくり言うと11~12月頃は産卵前の身が充実したもの、1~5月は抱卵したものが美味しいとされていますが、小さなお魚ですので、そこまで違いを感じることは難しいため、実際には1年を通して美味しく頂くことが出来ると言っても良いでしょう。
ワカサギのおすすめの食べ方
非常に小さなお魚で、頭も骨も柔らかく丸ごと食べることが出来ます。ただし、釣物には口の中や胃袋に未消化の餌が残っていることもありますので、面倒でも必ずチェックして下さい。残ったままだと食味が悪くなりますので、必要に応じて頭や内臓を除去するなどした方が良いでしょう。
調理法としては正直何でもござれですが、人気が高いのは天ぷらや唐揚げなどの揚物です。煮物にする場合は甘露煮がお勧めです。また、抱卵の有無によって調理法を変える必要も特にありません。
キンメダイ
キンメダイは、とても鮮やかな赤色と金色の目が特徴で一際目を引きます。名前の由来もこのキラキラした金色の目からです。
主な産地は静岡県、神奈川県、千葉県、東京都、高知県などですあるようで、産地ではブランド化も進められており、
静岡県伊豆地方 須崎の日戻り地金目・稲取キンメ・伊東の地キンメ
千葉県房総地方 銚子つりきんめ・外房つりきんめ鯛
高知県室戸地方 土佐沖どれキンメダイ
などが有名です。
キンメダイの産卵期は6~10月頃にかけてで、この時期に水揚げが増えるところもあるため、夏を旬とする地域もありますが、最も美味しい旬の時期は12~2月にかけてとされています。また、赤いお魚は縁起が良いとされる風潮からか、特に年末年始は縁起物として高値で取引されることが多くなります。
ちなみに、近縁種にはフウセンキンメやナンヨウキンメなどがおり、日本近海でも水揚げが確認出来ます。いずれも食味がそこまで変わらないと評価されているため、大半はキンメダイとして流通しています。
キンメダイのおすすめの食べ方
キンメダイは身が非常に柔らかいため、昔はお刺身には向かないとされていましたが、漁法や流通の発達により、身が締まった良いものが入手できるよになったため、今ではお刺身で食べるのが当たり前になっています。お刺身にする場合、皮は赤くて見た目も良いことに加え、たっぷりと脂を含んでいるため、湯霜や焼霜にして一緒に食べる方が良いでしょう。
あっさりした味わいを求めるなら焼物も良いですが、キンメダイといえばやはり煮物です。脂ののったホロホロの白身は、少し濃い味付けにするのが定番です。
ウグイ
ウグイはコイ目に分類される日本の在来種で、沖縄県を除く日本全国に分布しています。河川、ダム湖を含む湖など淡水域はもちろんのこと、海に下るタイプもいるため、汽水域や海水域でも生息が確認されています。ウグイの名前の由来は鵜に良く食べられるところからきているそうです。また、オイカワなど他のコイ科の細長い魚とひとまとめにされハヤと呼ばれることもあります。
広く分布していることもあり、存在自体はとてもポピュラーお魚なのですが、食用としての知名度は今ひとつです。ウグイは汚染された水域でも生息出来るため、泥臭さや、コイ科特有の小骨の多さが原因で「不味い魚」と評価されてしまうことが多いことが理由のようです。ただし、水質が良いところで獲れたものは普通に美味しく、長野県、栃木県、富山県の一部では郷土料理として提供しているお店もあります。
ウグイの旬は産卵期前の初冬から春とされています。産卵期を迎えると、雌雄ともに鮮やかな3本の朱色の条線が走る婚姻色へ体の色が変わりますので、状態を見極める目安になるでしょう。
ウグイのおすすめの食べ方
婚姻色になったものは産卵期を迎えていますので、メス前提であれば真子も一緒に楽しむ料理、焼物、煮物、田楽、揚物などがお勧めです。
大きなものは小骨の多さが気になりますので、料理によっては骨切りなどの処理をして下さい。
アマゴ
サケの仲間は同じお魚であっても、一生を淡水で過ごすものもいれば、一旦海で過ごして産卵の際に川などに戻るものもいたりします。生活環境で大きさや見た目が違ってくることが多いので、それに伴い名前も変わることがあります。
アマゴは一生を川で過ごしますが、成長とともに海に出て、産卵のため再び川を遡上する降海型のものはサツキマスと呼ばれています。
流通しているアマゴの大半は養殖で、天然物は滅多にお目にかかれるものではありません。河川で獲れるものであっても、冬から春にかけて放流されたものばかりですので、純粋な天然とではありません。
アマゴ本来の生息域は、関東西部から九州の瀬戸内海側にかけての比較的温暖な地域ですが、現在は放流が盛んに行われていることもあり、北陸などの河川にも見られるようになりました。
養殖の産地としては、静岡県、愛知県、岐阜県、徳島県、奈良県などがありますが、その量も決して多いわけではありません。
漁が出来る時期は河川を管理する漁協等により決められており、その多くが3月解禁で、夏の終わり頃まで続きます。
アマゴのおすすめの食べ方
養殖であれば寄生虫の心配はありませんので、鮮度さえ良ければお刺身にすることも出来ます。
アマゴを初め、川魚の代表的な料理は塩焼きですが、アマゴはあまり大きくなりませんので、田楽、煮物、ソテーはもちろん、小さなものは丸ごと甘露煮や唐揚げにしても美味しく頂けます。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
サクラマス
サケの仲間は同じお魚であっても、一生を淡水で過ごすものもいれば、一旦海で過ごして産卵の際に川などに戻るものもいたりします。生活環境で大きさや見た目が違ってくることが多いので、それに伴い名前も変わることがあります。
サクラマスは降海型のお魚ですが、一生を川で過ごすものをヤマメと言います。
産地として有名なのは北海道で、全国の7割以上を占めています。流通しているもののの大半は天然物ですが、養殖事業も進められており、新潟県佐渡島和木漁港沖では「佐渡満開さくらます」というブランドで海面養殖されたものが出荷されている他、山形県遊佐町など陸上養殖も行われています。
養殖はまだまだ出荷が少ないので、サクラマスの旬は、河川へ遡上を始める3~5月となります。川に遡上すると一気に痩せてしまいますので、沖合の定置網で漁獲されたものの方が良いでしょう。婚姻色になっているものは、既に身が痩せてしまっている可能性が高いので、注意して下さい。
サクラマスのおすすめの食べ方
養殖のものはお刺身で食べることが出来ますが、天然物はアニサキスなどの寄生虫がいることが多いので、どうしても生で食べたい場合は、ー20℃以下で24時間以上冷凍したものを使って下さい。
天然のものは産卵期と重なるため、養殖ほどあぶらがのることはありませんが、逆にすっきりとした味わいが特徴で、どのような料理にも合います。
富山県ではサクラマスを使用した「鱒寿司」が有名で、その昔、将軍家へ献上されたと伝えられています。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
ニシン
ニシンは産地がほぼ北海道に限られるため、未だに生鮮での出回りは北海道近辺に限られており、ニシンそのものより数の子や身欠きニシンなどの加工品の方が知られています。
春先に産卵のために北海道沿岸に現れるため、産地では「春告魚」と呼ばれています。明治末期から大正期の最盛期には北海道で100万トンくらい獲れた記録が残っていますが、今では5000トン程度に留まっています。
産卵期は5月位まで続きますが、最も良い時期は3月位までとされています。ただしオホーツク海側の一部では流氷の影響で漁が出来ない時があったりしますので、同じ北海道でも海域により漁期にずれが生じます。
ニシンのおすすめの食べ方
産地でないとかなり難しいですが、鮮度が良いものが手に入ればお刺身がお勧めです。産卵期であっても身にはしっかり脂がのっているのがニシンの特徴でもあります。しかし、小骨が非常に多いお魚ですので、特にお刺身にする場合には、しっかりと取り除く必要があります。
他の料理も同様に骨を取り除いておくと食べやすくなりますが、細かく骨切りしておいても良いでしょう。
ヒラ
ヒラは日本国内で水揚げされるニシンの仲間で大きな部類に入り、70cmくらいになることもあります。また、小骨が多いニシンの仲間内でも、最も多い部類に入るため、味云々よりその小骨の多さから食用として敬遠する地域も多く、全国的にはあまり馴染みがないお魚のひとつです。食用として流通している地域は岡山県、香川県などの瀬戸内海の一部と有明海周辺などに限られていますが、この地域では釣りの対象魚としても人気が高く、岡山県はプライドフィッシュにも登録しています。
美味しい旬は、産卵前に身が充実する3月頃から初夏にかけてとされており、この時期に水揚げも増えます。
ヒラのおすすめの食べ方
旬の時期で、鮮度が良いものは脂も適度にのり、旨味も強いため、どのような料理にして美味しく頂くことが出来ますが、とにかく小骨が多いのが難点です。産地のスーパーではハモのように細かく骨切りしたものを販売していることもあります。
お刺身にする場合は、小骨を丁寧に取り除くのがベストですが、普通は骨ごと細かく刻むか、骨切りするように超薄造りにしています。ただ、ここまで手間をかけても旬のヒラは美味しいとされています。
サヨリ
サヨリは、冬に生まれた当歳魚が春先に海岸近くに集まることが多く、見かける機会が増えるため「春告魚」と呼ばれることもありますが、実際には1年中どこかで水揚げがあります。
産地としては、関東では東京湾周辺、北陸から山陰の日本海沿岸、瀬戸内海沿岸などが知られていますが、突出したところはなく、水揚げは決して多くありません。
小さいものは捌くのが大変なので干物などに加工されることが多いようです。逆に大きなものは料理屋や寿司屋などの引合いが強く、高価で取引されるため、スーパーなどに並ぶことはほとんどありません。名前は知っていても、意外とお目にかかる機会は少ないお魚です。
盛漁期は地域により多少ズレがありますが、夏に生まれたものが沿岸近くに寄って来る晩秋から、これらが成長する春先までとするところが多く、これは美味しいとされる旬とも重なります。
産卵期と産卵期明けに当たる夏から初秋は、身が細いお魚がさらに痩せてしまうため、お勧めは出来ません。
サヨリのおすすめの食べ方
3月になるとかなり大きなものが手に入りやすくなりますが、値段もそれなりです。ただし、大きくて鮮度の良いサヨリのお刺身は非常に味わい深いものです。
鮮度的にお刺身に不向きなものは、煮物や焼物にすると美味しく頂くことが出来ます。
サワラ
サワラも大きさで呼び名が変わるお魚のひとつです。地域により多少違いはありますが、40cm以下のものをサゴシ、50cmを超えたくらいからヤナギ、70cm以上をサワラと言います。ただし、他のお魚同様、その時々で基準が変わりますので、名前だけで大きさを判断することは出来ません。
また、サワラは地域により旬とされる時期が異なります。サワラは漢字で「魚へんに春」と書きますので、春の魚と言うのが通説で、俳句でも晩春の季語になっています。これはサワラが4~5月頃に産卵のため瀬戸内海などに集まり、沢山獲れることから来ています。春は身だけではなく、真子や白子も一緒に楽しむことが出来ます。この時期の産地としては、高知県、和歌山県、岡山県などが有名です。
脂ののりも良く身が最も充実している時期は産卵前の冬で、関東では寒鰆と呼ばれており、東京湾周辺の海域で水揚げが確認されます。ただし、実際に水揚げが多いのは福井県、石川県、京都府などの日本海沿岸で、質の良いものは産地であり消費地でもある岡山県などへも送られています。
サワラのおすすめの食べ方
成熟したサワラであれば、真子、白子が美味しい時期になります。小さなものは身と一緒に煮付けにすると良いですが、大きなものは身はお刺身や焼物、真子は煮物、白子はポン酢などで別々に料理して頂くと良いでしょう。
アカシタビラメ
シタビラメは、カレイ目ウシノシタ科に属するお魚の総称で、その形が舌に似ていることから、漢字で「舌平目」と書きます。日本国内で食用として流通しているものには、アカシタビラメ、オオシタビラメ、クロウシノシタ、イヌノシタなどがいますが見た目で似たようなものは区別されずに流通することが多いです。アカシタビラメもよく似たイヌノシタと区別されずに、アカシタとして流通しています。
アカシタビラメの産卵期は主に夏で、早いところでは3~5月ですので、産卵期前の冬から梅雨時くらいまでのものが身質が良いとされています。しかし、産卵明け以外は身質がそう大きく変わるお魚ではないため、水揚げが増える夏の産卵期を旬とする地域もあります。
主な産地は、香川県、徳島県、愛媛県、大阪府、岡山県など瀬戸内海沿岸で、これらの地域では普段からスーパーなどにも並びます。
アカシタビラメのおすすめの食べ方
アカシタビラメに限らず、シタビラメの仲間は相当大きなものでもない限り身が薄いので、お刺身にする場合は、相当の技術が必要な上、歩留まりもかなり悪くなります。また、身自体は甘味があって美味しいのですが、水分が非常に多く柔らかいので、これを適度に抜く強いた処理も必要となります。難易度は高いのですが、旬の時期に良いものが手に入ったら試してみる価値はあります。
ソテー、ムニエル、煮付けにするのが一般的ですが、小さなものであれば、しっかり揚げれば頭から食べることも出来ます。ただし、焼物にする場合は、お刺身と同様に少し水分を抜いた方が良いでしょう。
シラウオ
シラウオがスーパーなどに並ぶことはなく、ほとんどが料理屋直行となるため、名前を聞いたことがあっても実際にはお目にかかる機会が少ないお魚です。北海道から九州沿岸までと広い範囲で水揚げがあり、島根県の宍道湖では「宍道湖七珍」のひとつとして有名ですが、その量自体が少ないためか、地元の人であってもあまり口にする機会はありません。
シラウオは1年魚で産卵を終えると死に絶えてしまうことに加え、産卵期のため川を遡上する2~4月がを逃すと、来年までお目にかかることが出来ません。また、立春以降に水揚げが増えるため春告魚のひとつとしても有名です。ただし、北海道の網走湖では、春に湖内で生まれ育ち、秋に越冬するために川を下り海へ向かう際の9~10月を漁期としています。
また、シラウオは同じ時期に旬を迎えるシロウオと混同されやすいのですが、シラウオはシラウオ科で、背びれと尾びれの間に脂びれがあり頭が尖っているのに対し、シロウオはハゼ科で頭が丸く全体に黄色味を帯びているので、名前は似ていますが、見ればすぐにわかります。
シラウオのおすすめの食べ方
鮨ネタにも使われるなど生食されることも多いのですが、稀に横川吸虫や顎口虫が寄生していることがありますので、生食する場合は-20℃以下で24時間以上冷凍して下さい。
小さい体に似合わず旨味の強いお魚ですので、加熱しても美味しく頂くことが出来ます。お勧めは、天ぷら、唐揚げ、佃煮、お吸い物などですが、すぐに火が通ってしまうので、加熱し過ぎないように注意して下さい。
シロウオ
シロウオがスーパーなどに並ぶことはなく、ほとんどが料理屋直行となるため、名前を聞いたことがあってもお目にかかる機会が少ないお魚です。北海道から九州までの広い範囲で水揚げがあり、産卵期を迎える早春から海から川に遡上します。この時期は地域により多少ずれがありますが、おおむね2月中旬~4月上旬が最盛期とされています。シロウオは生きている状態では黄色みを帯びた透明で、腹側に黒い点)がありますが、死んでしまうと白くなります。また加熱調理しても白くなることから、これが名前の由来とされています。
また、シロウオは同じ時期に旬を迎えるシラウオと混同されやすいのですが、シロウオはハゼ科で頭が丸く、活きていれば全体に黄色味を帯びているに対し、シラウオはシラウオ科で、背びれと尾びれの間に脂びれがあり頭が尖っているので、名前は似ていますが、見ればすぐにわかります。
シロウオのおすすめの食べ方
シロウオは踊り食いが非常に有名ですが、稀に顎口虫が寄生していることがありますので、正直お勧め出来ません。万が一に備え、生食する場合は-20℃以下で24時間以上冷凍することをお勧めします。
実際には加熱した方が旨味が強くなりますので、天ぷら、唐揚げ、お吸い物、卵とじなどがお勧めですが、すぐに火が通ってしまうので、加熱し過ぎないように注意して下さい。
クロダイ
