
6月に旬を迎える魚介一覧
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イワナ(総称) |
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![]() タカサゴ(総称) |
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![]() 小エビ(総称) |
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6月頃に旬を迎える魚をご紹介します。
また、おいしい食べ方も紹介するので、参考にしてみて下さい。
6月に迎える魚介とおすすめの食べ方
アイナメ
この時期のアイナメは深場にいるため水揚げは少ないのですが、産卵に向けて栄養を蓄えてくる時期のため身が充実してきて、非常に美味しくなります。
水揚げはあまり期待出来ませんが、お目にかかればぜひお召し上がり頂きたい時期です。
アイナメのおすすめの食べ方
鮮度が良いものが手に入れば、何と言ってもお刺身がお勧めです。アイナメは少し皮が固いのですが、皮下に質の良い脂がのっているので焼霜造りがお勧めです。
また、ソテーやムニエルなど加熱調理する場合も、皮は付けたまま調理すると美味しく頂けます。
シマアジ
シマアジは滅多にお目にかかることが出来ない超高級魚です。天然物は伊豆諸島、三浦半島沖、鹿児島県、高知県など太平洋側で確認できますが、数は本当に少なく、味の良さと相まって超高級魚となっています。養殖も行われていますが、生産量は多くなく、養殖魚の中でも高級な部類です。養殖は愛媛県が最も多く、次いで熊本県、大分県と続きます。名前の由来は、ある程度大きくなるまで体側に黄色い横縞があることから縞鯵(シマアジ)と言う説や、伊豆七島でよく獲れることから島鯵となったという説などがありますが、いずれもはっきりしません。
冬に産卵期を迎えるため、夏から秋口にかけて最も身が充実する時期を迎えますので、お高い魚ですが、お目にかかる機会があれば一度はお召し上がり頂きたい魚のひとつです。
シマアジのおすすめの食べ方
この時期のものは上質の脂がのっていますので、どのような調理をしても美味しく頂くことが出来ますが、基本お刺身がお勧めです。
マアジ
マアジはほぼ全国で水揚げがあり、夏には旬を迎え、堤防釣りの対象となること、水揚げも多く安価で流通することなどから、非常に馴染み深い大衆魚のひとつです。
本来回遊性の魚ですが、内湾に住み着いた物を「瀬付きアジ」などと呼ばれ、脂が程よくのるため、鮮度の良いものは高値で取引されることもあります。一方、回遊性のものは全体に黒っぽく、常に外洋を泳ぎ回っていることから身は締まりますが、スリムで脂ののりが少ないため、前者と比べると安値で取引されています。
マアジのおすすめの食べ方
梅雨時から盛夏に向けて、さらに脂がのってきます。
また、マアジはサイズの大小で旨味が異なるようなことはあまりないのも特徴です。極端に小さなものを除けば、タタキやナメロウなどの生食はもちろん、塩焼き、唐揚げ、フライ、南蛮漬け、干物など何にしても頂くことが出来る、安価で美味しい優良魚です。
マルアジ
よく似たマアジと比べ体の断面が丸くなっており、これが和名の由来になっているようです。
産卵期は地域によって多少差があるものの、おおむね4月から8月にかけてで、この時期に沿岸に寄ってくるところが多いため、マアジと同じ夏に見かけることが多くなります。豊漁期(産卵期)の春から夏を旬とする地域もあれば、身質が良くなる産卵後の秋から初冬を旬とする地域もありますが、秋から冬は暖かい海域でないとお目にかかることはまずありません。
暖流域の魚の特徴で、1年を通して身質の変化があまりありませんが、残念ながら脂がのるピークの時期であっても、マアジのようなことにはならず、非常にあっさりとした部類に入ります。ただ、価格は1年を通して相当安い部類に入りますので、お財布には非常に優しいお魚です。
マルアジのおすすめの食べ方
この時期は水揚げは増え、相当お安くなりますが、産卵期を迎え、ただでさえ少ない脂がさらに減ってしまいます。
あっさりしたものがお好みなら、鮮度が良い前提でお刺身でも良いのですが、安いお魚だけに鮮度の良いものの入手は正直かなり難しいです。こういう時は揚げ物などで油分を加えると比較的美味しく食べることが出来ますので、お勧めはフライや唐揚げなどです。
クロアナゴ
クロアナゴは関東以南でよく見られ、大きくなると1m以上にもなるため、夏の東京湾では釣りの対象魚として人気があります。しかし、マアナゴと比べて味が落ちると評価されることもあり流通は少ない上に、値段もかなり低く抑えられています。そのためか、水揚げがそこそこ期待出来る時期であっても本種を目的とした漁はありません。また廃棄されてしまうこともあれば、良く似たダイナンアナゴと区別されることなく流通するなど、かなり雑な扱いを受けてしまうこともあります。しかし、実際には決して極端に味が落ちる訳ではありません。ただ、マアナゴと同じ時期に漁獲が増えること、大型が中心であるため小骨が目立ち調理に手間がかかることなどが評価が低い大きな要因と考えられます。
実際、島根県、長崎県、宮城県などの産地では普通に流通していますが、ここでも大きなものはあまり好まれてはいません。
クロアナゴのおすすめの食べ方
脂ののりもよく、透明感のある白身で、加熱しても硬くなりにくい、大きいものは歩留まりも良いなど、毛嫌いされる要因は少なそうです。しかしアナゴと言うと小骨が多いのがやっかいです。小さなものであれば加熱してしまえば気になりませんが、大きなものになると小骨とは言えないくらいに太くなるため、ハモのように骨切りが必要になります。また皮も厚くなりますので、皮を柔らかくする工夫も必要になります。しかし、面倒でも下処理をきちんとすれば、どのように調理しても美味しいお魚です。
※アナゴの血液にはウナギと同じように血清毒のLD50が混じっているため、鮮度が良くても安易に生食しないように注意して下さい。血清毒はたんぱく質なので60℃以上で5分間加熱すると無毒になりますが、生食する場合は徹底的に血を洗い流す必要があります。
マアナゴ
マアナゴの生態はウナギと同様に不明な点が多いお魚です。産卵期は6月から9月にかけてと言われており、沖ノ鳥島南方沖の九州パラオ海嶺付近での産卵が確認されていますが、どうやってそこまで移動するかなどの詳細は不明です。孵化した後は潮流に乗って生息域まで流れつくとされており、1月から5月頃にシラス漁で透明の稚魚が混獲されます。稚魚はノレソレとも呼ばれており、生のまま食用にする地域もあります。
成魚は背から体側にかけて茶褐色で、体側の側線孔に白点があり、これが尾まで一列に連なっているのが他のアナゴと異なる大きな特徴です。1年中水揚げがありますが、美味しいとされているのは最も脂ののりが良いとされる5月から8月です。しかし、何故夏に食性が高くなるかについてはよくわかっていません。
主な産地は、長崎県、島根県、宮城県で、海域としては瀬戸内海、有明海などが多く、江戸前(東京湾)は残念ながら決して多くはありません。最近は対馬のものが評価が高く、関東でも流通が増えています。また、韓国などからも活物や冷凍で輸入されています。
マアナゴのおすすめの食べ方
スーパーなどに並んでいるのは開いたものがほとんどですが、丸魚を買う場合は、表面のヌメリが透明なほど新鮮で、体色が濃く白点がはっきりとしている物が良いとされています。
味が良くなるのは40cm程度のものと言わることが多いのですが、どのように調理するかでサイズを変えた方が良いでしょう。天ぷらなど揚物にする場合は小さめのもの、蒲焼など焼物にする場合は少し大きめのものが良いでしょう。
※アナゴの血液にはウナギと同じように血清毒のLD50が混じっているため、鮮度が良くても安易に生食しないように注意して下さい。血清毒はたんぱく質なので60℃以上で5分間加熱すると無毒になりますが、生食する場合は徹底的に血を洗い流す必要があります。
イサキ
6月に入ると、真子や白子が大きくなってきます。普段は沖合にいますが、梅雨時期になるとさらに食欲が旺盛になり、餌を求めて大群で岸近くまで寄ってきますので、磯釣りなどでもお目にかかることが出来るようになります。また、30cmから40cmの良型が獲れるのもこの時期です。
イサキのおすすめの食べ方
産卵期とは言え、食欲旺盛な時期ですので、身にも脂がしっかりのっており美味しいです。また、この時期は真子や白子も充実していますので、これを食べない手はありません。真子の場合は身と一緒に煮付けにするのが、オーソドックスですが一番美味しい食べ方だと思います。
白子は軽く茹でて、おろしポン酢であっさりと食べると良いでしょう。ただし、いずれも鮮度が良くないと臭みが出ますので、購入される場合はお刺身に出来るくらい鮮度が良いものを選びましょう。
セトダイ
セトダイはイサキの仲間で、大きくなっても25cm程度の小型魚です。瀬戸内海、有明海など西日本の内海で比較的水揚げがありますが、東日本では全く馴染みがありません。知る人ぞ知るレアなお魚ですが、岡山県や広島県の産地では夏になるとスーパーなどにも並び、煮物用として人気があります。
産卵期は6~9月頃とされており、産卵期と水揚げ時期が重なります。イサキと同じく産卵期であっても身質が落ちることはほとんどないとされていますが、夏以外は滅多に水揚げがないので、本当か否かは?です。
セトダイのおすすめの食べ方
産地では煮付用として人気が高いのですが、この時期のものは脂がのっているので、塩焼きにしても美味しく頂くことが出来ます。調理する際は固くて小さな鱗がびっしり付いているので、ち取り残さないように注意して下さい。また、イサキ同様にどの骨も非常に硬く、特にヒレで怪我をすることがありますので注意して下さい。
小さい魚ですが、非常に旨味が強いので和洋中なんにでも合わせることが出来ます。お刺身も美味しいのですが、小さい上に歩留まりが悪いので、食べられるところはほんの少しになります。
イシガキダイ
西日本から南日本の暖海域では1年中水揚げが確認出来ますが、その量は極めて少なく、市場に出回ることはまずありません。
商業流通はほとんどないものの、釣りの対象魚としての人気は高く、特に春から初夏にかけて産卵のため磯廻りの比較的浅いところにに集まるため、お目にかかる機会が増えます。
本当に身が充実するのは産卵期を終えた秋から冬なのですが、深場にいるためこの時期にお目にかかることはまずなく、入手は極めて困難です。したがって、産卵期で身が若干痩せていたとしても春から夏にかけてが旬となります。
イシガキダイのおすすめの食べ方
鮮度が良ければお刺身がお勧めですが、下処理をきちんとしておかないと磯臭さが残る場合もあります。また、活きているものは身が非常に硬いので、下処理の後最低でも1日は寝かせた方が良いでしょう。大きなものは身が非常に硬いので、お刺身にする場合は2kgくらいまでが適当です。
この時期は脂はさほどないので、加熱調理する場合には、濃いめの味付けにしたり、油分を加えたりするなどの工夫が必要です。
※60cm超える大型サイズは、稀にシガテラ毒を持っている場合があります。、捌く時に内臓は絶対に破らないようにして、腹の中を水でしっかり洗う。極端に大きなものや亜熱帯が産地のものは避けるなどの配慮も必要となります。
イシダイ
イシダイは釣りの対象魚としては非常に人気が高く、お魚自体も西日本から南日本の暖海域では1年中見られます。ただし、水揚げ自体は非常に少ないのでスーパーなどに並ぶことは滅多にありません。わずかですが養殖を行っているところもありますので、料理屋などで見かける機会は少しずつですが増えています。
春から初夏にかけて産卵を迎えて磯廻りに集まるため、この時期は磯釣りの対象魚となりますが、残念ながら滅多に釣れるものではありません。小さなものは堤防などで見かけることもありますが、ほとんどが餌取りサイズで、食用になることはありません。
暖海系のお魚ですので1年を通して身質が大きく変化する魚ではないと言われていますが、実際には秋から冬にかけてはしっかり脂がのります。しかし、この時期は深場にいるため水揚げはほとんどなくなく、釣りの対象にすらなりません。したがって、産卵を控え磯の廻りに集まってくる春から夏にかけてが旬となります。
イシダイのおすすめの食べ方
鮮度が良ければお刺身がお勧めですが、天然ものは若干磯臭さが残る場合もありますので、下処理が非常に重要です。養殖の場合は、活物を重宝する傾向が高いのですが、身が非常に硬いので、出来れば下処理をしっかりしてから、氷温で最低でも1日程度寝かせた方が食べやすい硬さになり旨味も増します。皮を付けたままお刺身にすることも出来ますが、少し硬いのでしっかり火を入れておく必要があります。ただし、あまり大きなものは身が非常に硬くなるので、特にお刺身にする場合は大きくても2kgくらいまでにしておくと良いでしょう。
加熱調理する場合は、身に脂があまりない時期ですので、少し濃い目の味付けにしたり、ソテーや揚物など油分を加える調理が良いでしょう。
※60cmを超える大型サイズは、ごく稀にシガテラ毒を持っている場合がありますので、捌く時に内臓は絶対に破らないようにして、しっかりと腹の中を水で洗って下さい。極端に大きなものや亜熱帯が産地のものは避けるなどの配慮も必要となります。
メダイ
1年中全国各地で水揚げがありますが、何故かメジャーな魚にならないお魚のひとつです。流通しているものの多くは50~60cmくらいですが、大きなものは1m程度にもなることに加え、歩留まりも良いお魚です。産地も伊豆半島沖から小笠原諸島、種子島や屋久島周辺など広く、鹿児島県ではプライドフィッシュにも指定されていますが、比較的深いところに生息しているため、水揚げが安定しないと言うのが欠点です。したがって、産地であってもスーパーなどに並ぶことはほとんどありません。
産卵期は冬なので、その前の夏から秋が旬となりそうですが、産地によって様々な説があり、三重県では春、鹿児島では1月から3月、山陰では7月から10月にかけてが美味しいとされています。
メダイのおすすめの食べ方
流通価格は安価な部類で、適度に脂が噛んだ白身はクセや臭みがなく、火を通しても硬くなりにくいなど、メジャーになっても良い要素ばかりですが、身質の個体差が激しいと指摘されるほど、当たり外れが多いお魚と言われています。なので、調理前に身質をしっかり確認して、それに見合った調理をすることをお勧めします。
脂が適度に噛んでおり、身に透明感がある場合は、どのような調理にも合いますが、身が白濁していたり、脂が少ない場合は、揚物やソテーなどに仕向けた方が無難でしょう。
カタクチイワシ
日本国内で食用とされているイワシ類はマイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの3種です。マイワシやウルメイワシはニシン科なのに対し、カタクチイワシはカタクチイワシ科のお魚に分類されており、仲間と言いつつも別種扱いです。
カタクチイワシはイワシ類の中では最も水揚げが多く、国内で流通しているイワシの半分近くを占めています。ただ、3種の中では最も小さく、痛みがとにかく早いため、稚魚はシラスやちりめん、少し大きなものはイリコなどに水揚げ後すぐに加工されてしまいます。産地でもない限り生鮮で良いものを見る機会はほとんどなかったのですが、低温流通技術が発達などにより、特にシラスは生のまま冷蔵や冷凍で消費地に流通するようになりました。
日本全国で水揚げがありますが、産地によって旬も、秋から冬、春から夏、夏から秋などと大きく異なります。これはシラスが獲れる時期を旬とする地域が多いためで、大きくなったカタクチイワシを漁獲対象としている地域が少ないことが要因です。鮮魚としてのカタクチイワシの旬は夏頃と言われており、広島県西部(広島市周辺)は生鮮のカタクチイワシが流通する数少ない地域です。ここでは毎年6月10日に漁が解禁となり、鮮度の良いカタクチイワシがスーパーに並びます。
カタクチイワシのおすすめの食べ方
鮮度が良いものカタクチイワシを広島県西部以外で旬の時期に手に入れるのはとても難しいですが、良いものが手に入ればとにかくお刺身がお勧めです。慣れてしまえば手で開くこともできますし、小さいので小骨もさほど気になりません。もちろん、焼物、煮物、揚物でも美味しく頂くことが出来ます。
また、乾燥させたものは出汁用の食材としてはもちろんですが、お節料理の田作りにも欠かせないものです。
マイワシ
マイワシは大きさによって呼び名が変わり、よく知られているところでは、シラス(体に色素がなく白い稚魚の総称)、平子(ヒラゴ 10cm未満)、小羽(コバ 10cm前後)、中羽(チュウバ 15cm前後)、大羽(オオバ 20cm前後)と呼ばれています。サイズごとに名前が変わるものを出世魚と言いますが、そう言う意味で言うとマイワシもその中のひとつかもしれません。
マイワシは大きくなると、体色は背が黒に近い紺色で腹は銀色に光り、七つ星(実際にはな七つ前後)と呼ばれる黒い斑点が背と腹の境目あたりに並ぶのが特徴です。しかし、七つ星は流通中に擦れて取れてしまうことも多いので、スーパーに並んでいるものにはないことがあります。逆に背と腹の色がしっかしていて、七つ星がしっかり残っていたら鮮度が良いものということにあります。
以前は日本海側に水揚げが集中していたのですが、近年は太平洋側、またここ数年は以前は水揚げがなかった北海道で増えるなど、産地は一変しています。また、1年中どこかで水揚げがあることに加え、水揚げ時期が年によってかなりずれることもあるなど、非常につかみどころがないお魚になっていますが、一般的には5月から10月にかけてが旬とされており、特に梅雨時のものは脂ののりが良いとされ、この頃のものは入梅イワシなどとも呼ばれ、良いものは高値で取引されることもあります。
マイワシのおすすめの食べ方
マイワシに限らずイワシ類はとにかく鮮度落ちが早いので、加熱調理であっても鮮度の良いものを選ぶことが大前提です。鱗がしっかり残っている、背の紺色と腹の銀色が明確、七つ星が残っている、眼に透明感がある、腹が破れておらず内臓が飛び出していない、ドリップが少ない、などを基準に選ぶと良いでしょう。
鮮度が良ければ、もちろんお刺身がお勧めですが、脂が多いと感じた場合には軽く酢締めした方が良いでしょう。
焼物、煮物、揚物など何でもできる万能選手ですので、旬の美味しい時期には、たくさん召し上がって頂きたいお魚のひとつです。
また、干物には程よい苦みと独特の風味があり、酒の肴にはもってこいと言われています。
ウナギ
ウナギと言っても、現在国内で流通しているものはニホンウナギを始め、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギなど4~5種あります。中国で養殖されたものが非常に多く、また大半が蒲焼まで加工されてから輸入されています。ウナギは生態が解明されていないため、完全養殖が確立されていないお魚ののひとつですので、養殖のためには稚魚を捕獲する必要がありますが、稚魚の水揚げは減少の一途で超高値となっていることに加え、昔から密漁の対象となっています。このためニホンウナギは2013年6月に絶滅危惧IB類としてレッドリストに登録され、 同年11月にはアメリカウナギも登録されました(ヨーロッパウナギは既に絶滅危惧IA類として登録済み)。レッドリストに登録されたとは言え、厳重な漁獲規制がが取られているわけではありませんので、このままの状況が続くと食卓からウナギが消えてしまう日が来るかも知れません。
ウナギの流通の99%は養殖と言われており、大半が蒲焼に加工されていますので、ウナギ自体は1年中スーパーや料理屋に並んでいます。ただ、ウナギの旬と言えば夏の土用丑の日を思い浮かべる方が大半でしょうが、これは旬とは関係なく、当時は夏にウナギの販売が停滞するために、これをどうにかしようとしたキャッチコピーのようです。
正直なところ、養殖のウナギは他のお魚のように産卵期を迎えることもなく、冬眠することもないので、その品質は1中変わりませんので、いつも同じと言っても良いでしょう。
ただし天然物は養殖とは異なります。5月頃から獲れ始めますが、最初のうちは冬眠明けで身が痩せています。エサを食べ出して脂がのってくるのは8月以降で、一番美味しくなるのは10~12月にかけてと言われています。
夏はウナギの最大の需要期ですが、正直旬とは言い難いところはあります。しかし、夏を代表する風物詩であることに間違いありません。
ウナギのおすすめの食べ方
ウナギの料理と言えば、蒲焼が代表選手で、それ以外はあまり馴染みのない方も多いのではないかと思います。
肝はもちろん、ヒレ、頭なども調理によっては美味しく頂くことが出来ますので、生のウナギが手に入ったときに一度試してみられてはいかがでしょうか。
※ウナギの血液にはアナゴと同じように血清毒のLD50が混じっているため、鮮度が良くても安易に生食しないように注意して下さい。血清毒はたんぱく質なので60℃以上で5分間加熱すると無毒になりますが、生食する場合は徹底的に血を洗い流す必要があります。
ドジョウ
日本で昔から食べられてきたドジョウは、ヌマドジョウ、カワドジョウ、オオドジョウなどに分けられますが、特に区別せずドジョウとして親しまれてきました。しかし、河川の開発や農薬の使用などから激減したため、今では天然の流通はほとんどなく、ほぼ養殖となりました。国内で養殖が盛んなのは、新潟県、島根県、大分県などですが、国産だけでは賄えないため輸入も盛んになっており、ウナギと同様に中国や台湾などからアメリカドジョウなど外来種の入荷も増えています。ウナギと同じく、種類を細かく分けて流通しているわけではないので、養殖か天然か、国産か輸入かくらいを区別するくらいしか出来ません。
美味しい時期には諸説ありますが、一般には産卵前の春から夏が一番美味しいとされています。
昔はどこでも獲れていたこともあり、東京など関東地方には老舗のドジョウ屋が何軒かあります。金沢では蒲焼きが昔から食され、新潟の夏には柳川鍋がなくてはならないなど、各地で非常に馴染み深いお魚です。また、昔からウナギと同様に栄養価が高い食材として知られており、今でもスタミナ食と人気が高いです。しかし、水揚げの減少に伴い今では高級魚となってしまいました。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ドジョウのおすすめの食べ方
ドジョウ料理と言って最初に思いつくのはやはり丸鍋でしょう。丸ごと入っているので、見た目で敬遠する人も多いようですが、一度味わうとリピーターになる人もかなりいるようです。
その他は、オーソドックスですが柳川鍋、蒲焼、ドジョウ汁、唐揚げなどがお勧めです。
スーパーに並ぶことはないと言ってもよいでしょうから、公設市場などで購入されるか、専門店などでお召し上がり頂くしか手がありません。
ドジョウには顎口虫が寄生していることがありますので、生食はお止め下さい。
アカエイ
アカエイは全国で水揚げがありますが、食卓にあがる機会が少ないお魚です。
古くは縄文時代から食べられており、昔は全国で食べられていたようですが、食生活の多様化に伴い徐々に消費されなくなってきました。関東以北での流通はほとんどなく、関西では市場流通もまだ見られますが、活物も野締めも同じように安値で流通しているため、生産者も積極的に獲ることはしていません。