クロダイは釣りの対象としては非常に人気が高いお魚で、ほぼ全国で1年中そこそこ水揚げがあります。マダイなど比べても安価なので、沢山流通していそうですが、スーパー、業務筋ともにあまり見かける機会がないお魚です。これは、何でも食べる悪食が災いして食用としない地域があったり、特に夏場は河川などの汽水域で生活することが多いため、身が柔らかく、臭みがあることなどが敬遠される理由のようです。春先から初夏は産卵期で浅瀬に寄ってくるため、釣りの対象魚として評価は高いですが、逆に身質は最も悪い時期とされています。食べるのであれば、水揚げが少ないながらも、生活水域や植生が変わる秋から冬が最も良いとされています。
クロダイも大きさで名前が変わり、主なところでは、幼魚をチンチン、中型をカイズ、大型をクロダイと呼びますが、他のお魚と同様に明確な基準はありません。また、関西のチヌのように、大きさによって名前が変わらない地域もありますので、出世魚としての認識はほとんどありません。
また、このお魚は雄性先熟型で、1~3歳頃までは全て精巣が発達したオスで、4~5歳になると多くは卵巣が発達しメスとなります。しかし、一部は性転換せずオスのまま成長することもあります。
産地としては突出したところはありませんが、瀬戸内海などの内湾に比較的多く見られ、広島県では放流事業も行われており、プライドフィッシュにもなっています。
最近はその数が増え、海苔、牡蠣、アサリなどを食い荒らすことによる漁業被害も出ていますので、積極的な消費を図りたいものです。
クロダイのおすすめの食べ方
鮮度が良いものが手に入れば、お刺身も良いでしょう。おろしてみて皮下に脂があれば焼霜造りなどにすると美味しく頂くことが出来ますが、獲れた場所によっては臭うこともありますので、可能であれば、購入する際にどこで獲れたかを確認すると良いでしょう。多少臭いがある場合は、日本酒などで軽く洗い、カルパッチョやマリネのように薬味とドレッシングを使えば、ある程度はカバー出来ます。
冬場には脂がのると言ってもかなり控えめですので、焼物にする場合は、ムニエルやソテーなどのように油分を加えた方が良いでしょう。
煮付けにする場合は、少し濃いめの甘辛い味付けが良いでしょう。
ヘダイ
クロダイに似ていますが、全体的に白っぽい色をしていますので、シロチヌとかギンダイとか呼ぶところもあります。旬の時期のヘダイはマダイと比べても遜色なく非常に美味しいのですが、まとまった水揚げがあまりないため、ほとんどが産地で消費され、消費地に出回ることはまずありません。知名度が低いため、もっぱら安価で流通しています。
水産統計もないので、はっきりしたことは言えませんが、主に西日本での水揚げが確認されます。
ヘダイの産卵期は晩春から初夏なので、晩秋から春先のものが最も良いとされています。
ヘダイのおすすめの食べ方
風味はマダイに似ていますので、マダイと同じ料理は全て可能です。
特に旬のものは脂ののりが非常に良いので、お刺身はもちろん、焼物や煮付けなどにしても美味しく頂くことが出来ます。
マダイ
日本ではめでたい縁起の良い魚として古くから祝い事には欠かせない存在で、鯛と言えば普通マダイを指します。また、マダイの験担ぎで、色や恰好が似ているだけで〇〇鯛と呼ばれるあやかり鯛は200種以上おり、中には無理矢理すぎるものもいますが、それだけ昔から人気の高いお魚であったことが伺えます。
マダイの寿命は20~40年と比較的長く、大きいものだと100cm、10kg超えるものもいます。
水揚げはほぼ1年中あることに加え、流通の80%以上を養殖が占めているため、毎日スーパーや料理屋で見ることが出来るため、今では旬を感じにくいお魚のひとつになっています。産卵期は海域によって多少ずれますが2~6月頃で、この時期は浅瀬に集まるため、釣りの対象としても人気が高くなります。美味しい旬は産卵期直前の桜が咲く時と言われており、この頃のものは桜鯛と呼ばれ珍重されています。夏には産卵を終えて痩せてしまうため、敬遠されることもあり、代わりにこの時に旬を迎えるチダイを使うこともあります。ただし、秋になるとまた栄養を蓄えて、冬頃には身がかなり充実し、再び旬を迎えます。
産地としては、天然物は長崎県や福岡県や多いものの、いずれも全体の10%強と突出し他産地はなく、全国で平均的な水揚げが確認出来ます。このため、各地でプライドフィッシュとしての登録が見られますが、中でも有名なのは玄界灘と明石海峡で、ここは特に身質が良いとされています。養殖は西日本に集中しており、特に愛媛県が全体の半分強と突出しています。養殖物の品質は年々向上して、へたな天然物より美味しいものも増えており、各地でブランド化が進められています。
マダイのおすすめの食べ方
お刺身の場合、締めて間もないものはコリコリした食感を楽しむ分には良いでしょうが、旨みを引き出すためには、一晩くらい寝かせたほうが良いと言われています。
上品で旨味の強い白身のお魚ですので、お刺身に限らず、椀だね、煮物、焼物、蒸物、鍋物、酢の物など和洋中問わず、多彩な料理に向くのもマダイの人気が高い理由のひとつです。また、各地で郷土食としても根付いています。
コマイ
コマイはタラの仲間ですが、大きくても40cm程度と他のタラと比べると小型です。主な産地は北海道で、本州ではほとんど見られないため、北海道以外ではほとんど知られていません。このことから、北海道での呼び名がそのまま標準和名となっています。また、漢字で「氷下魚」と書くように、寒冷な水域を特に好むため、北海道であっても南部ではあまり水揚げがありません。
タラの仲間は総じて冬に水揚げが増えるのですが、コマイに限っては5~8月にもまとまった水揚げが見られます。ただし、美味しいとされる時期は、やはり産卵前の冬です。また、他のタラと同様に、真子や白子も食用とするため、産卵期のものも需要が高くなります。
干物も盛んに作られており、こちらは全国に流通しています。
コマイのおすすめの食べ方
北海道ではお刺身を食べることもあるそうですが、タラの仲間は総じて鮮度劣化が早いので、鮮度が良いことはもちろんです。またアニサキスが寄生していることもありますので、必ずー20℃以下で24時間以上凍結したものを使いましょう。
1~3月は卵や白子を味わえる時期ですので、味噌汁、煮物、鍋物などがお勧めです。
小振りなものは、頭と内臓を取って唐揚げにすると良いでしょう。
ハマトビウオ
トビウオは細かく分けると数十種類もおり、その特徴は様々ですが、一見して区別することは難しいため、全てまとめてトビウオとして流通することが多いです。その中でも市場に出回り、比較的区別されているものには、トビウオ(ホントビウオ)、カクトビ(ハマトビウオ、ツクシトビウオ)、マルトビ(ホソトビウオ)などがいますが、中で最も評価が高いのがハマトビウオで、大きなものでは50cmくらいになります。
主な産地は鹿児島県の屋久島周辺から宮崎県にかけてと東京都の八丈島周辺です。ハマトビウオも回遊魚で、屋久島辺りでは11月頃から獲れ始めます。伊豆諸島では3月頃から獲れ始めて、4月が最盛期になります。トビウオと言うと夏のイメージが強いのですが、ハマトビウオは産卵期の冬から春に接岸してくるため「春トビ」とも呼ばれています。
ハマトビウオのおすすめの食べ方
新鮮なものはお刺身にすると、とても美味しいとされています。暖海性のお魚ですので、脂は少ないのですが、旨味が強く、青魚独特の生臭さも少ないのが特徴です。
加熱調理する場合は、ソテーや揚物などのように、油を加える料理が良いとされています。
キジハタ
キジハタは、非常に味がよく、水揚げも少ないため、特に活物など鮮度の良いものは高級魚として流通することが多く、産地でもなければ一般の食卓に並ぶことはまずありません。
主に福井県あたりから九州にかけての日本海沿岸や瀬戸内海で水揚げが見られますが、前述した通り、その量はわずかです。
美味しい時期は秋から冬の寒い時期とされていますが、少ないながらも1年中水揚げがあり、また身質が大きく変化することもありません。しかし、夏の産卵期だけしてどうしても身が痩せてしまうため、この時期のものと、産卵明け早々のものは避けた方が無難かも知れません。ただし、産卵明けは食性が戻るため、水揚げが増える傾向にあるため、少ないながらも見かける機会が増えます。
キジハタのおすすめの食べ方
キジハタは、クセや臭みがなく、引き締まった肉質が特徴です。活物は身が反り返ることもあるので、1~2日寝かせてから調理した方が良いでしょう。また、小さな鱗がビッシリと付いており、取り除き損ねると食味が悪くなりますので、丁寧に取り除くことが必要です。
旨味が強いお魚ですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。また、皮下の脂やアラからも良い出汁が出ますので、骨と内臓以外は余すことなく食べることが出来ます。
スジアラ
沖縄県ではアカジンミーバイと呼ばれ、ハマダイ(アカマチ)やシロクラベラ(マクブー)とともに沖縄三大高級魚として知られています。本州では水揚げがほとんどないため、馴染みはありませんが、入荷した時には、沖縄県同様に高値で取引されているようです。
主な産地は沖縄県、鹿児島県の島しょ部です。沖縄県では養殖も始まっており、2016年には完全養殖にも成功していますが、まだその量はわずかです。
スジアラは暖海系のお魚のため、ほぼ1年中水揚げがあり、身質の変化もそうありませんが、夏から秋にかけては産卵期に当たるため、身が痩せていることが多いらしいです。決して安くないお魚ですので、この時期だけは避けておいた方が無難でしょう。
スジアラのおすすめの食べ方
鮮度が良過ぎると、身が反り返ったり、加熱した際の身離れが悪かったりしますので、サイズにもよりますが、どのような調理をするにしても少なくとも2~3日は寝かせた方が良いでしょう。
非常に上品な白身ですので、お刺身にした場合には、少し物足りなさを感じる可能性もあります。その時は、カルパッチョやマリネなどのように少し味を加えた方が良いでしょう。
加熱調理も同様で、油を加えたり、少し濃い目の味付けをした方が美味しく感じられることもあります。
ハタハタ
ハタハタは、秋田の伝統調味料である塩汁(しょっつる)の原料としても有名です。漢字では「鰰」と書きますが、これは雷やいかずちを意味する霹靂神(はたたがみ)に由来しているとされています。漁期であり、産卵期である11~12月は雪の前に雷が鳴ることが多く、その時期に沿岸に押し寄せてきたものを獲ることから、名付けられたと言われています。
ハタハタと言う呼び名は、主に秋田県など北日本の呼び方で、兵庫県から島根県など山陰地方ではシロハタとかシラハタと呼ぶこともあります。
美味しいとされる旬の時期は産地で異なり、秋田県周辺は11〜1月、山陰地方は3〜5月となります。秋田県のハタハタは産卵のためメスは抱卵しており、卵をブリコと呼び珍重します。山陰地方のものは産卵期とは逆になるため身が充実しています。このため、卵を楽しむの冬の秋田県周辺のもの、身を楽しむのであれば春から初夏の山陰のものを選ぶと良いでしょう。
ハタハタのおすすめの食べ方
3~5月は、身だけを純粋に楽しむ季節になります。
大きなものは煮物や焼物、小さなものは唐揚げにすると美味しく頂くことが出来ます。
また、干物に加工することで、余分な水分も抜け旨味も増しますので、焼物、揚物などにする場合は、これを利用すると良いでしょう。
また、鳥取県には酢で締めた「白ハタ寿司」と呼ばれる郷土料理もあります。
ヒラメ
ヒラメはお魚の中でも高級な部類として知られていますが、それは冬に限った話です。春から初夏の産卵期と産卵明けの夏は身が痩せているため、猫マタギとまで言われ敬遠される傾向にあります。ただし、これは天然物に限った話で、養殖物で季節を気にする必要はほとんどありません。
天然物の産地は、北海道、青森県、宮城県など北日本が多く、各産地ではブランド化も進められています。また、輸入も多く、韓国からは活で、アメリカ、中国からは鮮魚としても入荷しています。
養殖はヒラメ全体の流通量の20%程度で、主な産地は大分県、鹿児島県、愛媛県などです。平成26年前頃にクアド(粘液胞子虫)による食中毒被害が急増し、販売を控えるところが増えたため、養殖はピーク時の7割ほどまで減少しています。ただし、クアドにより食中毒被害は、令和3年以降ほとんど確認されておらず、心配する必要はあまりなさそうです。
※クドアが寄生したヒラメを非加熱、または加熱不十分の状態で食べると、数時間程で一過性の下痢や嘔吐を引き起こしますが、症状は軽度で、多くの場合、発症後24時間以内に回復し、後遺症もないとの事例が報告されています。なお、養殖ヒラメの場合は筋肉1グラムあたりのクドアの胞子数を1.0×10の6乗個以下とすることが定められています。
ヒラメのおすすめの食べ方
3月は天然寒ビラメのラストシーズンと言っても良いでしょう。この時期を逃すと12月の下旬くらいまで、旨味の詰まった天然のヒラメには出会えなくなりますので、存分に楽しんでおきましょう。大きくて鮮度が良いものであれば、まずはお刺身がお勧めです。もちろん、ヒラメと言えば縁側のお刺身も外せません。ただ、どうしてもクアドが心配だと言う場合には、ー20℃以下で4時間以上冷凍するか、しっかりと加熱調理ことをお勧めします。
お刺身には難しい小さなものでも、旨味がしっかりある時期ですので、焼物、煮物、揚物など何でも楽しむことが出来ます。
ハマダイ
沖縄県ではアカマチと呼ばれ、スジアラ(アカジンミーバイ)やシロクラベラ(マクブー)とともに沖縄三大高級魚として知られています。水揚げが少ないため知名度はかなり低いのですが、その上品な白身は評価が高く、沖縄県以外でも、ほとんどがすし店など高級料理店向けとなり、スーパーなどに並ぶことはまずありません。
主な産地は、伊豆諸島、小笠原諸島、鹿児島県、沖縄県などです。
暖海系のお魚ですので、1年を通して身質に大きな違いはないとされていますが、産卵期が5~8月頃であることを考えると、身が充実して美味しい時期は産卵前の冬から春にかけてと思われます。
ハマダイのおすすめの食べ方
旨みが強く、血合いも少ない白身ですので、まずはお刺身がお勧めです。皮は赤く綺麗で、柔らかい上に、皮と身の間に旨味が多いので、湯霜造りにすると良いでしょう。
加熱しても硬くなりにくい身質ですので、煮物、焼物、揚物などどのような料理にも合わせることが出来ます。また、アラからはとても良い出汁が取れますので、スープなどで堪能して下さい。
ヒメダイ
ヒメダイは、沖縄ではクルキンマチと呼ばれ、味の良さから高級魚として扱われています。しかし、暖海系のお魚と言うこともあり、本州では滅多にお目にかかれないため、ほとんど馴染みがありません。
統計資料もないため、はっきりした産地は不明ですが、沖縄県以外では、八丈島から小笠原周辺、高知県、鹿児島県などで見ることが出来ます。
暖海系のお魚の特徴で、1年を通して大きく身質が変わることはないとされていますが、産卵期である5~9月は身が痩せる傾向にあるため、身はどうしても痩せてしまいます。ただし、産卵期には多少なり水揚げが増えるため、高知県などのように夏を旬としているところもあります。
ヒメダイのおすすめの食べ方
マダイに良く似た上品な白身ですので、鮮度が良ければ、まずはお刺身がお勧めです。皮と身の間に旨味が多いので、湯霜造りにすると良いでしょう。
加熱しても硬くなりにくい身質ですので、煮物、焼物、揚物などどのような料理にも合わせることが出来ます。また、アラからはとても良い出汁が取れますので、スープなどで堪能して下さい。
シロサバフグ
フグと言うと高級魚のイメージがありますが、シロサバフグはとても安価で、スーパーなどにもよく並びます。昔は毒のないフグとして流通しており、肝も食べられていたと言われていますが、毒を持つ近縁種の存在や、海域によっては毒を持つことなどが確認されたため、現在では法律によって無毒な筋肉と皮、精巣のみが食用として認められています。
シロサバフグは、フグの中では最も多く流通していると言っても良いくらいで、ほぼ1年中水揚げがあります。産卵期は初夏ですので、身が充実するのは秋から春先までとなりますが、産卵期であっても多少身が痩せるくらいで身質に大きな変化はなさそうです。
統計資料がないので、はっきりしたことはわかりませんが、福岡県、長崎県など東シナ海で比較的水揚げがあるようです。ただし、加工品として流通しているものの多くは中国や台湾で水揚げされたものです。
シロサバフグのおすすめの食べ方