エイの仲間はアサリなどの貝類を貪り食うため、特にアサリなどの2枚貝を生業とする漁師からは特に嫌われています。加えて、尾に毒棘があることも嫌われる要因です。アサリなどの2枚貝を主食とするため、これらが生息する河川や海水浴場などの浅い砂地に入り込むため、人との接触機会も増え、被害も毎年発生しています。万一刺されると激痛に襲われ、数週間も痛みが続いたり、アレルギー体質の人はアナフィラキシーショックにより死亡することもあるので非常に危険です。市場流通する場合、毒棘は切り取られていますが、浜辺などで生きたものに遭遇した場合は、興味本位で触ったりしないようにしなければなりません。
旬の時期は夏から秋とされています。しかしこの時期は繁殖期と被るので、身質が良いというより水揚げが多い時期と考えた方が良いでしょう。
アカエイのおすすめの食べ方
サメなどと同様に、軟骨魚類のアカエイは死んでから時間が経つとアンモニア臭がするので、食用とする場合は新鮮なものがお勧めですが、入手が難しい場合は、味噌、生姜、酒などで臭みを消す下処理が必要です。また、可食部分は肝と川と骨を取り除いたヒレのみで、それ以外に食べるところがほとんどないので歩留まりは無茶苦茶悪くなります。
韓国料理にはヒレの刺身(フェ)、肝の刺身などもありますが、アニサキスが寄生している場合があるので、これはお勧めしません。どうしても食べたい方は、ー20℃以下で、24時間以上冷凍したものを使って下さい。ただし、独特のアンモニア臭は覚悟して下さい。
一般的な調理方法は煮付け、煮こごり、味噌汁、唐揚げなどです。新鮮なものを使えば臭みはありません。酒の肴として有名なのは乾燥させたヒレで、軽く炙ると非常に香ばしくなります。郷土食として根付いている地域もあり、東北方面では、一旦干物にしたものを水で戻してから煮たりするなどの調理法もあります。
オニオコゼ
不細工な顔と背ビレの棘に強い毒を持つことで良く知られています。毒棘に刺されると激しい痛みと共に患部が腫れあがり、病院での手当てが必要となるので注意が必要です。
しかし、それでいてすこぶる美味しいことから高級魚として扱われており、特に活物は高級料理店での引合いが多く、かなりの値段で取引されています。
主な産地は三重県、瀬戸内海沿岸、九州などですが、近年は水揚げが減少していることもあり、各地で種苗養殖と放流が行われているほか、わずかですが養殖も行われています。
産卵期の5月から8月頃にかけて水揚げが増えますでの、産地であれば比較的手ごろな値段でスーパーに並ぶこともあります。
オニオコゼのおすすめの食べ方
調理に自信がない場合は、棘などを取り除いたものを購入しましょう。この時期は真子を持っている場合があるので、お刺身にする場合は冬のものより歩留まりが落ちますが、真子も煮付けなどにすれば美味しく頂けます。アラは良い出汁が出ますので、お吸い物などにすると良いでしょう。小さなものは、2度揚げすれば頭から余さず食べることも出来ます。
クロガシラガレイ
クロガシラガレイの主な産地は北海道で、道内では重要な水産資源とされ、能取湖では採卵用親魚の捕獲から人工受精卵の放流まで増殖事業も行われています。しかし、近縁種のクロガレイと区別されることなく流通することが多い上、関東以南では産地から離れていることもあり、ほとんど知られていません。
クロガシラガレイは、産卵期に浅瀬に集まる春先から初夏が盛漁期となります。
クロガシラガレイのおすすめの食べ方
臭みやクセは無く、透明感のある白身ですが、やや水分が多いため、身は柔らかめです。
鮮度が良ければお刺身にも出来ますが、産卵期と盛漁期が重なるため、素直に煮付けにした方が真子も一緒に味わるので良いでしょう。
シロギス
日本国内には、アオギス、ホシギス、モトギスなどがいますが、いずれも希少種で、一般にキスと言うとシロギスを指します。ただし、海外から開きなどに加工されてて輸入されているものにはシロギス以外のものも多いです。
シロギスは遠浅の砂浜に生息していますが、護岸工事などの影響からか、他のキス類と同じく漁獲量は年々減少しており、魚価も高騰しています。首都圏や京阪神などの大きな消費地市場で流通しているものは、近隣の三重県や千葉県などから入荷したものがほとんどで、消費地の前浜で獲れることほとんどありません。
シロギスは主に初秋に産卵期を迎えるため、身が美味しい時期は産卵前の春から初夏までとされています。ただし、産卵前にわずかながら水揚げが増えることもあるため、6~7月を旬とする地域もあれば、8~9月頃に抱卵したものを好む地域もあるなど、旬の捉え方は様々です。
シロギスのおすすめの食べ方
この頃になると中型が増えてきますので、下処理は多少簡単になります。また、肉厚になっていますので、お刺身はもちろん、焼物、煮物、天ぷらなどにしても美味しく頂くことが出来ます。
開きするに場合は、特に腹の身が薄いお魚ですので、加熱した際に身が丸まりにくくするために背開きにして下さい。
中型サイズくらまでであれば骨も柔らかいので、揚物にすると美味しく頂くことが出来ます。
キビナゴ
キビナゴは、スマートな体は美しい銀色で、中央には鮮やかな青色の帯模様が走っています。その見た目から、「帯(きび)」の「小魚(なご)」と名付けられたと言われています。
大きくなっても10cm程度と、ニシンの仲間の中では最も小さな部類です。
産地としては、鹿児島県、熊本県、長崎県、宮崎県、大分県など九州地方に多く、その他は愛媛県、高知県、和歌山県、三重県、静岡県などにもみられますが、鹿児島県、高知県、長崎県が特に多く、鹿児島県では郷土料理のひとつになっています。身が締り美味しくなるのは12~2月頃の寒い時期とされていますが、産卵期を迎える春から初夏頃にかけては海岸近くに産卵のために寄って来るので水揚げが増えるため、12~6月まで旬が続くと言っても良いでしょう。
また、キビナゴは小さいこともあり鮮度落ちが早いので、干物に加工されたものも多く流通しています。
キビナゴのおすすめの食べ方
6月は産卵期真っただ中ですので、煮付け、焼物、揚物などの加熱調理がお勧めです。捌く手間も要らず、大きくても10cm程度ですので、頭や骨も気にせず食べることも出来るでしょうし、真子のホクホクとした食感を身と一緒に楽しむことが出来ます。
また、水揚げが増えるこの時期は干物の出回りも増えます。干物は旨味がギュッと詰まっていますので、焼物だけではなく、唐揚げ、フライ、南蛮漬けなどにするとさらに美味しく頂くことが出来ます。
ワカサギ
ワカサギの主な産地は青森県、北海道、茨城県、秋田県などの北日本で、水揚げの最盛期は産卵を控えた冬から春先です。凍結した湖の一部に穴をあけて釣り糸を垂らす「穴釣り」は冬の風物にもなっているため、寒いところのお魚、冬のお魚と言うイメージを持たれる方も多いとは思いますが、実ははほぼ1年中安定したた水揚げがあります。また、北陸や山陰でもわずかながら水揚げがあります。
前述したように湖での釣りがイメージとしてありますので、淡水魚と思われる方も多いのですが、実ははアユと同じように河川と海を行き来する両側回遊型と、一生を淡水で過ごす陸封型がいます。また、同じ水域で生活していても両側回遊型と陸封型が混在することもありますので、獲れる場所は湖だけではなく、河川、汽水域、海岸など実に様々です。
産卵期は地域差があるため、1~5月と幅があります。ざっくり言うと11~12月頃は産卵前の身が充実したもの、1~5月は抱卵したものが美味しいとされていますが、小さなお魚ですので、そこまで違いを感じることは難しいため、実際には1年を通して美味しく頂くことが出来ると言っても良いでしょう
ワカサギのおすすめの食べ方
非常に小さなお魚で、頭も骨も柔らかく丸ごと食べることが出来ます。ただし、釣物には口の中や胃袋に未消化の餌が残っていることもありますので、面倒でも必ずチェックして下さい。残ったままだと食味が悪くなりますので、必要に応じて頭や内臓を除去するなどした方が良いでしょう。
調理法としては正直何でもござれですが、人気が高いのは天ぷらや唐揚げなどの揚物です。煮物にする場合は甘露煮がお勧めです。また、抱卵の有無によって調理法を変える必要も特にありません。
キンメダイ
千葉県の銚子と高知県の室戸では、産卵期に当たる夏を漁期としているため、この時期を旬としています。また、銚子で獲れたものは「銚子つりきんめ」、室戸で採れたものは「室戸沖取れ金目鯛」と、いずれもブランド化されています。この時期のものは抱卵している可能性が高いので、真子も一緒に楽しむ機会が増えます。
キンメダイのおすすめの食べ方
夏は抱卵したものが入手しやすくなりますので、普通に考えると煮付けとなりそうですが、キンメダイは産卵明け以外は身質がそう変わらないとされていますので、身はお刺身、真子は煮付けと別々に頂く手もあります。
シログチ
夏になると産卵期を迎え、浅瀬に寄ってくるため、釣りはもちろん、定置網などで捕らえられる機会が増えます。このお魚は練り製品の原料としての評価は非常に高いですが、鮮魚としての価値は非常に低くなっており、特に夏時期は産卵期で身が薄くなるため、さらに評価が落ちるようです。
とは言え、夏場はスーパーなどに鮮魚として並ぶ機会は増えてきます。ただし、残念ながらものが良い保証はありませんので、注意が必要です。
シログチのおすすめの食べ方
この頃のものは塩焼きや煮付けが一般的ですが、脂が非常に少ない時期であることに加えて、産卵期で身が薄くなっています。あっさりしたものがお好みであれば問題ありませんが、そうでない場合は、フライ、ソテー、ムニエルなど油分を足す料理が良いでしょう。
マゴチ
コチの仲間にはマゴチの他に、ヨシノゴチ、イネゴチ、ワニゴチなど多くの種類がいますが、鮮魚で流通している種類も量もわずかです。マゴチは夏の白身魚を代表するお魚のひとつとされており、冬のヒラメやフグに対して、夏はマゴチと言われるほど評価が高いです。他のコチと分けるために「本ゴチ」と呼ばれることもあります。
主な産地は、愛知県の浜名湖周辺、瀬戸内海周辺、島根県をはじめとする山陰沿岸などですが、水揚げが少ないこともあり、明確な統計はありません。
産卵期はおおむね夏です。普通産卵期と言うと身が痩せると思われがちですが、マゴチはこの時期に食欲旺盛となるため、抱卵していても身も充実しています。逆に、身が充実しそうな冬場は、深場でじっとして、ほとんど餌を食べないため、無茶苦茶痩せてしまうそうです。
マゴチのおすすめの食べ方
鮮度が良いものであれば、まずはお刺身がお勧めです。上品な風味で、歯応えの良い食感が持ち味ですので、平造りや薄造りの方が良いでしょう。薬味もわさび醤油だけではなく、ポン酢や梅肉との相性も抜群です。活け物であれば、洗いにすることで、お刺身とは違った食感も楽しめます。
皮が少し固いお魚ですので、加熱調理する場合は、皮にしっかりと火を通した方が良いでしょう。また、真子は身と別に煮物などにしても良いでしょう。
メゴチ(総称)
標準和名でメゴチと言うお魚はいますが、食用として出回ることはまずありません。ここで言うメゴチはネズッポ科魚種の総称で、セトヌメリ、ヌメリゴチ、ネズミゴチなどを区別せずに言う場合を指します。
メゴチ(総称)はほぼ全国で水揚げされますが、網にかかると棘が絡んで外しにくいなど嫌われることが多いお魚で、水揚げされても非常に雑な扱いを受けることも多く、さらに釣りの外道としても有名です。加えて、小さくてヌメリが多いため、非常に捌きにくいことと、鮮度落ちもすさまじく早いので、処理を怠るとすぐに臭みが出るなど、嫌われる理由が満載です。しかし、その身は上品で甘味が強く、火を通しても硬くならないので、特に天ぷらのタネとしては価値が高いです。ただし、スーパーなどに並ぶことはまずないので、食べたい場合は、自分で釣るか、常日頃から取り扱いのある天ぷら専門店などに行かねばならないでしょう。
夏に産卵期を迎えるため、春先から食性が上がり身が肥えることに加え、水揚げが増えるため、春から夏を旬とするところが多いのですが、味が良いのは冬から春とされています。
メゴチのおすすめの食べ方
鮮度が悪いとヌメリがひどくなり、身にも臭いが移るので、とにかく鮮度が命です。
お刺身に出来ないこともないですが、難易度がかなり高いので、素直に天ぷらなどの揚物で頂くのが良いでしょう。
アマゴ
サケの仲間は同じお魚であっても、一生を淡水で過ごすものもいれば、一旦海で過ごして産卵の際に川などに戻るものもいたりします。海で生活したものの方が大きくなりやすく、見た目が違ってくるとも多いので、それに伴い名前が変わることもあります。
アマゴは一生を川で過ごしますが、成長とともに海に出て、産卵のため再び川を遡上する降海型のものはサツキマスと呼ばれています。
流通しているアマゴの大半は養殖で、天然物は滅多にお目にかかれるものではありません。河川で獲れるものであっても、冬から春にかけて放流されたものばかりですので、純粋な天然とではありません。
アマゴ本来の生息域は、関東西部から九州の瀬戸内海側にかけての比較的温暖な地域ですが、現在は放流が盛んに行われていることもあり、北陸などの河川にも見られるようになりました。
養殖の産地としては、静岡県、愛知県、岐阜県、徳島県、奈良県などがありますが、その量も決して多いわけではありません。
漁が出来る時期は河川を管理する漁協等により決められており、その多くが3月解禁で、夏の終わり頃まで続きます。
アマゴのおすすめの食べ方
養殖であれば寄生虫の心配はありませんので、鮮度さえ良ければお刺身にすることも出来ます。
アマゴを初め、川魚の代表的な料理は塩焼きですが、アマゴはあまり大きくなりませんので、田楽、煮物、ソテーはもちろん、小さなものは丸ごと甘露煮や唐揚げにしても美味しく頂けます。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
アユ
アユは、夏の川魚を代表するもののひとつです。サケと同じように川と海を回遊しますが、サケとは逆パターンで、海で産卵を行い河川に戻ってから大きくなります。しかし、琵琶湖周辺に生息するアユは琵琶湖を海の代わりの産卵場所としており、普段は湖周辺の河川に生息しています。もちろん海水に対する耐性はありませんので、見た目が同じでもアユには厳密には2系統が存在することになります。
現在、琵琶湖産のアユを他の河川に放流しているケースが増えていますが、元々生息しているアユと交雑した場合、その稚魚もまた海水への耐性がないことが判明しているため、海水へ下ることが出来るアユが激減するのではないかと危惧されています。また、河川の改修工事などにより、海に戻りたくても戻れない河川も非常に多く、産卵することなく一生を終えるパターンも増えているため、正真正銘の天然物はごくわずかです。
河川で水揚げされるアユの産地としては、茨城県、神奈川県、岐阜県などが多く、河川別では相模川、那珂川、長良川などが有名ですが、もちろんほとんどが放流されたものです。養殖は、愛知県、和歌山県、岐阜県などに多く見られます。
アユは資源保護の意もあり、おおむね11~5月は禁漁期間としているところが多いです。全国的に6~8月までを解禁しており、この時期が旬とされ、特に7月のものが美味しいとされています。また、8月下旬から9月の産卵前の子持ちを重宝する地域もあります。
アユのおすすめの食べ方
アユは独特の芳香を持っており、香魚とも呼ばれていますので、香りを大事にする料理が良いとされています。
最もポピュラーなものは塩焼きですが、煮物、炊き込みご飯などでも楽しめます。出始めの小さなものは頭や骨もさほど気になりませんので、天ぷらや佃煮などにすると良いでしょう。
養殖であれば、寄生虫の心配はほぼありませんんで、お刺身にすることも可能です。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
イワナ(総称)
日本に生息するイワナは、まずイワナとオショロコマに分けられ、さらにイワナは「ニッコウイワナ」、「ヤマトイワナ」、「エゾイワナ」、「ゴギ」の亜種に分けられ、オショロコマは「オショロコマ」と「ミヤベイワナ」の亜種に分けられます。ここではオショロコマを除いたイワナをまとめて簡単に紹介します。
イワナで海降型のものはエゾイワナが知られており、この場合はアメマスと名前を変えますが、他のイワナは陸封型とされています。現在は放流や養殖が盛んに行われているため全国で確認されますが、元々冷水を好むため、自然分布しているものは中国地方が南限とされ、山岳の渓流のみで確認出来ます。
水温がやや高くなる3月頃から活性化するようで、秋から冬の産卵を控え食性が高くなるのが夏で、最も身が充実すると言われています。10月以降は産卵期となることと、餌が少なくなるためかなり痩せるようです。また、ほとんどの河川で、秋から春先産卵期間は禁漁となっているため、この時期の入手は不可能と言っても良いでしょう。
イワナのおすすめの食べ方
養殖であればお刺身を食べることも出来ますが、天然物(放流含む)は寄生虫がついていることが多いので、生食はお勧めで出来ません。
清流で育つため、臭みはほとんどなく、身はふっくらとして柔らかく、料理の素材として非常に使いやすいお魚とされています。夏の定番は塩焼きですが、ソテーや燻製などでも美味しく頂くことが出来ます。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
ギンサケ
天然のギンサケは、ロシア沿海地方から千島列島、米国カリフォルニア州にかけての北部太平洋地域に生息していますが、サケ類の大半は母川匡主義(川や湖で産卵して海に出る魚は、その川や湖を有する国のもの)となるため、日本で水揚げはありません。国内に出回っているもののほとんどは養殖で、大半はチリからの輸入です。国内では宮城県や鳥取県などで養殖されています。水揚げは4月頃から始まりますが、生育限界水温が20℃と言われているため、海水温が上限になる前の7月にはほぼ出荷を完了しますので、生鮮の出回りは4ヶ月のみで、これを逃すと冷凍のみとなります。現在では、生け簀を温度が低い深度まで下げたり、年間を通して低水温が保てる北海道での生産を始めたりはしていますが、これらの生産はまだわずかです。よって、生鮮の旬と言える時期は出荷時期と同じ4~7月となります。
ギンサケのおすすめの食べ方
国内に出回っているものは生鮮であっても養殖ですので脂ののりは非常に良いのですが、身が非常に柔らかく、すぐに身割れするため、お刺身にはあまり向かないとされています。塩だけでは水分を抜ききれませんので、生食される場合は燻煙などの処理がお勧めです。
逆に加熱しても身が硬くなりにくいので、焼物、煮物、揚物など加熱調理するには最適なお魚です。
タイセイヨウサケ
名前の通り、大西洋の北部冷水域に生息しているサケで、アトランティックサーモンと呼ばれ、以前は北米北欧の大西洋沿岸地域のみで消費されていました。1980年代からノルウェーで盛んに養殖されるようになり、その後、需要の高まりとともに、南半球のチリ、ペルー、オーストラリアのタスマニア島などでも養殖が始まりした。元々大きな需要があったことに加え、流通の発達により販路は世界中に広がり、現在では生鮮での空輸も増えています。世界中で消費されているるサケの中で最も需要が高く、ほぼ養殖で賄われています。日本国内でもサーモンと言うと、ほとんどがタイセイヨウサケを指します。また、他の養殖魚と比べて、骨取りフィーレやロインなどの加工品の割合が非常に多く、捌く手間などが大きく軽減されているのも、需要が拡大するひとつの要因でしょう。また、特に北欧、豪州では厳格な管理の元で養殖されているため、身質も非常に安定しており、1年中良質のお魚を口にすることが出来ます。
また、サケの中でも大型で、大きなものでは1ⅿを超えることもある上、体に比べて頭が小さく、歩留まりが良いのも特徴のひとつです。
タイセイヨウサケのおすすめの食べ方
養殖は寄生虫の心配がありませんので、ほとんどが生食用として流通しています。日本国内ではお刺身やスシネタとしての需要が定着しており、スーパーや寿司店には必ずあると言っても良いお魚になっています。
脂が多く、身が柔らかいので、加熱調理しても身が硬くなりにくいのも利点で、生食に限らず色々な料理を楽しむことが出来ます。ただし、脂が非常に多いので、お好み次第で、塩焼きなど幾分脂を落とすような調理や、ポン酢などあっさりとした調味料などと合わせる工夫も必要になるでしょう。
ニジマス
本来ニジマスは、カムチャッカ半島から北米大陸太平洋岸にのみ生息しており、日本には1877年に食用目的で芦ノ湖に移入されたのが最初と言われています。その後、全国へ広まり、外来魚にも関わらず河川に放流している地域があったり、北海道の一部には自然定着も見られます。古くから日本で食用として流通していたこともあり、以前は生食用のサケ類と言えばニジマスだったのですが、現在ではタイヘイヨウサケにかなりのシェアを奪われています。
サケの仲間は同じお魚であっても、陸封型と海降型で名前が変わったりします。ニジマスも海降型の方が大きくなり、海外ではスチールヘッドと呼んで区別することもありますが、日本国内では特に区別することはありません。ただし、河川や釣り堀などではニジマス、海で養殖してそこそこ大きくなったものは〇〇サーモンとか〇〇トラウトとか、生産者がかなり好き勝手な名前を付けているので、名前だけだとニジマスかどうかは判断できない場合もあります。
本来冷水域のお魚ですが、20℃以上の水温でも生息できるため、国内外問わず盛んに養殖も行われています。また、世界各地で他の鮭鱒との掛け合わせなどの品種改良が行われており、国内でも各地でブランド化が進められていますので、ニジマスとは言い切れないお魚が増えているのも事実です。
日本国内に流通しているものはほぼ全てが養殖ですので、旬を感じにくいお魚のひとつですが、産卵期が10~3月と長期間であるため、個体によってはこの時期を避けた方が無難と言われています。したがって、産卵前で食欲旺盛な夏が一番良いとされています。
ニジマスのおすすめの食べ方
河川で獲れたものは寄生虫がついていることがありますので、生食する場合は必ず冷凍などの下処理をして下さい。一般に出回っているものは養殖なので特に心配はありません。
小さなニジマスは、他の川魚同様塩焼きが最も良いとされています。大きなものは切身にして色々な料理にすることが出来ますが、大きなものは基本養殖しかありませんので、お好みで脂を落とすなどの調理が必要になります。
魚卵も食用になりますが、粒が小さいことなどからサケほどの評価はなく、あくまで代用品扱いです。
※釣りなどを行う場合は、漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
ヒメマス
サケの仲間は同じお魚であっても、一生を淡水で過ごすものもいれば、一旦海で過ごして産卵の際に川などに戻るものもいたりします。生活環境で大きさや見た目が違ってくることが多いので、それに伴い名前も変わることがあります。ヒメマスは一生を湖で過ごしますが、降海型のものはベニザケと言います。
国内では北海道の阿寒湖とチミケップ湖をが原産とされ、その後道内の支笏湖、栃木県中禅寺湖、神奈川県芦ノ湖、山梨県の西湖と本栖湖、長野県青木湖などに移入され、いまでは重要な漁業資源となっています。産卵期は9月下旬から11月にかけてで、その前に食欲が旺盛になる初夏から夏に一番身が充実すると言われています。産卵期になると、オスはベニサケ同様に背が膨らみ紅色の婚姻色となります。