食用のフグの中では小型で、身に水分が多いため、いくら鮮度が良くても、そのままではお刺身には不向きです。お刺身にする場合は、塩や昆布などで水分を抜く下処理が必要です。また、フグ全般に言えることですが、数日寝かせた方が旨味が増すとされています。
逆に水分が多いための利点もあります。加熱しても身が硬くなりにくいため、鍋、揚物などには適しています。ただし、焼物にする場合は、水分を幾らか抜いた方が身離れも良くなり、旨味も増すようです。
※フグは猛毒のテトロドトキシンを持っているため、調理は必ず免許を持っているプロにお願いしましょう。
アカムツ
アカムツは、口の中を覗くと奥が真っ黒になっており、これが流通名のノドグロの由来となっています。また、名前にムツと付きますが、ムツ科のお魚ではなくホタルジャコ科のお魚です。味がとても良く、白身のトロと呼ばれるほど脂がのっていることから、もっぱら高級魚として取引されています。
アカムツは大きいものだと50cmを超えることもありますが、普通市場に出回るものは大きくても30cm前後で、20cmくらいのものが多いです。
産地は、富山県などの北陸から、島根県などの山陰地方など日本海側で多く獲れ、太平洋側ではあまり見られません。各地でブランド化も進められており、島根県の「どんちっちノドグロ」、長崎県の「紅瞳」などがあります。
また、近年はその人気の高さからか、韓国からの輸入も増えており、国産と比べると安価なことから、スーパーや回転寿司などで見かけることもあります。
美味しい旬の時期には諸説あり、晩秋から冬と言う説があるかと思えば、真逆の産卵前7~8月と言う説もあります。また、子持ちの煮付けを重宝する地域では9月頃を最良とする地域もあります。
ただし、1年中脂がのっていることは事実ですので、その時々の身質に合わせた調理をすれば、年中楽しむことが出来るのは間違いないでしょうが、ここでは春、夏、冬を旬として紹介します。
アカムツのおすすめの食べ方
冬から春は産卵期とは真逆の時期ですので、最も身質が安定しており、様々な料理を楽しむことが出来ます。
アカムツは、皮と皮下の脂に旨味が詰まっていますので、どのような料理をするにしても皮は付けておいた方が良いでしょう。
クロムツ
長い間ムツは1種類とされていましたが、現在では2種に分けられ、そのうち見た目が黒い方をクロムツと言います。ただし、2種は酷似しており、加えてクロムツの方が高値で取引されることが多いため、正確に区別されているかどうかは正直疑問が残るところです。
産地が、東京都、静岡県など関東に集中しているため、関西ではあまり馴染みがありません。ただし、産地が近い関東では冬のお魚として親しまれており、また、産卵期の春には卵巣を「むつ子」として珍重しています。
クロムツのおすすめの食べ方
透明感のある白身ですが、冬のものは脂が多いため白濁することもあり、鮮度が悪いと勘違いされることもあるようです。
皮は柔らかく、皮と皮下の脂にも旨味がたっぷり詰まっていますので、どのような料理をするにしても皮は付けておいた方が良いでしょう。
身はふんわりと柔らかく、加熱しても身が硬くならず、身離れも良いので、どのような料理にも合わせることが出来ますが、クロムツの風味を楽しむためには、濃い味付けや油を加える料理は避けた方が良いかも知れません。
ウスメバル
ウスメバルは比較的耐寒性の魚で、主な産地は東北地方、北陸などです。クロメバルなどと比べると、40cmから50cm大きくなること、漁期が早く始まること、深場に生息することなど違いがありますが、身質などは大きく変わらず、上品で味わい深い魚です。
地域により多少ずれますが、3月から6月に産卵期を迎えるため、2月から産卵前までのごく短い期間が美味しい旬となり、特に筍(たけのこ)の初物が出る季節が良いと言われています。
ウスメバルのおすすめの食べ方
鮮度が良ければお刺身もお勧めですが、筍が旬の時期ですので、一緒に煮付けると一層美味しく頂けます。
鮮度の良いものは、煮付けなど加熱調理すると皮が剝けやすいので、下処理をしてから1日程度置いたものを使うと良いでしょう。
トゴットメバル
ウスメバルは比較的寒海性のお魚で、東北や北陸などでよく目にすることが出来ます。単にメバルと言うとクロメバルやアカメバルを指す地域が多いですが、日本海北部ではウスメバルがを指すことが多いようです。
大きなものは40~50cmとなり、他のメバルと比べると倍以上の大きさになり、棲息深度も50~200mとかなり深いですが、身質は大きく変わりません。
地域により少し異なりますが、3~6月に産卵期を迎えます。漁は2月頃から始まり、産卵前まで行われます。
トゴットメバルのおすすめの食べ方
歩留まりは他のメバルと同じくらいですが、大きなものの入手が可能ですので、鮮度が良ければ、まずはお刺身がお勧めです。
小振りなものは、煮物、焼物、揚物などにすると美味しく頂くことが出来ます。また、漁期が筍(たけのこ)の収穫時期と同じですので、煮付けで一緒に食べられることが多いです。
アマエビ(総称)
ここでは国産のアマエビを紹介しますが、アマエビと言う呼び名は流通名で、標準和名はホッコクアカエビ、もしくホンホッコクアカエビです。前者はロシアから日本の日本海側で獲れます。後者は北欧や北米など北大西洋で獲れ、スーパーや回転寿司などでよく見られるのはこちらです。この2種は本当にそっくりで、ぱっと見で区別するのは難しく、産地で判断するくらいしか出来ません。
国産のアマエビはは1年中水揚げがありますので、お目にかかる機会が多そうな気はしますが、輸入品と比べてかなり高いこと、冷凍や加工品での流通がほとんどないこと、鮮度落ちが早いことなどから、産地や料理専門店でもない限りお店に並ぶことはまずありません。したがって、食べたい場合は料理専門店に問い合わせして入荷がある場合に予約するか、水揚げが多い時期に産地に行くくらいしか手がありません。
美味しい旬の時期についても悩ましいくらい複数の説があります。晩秋から冬にかけての海水温度が下がる時期が良いと言う説、北陸地方では休漁明け9月上旬から10月と言う説、北海道では水揚げピークの5月などと言う説などがありますが、いずれも明確な根拠はありません。ひとつ言えることは、抱卵しているものは間違いなく身が痩せていると言うこと、産卵後はさらに身が痩せると言うことです。ただし、卵は食べることがありますので、産卵明けの6~8月だけは避けた方が無難と言うことになりそうですので、ここでは産卵明けの夏以外を旬として紹介します。
アマエビ(総称)のおすすめの食べ方
アマエビは基本生食用ですので、鮮度が命です。鮮度が良ければ、頭を抜いたときに背ワタも一緒に獲れますし、芳醇なミソも一緒に味わうことが出来ます。抱卵したものであれば、卵のプチプチ食感も一緒に楽しむことが出来ます。ただし、適正に管理することが出来れば、1日程度置いた方が、獲れたてより甘味が増巣と言われています。
お刺身には少し厳しい場合は、殻付きのまま調理すると良いでしょう。お勧めは塩茹で、唐揚げ、炒め物、汁物などです。ただし、頭の先のトゲは口に刺さることがありますので、取り除いておいた方が良いでしょう。
トヤマエビ
トヤマエビは、一般にボタンエビとして市場に流通しています。これは、ボタンエビの水揚げが減少したため、良く似ているトヤマエビを代用品として流通させている内に、流通名として定着してしまったことによるものです。ちなみにトヤマエビの名前の由来は、富山湾で研究用として最初に採捕されたことによるもので、富山県周辺に多く生息していると言う意味ではありません。実際のところ、富山県の水揚げはわずかで、大半は北海道となっています。
産卵期は早いところで4月頃から始まりますが、期間が非常に長く、一旦抱卵すると産卵まで10ヶ月程度かかりますので、正確な旬の時期についての把握は困難です。ただし、卵も味わいのひとつですので、産卵明けで身が痩せた物を除けば、いつでも美味しい時期と言って良いでしょう。北陸などではズワイガニ漁が出来ない時期に漁をしたりするので、金沢周辺では3月下旬から夏にかけて水揚げの最盛期を迎えます。
トヤマエビのおすすめの食べ方
ボタンエビの代用品とはいえ、水揚げは決して多くなく、食味の良さから高級品として取引されていますので、料亭や寿司店以外でお目にかかることはまずありません。
鮮度の悪いものが流通することはまずありませんので、まずはお刺身がお勧めになります。
頭は加熱することでミソまで美味しく頂くことが出来ますが、ボイルすると風味が失せてしまうので、加熱する場合は、焼くか、電子レンジが良いとされています。
サクラエビ
サクラエビは大きくなっても4~5cm程度の小さく、透明感のある桜色のエビです。名前は聞いたことがある方が多いと思いますが、大半が乾物での流通となっていますので、生鮮にお目にかかる機会は、産地でもない限りかなり難しいでしょう。
国内でサクラエビの漁業許可が与えられているのは、駿河湾に面した静岡県清水区の由比(ゆい)港、蒲原(かんばら)港、焼津市の大井川港のみです。したがって、日本産の桜エビは全て駿河湾で捕れたものとなります。海外では台湾近海で桜エビが捕れており、乾物などに加工されて輸入されています。
また、資源保護の観点から漁期も春と秋の2回と定められており、春は3月下旬~6月上旬、秋漁は10月下旬から12月下旬となっています。
網で捕まえたサクラエビは、体を傷付けないように専用のホースで吸い取られて箱に詰め、港へ着いたら、鮮度が落ちない内に、冷凍や乾燥などへ加工がされてます。サクラエビは鮮度が落ちやすいため、生の桜エビを食べられるのは、漁期の間の駿河湾近郊だけとなります。
また、サクラエビの天日干しをする富士川の河川敷は、真っ赤な絨毯を敷き詰めたような風景になりますので、機会があれば一度は見ておきたいものです。
サクラエビのおすすめの食べ方
干しえびとして流通することが多いので、和え物やふりかけ的な要素が高いのですが、生鮮での入手が出来たらぜひ試していただきたいのが生食です。
殻は柔らかいので、そのまま食べることができ、サクサクした歯ごたえと、ふんわりした甘味を味わえます。生食は特に秋のものが殻が柔らかくて良いと言われています。
また、忘れてはならないのがかき揚げです。元々香りのよいエビですので、加熱することにより一層風味が増します。こちらは味が比較的しっかりしている春のものの方が適していると言われています。
その他は、釜揚げ、炊き込みご飯などがお勧めでです。
シバエビ
シバエビは10cmくらいものの出回りが多く、大きい物でも15cmほどと小型のエビです。水揚げしてすぐのものは、透明感のある白っぽい殻に細かい黒斑点が無数に入っていますが、古くなると斑点は消えてしまいます。かつては東京湾の芝沖で沢山穫れたことから芝海老と呼ばれるようになったと言われていますが、今はほぼ見ることが出来ません。現在の主な産地は有明海と三河湾などですが、水揚げも年々減少していおり、産地であってもスーパーなどに並ぶことはあまりないようです。
産卵期は夏で、主な産地の漁期は産卵明けの10月頃から翌4月位までとなります。旬の時期は調理用途により異なるとされており、かき揚げなどに使う小さいサイズであれば冬、大きいものは春となります。
シバエビのおすすめの食べ方
鮮度が良いものはお刺身に出来、上品な甘味とエビの香りが楽しめます。ただし、身に透明感はなく、くすんだグレーなので、見た目は正直良くありません。
小さなものであれば、殻が非常に柔らかいので、そのまま唐揚げ、かき揚げ、素焼きなどにするのがお勧めです。殻付きですので、風味が豊かになることに加え、サクサクとした食感を楽しめます。大きくて、殻が少し気になる場合は、他のエビ同様に殻をむいて天ぷらにすると良いでしょう。
また、身はすり身団子にしてお吸い物や揚物にしても良いです。むき身にした後の殻や頭は、素揚げにしたり、出汁用として活用することも出来ます。
ウチワエビ
ウチワエビは、全体に押し潰されたように平たく、団扇のような姿をしているから名付けられました。地方によっては、やはり見た目からタビとかセッタと呼ぶところもあります。画像を見ると大きそうに見えますが、実際には15~20cm程で、可食部分は非常に少ないです。しかし、味の評価は高く、イセエビより美味しいと言う人もいます。
島根県から九州の西日本で水揚げが確認出来ますが、水揚げ自体はほんとに少ないので、ほぼ産地で消費されてしまい、余程のことがない限り消費地に出回ることはありません。昔は漁もそこそこあり安く流通していたので、気軽に楽しむことが出来ましたが、味の良さが知られてしまったため、特に大都市の市場ではかなり高値で取引されるため、産地であっても、中々口にすることが出来なくなっています。
美味しい旬の時期については、諸説ありますが、産卵期が秋頃なので、冬から夏までが最も身質が良いと仮定されます。ただし、産地によってはこれに関係なく漁期を定めているところもあり、ちなみに長崎県の五島列島では10月1日~11月末の産卵期にかかる頃を漁期と定められています。したがって、身だけを純粋に楽しむなら冬から夏、卵を一緒に楽しむなら秋と、1年中楽しむことが出来ることになりそうです。
ウチワエビのおすすめの食べ方
死んでしまうと、臭みが出る上に、身が痩せてしまうので、とにかく生きているものが前提です。しかし、生簀で数日生かしたものは身が痩せている場合があります。
見ての通り、頭が大きく、体が小さいので、歩留まりは無茶苦茶悪いですが、まずはお刺身がお勧めです。イセエビに負けない芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
もちろん、塩茹で、焼物などシンプルに味わって頂いても結構ですし、変わり種では天ぷらもお勧めです。もちろん、殻からは美味しい出汁が獲れますので、汁物もお勧めです。
ケガニ
ケガニはクリガニやトゲクリガニなどと同じクリガニ科のですが、クリガニやトゲクリガニは安価なのに対し、ケガニはオスで甲長15cmと大きくなるため、身がしっかりあることに加え、身やミソの美味しさから高級品として流通しています。
主な産地は、胆振、日高、網走、宗谷、十勝、釧路などの北海道沿岸各地と岩手県です。以前は大量に水揚げがあったとされていますが、今では最盛期の10分の1程度まで減少しているため、各地で厳しい規制が行われています。メスガニ、甲長8cm未満、脱皮直後ののものはリリースされます。加えて、リリース時に傷ついていたりすると死んでしまうため、必ず籠を使って漁をしなければなりません。また、漁が行える船隻数、1隻が使える籠の数、漁期中の水揚げ総量などの制約もあります。
ケガニは冬にになると出回るが増えるようなイメージがありますが、実は1年中どこかで水揚げがあります。それぞれの漁期は、胆振で6~7月、登別から白老町沖で7月中旬から8月中旬、日高で12月~4月、十勝と釧路で1~3月と9~12月、オホーツク沿岸は流氷がなくならない塗料が出来ないため、網走で3~8月、雄武町で3月下旬~7月下旬、宗谷で3月15日~8月21日となります。道外の岩手県では12~3月となっています。
それぞれの産地で、最も身質が良いであろう時期に漁が行われていますので、他のカニ類とは異なり、いつでも美味しいケガニに巡り合うことが出来ます。
ケガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。高いカニですので、慎重に選びましょう。
新鮮なものはお刺身で食べることも出来ますが、クリガニの仲間は足が短くいので、可食部分はわずかです。やはりお勧めお薦めの食べ方は、茹でるか蒸すかしたものの身やミソをほぐして食べることです。クリガニの仲間は何と言ってもミソが美味しいので、この食べ方が一番でしょう。
もちろん、良い出汁が出ますので汁物にも最適です。また、グラタン、パスタ、サラダ、コロッケなどの洋風料理でも、他の具材に味が負けることなく、ケガニの芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
ズワイガニ
ズワイガニはオスとメスで大きさが違うことや、メスは内子や外子と呼ばれる卵巣や卵を持っていることなどから、産地ではオスとメスを別物として扱っています。価格もオスは高価で、ほとんどが都市部の消費地市場や料理屋へ送られるのに対し、メスは手頃な価格で、産地ではスーパーなどに並ぶこともあります。
また、良く似たものにベニズワイガニとオオズワイガニがいますが、ベニズワイガニとは見た目での判断が容易です。オオズワイガニは国内ではほとんど水揚げがないため、ほぼ100%冷凍加工されてからの輸入です。またオオズワイガニを学名からバルダイ種と呼ぶのに対し、本種はオピリオ種とも呼ばれています。