ヒメマスのおすすめの食べ方
夏のヒメマスは程良い脂と甘味を備えており、味の評価は高いお魚です。鮮度が良いとお刺身を食べたくなるのが常ですが、サケの仲間は寄生虫がいることが常ですので、天然物の場合は必ず冷凍処理して寄生虫を死滅させて下さい。もちろん養殖であれば心配はほとんどありません。
また、加熱しても身が硬くなりにくい身質ですので、塩焼きはもちろん、ムニエルやソテー、揚物などにしても比較的さっぱりと食べることが出来ます。
また、サケ以外のイクラはもっぱら評価が低いのですが、ヒメマスは食感、味ともに非常に高い評価を得ています。ただし、出回りは非常に少ないので、出会えたらぜひ一度お召し上がり下さい。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
ヤマメ
サケの仲間は同じお魚であっても、一生を淡水で過ごすものもいれば、一旦海で過ごして産卵の際に川などに戻るものもいたりします。生活環境で大きさや見た目が違ってくることが多いので、それに伴い名前も変わることがあります。ヤマメは一生を川で過ごしますが、成長と共に海に出て、産卵のため再び川を遡上する降海型のものをサクラマスと言います。天然物の生息域は北海道から九州までの河川の上流などの冷水域です。
ヤマメの最大の特徴は体の側面に上下に長い斑紋模様があることです。しかし成長ともに薄くなり、30cmを超えるとほとんど見られなります。このため良く似たアマゴと区別が難しく、ごっちゃになっている地域もあるようです。以前はアマゴと生息域がかなり綺麗に分かれていたので間違えることもなかったようですが、各地で放流事業が活発に行われたことにより、現在では生息域がほぼ重なっています。純粋な天然物は非常に少なくなり、河川などで獲れるもののほとんどは放流事業によるものです。
ヤマメは9~10月に産卵期を迎えるため、その前の春から夏が最も身が充実して美味しい時期と言われています。
ヤマメのおすすめの食べ方
養殖のものはお刺身で食べることが出来ますが、天然物は寄生虫がいることがあるので、どうしても生で食べたい場合は、ー20℃以下で24時間以上冷凍したものを使って下さい。
代表的な料理はやはり塩焼きですが、田楽、煮物、ソテーはもちろん、小さなものは丸ごと甘露煮や唐揚げにしても美味しく頂けます。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
サッパ
サッパはニシンの仲間で瀬戸内海などの内湾に生息しており、回遊することはほとんどなく、一生を通して生息域大きく変えることはありません。大きさも10cmくらいまでと小さいため、雑魚として扱われることが多く、食用とする地域は少ないです。食用とする地域で特に有名なのは岡山県で、ここではママカリと呼ばれています。名前の由来は「用意したご飯が足りず、隣から借りなければならない程旨い」と言うところから来ているそうです。駅弁にもなっていますので、真意の程はご自分の舌でお確かめ下さい。
サッパの旬は年2回あります。ひとつめは産卵前の夏で、小さいながら身が最も充実する時期です。ふたつめは成長して大きくなる秋から冬で、脂がしっかりのってくる頃とされていますが、水揚げが少ないのが難点です。
サッパのおすすめの食べ方
韓国の仁川ではお刺身(フェ)や唐辛子味噌和えが名物になっていますが、国内でお刺身で食べる地域は確認出来ていません。鮮度が良ければお刺身に出来ないことはありませんが、小さい上に小骨が非常に多いので、骨が気にならない方限定です。
代表的な食べ方は酢漬けで、開いて甘酢に漬けることで、小骨も気にならなくなります。それでも気になる場合は、唐揚げ、南蛮漬けなどの揚物にすればよいでしょう。
ゴマサバ
ゴマサバは、胴体の中央あたりから腹にかけては銀色の地に丸い黒点が一面に散らばっており、胡麻を散らしたように見えるのが名前の由来とされています。
ゴマサバの旬は一般に夏とされていますが、これはマサバは秋冬に脂を蓄えて美味しくなる一方、夏は身が極端に痩せてしまうことに対して、ゴマサバは1年を通して身質の変化はほとんどないため、マサバと単純比較されたためと言われています。また、ゴマサバはマサバのように季節に寄る水揚げの変動が少なく、ほぼ1年中安定した水揚げがあるようです。産地も紀州、四国、九州などマサバより暖かい海域であることが、水揚げが安定している要因のようです。
また、マサバ同様にブランド化も進められており、高知県土佐清水市の「清水サバ」や鹿児島県屋久島の「首折れ鯖」などが有名です。
ゴマサバのおすすめの食べ方
鮮度が良いものはお刺身で食べることも出来ますが、マサバ同様にアニサキスが寄生していることがありますので、どうしても食べたい場合は-20℃以下で24時間以上冷凍したものを使いましょう。
脂があるとは言っても、旬の時期のマサバほどになることはありませんので、どうしても物足りなさを感じてしまいます。お好みで少し濃いめの味付けにされたり、ソテーや揚物など油を加える料理などが良いでしょう。
※サバにはヒスチジンという成分が含まれており、鮮度が落ちて古くなるとヒスタミンというアレルギーを起こす成分に変化しますので、鮮度が良いうちに食べ切るか、余った場合は冷蔵ではなく冷凍することをお勧めします。
シイラ
シイラの名前の由来は、その形が身が詰まっていない不良の籾である粃(しいな)のように平べったいことからシイナと呼ばれ、それが訛ってシイラに変わったと言われています。中国地方などで万作(マンサク)と呼ぶのは、シイナが不作を意味しており不吉であるため、その逆を敢えて付けたそうです。
外洋の暖流域に面したところでは水揚げがあるため、九州全域、関東までの太平洋側、山陰などでは昔から水揚げがありますが、最近では、夏限定とは言うものの東北や北海道でも水揚げが確認されています。
シイラは海水温が上がる7~10月頃に水揚げが増えるので、夏を旬としているところが多いです。ただし、産卵期が春から夏にかけてと、水揚げが多くなる時期と少し被るため、出始めのものは少し痩せているかも知れません。産卵期のことを考えると、秋から冬の方が身質が良いと考えるのが普通ですが、そのころはさらに温かい海域に移動するため、日本近海でお目にかかることはまずありません。
シイラのおすすめの食べ方
シイラの体表のぬめりには表皮粘膜毒と呼ばれる弱毒が含まれ、摂取すると下痢や嘔吐などの食中毒を起こすことがあります。加えてアニサキスが寄生していることがありますので、いくら鮮度が良くても生食は要注意です。生食する場合は皮をしっかり洗ってぬめりをしっかり取った上で、念のため皮は取り除き、ー20℃以下で24時間以上冷凍すしたものを使って下さい。ちなみに表皮粘膜毒は熱に弱いので、加熱調理する分には問題ありません。
下処理が厄介ですが、安価で美味しいお魚のひとつですので、機会があればトライして下さい。
この頃は抱卵している可能性が高く、身の方は正直あまり期待出来ないので、ムニエル、ソテー、フライなど、油を加える料理がお勧めです。真子や白子は、煮付けやグラタンなどで美味しく頂けます。
※シイラにもサバと同様にヒスチジンという成分が含まれています。これは、鮮度が落ちるとヒスタミンというアレルギーを起こす成分に変化しますので注意が必要です。特にシイラは鮮度落ちが早いので、とにかく鮮度が良いうちに食べ切ってしまうか、それが難しい場合は冷蔵ではなく冷凍することをお勧めします。
アカシタビラメ
シタビラメは、カレイ目ウシノシタ科に属するお魚の総称で、その形が舌に似ていることから、漢字で「舌平目」と書きます。日本国内で食用として流通しているものには、アカシタビラメ、オオシタビラメ、クロウシノシタ、イヌノシタなどがいますが見た目で似たようなものは区別されずに流通することが多いです。アカシタビラメもよく似たイヌノシタと区別されずに、アカシタとして流通しています。
アカシタビラメの産卵期は主に夏で、早いところでは3~5月ですので、産卵期前の冬から梅雨時くらいまでのものが身質が良いとされています。しかし、産卵明け以外は身質がそう大きく変わるお魚ではないため、水揚げが増える夏の産卵期を旬とする地域もあります。
主な産地は、香川県、徳島県、愛媛県、大阪府、岡山県など瀬戸内海沿岸で、これらの地域では普段からスーパーなどにも並びます。
アカシタビラメのおすすめの食べ方
アカシタビラメに限らず、シタビラメの仲間は相当大きなものでもない限り身が薄いので、お刺身にする場合は、相当の技術が必要な上、歩留まりもかなり悪くなります。また、身自体は甘味があって美味しいのですが、水分が非常に多く柔らかいので、これを適度に抜く強いた処理も必要となります。難易度は高いのですが、旬の時期に良いものが手に入ったら試してみる価値はあります。
ソテー、ムニエル、煮付けにするのが一般的ですが、小さなものであれば、しっかり揚げれば頭から食べることも出来ます。ただし、焼物にする場合は、お刺身と同様に少し水分を抜いた方が良いでしょう。
クロウシノシタ
シタビラメは、カレイ目ウシノシタ科に属するお魚の総称で、その形が舌に似ていることから、漢字で「舌平目」と書きます。日本国内で食用として流通しているものには、アカシタビラメ、オオシタビラメ、クロウシノシタ、イヌノシタなどがいますが見た目で似たようなものは区別されずに流通することが多いです。クロウシノシタもイヌノシタやオオシタビラメとよく似ていることから、区別されずに流通していることもあるようです。
クロウシノシタはアカシタビラメなどとは異なり関東地方以北でも水揚げがありますので、関東以北でシタビラメと言うとこちらの方がポピュラーです。
身が充実する時期は、産卵前に栄養を蓄える春から夏とされています。水揚げが増える時期は地域で多少ずれもありますが、おおむね6~8月に集中しています。
クロウシノシタのおすすめの食べ方
クロウシノシタはシタビラメの中でも比較的大きな部類になり、30cm以上の大きなものの入手が比較的容易です。他のシタビラメ同様、身が柔らかいので、水を抜く下処理は必要ですが、大きい分お刺身にするのは簡単になります。
その他の料理としては、ソテー、ムニエル、煮付けにするのが一般的ですが、小さなものであれば、しっかり揚げれば頭から食べることも出来ます。ただし、焼物にする場合は、お刺身と同様に少し水分を抜いた方が良いでしょう。
スズキ
スズキも大きさで呼び名が変わるお魚のひとつです。地域により多少違いはありますが、5cm前後の稚魚をヒカリゴ、10cm前後をコッパ、25cm前後をセイゴ、30cmから40cm位のものをフッコ、またはハネ、60cmを超えたものをスズキと呼びます。ただし、他のお魚同様、その時々で基準が変わりますので、名前だけで大きさを判断することは出来ません。
スズキは大きな河川が流れ込む内湾やその沿岸部の磯などに棲息するため、産地としても千葉県、兵庫県、愛知県、神奈川県など、大きな内湾や河川を有しているところでの水揚げが目立ちます。
夏のお魚として有名ですが、実は1年を通して比較的安定した水揚げがあります。ただし、産卵後の春は身が痩せるため敬遠されます。産卵明けの梅雨時期から夏にかけて食欲が旺盛になるため、身が肥えて脂がのります。また、餌を求めて沿岸近くに集まることもあり水揚げが増えますので、夏をを旬とするのが一般的です。島根県の宍道湖ではスズキは「宍道湖七珍」のひとつで、この時期のスズキを使った奉書焼きは名物料理となっています。ただし、秋から初冬にかけて産卵のために海からやって来る子持ちのスズキを美味しいとする地方もあります。
スズキのおすすめの食べ方
この時期のスズキ料理の代表は洗いです。薄く削ぎ切りにして氷水でさっと締めたお刺身は、夏を代表する魚料理のひとつです。