国産ズワイガニの主な産地は、日本海から北海道沖に集中しており、太平洋側は獲れてもごくわずかです。水揚げが最も多いのは北海道で、次いで兵庫県、鳥取県、福井県、石川県などと続きます。本種は海外でも水揚げがあり、カナダ、アメリカ、ロシアなどでも獲れており、ロシア産はは活物で輸入されることがあります。
国内の漁期は資源保護のため、厳格に定められていますが、全国一斉ではなく産地で微妙にずれています。良くニュースで見る11月初め頃の解禁は富山県以西のもので、メスは1月10日まで、オスは3月20日までです。一方新潟以北では10月1日が解禁日で、オスメスともに5月31日まで漁が続きます。ただメインシーズンは11月から3月くらいまでです。
また、甲の大きさにも制限があり、幅9cm未満のオスと未熟なメスは漁獲禁止となっています。生鮮のズワイガニは、輸入の活物を除き、この期間しか入手出来ませんので、当然漁期が旬となります。
また、各産地で厳格な基準の元、ブランド化が進められており、有名なところでは、石川県の加賀、能登で水揚げされたオスが加能ガニ、石川県内で水揚げされたメスが香箱蟹(メスのブランド化はここだけ)、山形県の庄内に水揚げされるオスが芳ガニ、島根県、兵庫県、京都府の山陰地方で水揚げされるオスが松葉ガニ、京都北部の丹後半島にある間人(たいざ)港で水揚げされるオスが間人ガニなどとされており、適正に流通するよう各産地でタグ付けが行われています。また、等級分けも行っている産地もあり、最上級のものは超高値で取引されています。
ズワイガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。高いカニですので、慎重に選びましょう。
鮮度の良いものは、お刺身やシャブシャブがまずはお勧めです。こういう食べ方が出来るのはズワイガニならではです。
他は、蒸す、茹でるはもちろん、焼き、天ぷら、鍋、雑炊など多種多様な料理を楽しむことが出来ます。無論、殻からはとても良い出汁が出ますので、全て使い切ることが出来ます。
ベニズワイガニ
ベニズワイガニは松葉ガニでも知られるズワイガニの仲間で、姿形はそっくりですが、その名の通り加熱しておらずとも既に赤い色になっているのが最大の特徴です。水揚げがズワイガニより多いと言うこともありますが、足が細く、身が水っぽいと言うことなどから、国産ズワイガニの5分の1~10分の1の値段で流通することも多いです。しかし、ミソの旨味や身の甘味はズワイガニより良いと言う評価もあり、とにかくコストパフォーマンスには優れています。
産地としては、鳥取県、島根県、兵庫県、新潟県、石川県など日本海側に集中しており、特に山陰地方で多く水揚げされています。兵庫県では香住漁港にしか水揚げされていないことから、香住ガニと呼ばれており、良いものは漁船の名前が印字された白いタグが付けられてから出荷されます。
ベニズワイガニもズワイガニ同様、資源保護のため各地でサイズ規制や禁漁期間が設定されており、また、メスは全国一律で捕獲禁止とされています。
主な漁期は、鳥取県(境港市)で9~6月、兵庫県(香住)と富山県で9~5月、新潟県と石川県で3~12月、北海道の茂津多岬以北で7~4月、北海道の茂津多岬以南で4~8月と、1年中どこかで水揚げされていますので、いつでも楽しむことが出来ます。
ベニズワイガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
鮮度がべらぼうに良い場合はお刺身でも食べることも可能ですが、水分が多いのであまりお勧めはしません。ミソは濃厚で、身の甘味は強いため、特にお勧めするのはシンプルに焼き、茹で、蒸し、汁物などです。また、カニの風味が強く、乳製品などとの相性も良いので、グラタンやクリームコロッケなどもお勧めです。
また、ベニズワイガニは缶詰などでむき身になったものも多く流通していますので、調理の下処理が面倒な時には便利です。
タラバガニ
カニの手足の合計は10本なのですが、タラバガニは見ての通り8本です。実はタラバガニはヤドカリ下目に分類されており、カニではなくヤドカリに近い種類です。ですので、横だけではなく、前に歩くことも出来ます。
日本では 鱈が獲れる場所で一緒に獲れたことから、鱈場蟹(タラバガニ)と、英語圏では足を拡げると1mを超える位大きなものがいることもあるため、KingCrab(カニの王様)と名付けられました。
主な生息域は北太平洋及び北大西洋の寒流域ですが、最近では南半球の寒流域でも確認されています。国内で水揚げがあるのは北海道のオホーツク沿岸のみですが、その量は本当にわずかですので、国内需要を賄うためにアメリカ、ロシア、ノルウェーなどから多く輸入しており、漁場が近いロシアからは活物でも輸入されています。身入りだけ見ると、北海道より寒い海域で獲れている輸入物の方が良いと言う評価もあります。
国内(北海道)の漁期は、おおむね2回に分けられます。ひとつは流氷がなくなることにより漁が再開される3~5月で、この頃は餌が豊富になるため、身が充実し、甘味が増すと言われています。もうひとつは脱皮が終わり身質が向上すると言われている10月~2月です。ただし、10~11月は脱皮直後のものが混じったりしますし、12月以降は冬眠期に入るため活動が鈍ることもあり、水揚げ量は期待出来ません。もちろん、流氷が押し寄せる海域では漁は出来ません。ただし、ロシア産の活物はいつでも入荷しているようですので、北海道の禁漁期間中に活物がある場合は、ほぼ間違いなくロシア産と思って頂ければ良いでしょう。
タラバガニのおすすめの食べ方
タラバガニカの仲間も死んでしまうと、例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
タラバガニは大きなものが基本であることに加え、身の繊維がしっかりしていますので、非常に食べ応えがあります。鮮度の良いものであればお刺身も可能ですが、お勧めは素直に、茹でガニと焼ガニです。濃厚な味わいとしっかりした食べ応えはタラバガニの最大の特徴です。
尚、タラバガニのミソは、そのまま加熱してしまうと流れ出てしまうため、調理する前に取り除いておいて、足などとは別に調理する必要があります。
カミナリイカ
カミナリイカはコウイカの仲間で、唇ともコーヒー豆とも獲れるような紋様が最大の特徴であることから、紋甲イカ(モンゴウイカ)と呼ばれることもあります。カミナリと言う一風変わった名前の由来は、雷の鳴る夏に獲れるからと言う説や、甲の紋様が雷に見えるからという説などがありますが、どちらもかなり無理があるようで、はっきりわかっていません。
カミナリイカは、国内で獲れるコウイカの中では大型で、大きなものは40cmくらいになります。
主に西日本で水揚げされていますが、まとまって獲れるわけではないので、主だった産地と言うのはありません。また、決まった漁期があるわけでもなく、晩冬から夏にかけて産卵のために沿岸によって来たものが他の魚と共に混獲されるくらいです。
カミナリイカのおすすめの食べ方
コウイカの仲間は、鮮度が落ちるにしたがって背側の紋様がぼやけて、最後には白っぽくなります。こうなるとお刺身では少し厳しくなりますので、出来るだけ紋様が鮮やかなものや、表面の細かい斑点が点滅しているものを選びましょう。むき身になっている場合は、張りがあって、透明感のある物を選んで下さい。また、コウイカの仲間は身に付いている薄皮をきちんと取っておかないと口当たりが悪くなることに加え、臭みも残りますので、注意して下さい。
カミナリイカの身は他のコウイカと比べると、少し硬めですので、どのような調理をするにしても食べやすいように細かく切れ目を入れておくと良いでしょう。
甘味が強いイカですので、鮮度が良いものは、まずはお刺身がお勧めです。イカ全般に言えることですが、料理の材料としては万能で、身だけでなく、耳や下足も含め、焼物、炒め物、揚物、和え物などなんにでも合わせることが出来ます。
また、産卵期が近づくと白子が入っている場合があります。見つけたら塩でよく揉み洗いして、焼物、煮物、揚物などにすると美味しく頂くことが出来ます。
コウイカ
コウイカは墨を沢山持っており、水揚げした時に大量にこれを噴くため墨烏賊(すみいか)とも呼ばれます。また、胴のてっぺんに甲の先が針状に突き出していることから、針烏賊(はりいか)と呼ばれることもあります。背側には横縞模様が入っており、オスの方が明確で、メスはぼんやりしているものが多いとされています。産卵期のオスには白子が入っていることが多いので、選ぶ時の目安にして下さい。
主な産地としては、瀬戸内海沿岸や九州などですが、特にここが多いと言うところはありません。
コウイカは産卵のため内湾に集まってくる春から初夏に多く漁獲されますが、産卵後には死んでしまうため、新子が出回るまで目にすることがなくなります。したがって、成魚に関しては産卵前の冬から春先が旬となります。また、晩夏から秋には生まれて間もない5cmくらいのものが獲れます。これは「新イカ」と呼ばれており、身が柔らかく瑞々しいことから珍重され、かなりの高値で取引されます。
コウイカのおすすめの食べ方
コウイカの仲間は、鮮度が落ちるにしたがって背側の紋様がぼやけて、最後には白っぽくなります。こうなるとお刺身では少し厳しくなりますので、出来るだけ紋様が鮮やかなものや、表面の細かい斑点が点滅しているものを選びましょう。むき身になっている場合は、張りがあって、透明感のある物を選んで下さい。また、コウイカの仲間は身に付いている薄皮をきちんと取っておかないと口当たりが悪くなることに加え、臭みも残りますので、注意して下さい。
コウイカは寿司ネタとしてもお馴染みで、高級品として取り扱われることが多いです。コウイカの中では最もお刺身に向いているとされていますが、加熱しても身が硬くなりにくいので、耳や下足も含め、焼物、炒め物、揚物、和え物などなんにでも合わせることが出来ます。墨はイタリアンではお馴染みで、パスタやリゾットなどに使われます。
また、産卵期が近づくと白子が入っている場合があります。見つけたら塩でよく揉み洗いして、焼物、煮物、揚物などにすると美味しく頂くことが出来ます。
シリヤケイカ
とんでもない名前を付けられたものですが、その由来は、胴の先端が尖っておらず、お尻のような形をしていおり、そこから赤褐色の粘液を吐き出すこともあることから、先端が赤く染まていることで、尻が焼けたように見えることからと言われています。また、背側にはゴマのような白く小さな斑点のような模様が入っているのも特徴のひとつです。
他のコウイカと同様に春~夏の産卵に向けて内湾に集まってきますので、その頃に他の魚に混じって水揚げがある程度増えますが、身が充実していのは産卵前の秋~春先です。
主な産地としては、東京湾、大阪湾、瀬戸内海などがありますが、どこかが突出して多いと言うことはありません。
シリヤケイカのおすすめの食べ方
コウイカの仲間は、鮮度が落ちるにしたがって背側の紋様がぼやけて、最後には白っぽくなります。こうなるとお刺身では少し厳しくなりますので、出来るだけ紋様が鮮やかなものや、表面の細かい斑点が点滅しているものを選びましょう。むき身になっている場合は、張りがあって、透明感のある物を選んで下さい。また、コウイカの仲間は身に付いている薄皮をきちんと取っておかないと口当たりが悪くなることに加え、臭みも残りますので、注意して下さい。
シリヤケイカは、カミナリイカやコウイカと比べると甘味が足りないとされており、やや低評価のため低価格で流通していますが、同時に食べ比べでもしない限りその違いは分からないレベルですので、そこまで気にする必要もないと思われます。
他のコウイカ同様に、鮮度が良いものはまずはお刺身がお勧めで、もちろん、耳や下足も含め、焼物炒め物、揚物、和え物などなんにでも合わせることが出来ます。墨はイタリアンではお馴染みで、パスタやリゾットなどに使われます。
アオリイカ
アオリイカの背側は長楕円形ですので、コウイカのようにも見えますが、スルメイカなど同じツツイカの仲間です。腹側から見るとわかりやすく、細長移動にヒレが広く全体に付いていることで、背側から見ると楕円形になるのが確認出来ます。
沿岸で獲れるイカの中では大型で、大きいものだと胴長は50cm、重量5kgを超えるものもいます。
名前の由来は、乗馬の際に馬の両腹に垂れ提げる泥除けの障泥(あおり)と言う馬具から来ていると言われています。また、芭蕉の葉の形に似ていることからバショウイカと呼ぶ地域もあります。
関東以西、福井県以西の沿岸で比較的見られますが、水揚げは決して多くないため、特にここがと言う産地はありません。加えて、味や食感がとても良いことから高級品として流通しています。
アオリイカは普段は深場で生活していますが、産卵期が近づく春頃には浅瀬に集まり、4月中頃から8月頃にかけて産卵すると言われています。寿命は約1年で、産卵後は死んでしまいます。孵化した子イカは沿岸の藻場で夏から秋にかけて成長し、冬になると深場に潜ります。
深場に潜ったものは中々獲れませんので、水揚げが増えるのは、産卵のために浅瀬に寄って来る春から初夏と、秋になって成長した子イカが深場に潜る前の2回となります。
アオリイカのおすすめの食べ方
イカは生きているものの方が良いとはされていますが、ツツイカの仲間は鮮度が良すぎると歯応えばかりになりますので、丁寧に下処理をした後、1日程度寝かせた方が甘味が出ると言われています。
決して安いイカではありませんので、とにかく良いものを手に入れて、お刺身です。適度に寝かせたものであれば、ねっとりした甘味を味わうことが出来ますが、活物であれば、表裏に細かく切り込みを入れておくと食べやすく、甘みも感じやすくなります。
耳や下足など、お刺身にするのが難しい部位は揚物や炒め物などにすると良いでしょう。お刺身にするのが厳しいものは、むき身にしてから良く洗い、一夜干しにすると臭いも取れて、旨味も増すのでお勧めです。
ジンドウイカ
ジンドウイカは大きくても胴長10cm程度の小さなイカで、ヒイカとも呼ばれています。
ほぼ全国で水揚げがあり、東日本では宮城県などの三陸から房総沖、中部では三河湾から伊勢湾、西日本では和歌山県や瀬戸内海周辺などで見られます。
市場には周年出荷されているようですが、小さいこともあり品質や味のバラツキが大きなことが原因なのか、値段が高いわけでもないのに、何故かスーパーなどに並ぶことは少なく、料理屋でもあまり見かけることのない、非常にマイナーな存在です。
水揚げが増える時期も産地でかなりばらついており、春から夏というところや、冬から春にかけてというところに分かれます。共通しているのは、晩夏から初冬は水揚げが減るところです。
ジンドウイカのおすすめの食べ方
生きているものは内臓が透けて見えるくらいの透明感がありますが、時間経過とともに赤みを帯び、さらに透明感のない白濁色になります。特にこのイカは小さいこともあって、鮮度劣化が早いので、最低でも多少なり赤みが残っている物を選んで下さい。
鮮度が良ければお刺身がお勧めで、もし生きているものが手に入れば歯応えを楽しむことが出来ます。
加熱調理する場合は、小さいので、特に処理する必要もなく、軽く火を通す程度で十分です。
ソデイカ
ソデイカも多くのイカと同様には1年魚なのですが、大きなものは胴長1m、重量30kgにもなります。あまりにも大きすぎるため、冷凍の柵などでの流通が大半で、産地でもない限り丸のまま見る機会はまずないでしょう。
名前の由来は、第三腕に付いているヒレ状の幕が袖の様に見えることですが、地方によっても様々な名前があり、兵庫県から鳥取県の山陰地方ではアカイカ(標準和名でアカイカと言う別種あり)、京都府から石川県ではタルイカ、沖縄県ではセーイカと呼ばれています。など、地方によって様々な呼び名があります。
産卵期も産卵場所も特に決まっておらず、暖海域であればほぼ1年中いたるところで産卵していますので、ほぼ1年中どこかで水揚げがあります。
主な産地は兵庫県、鳥取県、福井県、鹿児島県、沖縄県ですが、中でも沖縄県が抜きん出ており、県のプライドフィッシュにも指定されています。
沖縄県では、毎年変更されますがおおむね7~10月が禁漁期間となっており、2~3月が最盛期となります。一方、日本海沿岸では6月頃から若い個体が獲れ始め、最盛期は9~11月となります。