ただし、スズキは生息域の影響を受けやすいため、汽水域や内湾で獲れたものは臭みがある場合が多いとされていますので、出来れば綺麗な海域で獲れたものを選びましょう。身自体はクセのない白身ですので、和洋中いかなる料理にも合わせることが出来ます。また、アラからはとても美味しい出汁が取れますので、煮付けはもちろん酒蒸しなどにしても美味しく頂くことが出来ます。
スズメダイ
スズメダイの仲間は小さく、見た目が可愛く、色彩豊かなものが多いため、観賞魚として利用されるものも多いのですが、本種は見た目が地味なこともあり観賞魚としての需要はありません。
暖かい時期になると良く見られ、釣人の間では餌取りとしてかなり嫌われています。その気になれば沢山獲れるのですが、小さい上、しっかりした鱗がびっしり付いており、骨も硬く、調理するのがかなり面倒なお魚なので、雑な扱いを受けることが多く、市場に出してもまともな値段が付くことはまずありません。しかし、食べてみると意外に美味しく、地域によっては積極的に食用としており、スーパーに並ぶこともあります。
スズメダイの美味しい時期は産卵前の春から初夏です。産卵期になると、かなり身が痩せてしまうため、ただでさえ小さくて可食部分が少ないのに、さらに少なくなってしまいます。
スズメダイのおすすめの食べ方
小さな魚なので、揚物にすれば頭から食べることが出来ると思われるかも知れませんが、骨がとにかくしっかりしていますので、面倒でも開きにした方が無難です。
鮮度が良ければお刺身も出来ますが、歩留まりが相当悪いので、相当の数が必要な上、当然かなりの手間です。ただし、鮮度が良いものが手に入れば試す価値のある味だと思います。
福岡県には、鱗も内臓も取らずに、そのまま塩焼きにした「あぶってかも」と言う郷土料理があります。
キダイ
標準和名で呼ばれることはほぼなく、もっぱら連子鯛(レンコダイ)として流通しています。見た目はマダイそっくりですが、マダイほど大きくはならず、せいぜい30cmくらいまでです。また、体や顔に黄色い部分があることがマダイとは異なり、名前の由来にもなっています。ちなみに、レンコダイの名前の由来は、延縄漁の際に何尾も連なって獲れたことからとされているようです。
身質はマダイと比べるとやや水っぽく、味もやや落ちると評価されるため、手ごろな値段で流通することが多いです。また、手頃な大きさで、同じサイズのものを揃えやすいお魚であるため、輸入の近縁種を含めて、結婚式の披露宴やお節などに1尾付けで提供されることが多いです。
主な産地は山陰から九州にかけてで、特に長崎県、山口県、島根県で多く見られます。
キダイは1年中水揚げがありますが、6月から8月に最も脂がのるため、最も美味しい時期とされています。ただし、この時期は釣りや延縄が主体となるため、水揚げは決して多くありません。秋から冬にかけては脂がかなり落ちるため評価は下がりますが、冬は底曳網漁が盛んになるため、水揚げは増えます。
キダイのおすすめの食べ方
キダイは大きさが手頃で色が美しく、皮も火を通すと柔らかくなりますので、切身にしたりせず丸ごと使う料理に向きます。特に夏場のものは、非常に良く脂がのるため、塩焼きがお勧めです。
身はマダイに比べ水分が多く柔らかいので、お刺身などにする際には、多少水分を抜く作業が必要になります。皮下の脂はとても美味しいので、湯霜造りや焼霜造りがお勧めです。
クセのない白身なので、他にも色々な料理に使うことが出来ます。小さなものは唐揚げや南蛮漬けなどにすると美味しく頂くことが出来ます。
チダイ
チダイはマダイにそっくりですが、大きくても40cm程度までしかなりません。見た目の違いは、名前の由来にもなっているエラブタの縁の血が滲んだような赤い箇所や、マダイとは違い尾びれの後縁に黒い縁取りがないことなどがあげられます。
水産統計ではチダイとキダイがごっちゃになっていますので、正確なところはわかりませんが、主な産地は山陰から長崎にかけての日本海沿岸から東シナ海です。
チダイは1年を通して水揚げがありますが、9~11月に産卵期は身が痩せてしまうため、あまりお勧めできません。最も良い時期は産卵期前の春から夏にかけてで、丁度この時期はマダイが痩せて味が落ちてきますので、マダイの代替品としての需要も増えるようです。
チダイのおすすめの食べ方
チダイの外見はマダイとそっくりですが、身はマダイより水分が多く柔らかめですので、調理する前に塩などで少し水分を抜いておいた方が良いとされてます。
その他は、特に欠点のない上品な白身ですので、マダイと同じ調理は全て可能です。また、旬のものは皮や皮下の脂にも旨味がありますので、皮を付けたまま調理した方が良いでしょう。
タカサゴ(総称)
タカサゴは漢字で「高砂」と書くため、非常におめでたい名前のようですが、 実は、漁師言葉では「たか」が岩礁、「さご」は細魚と言う意味で、あわせて岩礁に棲む小魚と言う意味のようです。高砂は後からとって付けた当て字で、本来の意味とは全く関係がありません。
主に琉球列島に生息するお魚で、沖縄県ではグルクンと呼ばれ、県の魚と言っても良いくらい馴染み深く、食用魚としても重要ですが、その他の地域ではほとんど知られていません。また、タカサゴとそっくりなニセタカサゴと言うお魚がおり、タカサゴと区別することなく流通しています。加えて、ニセタカサゴの方が多いともされていますので、ここでも区別せずあわせてタカサゴとして紹介します。
タカサゴは暖海性で、国内では奄美大島が北限とされていますが、海水温の上昇の影響からか最近ではそれ以外の地域でも確認されるようになりました。
暖海性のお魚の共通した特徴で、1年を通して比較的安定した水揚げがあり、身質も大きくかわることはありませんが、沖縄県では産卵期の5~7月とその前後に水揚げが多いこともあり、この時期を旬としているようです。
タカサゴのおすすめの食べ方
脂が少ないお魚ということもあってか、沖縄県では唐揚げにするのが定番ですが、あっさりした味わいがお好みなら身、煮付けや塩焼きなどにしても良いでしょう。
また、沢山獲れた時には、保存食として干物に加工することもあり、焼物にする場合は、干物の方が旨味が強く美味しいらしいです。。
鮮度が良ければお刺身にしても美味しいのです。お刺身を皮付きで食べたい場合は、少し硬めの皮なので、カツオのタタキのようにしっかりと火を通した方が良いでしょう。
タチウオ
タチウオは、日本近海は元より、世界中の亜熱帯や温帯海域に生息しています。また、釣物や特大サイズを除けば、比較的安価で流通しているため、とてもポピュラーなお魚です。
名前の由来は、「太刀(たち)」のように見えると言う説や、体を立て「立ち泳ぎ」する様子が由来とする説などがありますが、はっきりはしていません。
主な産地は、愛媛県、和歌山県、大分県、広島県、長崎県、鹿児島県、熊本県などで、特に近年は九州が増えています。逆に瀬戸内海はかなり少なくなっています。
1年中水揚げがあり、身質も大きく変化しないため、旬を感じにくいお魚のひとつですが、産卵期である6~10月に食欲が旺盛となり、水揚げも増えることから、夏から秋を旬とする地域が目立ちます。冬を最も良いとする地域もありますが、この時期の水揚げはほとんどありません。
タチウオのおすすめの食べ方
タチウオは皮が非常に薄く引きにくいため、どのような料理をするにしても皮付きが基本です。特にお刺身にする場合は、鮮度が悪いと皮に臭いが付いていることがあるので、銀がしっかり残った鮮度のが良いものを選びましょう。また、基本的に身が薄いお魚ですので、出来るだけ大きなものを選んだほうが捌きやすく、また、脂がのっているので、美味しく頂くことが出来ます。
お刺身には厳しいものは、焼物や煮物にすれば美味しく頂くことが出来ます。ただし、小骨が多いお魚ですので、加熱調理であっても、出来るだけ下処理時に取り除いておいた方が良いでしょう。ただし、小さなものであれば、背鰭や中骨を揚物にして頂くことも出来ます。
テンジクダイ
テンジクダイは大きくても10cm程度と小さなお魚です。全国で水揚げは確認出来ますが、食用として流通しているのは、岡山県、広島県東部から中部、徳島県、香川県など瀬戸内海に面する地域のなどに限られています。な魚で、何でこんな名前になったのかすらもはっきりしていないようです。
天竺(インドの古称)と言う名前が何故付いたのかについては不明ですが、自然発生した名称ではなく、学者が付けたのだろうと言われています。
標準和名で流通することはなく、消費地ではネブトとかメンパチと呼ばれており、季節になるとスーパーにも並ぶ人気が高いお魚で、じゃこ天などの原料としても利用されています。しかし、上述した地域以外では雑魚扱いされているため、もったいないことにほとんどが選別もされず廃棄されているようです。
瀬戸内海では4月頃から獲れ始め、夏の産卵期に向けて水揚げが増えていきます。
テンジクダイのおすすめの食べ方
頭の骨が硬く、大きくて硬い耳石を持っているためいずれも取り除く必要があります。また、鱗や内臓はもちろん、ヌメリや血合いもしっかり洗い流しておかないと臭みが残るため、しっかりした下処理が必要です。加えて小さなお魚のため、最終的な可食部分は3割から4割程度と歩留まりも悪いです。唯一の救いは包丁など使わずとも、手だけで処理できることくらいです。しかし、小さな体に似合わず旨味が非常に強いお魚ですので、手間の見返りは期待出来ます。
とにかく小さいので、お刺身、焼物、煮物などの調理は不可能に近く、基本的に揚物となります。中骨は柔らかいので、二度揚げまでせずとも食べることが出来ます。素揚げの場合は、塩や柑橘などで頂くと香ばしさが際立ちます。三杯酢や南蛮漬けにする場合は、軽く打ち粉してからを揚げたものを使うと良いでしょう。
少しレアなですが煮干しも作られていますので、こちらはだし汁などで戻して、酢の物にすると頭から丸ごと食べることも出来ます。とは言え、硬いことに変わりはないので、気になる方は頭だけは外した方が良いでしょう。
ムツゴロウ
ムツゴロウの生息域は、国内では有明海と八代海の一部しかなく、全国的な需要もないため産地でしか流通していません。しかし、そのユニークな姿や、ムツカケと言う独特な漁法はテレビなどで広く紹介されているため、比較的有名です。
エラと皮膚の両方で呼吸が出来るため干潟の上を這い回ることが出来る変わったお魚です。普段は干潟に巣穴を掘って隠れていますが、潮が引くとそこから出て干潟表面の珪藻類を食べます。天気が良ければ、冬であっても巣穴から出ることがありますが、普通は12月上旬から翌3月上旬が越冬の期間で、表には出てきませんので、最も水揚げが増えるのは産卵期の夏となります。産卵期には、オスがメスへの求愛行動としてジャンプを繰り返すことから、その様子を写真に収めようと全国から人が集まります。釣り上げられる。
ムツゴロウのおすすめの食べ方
干潟に生息しているため、臭い抜きなどの処理が必要かと思いきや、産地では特に下処理はせず、そのまま調理しているようです。お刺身にすることもあるようですが、一般的な食べ方は蒲焼で、佐賀県では郷土料理にもなっています。また、活きたまま串刺しにして、酒、味醂、醤油などで味付けする豪快な料理もあります。他には、甘露煮、味噌汁などがポピュラーですが、加熱調理は、いずれも切るなどの下処理はせず、丸のまま調理するのが基本のようです。
ワラスボ
ワラスボは有明海にのみ生息する珍魚です。内臓や血管が透けて見えるような紫色のヌルヌルとして気味が悪い細長い魚体と、歯がむき出しになった醜悪な面構えは非常にグロテスクで、映画「エイリアン」の怪物にそっくりですが、これもハゼの仲間です。
普段は巣穴に潜んでいるので、ナギナタのような道具で泥の中をひっかき回して獲ります。この漁法は有明海の夏の風物詩になっていますが、実際には底引網で獲れる方が多いようです。ムツゴロウと同じく、産地以外での流通はないと言っても良いでしょう。