ソデイカのおすすめの食べ方
丸のままで入手出来たとしても、大きさによっては一家庭で食べ切れなくなりますので、柵などに切り分けられたものを購入した方が無難です。生鮮の場合、赤みがかったものは鮮度が落ちている可能性がありますので、綺麗な白色のものを選んで下さい。また、生鮮のままだと、身が硬く、大味で旨味が足りないため、面倒でも一度冷凍するか、冷凍したものを購入されることをお勧めします。そうすることにより、甘味が増すとともに、もっちりとした食感になり、加熱してもそう硬くはなりません。
料理用途は、お刺身はもちろんん、焼物、煮物、炒め物、揚物など多種多様ですが、大きな切身にする場合は食べやすくするために、切り込みを入れておいた方が良いでしょう。
ベイカ
ベイカは胴長8cmほどの小さなイカで、産地ではベカ、チイチイイカ、チイイカなどと呼ばれています。瀬戸内海や有明海くらいでしか見られず、生鮮で流通しているのは、広島県東部、岡山県、香川県などごく一部に限られます。
水揚げは多かれ少なかれ1年中ありますが、産卵期の春から初夏にある程度まとまります。産地では子持ちのものを重宝する傾向が高いため、この時期が旬となります。また、岡山県では観光四つ手網があり、初夏の風物詩となっています。
ベイカのおすすめの食べ方
鮮度が良いものは身が半透明で、体表に小さな斑点がくっきりと見えますが、鮮度落ちしてくると白濁してきます。また、網で獲られるため、擦れて皮が剥げているものが多いのですが、出来るだけ皮がしっかり残ったものを選びましょう。
ベイカは、皮や内臓を取り除かなくても、軽く洗ってそのまま調理出来ます。加熱しても硬くなりにくいので、子持ちのものは、丸のままボイルして酢みそ和えや煮付けで食べるのが一般的です。炒め物や揚物にも向きますが、アヒージョやリゾットなどの変わり種もお勧めです。
また、瀬戸内海沿岸では、お刺身が名物になっている地域もあります。
ホタルイカ
ホタルイカは胴長7cm、重量10g程度の小さなイカで、腕や腹部に沢山の発光器を持ち、蛍と同じように青白く光ることが名前の由来です。
日本海側一帯や、駿河湾、相模湾などで生息が確認出来ていますが、商業漁業が可能な水揚げがあるのは富山県、兵庫県などに限られます。
ホタルイカは富山湾が有名ですが、水揚げが最も多いのは兵庫県の日本海側で、その次が富山県です(とは言っても、この2県くらいしかないのですが)。漁法は異なり、兵庫県では日中の底曳網漁を行うのに対し、富山県は夜間の定置網漁です。兵庫県で獲れるものは、底曳網漁のため鮮度保持が難しく、ほぼ全てが水揚げ後すぐに釜茹でされてしまいますが、富山県では生はもちろん、活物でも出荷出来ますので、評価が高くなっています。
また、富山県では乱獲防止のため、富山市水橋から魚津市にかけての海岸沿い約15km、沖合約1.3kmの海域は、春にホタルイカの群れが押し寄せることから「ホタルイカ群遊海面」として国の特別天然記念物に指定されています。
漁期は、兵庫県で1月下旬頃に解禁となり、3~4月が最盛期を迎え、5月末まで続きます。富山県は毎年3月1日が解禁日で、最盛期は4~5月初旬頃で、6月末まで続きます。身質が最も良くなる時期はいずれの産地も3月頃から4月と言われています。
ホタルイカのおすすめの食べ方
3月には富山県が解禁になるため、生のままパック詰めされたものや、活物での流通も見られるようになります。鮮度が良いものは、身や腕に透明感がありますが、鮮度が落ちてくると全体に白っぽくなり、表皮が薄茶色になりますので、こう言ったものは避けるようにして下さい。
生や活物が手に入ったら、お刺身と行きたいところでしょうが、ホタルイカには旋尾線虫と言う寄生虫がいることが多く、これは人にも寄生します。魚体も寄生虫も非常に小さいので完全に取り除くことは極めて難しいため、いくら鮮度が良くても生食は止めておきましょう。
多少でも食感を残したい場合は、しゃぶしゃぶがお勧めですが、内臓は必ず取り除き、良く洗浄して下さい。また、中途半端な加熱は危険ですので、しっかり火を通して下さい。内臓も一緒に食べたいのであれば、炒め物、煮物、揚物、炊き込みご飯など、然り火を通す料理がお勧めです。また、目や口は他のイカ同様に硬いので、気になる場合はあらかじめ取り除いておきましょう。
※尾線虫は人体内部では成長しませんが、幼体のまま胃腸を破って腹部の皮膚近くに移動し、ミミズ腫れなどの症状を引き起こしたり、腸付近に留まるとと腸閉塞を起こしたりします。冷凍で死滅させる方法もありますが、その温度はー30℃以下ですので、家庭用冷蔵庫では不可能です。
ヤリイカ
ヤリイカの名前は、胴が細長く先が鎗のように尖っていることに由来します。良くケンサキイカに似ていると言われますが、ケンサキイカと比べると胴長短足のため、並べてみると違いははっきりします。ただし、ヤリイカは冬場の水揚げが多く、ケンサキイは春から夏の水揚げが多いため、並べて比較する機会はそう多くありません。また、価格的にはスルメイカより高く、ケンサキイカより安い中間的な立ち位置です。
日本全国で水揚げがあり、主な産地も、北海道、青森県、宮城県、長崎県など広範囲です。水揚げが増えるのは、産卵のため接岸して来る冬から春にかけてで、この時期のものは子持ちとなります。
ヤリイカのおすすめの食べ方
生きているものは半透感ですが、表皮は次第に鮮やかな赤色となり、さらに鮮度が落ちてくると茶褐色となり、身は白濁します。お刺身にする場合は、鮮やかな赤色までのものを選んで下さい。
お刺身にした場合、身は柔らかめで適度な歯応えがあります。甘味はケンサキイカほど強くありませんが、上品な味わいを楽しむことが出来ます。また、一度冷凍すると甘味が増すと言われていますが、身の透明感は失われます。
加熱しても硬くなりにくいので、炒め物、揚物などにも向きます。また、子持ちで小振りなものが手に入った場合は、素直に煮付けにした方が良いでしょう。
イイダコ
イイダコは漢字で飯蛸と書くように、子持ちのメスを煮た時に、胴に詰まっている卵が飯粒のように見え、また、その食感も飯粒のようだと言うことに由来すると言われています。
イイダコの大きな特徴は、両目の間に菱形または長楕円形の白い斑紋があること、左右第2腕と第3腕の付け根に金色の輪紋があることです。また、タコの仲間では小さな部類に入り、大きくなっても、メスで全長30cm程度、オスで25cm程度です。
産地は内湾に面したところが多く、主だったところでは、兵庫県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県などの瀬戸内海沿岸、愛知県など三河湾沿岸、福岡県、佐賀県、熊本県など有明海沿岸などが挙げられます。水揚げは産卵期に当たる1~4月上旬に増えます。実は1年中水揚げが確認されてるのですが、量が少なく、市場流通するには至っていません。
イイダコのおすすめの食べ方
タコ全般に言えることですが、鮮度が悪くなると白っぽくなってしまいますので、なるべく体色が濃く、金の輪紋や両目の間の白い斑紋が明瞭なものがを選んで下さい。ただし、産卵期のオスは白っぽいので、色で判断しにくい場合は、触ってみた時に、表皮の色が変わる物や、吸盤が手に吸い付いてくるようなものを選ぶと良いでしょう。また、砂泥地に生息しており、底曳網で漁獲されることが多いため、吸盤などに泥や砂を噛んでいることが多いので、調理前にはしっかりと洗って下さい。
この時期のイイダコは、子持ちとそうでないものに区別され流通しており、子持ちで鮮度の物は良いのものは高値で流通します。ただし、高いからと言って、必ずしも卵がパンパンに詰まっているわけではありませんので、出来れば胴がパンパンに膨らんでいるものを選んで下さい。
小さいタコですので、いくら鮮度が良くても生のままお刺身に加工するのは至難の業ですので、止めておいた方が無難です。子持ちが手に入った場合は、何を置いても煮物がお勧めです。甘辛く煮付けた身と、プチプチした食感で淡い味わいの卵の組み合わせはこの時期しか味わうことが出来ません。子を持っていないものやオスを煮付けにしても十分美味しいのですが、身の旨味をしっかり味わうためには、あまり濃い味付けにはせず、酢味噌和え、揚物、炊き込みご飯などにすると良いでしょう。
テナガダコ
テナガダコはその名の通り、腕を広げると大きなものでは全長70cm程度にもなる、とても腕が長いタコです。
瀬戸内海、三河湾、有明海などの内湾で底曳網漁などで混獲される程度で、その量は決して多くありませんので、ほとんどが産地で消費されてしまいます。身は水分がやや多く、旨味も足りないと言われているため、生きているものであって、高値で流通することはまずありませんし、死んでしまうとさらに安くなってしまいます。
産卵期は6月頃とされており、この時期に目掛けて浅瀬などに集まる傾向があるためか、春先から初夏にかけて水揚げが増えるところが多いようです。
テナガダコのおすすめの食べ方
とにかく身が細いため、死んでしまうとすぐに鮮度劣化してしまい、臭いが出ることもありますので、とにかく生きているものが大前提です。また、砂泥地に生息しており、底曳網で漁獲されることが多いため、吸盤などに泥や砂を噛んでいますので、調理前にはしっかりと洗って下さい。
韓国ではサンナクチ(活けダコ刺身)に使われており、評価が高いですが、日本では生で食べるほど旨味があるものではないとの評価が一般的です。普通は、煮物、揚物、炒め物などに仕向けられ、味付けもやや濃い目にすることが多いです。加熱すると長い腕がクルクル巻いて食べにくくなるので、調理する前に適度な長さに切っておくと良いでしょう。
アカガイ
アカガイは、貝の中では珍しく、血液に人と同じようにヘモグロビンを含んでいるため、その色は赤く、名前の由来にもなっています。
大きなもので殻長10~12cm程で、殻の表面に放射状の縦溝が42~43本(良く似たサルボウガイは32本、サトウガイは38本)あり、縁を中心に全体が茶色い毛で覆われています。また、厚みもあり、大きなものでは殻高が8~9cmにもなります。
産地としては、三陸、東京湾、三河湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明海などがありますが、その量は年々少なくなっており、中国や韓国から活物やむき身の状態で輸入されるものの割合が増えています。生鮮のアカガイは、以前は身近な食材だったのですが、今では輸入品でさえも高級品になってしまいました。
産卵期は海域で異なり、西日本では5~6月頃、三陸周辺では7~8月頃で、この期間は各地で禁漁となっていますが、どこかしらで水揚げがあるため、ほぼ1年中姿を見ることが出来ます。しかし、美味しい時期となると、産卵後に再び身が充実してくる冬から春先までとなります。
アカガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。また、稀に中身がほとんどないと言ったようなものもありますので、持った時にズッシリと重みがなければなりません。むき身の場合は赤身が強く、肉厚のものを選びましょう。
加熱しても美味しい貝ですが、気楽に食べられる値段ではないので、やはりお刺身にせざるを得ないでしょう。ヒモ(外套膜)もきちんと処理すれば、美味しく頂くことが出来ます。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
サルボウガイ
サルボウガイもアカガイの仲間で、血液に人と同じようにヘモグロビンを含んでいるため、赤い色をしています。見た目もアカガイにそっくりですが、殻長は4~6cmとアカガイの半分程度で、殻の表面に放射状の縦溝は32本(アカガイは42~43本、サトウガイは38本)と言うところで区別出来ます。
貝の膨らみが猿の頬に似ているため、猿頬貝(サルボウガイ)と名付けられたと言われていますが、標準和名で呼ばれることはあまりなく、チガイ、コアカ、モガイ、ハイガイなど、産地の数だけ地方名があるくらい様々な名前で呼ばれています。山陰でアカガイと呼ばれたり、缶詰の味付赤貝の原料となっていることなど、紛らわしい面もあります。以前はむき身を刺身用に加工して、アカガイと称して販売していたこともありましたが、現在では法令で禁止されています。
主な産地は、東京湾、山陰沿岸、瀬戸内海、有明海などの内湾の干潟で、岡山県の寄島町海域では栽培もおこなわれています。ほとんどが産地か、産地間で取引されてしまうため、生鮮で馴染みのない消費地へ出回ることはまずありません。
サルボウガイの産卵期は夏なので、身が美味しくなるのは冬から春にかけてとなります。
サルボウガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。また、稀に中身がなく泥が詰まっているということもあります(俗に爆弾と呼ばれています)。これが混じったまま調理すると、最悪の場合、料理全体にヘドロやヘドロ臭が付いてしまうので注意が必要です。大体は出荷元で除去されていますが、すり抜けてくる場合もありますので、面倒でも5~6個くらいずつ手に持って、音で確認するくらいしか方法がありません。乾いた高い音がすれば中身は空っぽで、反対に妙に重たい音がすると泥が詰まっている可能性が高くなりますので、包丁などで開いて確認した方が良いでしょう。選別が終わったら、しばらく活かし込みをして砂出しをします。
鮮度が良ければ、アカガイ同様にお刺身にも出来ますが、小さい分かなりの手間が必要ですので、あまりお勧めは出来ません。産地ではそのまま甘辛く煮つけたり、身だけを佃煮などにすることが多いので、その食べ方が一番無難と言えるでしょう。また、岡山県ではバラ寿司の重要な具材のひとつで、年末年始には欠かせない食材のひとつになっています。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
アサリ
アサリは2枚貝の中で最も馴染みがあると言っても良いくら広く認知されており、スーパーには季節を問わずほぼ毎日並んでいます。大きくても殻長6cm程度の小さな貝ですが、表面の模様は千差万別で、変化に富んでいます。昔は干潟さえあれば、どこでも採れていたようですが、乱獲、開発による干潟の減少、水質汚染など様々な影響で、水揚げは年々減少しており、水揚げは年々減少しており、これに伴い値段も年々上がってきています。これを補うため、中国や韓国からも活物で輸入されており、その量は国産を上回ることもあります。
国内の産地では、愛知県が全体の65%程度を占め、次いで静岡県が10%程度、その他は三重県、北海道などが5%程度となり、それ以外は本当に微々たるものです。各産地では資源復活に向けて、種苗放流や、禁漁期間を設けるなどの動きが出ていますので、今後に期待したいものです。
アサリは海水温度が20℃位になる春と秋に産卵しますが、当然南の方から海水温が上昇しますので、海域によりずれが生じます。ちなみに北海道では、夏しか水温が上がらないので産卵も夏だけになります。産卵期は栄養の大半を生殖巣が持って行ってしまうため、身はかなり痩せてしまなくなります。したがって美味しい旬の時期は、産地により多少ずれますが、産卵前の2~4月頃と9~11月頃になります。
アサリのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。また、稀に中身がなく泥が詰まっているということもあります(俗に爆弾と呼ばれています)。これが混じったまま調理すると、最悪の場合、料理全体にヘドロやヘドロ臭が付いてしまうので注意が必要です。大体は出荷元で除去されていますが、すり抜けてくる場合もありますので、面倒でも5~6個くらいずつ手に持って、音で確認するくらいしか方法がありません。乾いた高い音がすれば中身は空っぽで、反対に妙に重たい音がすると泥が詰まっている可能性が高くなりますので、包丁などで開いて確認した方が良いでしょう。選別が終わったら、しばらく活かし込みをして砂出しをします。
旬の時期のアサリはとても肉厚で、旨味も強いので、あまり味付けはせず、素直にアサリそのもの旨味を味を楽しむよう、味噌汁、酒蒸し、あさりバターなど簡単な料理がお勧めです。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ヒオウギガイ
ヒオウギガイの最大の特徴は、人工的に着色したかのような鮮やかな色で、個体によって黄色、オレンジ、紫、赤などに分かれており遺伝します。ヒオウギガイはほとんどが栽培されており、綺麗な色の親貝を選抜し人口採卵するため、市場に出待っているものは鮮やかな色のものが目立ちます。紫や赤は冠婚葬祭などの料理に、また、飾り物や器としての利用価値も高い貝です。ちなみに、天然物は褐色の割合が多いと言われています。殻の色に目を奪われがちですが、身はホタテより甘味が強いと言われており、評価はとても高いです。
上述したように、市場流通しているもののほとんどは栽培物で、産地としては、愛媛県の愛南町、三重県志摩、熊本県天草、大分県佐伯市、島根県隠岐などがありますが、生産量は決して多い訳ではありませんので、スーパーなどに並ぶことは滅多にまずありません。
人口採卵するためか、産卵期に当たる4~5月と、産卵明けで身が痩せている夏の出荷はほとんどありません。美味しい旬の時期は、産卵が空けて再び身が充実する晩秋から、産卵前の春までとなります。
ヒオウギガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。ヒオウギガイは栽培が主体ですので、砂を噛んでいることはほとんどありませんが、気になる場合は、むき身にしてから良く洗っておくと良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
鮮度が良いものはお刺身での良いのですが、この貝は加熱することでさらに甘味が増すと言われていますので、焼物、煮物、揚物などがお勧めです。また、少々加熱しても硬くなりにくいので、炊き込みご飯、グラタン、ピザなどにも適しています。
※2枚貝は時期(概ね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ホタテガイ
ホタテガイのほとんどは栽培や放流で、計画的に生産されているため1年中安定して流通しています。
産地は北海道がダントツ1位で、次いで青森県で、ふたつの産地で国内のほとんどを占めています。
旬に関しては諸説あり、産卵が終わったあとの5~8月頃と言う説と、生殖巣が発達した12~3月が良いとする説で、後者は生殖巣を食べることが出来る時期となります。
青森県産のものは、この時期に大きく育てるために栽培の途中で間引きする小さなホタテも多く出回ります。
ホタテガイのおすすめの食べ方
青森県産の小さなものは軽くボイルした生食用のベビーホタテとして出回っていますので、そのまま酢味噌などで召し上がっても美味しいですが、加熱してもあまり硬くはらないので、バター焼きなどもお薦めです。
また、1~2cmの小さな貝が出回るのもこの時期ですので、こちらは味噌汁などが良いでしょう。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。
むき身で販売されているものは、ウロと呼ばれる中腸腺が取り除かれているので問題ありません。
また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ウチムラサキ
ウチムラサキは一般に大アサリと呼ばれることが多く、大きくなると殻長10cmほどになる大きな2枚貝です。殻は硬く厚みがあり、殻の色は白、黄褐色、灰青など様々ですが、内側は濃紺から紫色で、これが名前の由来となっています。
生息範囲は広いのですが、水揚げが比較的多いのは、三河湾と伊勢湾に面した愛知県と三重県で、ここでは大あさりの浜焼きが名物になっています。
美味しい時期は意見が分かれ、春から夏と言うところもあれば、秋から冬とするところもありますが、産卵期は秋とされていますので、身が充実するのは春から夏とみてよいでしょう。また、この時期に水揚げも増えます。
ウチムラサキのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭かったり、砂や泥を噛んでいる場合がありますので、臭いのチェックと砂抜きは欠かせません。死んでから中身が空っぽになって泥が詰まっている場合もありますが、大きな貝ですので確認は比較的容易です。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
アカガイやウバガイのように、綺麗に身を取り出して調理する方法もありますが、加熱調理用の貝ですので、殻ごと身を半分に切った方が加熱しやすく、見場も良いのでお勧めです。半分に割ったものを殻ごと焼物にしても良いですし、また身だけ取り出して、揚物や煮物にしても良いでしょう。旨味は非常に強い貝ですので、味付けは最小限度で結構です。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ウバガイ
ウバガイは、ホッキガイとして流通することが非常に多く、標準和名では通じないこともあるようです。ホッキガイと言う名前はアイヌ語が語源とされており、ウバガイと言う名前は、この貝が30年以上と長生きすることから、年老いた女を意味する姥(うば)が付けられたとされています。
この貝の仲間は海外にも多く棲息しており、日本には特にカナダからボイル加工されたものが多く輸入されています。スーパーや回転寿司などに並ぶものはほとんどがカナダ産ですので、口にする機会は国産の比ではないでしょう。ちなみに、カナダ産のものはカナダホッキガイと呼ばれており、カナダウバガイではありません。
国内の主な産地は、北海道を筆頭に、福島県、青森県などの北日本に集中していますが、その中でも苫小牧市での水揚げが多く、平成14年には「苫小牧市の貝」として制定されています。ただし、資源量は決して多くありませんので、各漁協ごとに厳しく漁が規制されており、産卵期に当たる晩春から夏はほぼ禁漁となっています。
禁漁期間を除けば、少ないながら水揚げはありますが、美味しい旬の時期は産卵期前の冬から春にかけてとなります。
ウバガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。ウバガイも砂を噛んでいることがありますが、砂を吐かせるのはかなり難しいことに加え、食用部位は、斧足、海馬下、ヒモの部分だけですので、むき身にしてから良く洗えば問題ないでしょう。
鮮度が良いものであれば、まずはお刺身がお勧めです。お店などでは斧足が赤くなっていることがありますが、これは加熱したためであって、生の状態ですと黒ずんでいます。いずれが美味しいかは個人差がありますが、一般には、軽く火を通した方が甘味が増すとされており、見た目も良くなります。また、決して安くない貝なので、少しもったいないですが、加熱しても硬くなりにくいので、焼物、煮物、揚物、炒め物など、色々な料理にも使えます。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
サザエ
磯で採れる貝で、最も馴染みがあるものと言えばサザエではないでしょうか。馴染みがありすぎたためか、中国産のナンカイサザエと日本のサザエは別種にも関わらず、ずっと混同され続けており、2017年にようやく国産サザエに「トゥルボ・サザエ」と言う学名が付けられました。
かつては、外洋のものはツノが長く、内湾のものはツノがないとされていましたが、これは遺伝的な要素が強く、環境によるものではないと言うことがわかってきました。また、殻の色合いについては、食べ物が影響すると言うところまでわかっています。
水揚げはほぼ全国で確認出来ますが、千葉県、三重県、石川県、山口県、長崎県などが比較的多いようです。各産地では稚貝の放流なども積極的に行われていますが、栽培までには至っていません。
流通は1年を通してありますが。初夏から夏に産卵期を迎えるため、一般には春から初夏までが一番美味しい時期となります。しかし、産地によっては6月解禁のところもあり、夏のバーベキューなどには欠かせない食材になっていますので、需要は夏が一番多く、これに伴い流通量も増えます。
サザエのおすすめの食べ方
貝類全般に言えることですが、殻付きの場合は元気に生きているものを選びましょう。ちょっと触っただけで、さっと蓋を閉じるようなものでなくてはなりません。
サザエは磯の風味が豊かで、旨味もたっぷりですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。殻ごと焼物や煮物にすれば、肝とともに磯の風味を堪能できます。肝が苦手だったり、食べやすさを求める場合は、中身を一旦取り出して、身だけにしたり、食べやすい大きさにカットなどすれば良いでしょう。お刺身はコリコリした歯応えが身上ですが、硬いのが苦手な方は少し火を通すことで柔らかく仕上げることも出来ます。また、炊き込みご飯もお勧めです。
尚、殻ごと調理する場合は、砂袋に砂が溜まっていることがありますので、お召し上がりの際にご注意下さい。また、柔らかいものがお好みの場合は、大きなものは身が硬くなる傾向が高いので、少し小振りなものを選ばれると良いでしょう。
※無許可の採取は禁止されています。
シジミ(総称)
国内に生息しているシジミは、ヤマトシジミ、マシジミ、セタシジミなど3種ですが、細かく名称を分けることなく全てシジミとして流通しています。
このうちヤマトシジミは国内で最も一般的なもので、北海道から九州に至るまで全国の河口などの汽水域の砂礫底に生息しています。マシジミとセタシジミは淡水性ですが、農薬や河川護岸工事などの影響から、今ではほとんど姿を見ることが出来なくなっており、国産で流通するシジミの99%はヤマトシジミだと言われています。
また、国産で賄えきれない場合は、中国や台湾から活物で輸入されることもあります。こちらも違う種類ですが、国産シジミが生息する流域で活かし込みなども行われているため、種の交雑が懸念されるところです。
ヤマトシジミの産地としては、青森県の十三湖と小川原湖、島根県の宍道湖、茨城県の涸沼川と利根川、北海道の網走湖とパンケ沼などがあります。セタシジミは滋賀県の琵琶湖で僅かながら水揚げが確認出来ますが、マシジミは漁業としては成立していないようです。
シジミは周年通水揚げがあり、流通も安定しているため、旬を感じにくい食材にひとつになっていますが、美味しい時期については、一般的には、夏を旬とする「土用蜆」、冬を旬とする「寒しじみ」があります。また、産卵期が夏であるため、これに備えて栄養を蓄える春が良いと言う説もあります。身の充実を考えると春とするのが一般的ですが、昔から夏と冬に欠かせないものになっているので、いずれも旬として捕らえざるを得ないでしょう。
シジミのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、ヤマトシジミは砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。加えて、稀に中身がなく泥が詰まっているということもあります(俗に爆弾と呼ばれています)。これが混じったまま調理すると、最悪の場合、料理全体にヘドロやヘドロ臭が付いてしまうので注意が必要です。大体は出荷元で除去されていますが、すり抜けてくる場合もありますので、面倒でも10個くらいずつ手に持って、音で確認するくらいしか方法がありません。乾いた高い音がすれば中身は空っぽで、反対に妙に重たい音がすると泥が詰まっている可能性が高くなりますので、包丁などで開いて確認した方が良いでしょう。選別が終わったら、しばらく活かし込みをして砂出しをします。
また、そのまま調理するより一旦冷凍すると、旨味が増すと言われておりますので、試してみても良いでしょう。
シジミは大きくても殻長2cm弱と非常に小さな貝ですので食べるのが正直面倒です。出汁だけ飲んで、身は食べないと言う人もいるようですが、身には旨味だけではなく、栄養成分もたっぷり詰まっていますので、しっかり食べるようにしたいものです。
簡単で美味しいのは料理と言えば味噌汁ですが、酒蒸し、バター醤油などもお勧めです。身を取り出すのが少々面倒ですが、佃煮や炊き込みご飯などもお勧めです。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
タイラギ(総称)
タイラギは大きな二等辺三角形のような特殊な形をしている2枚貝です。尖った方を海底の砂地に差し込んだように立って見えることからタチガイと呼ばれたりもしています。
タイラギは1種類のように思われる方も多いよですが、実は複数種おり、殻の表面に細かい鱗片状突起が見られる有鱗型、殻の表面がつるっとしている無鱗型、どちらにも属さないもの、更には有鱗型と無鱗型の交雑種などもあります。有鱗型はケンタイラギ、またはリシケタイラギと呼ばれ、無鱗型はタイラギ、またはズベタイラギと呼ばれていますが、見た目も味もそう変わることがないためか、市場では区別することなく流通しています。
産地としては、瀬戸内海の播磨灘、備讃瀬戸、伊予灘などが有名です。かつては有明海や三河湾などの内湾でも沢山採れていましたが、開発などの環境変化などから激減し、2012年には準絶滅危惧種に指定されています。加えて、味覚の良さも相まって高値で取引されることが多く、スーパーなどで見かけるのは産地か、韓国などからの輸入に限られており、多くは料理屋、寿司店、高級レストランなどに卸されています。
美味しい旬の時期は、漁期がおおむね12~4月ですので、これに準じて冬から春にかけてとなります。ただし、輸入物は、冷凍、活、解凍など含め1年中出回っています。
タイラギのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。砂地に生息していますので、むき身にしてから、必ず砂や汚れなどを綺麗に洗い流して下さい。貝柱だけで販売されている場合は色艶が良いものを選びましょう。身に透明感がなかったり、茶色っぽい色が付いている場合は鮮度が落ちている可能性が高くなりますので注意して下さい。
タイラギは貝柱とヒモ(外套膜)だけが食用となります。また、貝柱には硬い薄皮が付いていますので必ず取って下さい。また、ヒモはかなり歯応えがありますので、食べやすように小さ目に切っておくことをお勧めします。鮮度が良い場合は、ますはお刺身がお勧めですが、ホタテなどの貝柱と比べるとかなり硬いので、薄く切るか、隠し包丁などを入れることをお勧めします。加熱しても美味しいですが、火を通し過ぎるととても硬くなりますので、軽く通す程度にしておきまましょう。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
アカニシ
アカニシは内湾がある地域では良く見られる貝ですが、産地以外では一般的ではありませんでした。かつてはサザエの代用品として出回っていましたが、最近では、味が良いことに加え、お刺身用の貝の中ではお手頃な価格であること、寿司ネタなどに加工された輸入品も増えていることなどもあり、広く認知されてきました。ただし、流通の大半はむき身などの加工品ですので、殻付きで見かけることは産地以外ではまずありません。
産地としては、愛知県三河湾、熊本県と福岡県の有明海沿岸、瀬戸内海などがあげられます。ただし、この貝は肉食のため、同産地の主力品であるアサリやカキなど食べてしまうこともあるため、漁師さんからは正直嫌われています。ちなみに、輸入品はトルコ、ブリガリアなどの黒海周辺で採れることが多く、トップシェルと言う名前で流通しています。
国産アカニシの産卵期は夏ですので、美味しい旬の時期は3~5月初旬くらいまでとなります。
アカニシのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選んで下さい。少し触っただけで、蓋がさっと閉まるくらいのものが目安です。また砂泥地に生息していることもありますので、臭いのチェックも欠かせません。
唾液腺の除去に加え、中腸線以外の内臓は苦くて食べない人が多いので、基本的には身を取り出して調理する必要があります。生きた状態での取り出しは極めて困難ですので、素直に殻を割るか、軽く下茹でして取り出すと良いでしょう。
活物が手に入れば、まずはお刺身がお勧めです。生、もしくは軽く下茹でしたものであればコリコリとした食感が楽しめます。また、しっかり茹でるとシコシコとした食感を楽しむことも出来ます。中腸線は生でも良いですが、さっと火を通した方が食べやすくなります。
ただし、加熱し過ぎるとかなり硬くなりますので、加熱調理する場合は適度に加減した方が良いでしょう。特に茹でる場合は、旨味も抜けてしまうことがありますので、少し濃い目の味付けにすると良いでしょう。