産卵期は6~9月とされており、この前後に水揚げが増えます。
ワラスボのおすすめの食べ方
産地では普通は味噌汁や煮付けにして食べるのが一般的ですが、鮮度が良いものはお刺身にすることもあるようです。
また、干物に加工したものは、食べ易い大きさに切って揚物や焼物にしたり、ふぐのひれ酒のようにお酒に浸したり、粉末状にしてご飯のふりかけにされたりもしています。
ハモ
ハモは特に関西で珍重され、京都の祇園祭や大阪の天神祭には、なくてはならないお魚とされています。しかし他の地域で食する機会は料理屋くらいで、関西のようにスーパーなどに並ぶことはほとんどありません。
主な産地も西日本に集中しています。ハモの統計はここ数年行われていませんので詳細は不明ですが、兵庫県淡路島周辺、徳島県、豊後水道周辺(大分県、愛媛県)などで水揚げが多く見られます。
ハモは「梅雨の水を飲んで美味しくなる」と言われており、産卵前の6~7月あたりが最も美味しいとされ、祭りの時期と重なるため1年の中では最も値で取引されます。産卵後の9月は最も水揚げが最も多い時期とされていますが、この頃は身が痩せているために1年で最も安い時期のようです。しかし、実が再び充実する10~11月の晩秋あたりに獲れる物は評価が高く、体表が金色を帯びてきますので「金ハモ」とも呼ばれ珍重されます。
ハモのおすすめの食べ方
ハモは細長い上に、体中に細く頑丈な骨が複雑に入り組んでいるため、料理するためには骨を全部貫くか、骨切りするなどの工程が必要です。ご家庭で料理される場合は、あらかじめ下処理をしたものを購入された方が良いでしょう。ただし、お店で販売しているものには、解凍したものなどもありますので、出来れば生鮮で、かつ鮮度が良いものを選んで下さい。
基本の料理は湯引き、蒲焼、塩焼き、天ぷらなどですが、鮮度が良いものはお刺身で食べることも出来ます。
ハマダイ
沖縄県ではアカマチと呼ばれ、スジアラ(アカジンミーバイ)やシロクラベラ(マクブー)とともに沖縄三大高級魚として知られています。水揚げが少ないため知名度はかなり低いのですが、その上品な白身は評価が高く、沖縄県以外でも、ほとんどがすし店など高級料理店向けとなり、スーパーなどに並ぶことはまずありません。
主な産地は、伊豆諸島、小笠原諸島、鹿児島県、沖縄県などです。
暖海系のお魚ですので、1年を通して身質に大きな違いはないとされていますが、夏は産卵期に当たるため、やや身が痩せてしまいます。ただし水揚げが多少なり増える時期ですので、お目にかかる機会も増えそうです。
ハマダイのおすすめの食べ方
旨みが強く、血合いも少ない白身ですので、まずはお刺身がお勧めです。皮は赤く綺麗で、柔らかい上に、皮と身の間に旨味が多いので、湯霜造りにすると良いでしょう。
加熱しても硬くなりにくい身質ですので、煮物、焼物、揚物などどのような料理にも合わせることが出来ます。また、アラからはとても良い出汁が取れますので、スープなどで堪能して下さい。
ヒメダイ
ヒメダイは、沖縄ではクルキンマチと呼ばれ、味の良さから高級魚として扱われています。しかし、暖海系のお魚と言うこともあり、本州では滅多にお目にかかれないため、ほとんど馴染みがありません。
統計資料もないため、はっきりした産地は不明ですが、沖縄県以外では、八丈島から小笠原周辺、高知県、鹿児島県などで見ることが出来ます。
暖海系のお魚の特徴で、1年を通して大きく身質が変わることはないとされていますが、産卵期である5~9月は身が痩せる傾向にあるため、身はどうしても痩せてしまいます。ただし、産卵期には多少なり水揚げが増えるため、高知県などのように夏を旬としているところもあります。
ヒメダイのおすすめの食べ方
産地にもよりますが、5月頃からは抱卵したものが混じり始めますので、身質をマダイに良く似た上品な白身ですので、鮮度がや太り具合をよく確認しましょう。
真子や白子が入っていれば、まずは煮物はお勧めです。1日おいておくと、煮凝りでも美味しく頂くことが出来ます。
ハマフエフキ
ハマフエフキはフエフキダイ科の中でも最も大きく、全長1m程度までなります。熱帯から亜熱帯の海域に多く、沖縄県では「タマン」と呼ばれ、重要な食用魚です。
暖かい海の魚は大味で美味しくないというイメージがありますが、この魚は味の良さには定評があり、高級魚として扱われていて、関西市場や東京市場にも出荷されています。
主な産地は、沖縄県、鹿児島県、長崎県、宮崎県、高知県など、暖かい海域に面した地域となります。
沖縄県では3月下旬頃から獲れ始めますが、本格的にシーズンインするのは4月くらいからで、それから夏に向けて最盛期となります。
ハマフエフキのおすすめの食べ方
鮮度が良ければもちろんお刺身が美味しいのですが、皮は非常に硬いので、取り除いた方が良いでしょう。
非常にクセのない白身で料理を選びませんので、和洋中問わず、煮物、焼物、汁物、揚物など何でもできるため、飲食店でも重宝されています。
メイチダイ
メイチダイは大きな目が特徴的なお魚です。この目を貫くように一筋の帯状の模様があることが名前の由来とされています。水揚げが少ないため、一般にはあまり知られていませんが、味の評価がすこぶる高いため活物での流通も多く、時にはマダイより高くなることもある高級魚です。
主な産地は中部以南の太平洋沿岸各地で、三重県や長崎県などで比較的多く見ることが出来ます。
どの時期であっても味の評価が高いお魚ですが、夏から秋にかけて産卵期を迎えるため、その前の初夏から夏が一番脂がのって美味しいとされています。
メイチダイのおすすめの食べ方
目を潰すと独特の臭いが出ますので、調理の際には気を付けて下さい。加熱すると臭いは和らぐと言われていますが、取っておいた方が無難です。
身自体は脂ののった綺麗な白身で、もっちりした食感が特徴です。鮮度が良ければまずは長志位がお勧めです。皮は柔らかく、皮下の脂に旨味が詰まっているので、焼霜や湯霜造りにすると良いでしょう。
また、薄く削いでも旨味は十分味わえるので、味付けを控えたカルパッチョやマリネもお勧めです。
また、加熱しても硬くなりにくい身質ですので、料理は選びません。加えて、アラからはとても良い出汁が出るので、スープなどで楽しむことが出来ます。
ナシフグ
あまり馴染みのないフグですが、香川県では、2010年に香川県漁連が地元のナシフグの販売促進を目的に「讃岐でんぶく」のブランド名で商標登録するなど、力を入れています。
以前は比較的安価なフグとして流通していましたが、韓国産で食中毒が発生したため、1993年に販売禁止となり、一度姿を消してしまいました。しかし、1995年に有明海と橘湾、1998年には香川県と岡山県の瀬戸内海沿岸産のみ解禁され、国内で漁獲海域を限定して販売許可措置がとられている唯一のフグとなりました。加えて、漁獲後に適正処理を行い、販売時には「産地確認認証紙」の添付が義務付けられています。
フグは冬のイメージが強いのですが、ナシフグは1年中水揚げがあります。最盛期は春から夏にかけてです。ただ、どうしてもこの時期はフグの需要期から外れてしまっているため、一旦冷凍してから、冬に出荷することが多くなっているようです。
ナシフグのおすすめの食べ方
トラフグほど高価ではないため、気軽に楽しめるフグとして産地では人気があるようですが、産地以外で入手しにくいのが難点です。
身は柔らかめなので、お刺身する場合は、水分を抜いたり、炙ったりなどするなどした方が良いでしょう。
逆に、加熱しても硬くなりにくいので、煮物、焼物、揚物などには適しています。
※フグは猛毒のテトロドトキシンを持っているため、調理は必ず免許を持っているプロにお願いしましょう。
カンパチ
カンパチは、お刺身向けの魚として流通することが多いため、基本的に高級魚として取引されています。アジ科の中ではヒラマサに次いで大きくなり、大きなものは2m近くになります。近縁種にヒレナガカンパチがいますが、こちらは大きくても1ⅿ程度です。
ブリと同じく成長とともに呼び名が変わる出世魚と言われてはいますが、呼び名は地方やその時々で異なりますので、正直なところはっきりしていません。関東周辺では、30cm位までをショッコ、60cm位までをシオゴ、80cm位までをアカハナ、それ以上をカンパチと呼びますが、全国的にはどのサイズもカンパチで流通しているようです。
産地としては、天然物だと長崎県、鹿児島県、高知県、福岡県などです。養殖も盛んに行われており、産地としては鹿児島県が全体の半分程度と抜きんでており、その他は愛媛県、宮崎県などです。
美味しい旬は夏から秋と言われていますが、この時期は産卵期から産卵期明けとなりますので、正直なところ良い時期とはは言いにくいのですが、水揚げが増えること、時期に暖海性のお魚のため、ブリとは違い身質に大きな変化がないこと、冬のブリと夏のヒラマサの合間を埋めるような使い方を良くされることなどから、この時期を旬としているのではないかと推察されます。
カンパチのおすすめの食べ方
お刺身向けとして丁寧な扱いを受けることが多いお魚ですので、まずはお刺身をに勧めざるを得ません。
脂ののりは、寒ブリほどではないものの、適度に程良くと言う感じですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。
養殖を召し上がる場合が、寒ブリに負けないくらい脂がのっているので、逆に少し脂を落とす意味でも、焼物や煮物などにした方が良いかも知れません。
ヒラマサ
ヒラマサはカンパチと同じくブリの仲間で、ブリにそっくりなのですが、何故か出世魚ではありません。カンパチと比較しても水揚げが少ないことから、知名度は決して高くありません。しかし、味の評価が高いため、高級魚として扱われることが非常に多く、寿司店や専門料理店でなどでしかお目にかかることが出来ません。また、アジ科の中では最も大きくなり、大きなものは2mを超すこともあります。
産地としては、九州全域、高知県などがあげられますが、水揚げ自体がとても少ないので、突出したところはありません。大分県では養殖も行われてますが、こちらもほんのわずかで、へたをすると天然物よりお目にかかる機会が少ないかも知れません。
初春から夏に産卵期を迎えますが、暖海系のお魚ですので、カンパチと同じく1年を通して身質が大きく変化することもありません。ただ、少ないながら水揚げが増えるのが夏から秋にかけてですので、この時期を旬とするところが多いようです。
ヒラマサのおすすめの食べ方
お刺身向けとして丁寧な扱いを受けることが多いお魚ですので、まずはお刺身をに勧めざるを得ません。
脂ののりは、寒ブリほどではないものの、適度に程良くと言う感じですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。
ブリ
この頃は、いわゆるツバスとかヤズとか呼ばれる30cmくらいの大きさのもので、ブリの名前では流通していません。
このサイズは、初夏のさっぱりした味わいのものが良いと言う評価と、秋から初冬に少し脂を蓄えた時期のものが良いと言う評価に別れています。
この時期のものは、水温が上がるにつれて北上しますので、太平洋側では東海から関東で、日本海側では山陰から北陸で水揚げが増えます。価格も非常にお手頃ですが、それが故、雑な扱いをされる場合もありますので、購入される場合は鮮度チェックが必要です。
小さなものは養殖での出荷はありませんので、ほぼ間違いなく全て天然物となります。
ブリのおすすめの食べ方
この時期のものはあっさりした味わいが特徴です。最盛期のものと比べると脂ののりは少ないのですが、お魚自体の味わいが楽しめますので、鮮度が良いものが手に入れば、まずはお刺身がお勧めです。
ただし、脂が少ないため、加熱すると硬くなりやすいので、揚物、ムニエル、ソテーなど油分を加える料理が適当でしょう。