※アカニシの唾液腺にも人の神経を麻痺させるテトラミンという有毒成分が含まれていることがあります。これは加熱しても分解されませんので、必ず取り除いて下さい。取り除くのが難しい場合は、取り除いた除いたものを必ず購入して下さい。また、無許可の採取は罰せられる場合があります。
エゾバイ
エゾバイは、その名の通り北海道周辺に多く見られる貝です。市場ではイソツブと呼ばれることが多く、居酒屋の突き出しなどでよく見かける貝のひとつです。
肉食性で、臭いを頼りに魚などの死肉などを探して食べていますので、海のお掃除屋さんとも言えます。
この貝を目的とした漁の始まりは平成元年くらいからと歴史は浅く、理由も国産バイの水揚げが減少したことによる代替としての需要の高まりからです。ただし、漁が始まった当初は無計画な乱獲が行われたために、10年程度で一気に水揚げが減りましたが、今では稚貝の放流やサイズ制限などの資源保護が進められており、回復しつつあります。
エゾバイはほぼ1年中流通していますが、産卵期はおおむね5~9月ですので、美味しい旬の時期は冬から春にかけてと言われています。
エゾバイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選んで下さい。少し触っただけで、蓋がさっと閉まるくらいのものが目安です。エゾバイは小さいので可食部分が少ないのですが、太ると蓋をしても身が収まり切らなくなるようなものもいますので、出来るだけこのようなものを選ぶと良いでしょう。
エゾバイは大きくても5cm程度と小さいので、可食部分も少ないですが、加熱すれば内臓も全て食べられます。基本的に殻付きのまま調理して、食べる際に身を取り出すようになりますので、殻は綺麗に洗っておきましょう。
塩茹でや酒蒸しなどシンプルな料理であれば、エゾバイそのものの風味を味わうことが出来ますが、一番のお勧めは、醤油、酒、味醂、砂糖などで甘く煮付けた煮貝です。日持ちもしますし、お酒のあてはもちろん、ご飯のおかずとしても最適です。
バカガイ
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、大き目のものは、手にもってズッシリと重みを感じるものでなければなりません。
バカガイは砂を大量に噛んでいることがありますが、アサリのように塩水に一度漬けておくだけでは処理出来ません。砂がなくなるまで何度も水を入替した後、むき身にしてから再度洗う下処理が必要となります。小さなものであっても、砂噛みのリスクを避けるため、面倒でも必ずむき身にしてから調理しましょう。ただ、どうしても面倒ならば、ボイルしたむき身や貝柱に処理されたものを購入しても良いですが、処理されたものは殻付きに比べかなり割高になりますので、色艶が良く、肉厚なものを慎重に選んで下さい。
食べ方としては、ボイルしたむき身はお刺身、小柱はお刺身か、かき揚げがポピュラーです。シーズン中の殻付きはかなりお安いので、手間さえ惜しまなかれば、焼物、煮物、炒め物など様々な料理を楽しむことも出来ます。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
バカガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、大き目のものは、手にもってズッシリと重みを感じるものでなければなりません。
バカガイは砂を大量に噛んでいることがありますが、アサリのように塩水に一度漬けておくだけでは処理出来ません。砂がなくなるまで何度も水を入替した後、むき身にしてから再度洗う下処理が必要となります。小さなものであっても、砂噛みのリスクを避けるため、面倒でも必ずむき身にしてから調理しましょう。ただ、どうしても面倒ならば、ボイルしたむき身や貝柱に処理されたものを購入しても良いですが、処理されたものは殻付きに比べかなり割高になりますので、色艶が良く、肉厚なものを慎重に選んで下さい。
食べ方としては、ボイルしたむき身はお刺身、小柱はお刺身か、かき揚げがポピュラーです。シーズン中の殻付きはかなりお安いので、手間さえ惜しまなかれば、焼物、煮物、炒め物など様々な料理を楽しむことも出来ます。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ハマグリ(総称)
国内で流通している活物のハマグリは、細かく分けると、国産ではハマグリとチョウセンハマグリ(漢字では朝鮮ではなく汀線と書きます)、中国産のシナハマグリ、台湾産のタイワンハマグリなどに分けられます。冷凍で輸入されているものを含むと、さらに種類は増えるようです。流通する際は全てハマグリとしており、細かく分けることはしていません。
ちなみに国産のもののうち、ハマグリは内湾性で、チョウセンハマグリは外洋性で、生息域(産地)が異なります。
ハマグリは2枚の殻がぴたりと重なることから、昔から夫婦和合の意で縁起が良いとされており、結婚式にはハマグリのお吸物が良く出されます。また、ひな祭りに食べると良縁を招くともされており、このような催事にはなくんてはならないものになっています。ただし、国産は年々水揚げが減少しており、安定供給が難しいため、需要のほとんどは輸入物で賄われています。
以前は全国各地の沿岸で採取出来ましたが、乱獲、護岸工事、環境汚染などにより生息域が狭まり、貴重品となっています。現在の産地としては鹿島灘が最も多く全体の7割程度を占め、その他は伊勢湾、瀬戸内海西部の周防灘、有明海の一部程度となっています。中には、チョウセンハマグリやシナハマグリを移植し、畜養してから出荷するところもあります。
国産ハマグリの産卵期は5~10月ですので、美味しい旬の時期は、産卵に向け身に栄養をたっぷりと貯める春先の2~4月となります。
ハマグリのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。また、稀に中身がなく泥が詰まっているということもあります(俗に爆弾と呼ばれています)。これが混じったまま調理すると、最悪の場合、料理全体にヘドロやヘドロ臭が付いてしまうので注意が必要です。大体は出荷元で除去されていますが、すり抜けてくる場合もありますので、面倒でも5~6個くらいずつ手に持って、音で確認するくらいしか方法がありません。乾いた高い音がすれば中身は空っぽで、反対に妙に重たい音がすると泥が詰まっている可能性が高くなりますので、包丁などで開いて確認した方が良いでしょう。選別が終わったら、しばらく活かし込みをして砂出しをします。
旬の時期のハマグリはても肉厚で、旨味も強いので、あまり味付けはせず、素直にハマグリそのもの旨味を味を楽しむよう、焼物、お吸い物、蒸し物、和え物などがお勧めです。また、家庭では少し難しいですが、煮蛤にするとまた別の味わいが楽しめます。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ホンビノスガイ
ホンビノスガイは、元々日本に生息していたわけではなく、船舶のバラスト水に紛れてアメリカから運ばれてきたものが繁殖したと考えられています。アメリカ北東部あたりの郷土料理であるクラムチャウダーに使われる貝だと言われています。国内では2000年頃に生息が確認され、今では東京湾を中心に繁殖しています。以前は、アサリ漁の際に混じって採れる余計なもののひとつとして廃棄されていたようですが、沢山採れ、そこそこ美味しく、安いことなどから、今でははスーパーなどに並ぶようになりました。
産地としては東京湾が抜きん出ており、千葉県ではブランド化も進められていますが、それ以外の地域では水揚げも少なく、知名度は高くありません。
産卵期は春と秋の2回と言われていますが、まだ詳しいことはわかっていないようです。沢山採れるのはアサリと同じく3~4月頃ですので、関東ではこの時期旬としていますが、本当に美味しい時期かどうはか不明です。
ホンビノスガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。この貝は殻が厚く、大きさの割に身が少ないこともありますので、出来るだけ大きなものを選んだ方が良いでしょう。また、稀に中身がなく泥が詰まっているということもあります(俗に爆弾と呼ばれています)。これが混じったまま調理すると、最悪の場合、料理全体にヘドロやヘドロ臭が付いてしまうので注意が必要です。大体は出荷元で除去されていますが、すり抜けてくる場合もありますので、面倒でも5~6個くらいずつ手に持って、音で確認するくらいしか方法がありません。乾いた高い音がすれば中身は空っぽで、反対に妙に重たい音がすると泥が詰まっている可能性が高くなりますので、包丁などで開いて確認した方が良いでしょう。選別が終わったら、しばらく活かし込みをして砂出しをします。
ホンビノスガイは殻長2~3cmの小さなものから、10cm程度の大きなものまで様々なサイズが流通していますので、サイズによって調理を変えた方が良いでしょう。小さなものであれば、アサリと同じように味噌汁や酒蒸し、大きなものであれば焼物、煮物、揚物、スープなど様々な料理を楽しむことが出来ます。旨味が強い貝ですので、あまり濃いい味付けは必要ありませんが、加熱し過ぎるとかなり硬くなってしまうので、軽く火が通ったくらいに留めておくと良いでしょう。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
アカマテガイ
マテガイは細かく分けると、マテガイ、オオマテガイ、アカマテガイ、エゾマテガイなどがありますが、全てマテガイとして流通しており、区別されることはありません。
潮干狩りなどでお馴染みのマテガイは干潟に生息しているため、干潮の時間帯であれば誰でも簡単に採ることが出来ますが、ここで紹介するアカマテガイは、水深5~20mと深いところに生息しているため、「マテ突き」と呼ばれる長い鍵針を束ねた矢形の金棒を、穴に突き刺して採る方法が用いられます。しかし、この漁法やアカマテガイのみに特化した統計資料はないため、どの程度水揚げがあるか、いつが多いのかなどの詳細については知る術がありません。
産地は、香川県など瀬戸内海沿岸や、長崎県の佐世保などとされていますが、上述したように詳細は不明です。また、マテガイの仲間は輸送に弱いため、ほとんどが産地で消費されていると言われています。
漁期は、長崎県周辺は2~5月、香川県周辺は10~5月となど様々ですが、美味しいとされる時期は、産地が違っても春とされています。加えて、漁期から外れている夏は、味が落ちるとして敬遠されているようです。
アカマテガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。選別が終了したら、しばらく塩水に漬けて、しっかりと砂抜きをし手下さい。
マテガイと比べて、旨味が少ないとされていますが、その分どのような味付けでも出来る利点があります。焼物や煮物などシンプルな料理であっても調味料でしっかり味付けをした方がが良いようです。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
マテガイ
マテガイは細かく分けると、マテガイ、オオマテガイ、アカマテガイ、エゾマテガイなどがありますが、全てマテガイとして流通しており、区別されることはありません。
その中でもマテガイは、潮干狩りなどでも採りやすいため、一番馴染みがあると言っても良いでしょう。ただし、その採り方は独特で、マテガイが潜っているところに開いている穴を探し、そこに塩を注ぐと、マテガイが驚いたように飛び出すので、それを素早く掴むと言ったものです。
昔は身近に見られた貝だったのですが、近年は様々な要因により生息場所が少なくなっており、産地としては長崎県や熊本県の有明海沿岸、愛知県三河湾、、三重県伊勢湾、山口県の瀬戸内海沿岸などに限られます。加えて、マテガイの仲間は輸送に弱いため、ほとんど産地で消費されてしまい、消費地にはほぼ出回りませんが、殻が薄く歩留まりがいいこともあってか、産地市場でも高めの値が付くことが多いようです。
水揚げが増えるのは、産地によって多少ずれていますが、全体に秋から春に増える傾向が高いため、この時期を旬として良いのではないでしょうか。
マテガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。選別が終了したら、しばらく塩水に漬けて、しっかりと砂抜きをし手下さい。
アサリやハマグリなどと比べると、旨味が少ないとされていますが、その分どのような料理にも合わせることが出来ます。焼物、煮物、蒸し物、炒め物は殻付きのままで料理出来ます。また、大ぶりなものであれば、天ぷら、フライなどの揚物などにしても美味しく頂くことが出来ます。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ナミガイ
ナミガイは、普通シロミルまたはミルガイとして流通していますので、ナミガイと言われてもピンとこない方も多いと思います。ミルガイは、元々ミルクイを使用していたのですが、資源が激減したため、代用としてこのナミガイを使うことが多くなり、いつの間にかこちらがミルガイとして広く認知されるようになりました。市場などではミルクイをホンミルとかクロミルと、ナミガイをシロミルと呼び区別していることが多い。しかし、味の評価としては、ミルクイの方が上とされています。
いわゆるミルガイの仲間は、見ての通り非常に面白い形をしており、水管が殻に収まりきらずに大半が飛び出しているため、貝殻を完全に閉じることが出来ません。加えて、上下のヒモ(外套膜)は貝殻と一体化して、異物の侵入を防ぐ作りになっていますので、貝殻を開くことも出来ません。また、殻は非常に薄く脆いため、簡単に割ることが出来ますので、貝の中でも無防備な部類に入ります。
主な産地は愛知県で、その他は千葉県、瀬戸内海などにも見られます。以前は、大量に水揚げがあったようですが、こちらも年々水揚げが減少しており、ミルクイほどではないにしろ、高値で取引されることが多くなっています。
産卵期は地域により多少ずれがありますが、おおむね秋とされており、産卵前に栄養を蓄える春から夏に向けてが最も美味しい時期となるようです。
ナミガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。水管に触れた時に機敏に反応するものが良く、動きが悪く、だらしなく伸びているものは要注です。殻は大きなものが良く、さらに上下の厚みがあるとが可食部が多い目安となります。水管が短いものは、単に縮んでいるだけの場合もありますが、出来るだけ太くて長いものを選んでおく方が無難です。ズッシリと重みのあるものを選ぶことも大事ですが、水管にたっぷり水を含んでいることもありますので、水管を軽く摘まんで、水を吐かせてから確認しましょう。
可食部分は水管とヒモだけになります。内臓なども食べられないことはありませんが、正直美味しいものではありませんので、お勧めはしません。和え物、焼物、揚物、炒め物などにしても美味しいのですが、決して安いものではありませんので、一番のお勧めはどうしてもお刺身などになります。水管は軽く湯通しして、皮をむき、食べやすくなるよう隠し包丁を入れて、お召し上がり頂くのが一般的な調理法です。ヒモ(外套膜)はヌメリや汚れをしっかり取って下さい。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ミルクイ
ミルクイのミルとは海中に生えるミル科の緑藻類のことで、ミルクイの長い水管の先端の固い箇所にこれが生えることが多く、この貝がこの海藻を食べているように見えるのが名前の由来とされています。一般的にはミルガイと呼ばれており、大型で食味が良いことに加え、採れる数も本当に少ないことから、超高級品となっています。このため、よく似たナミガイが代用品として利用されることが多くなっていますが、ナミガイは殻が白い事からシロミルと呼ばれるのに対し、ミルクイは見た目が黒いこともあるため、クロミルと呼ばれたり、本物のミルクイの意でホンミルと呼ばれたりして区別されています。
大きな特徴は発達した水管で、太く大きいため殻を閉じても中に収納さすることが出来ません。また、水管は黒い皮に包まれ、先端部には硬い殻状の皮がありますので、見た目は正直良いとは言えません。
主な産地としては、三河湾や東京湾などですが、前述した通り、その量はわずかです。近年は韓国から活で輸入されることもあれば、近縁種のアメリカナミガイの輸入も増えています。
ミルクイの産卵期は産地や個体で大きな幅があり、いつとは言い難いのですが、おおむね春と秋の2回とされており、夏になると水揚げが減る傾向にあります。したがって、美味しい旬の時期は、冬から春までと見た方が良いでしょう。
ミルクイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。水管に触れた際に、素早く反応するものでなければなりません。最も美味しい部分は水管なので、この箇所が太く大きいものを選びます。
ミルクイは基本的には殻と水管の表皮以外全て食べることが出来ます。お刺身やお寿司に使うのは、水管、貝柱、ヒモ(外套膜)、ミル舌と呼ばれる脚です。水管はさっと熱湯を当てて表面の黒い皮を剥いて使います。お高い貝なので、勇気がいりますが、旨味の強い貝ですので、煮物、焼物、揚物などにしても美味しく頂くことが出来ます。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
アオサ(総称)
アオサは、アオサ目アオサ属に属する海藻の総称ですが、食用として主に流通しているのはアナアオサと言う種類になります。見た目が同じアオサ目のアオノリに似ているため、同じものだと思われている方も多いようですが、アオサは海に生息しているのに対して、アオノリは湖や汽水域が生息場所となります。また、いずれも乾燥して流通することが多いのですが、アオサは栽培が盛んなこともあってかアオノリと比べると安価です。ちなみに、お好み焼きなどに振りかけるアオノリはアナアオサを乾燥させ粉末状にしたものであって、アオノリではありません。
主な産地は愛知県と三重県で、ほぼ栽培です。九州や四国でも見られますが、自生しているものを収穫することが多いので、生産量は多くありません。このうち特に多いのは愛知県三河湾で、アオサを粉末にした「あおさ粉」の約70%が三河湾のものと言われています。
乾燥したものは1年中流通していますが、摘み取りは1~5月で、産地によっては、これを摘み取る様子が春の風物詩になっています。
アオサは乾物での流通が基本となりますが、加工したてのものはとても風味が良いので、ぜひこの時期に味わって頂きたいものです。
アオサ(総称)のおすすめの食べ方
生が手に入った場合は、砂やゴミなどが付着している確率が高いので、良く洗って下さい。アオサは香りが味わいのひとつですが、生の場合は香りが強く、鼻に付くこともありますので、調理する前に軽く茹でて香りを抑えておくと良いでしょう。
乾物の場合は、そのまま使う方法と、水で戻す方法があります。海苔のよう使う場合は、そのまま冷奴や納豆などにふりかけても良いですが、軽く炙るとで香ばしさが増します。水で戻したものは、味噌汁、天ぷらが定番ですが、卵焼き、お好み焼き、チヂミなどに入れたりするのもお勧めです。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
アカモク
アカモクはホンダワラと言う海草の仲間で、ほぼ全国に見られます。長く伸びて大きな群落を作るので、小さな魚などの生息場所にもなりますが、堤防付近に密生すると船の航行の邪魔になりますので、嫌われることも多いです。昔から食用としてきた地域は多くなく、主なところでは、秋田県、山形県、新潟県、京都府などに限られています。ここ最近は健康食品として注目されるようになったとは言え、知名度はまだかなり低く、消費地市場に出回ることはほとんどありません。新潟県佐渡島では「佐渡産天然ながも」としてプライドフィッシュに登録されていますが、やはり地元での消費が主体です。
アカモクは、秋から冬にかけて成長して、3~5月頃に収穫時期となります。成長のピークから2週間ほど経つと次第に朽ちて、枯れてしまいますので、夏に自然のものを見る機会は少なくなります。
ほとんどが乾燥または冷凍して流通していますので、1年中入手可能のように思われますが、生産量自体が非常に少ないので、この時期を外すと入手しにくくなります。
アカモクのおすすめの食べ方
上述したように、流通の大半は、葉だけにしたものを、鮮度劣化を防ぐために下茹でして、乾燥または冷凍していますので、調理は比較的簡単です、ただし、ここまでしてあっても下処理が雑な場合がありますので、調理前に良く洗ってゴミなどを取り除く必要があります。
料理としては味噌汁が一般的ですが、酢の物、和え物、かき揚げ、刻んで卵焼き、お好み焼き、チヂミなどに入れても美味しく頂くことが出来ます。
また、包丁などで叩くと粘着度が増しますので、納豆のようにご飯にかけて食べても良いでしょう。
ヒジキ
ヒジキはワカメ、コンブ、ノリなどとともに流通が多い海草のひとつで、栽培も盛んに行われています。国産の産地としては千葉県、神奈川県、静岡県、三重県、瀬戸内海沿岸、長崎県、大分県などがありますが、残念ながら生産量はわずかで、ほとんどが中国や韓国から輸入されています。
ヒジキも他の海藻同様に乾物での流通が多いのですが、他の海草は保存性を高めることが主目的になっていますが、ヒジキは少しだけ理由が違います。生のヒジキは無機ヒ素を含んでおり、苦みも強いので、そのままでは食用になりません。食用とするためには、必ず長時間茹でてヒ素と苦みを抜き、冷ました後、洗浄選別して、保存性を高めるため乾燥させます。
収穫時期には、鮮魚売場などで「生ひじき」と称するものが販売されていることもありますが、上述したように必ず茹でると言う工程が入っていますので、本来はボイルヒジキとすべきものです。また、中には乾燥を水戻ししたものもあります。
ヒジキの収穫時期は、成長スピードが高まる3~5月の春から初夏にかけてです。乾物全般に言えることですが、加工したてのものは風味が良いので、可能なら出来るだけ新しいものを選んだ方が良いでしょう。
ヒジキのおすすめの食べ方
乾燥ひじきには芽ヒジキ(穂先)と長ヒジキ(茎)がありますので、それぞれ特徴に合わせた調理が必要です。芽ヒジキは長ヒジキに比べると風味が薄いとされていますが、柔らかく、水戻しの時間も短くて済みますので、混ぜご飯、サラダや和え物のトッピングに向きます。長ひじきは、茎の部分ですので、やや硬く、水戻しに時間がかかりますが、歯応えがしっかりしており、ヒジキそのものの醍醐味が味わえますので、炊き込みご飯や炒め煮などに向きます。
生ヒジキとして売られているものは、乾燥したものに比べて、柔らかい食感が特徴ですので、芽ヒジキと同じように調理しても良いですが、卵焼きやごま和えなどしても美味しく頂けます。ただし、調理する際には、軽くもう一度茹でてから、念のためゴミなどの付着がないよう、しっかり洗ってからにした方が良いでしょう。
また、コンニャクの黒い点々にはヒジキやアラメが使われていますので、知らず知らず口にしていることもあります。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
オキナワモズク
標準和名で言うところのモズクは、昔は日本各地で水揚げがあり、春の季語になるほど親しまれてきましたが、今ではほとんど見られず、非常に高価なものとなりました。現在モズクとして流通しているものは、ほぼ全てがオキナワモズクで、その名の通り、沖縄県での栽培が主体で、プライドフィッシュにもなっています。
オキナワモズクの栽培は、夏から秋にかけてで、海中に採苗シートを張り、海中に漂うモズクの種を採取し、着生させるところから始まります。種が着生している採苗シートをタンクに投入して、さらに網に種付けを行い、海中の苗床と称される漁場にセットし、準備完了となります。冬から春先にかけて成長した後、春から初夏にかけて収穫されますので、収穫時期である3~6月が旬となります。
もずくは、味付けされたものの流通が圧倒的に多く、その他は塩蔵品、乾燥品となりますので、旬を感じにくい食材のひとつになっています。味付けの場合は、いつ食べても味わいに変わりはありませんが、塩蔵品や乾燥品は、出来立ての方が風味が良いので、出来るだけ新しいものを選んだほうが良いでしょう。
今では物流の発達により、収穫時期に限り、生鮮での流通も少なからずありますが、冷凍や塩蔵品を戻した「なんちゃって生もずく」もありますので、注意して下さい。
オキナワモズクのおすすめの食べ方
生鮮のモクズを購入される場合は、黒く艶があり、太く長いものを選びましょう。薄茶色になっているものや、細いものは、味わい落ちますので、避けた方が良いでしょう。
生鮮の場合は、軽く水洗いしてから、麺つゆなどで素麺のようにそのま食べるのがお勧めです。汁物や鍋物などに入れる場合は、さっと火を通すくらいで十分です。
塩蔵品や乾燥品の場合は、水で戻してから調理します。卵焼き、お好み焼き、天ぷらなどもお勧めですが、水気が多いので、調理前に適度に水気を取っておいた方が、歯ざわりが良くなります。酢の物や和え物などにする場合は、調理してから少し時間をおいて、味を馴染ませてからお召し上がり頂いた方が良いでしょう。。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ワカメ
ワカメは、1年で一生を終える1年草です。秋に受精したものが、冬から春にかけて一気に成長し、この成長期が収穫時期となります。ただし、ワカメは自己消費のスピードがすさまじく、鮮度維持が難しいため、生鮮は産地であってもあまり見かけません。ですので、収穫後すぐにボイルし、そのまま乾燥するか、塩蔵処理して水抜きをした後に、加工原料として保管するかのいずれかになります。塩蔵処理したものは、その後に選別・計量を経て、塩蔵品として出荷されます。塩蔵にすると風味が失われそうですが、ワカメの場合はこれが最も良い保存方法とされており、風味も色合いもかなり残ります。
ワカメは栽培が主体で、沖縄県や九州南部を除く 日本各地で広く生産されていますが、生産量が多いのは宮城県、岩手県、兵庫県(淡路島南端)、徳島県です。 宮城県と岩手県のわかめは三陸わかめ 、兵庫県と徳島県のわかめは鳴門わかめとそれぞれブランド化されています。また、中国や韓国などからの輸入物も多く、安価で流通していますが、味わいや香りはやはり国産が上です。
鳴門わかめは、その名の通り鳴門海峡で育ったワカメで、徳島県と兵庫県淡路島の特産品です。葉は薄いのですが、綺麗な緑色でシャキッとした歯応えを楽しめるのが特徴で、1~4月に収穫されます。三陸わかめは、全国の収穫量のおよそ90%を占めていると言われている大産地で、特徴は肉厚で弾力のある食感で、収穫は冬から初夏にかけて行われます。もうひとつ南方型ワカメと呼ばれるものがあります。こちらは比較的マイナーな存在ですが、主に本州中部より南の日本海側で採れたワカメのことで、栽培ではない場合が多く、小ぶりで、茎も短いのが特徴ですが、ワカメの香と言う点では一番強いかも知れません。こちらの収穫時期は冬から春にかけてです。
塩蔵や乾物での流通が基本ですので、旬を感じにくい食材のひとつですが、出来立ての方が風味が良いので、特にこの時期は出来るだけ新しいものを選んだほうが良いでしょう。
ワカメのおすすめの食べ方
生のワカメは手に入りにくいですが、もし見かけたら、艶があり、綺麗な茶色で、軽い磯の香がするものが良いでしょう。
塩蔵のは袋に入っていることが多いので、確認しにくいですが、葉が濃い緑色をしたものを選んで下さい。また、塩蔵の場合は、塩込みの重量で表示されていることもありますので、内容量の確認も必要です。また、茎付きと茎なしがありますので、調理によって選んで下さい。
乾燥ワカメは、しっかり乾燥していることはもちろんですが、色艶が良いものを選びましょう。乾燥したものは、板状のものから、細かくカットしたものまで色々ありますので、調理によって選ぶと良いでしょう。
お勧めの料理はあくまで参考となりますが、鳴門海峡のものは歯応えと綺麗な緑色が特徴ですが、加熱してしまうと色が褪せて、食感も失われますので、和え物やサラダなど、いわゆる生食に向きます。三陸のものは肉厚ですので、加熱しても風味や食感が失われることが少ないので、汁物や煮物などに向きます。
収穫時期にはメカブや茎なども出回ります。メカブは細かく叩くことでネバネバになりますので、ご飯にかけたり、和え物にするなどして楽しむことが出来ます。茎は柔らかいものが大前提になりますが、炒め物や佃煮にすると美味しく頂けます。太くて硬い茎は歯応えがあり過ぎるので、圧力鍋などでしっかり加熱しないといけません。
また、収穫時期は塩蔵処理したものを軽く水戻しした「なんちゃって生ワカメ」も出回ります。生だと信じて調理すると、とんでもなく塩辛い場合がありますので、注意して下さい。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ムラサキウニ
ムラサキウニは茨城県以南の太平洋側、秋田県以南の日本海側の暖流域であれば全国的に見られますが、小振りなこともあってか、積極的に収穫しているところは少なく、消費地でお目にかかる機会はほとんどありません。一般にムラサキウニとして流通しているものの大半はキタムラサキウニです。
美味しいとされる時期は、地域により多少ずれがあり、南日本で春、中部以北で夏と言われています。
ムラサキウニは、餌の海草が減ると、生殖巣が発達しないまま異常に増殖し、海草を食べ尽くしてしまう特徴を持ちます。いわゆる磯焼けと言う現象で、生息するものはほぼいなくなる、砂漠のような光景となります。そうならぬよう、磯焼けの前兆が見られた場合は、駆除の対象となりますが、前述したように生殖巣が未発達であるため、食用としての価値はほぼなく、廃棄される運命となります。ただし神奈川県では、駆除したムラサキウニに規格外のキャベツを食べさせ商品化する取り組みも行われており、日本で食用とされるウニの中で唯一養殖が行われています。
ムラサキウニのおすすめの食べ方
ムラサキウニが殻付きのまま流通することは産地でもなければありませんが、他のウニと同様に、見た目や持った感じだけで良し悪しを判断するのは難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのは相当手間ですので、お刺身にされる場合は、板ウニなどを購入された方が無難でしょう。生鮮のムラサキウニは産地でないとなかなかお目にかかれませんが、機会があれば一度は味わっておいて欲しいものです。
※無許可の採取は禁止されています。
シャコ
シャコはエビなどの甲殻類に外観が似ていますが、十脚目であるエビやカニのようにハサミを持たないため、口脚目(シャコ目)に分類される全くの別物です。
江戸前寿司のネタとしては有名で、かつては日本各地で大量に水揚げがあったため、産地では家庭で気軽に沢山食べられていましたが、近年は資源量が激減したため、入手自体が難しくなり、高級品の仲間入りをしていしまいました。
以前は東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などが主な産地でしたが、資源量の回復はあまり見られず、現在は三陸や北海道の割合がかなり増えています。
シャコは、少ないながらほぼ周年水揚げがありますが、美味しい旬の時期は、カツブシと呼ばれる卵巣が発達する春から初夏のメスと、オスメス関係なく身が最も充実する秋から初冬にかけてと言われています。
シャコのおすすめの食べ方
この時期は子持ちのメスが特にお勧めですが、必ず生きているものを選んで下さい。シャコは死んでしまうと酵素を出し、自らを溶かし始めるため、身質が落ちてしまいます。生きたものが難しい場合は、浜茹でして、凍結せず流通しているものを選んで下さい。それもない場合は浜茹での冷凍、最後がむき身です。ただし、一度冷凍してしまうと、どうしても解凍時に旨味が一緒に抜けてしまうので、あまりお勧めできません。
生きているものであれば、生食も可能ですが、むき身にするには相当手間がかかりますし、旨味は強くありませんので、一番のお勧めは茹でシャコです。シャコは加熱した方が、食感も良くなり、旨味も増すと言われています。刺身醤油はもちろん、甘ダレや酢味噌などとも良くあいます。また、唐揚げや天ぷらなどの揚物もお勧めで、茹でたものを使えば、衣に火を通すだけで出来上がりとなります。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。