もちろん、あっさりした味わいをお望みなら、そのまま調理して頂ければ良いでしょう。
キュウセン
キュウセンの背面中央と体側には黒色の太い縦帯が入っており、この線の合計数である9本が名前の由来と言われています。また、このお魚は雌性先熟で、若いときには全てメスで、全体に赤みを帯びているためアカベラと呼ばれることがあります。大きくなるとオスに性転換しますが、この際に今度は青みを帯びるため、アオベラと呼ばれることがあります。
全国の沿岸で良く見られますが、その派手な色合いからか、食用とする地域は瀬戸内海周辺などに限られており、特に外洋に面する地域では見向きすらされないこともあります。
キュセンの産卵期は5~7月くらいですので、この時期は身がやや痩せてしまいますが、このお魚は水温がおおむね15℃以下になると砂に潜って眠ってしまいますので、夏の暖かい時期にしかお目にかかることは出来ません。ただし、休眠明けということもあり、産卵期前後には食欲が旺盛になっていますので、脂はしっかりとのってきます。
キュウセンのおすすめの食べ方
キュウセンは見た目とは異なり、とても上品な白身で、特に夏は脂も程よくのっています。ただし、水分が多く非常に柔らかいので、丁寧に調理する必要があります。
鮮度の良いものは、お刺身でも食べられますが、塩や昆布などで多少なり水分を抜いた方が良いでしょう。皮はかなり派手ですので、少し抵抗があるかも知れませんが、柔らかい上に、皮下の脂に旨味が詰まっていますので、お刺身にする際には焼霜か湯霜造りにするのがお勧めです。
塩焼きにすると、水分が多いことが幸いして、柔らかくホクホクとした食感になります。
また、お刺身や塩焼きに出来ないような小さなものは、頭、鱗、内臓を取り除き唐揚げや南蛮漬けにすると、骨まで美味しく頂くことも出来ます。
ホッケ
ホッケと言うと、まず思いつくのが開き干しで、全国で認知されています。ただし、鮮魚となると産地が北海道に限られてしまうこともあり、あまり馴染みはありません。今では、輸送技術の発達により、関東、関西の市場でも見られるようになりましたが、それでもお目にかかる機会はほとんどありません。
ホッケは元々安価で、干物はとても美味しいため、あっという間に需要がふえたものの、ピークの1998年には24万トンもあった水揚げは、2016年には1.7万トンまで落ち込み、値段も急上昇しました。
少なくなったとは言え、ホッケはほぼ1年中漁が行われています。北海道の漁期は、石狩、後志、檜山、宗谷では周年、網走は3~翌1月、根室は5~11月などとなっています。水揚げが比較的多いのは5~11月ですが、秋に産卵期を迎えるため、最も身が充実するのは4月中旬~7月と言われています。
ホッケのおすすめの食べ方
鮮度が良いものが手に入れば、生食も可能と言われていますが、ほぼ確実にくアニサキスが寄生していますので、お勧めはしません(どうしてもの場合は冷凍処理するか、自己責任です)。
ホッケは加熱した方が旨味が増すと言われており、身も硬くなりにくく、身離れも良いので、産地であっても干物の流通が基本ですので、どうしても焼物がメインとなります。ただし、鮮魚が手に入った場合は、煮物、ムニエル、揚物など多種多様な料理が可能です。皮はとても硬く食用には不向きですので、料理によっては最初から外しておいた方が良いでしょう。
メナダ
メナダはボラの仲間で、非常によく似ています。大きな違いは唇で、上唇が下方に曲がっていることや、赤い色をしていることで見分けが付きます。この赤い唇から朱口(シュクチ)と呼ぶ地域もあります。また、メナダも大きさで名前が変わる出世魚ですが、全国的に見ても認知度はかなり低めです。
生息域は、ボラと同じように内湾や汽水域になることもありますが、ボラのように奥までは入り込むことはなく、河口や湾の入口に留まりますし、どちらかと言うと綺麗な砂地や外洋を好みますので、ボラのように身質が環境に左右されることはあまりありません。水揚げされた海域にもよりますが、特に外洋で獲れたものは臭みもなく美味しいとされています。ただし、このように高い評価が得られるのは、有明海や瀬戸内海などに限られており、関東地方ではボラと混同されて流通することも多いためか、ほとんど評価されていません。
美味しい旬の時期は、ボラが真冬の産卵期とされているのに対しに、メナダは産卵明けの晩春から夏とされていますので、良く似ていても美味しい時期は真逆になります。
メナダのおすすめの食べ方
メナダはクセのない上品な白身ですので、料理は選びませんが、生息域によっては皮下の脂が臭うこともありますので、皮は引いておいた方が無難です。
鮮度が良いものであれば、もちろんお刺身がお勧めです。活〆のものであれば、洗いにするとプリッとした食感も楽しむことが出来ます。
キハダ
キハダは世界中の温帯から熱帯で広く漁獲され、ツナ缶などの原材料としても重要で、世界的に需要があります。今では安価でポピュラーなマグロとして、スーパーなどに良く並んでいますが、冷凍や物流技術が未発達であった頃は、近海で水揚げのある高知県、三重県、九州各地などの産地と、産地に近い関西地方でのみ消費されていました。
現在では、冷凍はもちろん、生鮮の輸入含めて1年中流通していますので、旬かわかりにくいお魚のひとつになってしまいました。
産卵期は、赤道及び熱帯域では周年、西部太平洋では4~7月と言われており、1年中どこかで産卵を迎えていることになりますが、日本近海では産卵期の夏に水揚げが増えますので、夏を旬としています。
キハダのおすすめの食べ方
生鮮のキハダの身は、特別大きなものを除き、鮮やかな薄いピンク色をしており、脂肪分が少ないのが特徴で、赤身の割にあっさりした味わいです。
お刺身でも美味しいのですが、旨味が足りないと感じられた場合は漬けにすると良いでしょう。
ハラミやカマは非常に安価で出回っている上に、脂がしっかりのっていますので、焼物にすると良いでしょう。
また、産地でないと難しいですが、この時期は卵が流通することがありますので、入手出来たら煮付けがお勧めです。
マナガツオ
カツオと言う名前が付いていますが、カツオとは似ても似つかぬ容貌に加え、身質も全く異なります。江戸時代に書かれた「本朝食鑑」によれば、「カツオの鱠(なます)は世間で広く知られているが、これは鮮度のいいカツオでなければならない。京都は海から遠く、新鮮なカツオが手に入らないので、代わりの魚のカツオに学び鱠で食べている。」とされており、ここから学鰹(まながつお)と名付けたと記されています。
体は楕円形で側扁し、背ビレと臀ビレがカマのような形に大きく発達しています。また、頭部が小さく、それに準じて目や口も非常に小さくなっています。また、一見するとウロコがないように見えますが、実際には燻銀色の細かいウロコが沢山あります。ただし、非常に剥がれやすいため、特に網で獲られたものは地肌がむき出しになっていることもあります。
主な産地は東シナ海に面した九州東岸から南九州と、瀬戸内海ですが、いずれの海域も水揚げが減少しており、鮮度の良いものは高値で取引されることが非常に多くなりました。
漁期は地域により異なります。瀬戸内海では産卵のため入って来る初夏から秋までで、少ないながら水揚げは増えるものの、やや身が薄く、脂ののりもいまひとつで、あっさりした味わいになります。東シナ海は12月頃から翌春先までで、この時期は脂ののりも良く、最も身が充実した季節となります。
マナガツオのおすすめの食べ方
上述した通り、細かい鱗が残っているので、しっかりと取っておく必要があります。また、身が非常に柔らかいので、丁寧に優しく取り扱う必要があります。
この時期は、産卵期のためやや身が薄くなっていますので、お刺身にする場合は、鮮度はもちろんですが、少し大き目のものが必要です。焼物にする場合は、少し旨味が足りないので、味醂や味噌に軽く漬け込んだものを使ったり、ソテーなどにすると良いでしょう。アラは煮物やお吸い物にすると、冬場のものよりあっさりとした上品な味わいとなります。
アナジャコ
シャコと名前が付いており、良く似ていますが、シャコは口脚目であるのに対し、アナジャコは十脚目に分類されるため、ヤドカリやエビの仲間になります。
全国の干潟に生息しており、比較的多く見られるのは長崎県、佐賀県、熊本県、岡山県などです。有明海では、巣穴に書道用の大筆を差し込み、嫌がって出てきたところを釣り上げる独特の漁法があります。
とにかく1尾ずつ根気よく獲るしか方法がないため、水揚げは少なく、産直お取り寄せでもしない限り、消費地で入手することは極めて困難です。加えて、味の良さも加わり、産地であっても、お取り寄せであっても、高値で取引されています。
初夏から夏に向けて、少ないながらも水揚げが増えますが、産地であっても店頭に並ぶことはほとんどない、知る人ぞ知る夏の風物詩です。
アナジャコのおすすめの食べ方
アナジャコは殻が柔らかいので、加熱すると小エビのように殻ごと食べることが出来、とても風味豊かな味わいとなります。産地では、唐揚げ、天ぷら、塩茹で、煮付けなどで食べられています。
ただし、干潟に棲んでいますので、調理する前に、出来れば綺麗な海水で数日活かし込みをして泥を吐かせたり、体に付いた汚れをしっかりと洗い流しておいたりしなければなりません。
トゲザコエビ
トゲザコエビは、産地ではガスエビ、ドロエビ、モサエビなどと呼ばれています。見た目は決して良いとは言えませんが、鮮度の良いものは生食用として非常に評価が高く、アマエビよりも甘いとさえ言われています。産卵期は1~3月のようですが、初夏にも抱卵が確認されるなど抱卵期が長いため、子持ちのものが多く見られます。
生息域に関しては未解明な部分が多いのですが、主に山陰以北の日本海からオホーツク海で見られ、主な産地として知られているのは、島根県以東の山陰地方、北陸地方、新潟県や秋田県などです。
主に底曳網漁で獲られるので、日本海側各地で底曳網が禁漁期となる夏以外が漁期となりますが、産地では冬場にズワイガニ漁が始まりますので、水揚げが増えるのはズワイガニ漁が終わった春から初夏にかけてです。春から夏は卵と一緒に、晩秋から冬は身だけを楽しむことが出来る時期となります。
水揚げも少なく、産地での評価が高いため、産地でほぼ全て消費されてしまいますので、消費地への出回りはまずありません。旅先などで見かけた際にはぜひお召し上がり頂きたいもののひとつです。
トゲザコエビのおすすめの食べ方
底曳網で獲られるため、砂や泥を噛んでいることがありますので、調理前にしっかり洗っておきましょう。
お刺身にする場合は、活きているくらい鮮度が良いものが適しています。死んでから時間が経つと殻が白濁したり、黒ずんできたりしますので、目安にして下さい。
お刺身に厳しそうなものは、塩茹で、塩焼きが、小さなものは、唐揚げ、炒め物がお勧めです。ただし、唐揚げや炒め物にする場合は、頭の殻やトゲが口に当たることがありますので、頭ごと取り除いておいた方が良いでしょう。頭は焼いてから、汁物などの出汁を取るのに使っても良いです。
トヤマエビ
トヤマエビは、一般にボタンエビとして市場に流通しています。これは、ボタンエビの水揚げが減少したため、良く似ているトヤマエビを代用品として流通させている内に、流通名として定着してしまったことによるものです。ちなみにトヤマエビの名前の由来は、富山湾で研究用として最初に採捕されたことによるもので、富山県周辺に多く生息していると言う意味ではありません。実際のところ、富山県の水揚げはわずかで、大半は北海道となっています。
産卵期は早いところで4月頃から始まりますが、期間が非常に長く、一旦抱卵すると産卵まで10ヶ月程度かかりますので、正確な旬の時期についての把握は困難です。ただし、卵も味わいのひとつですので、産卵明けで身が痩せた物を除けば、いつでも美味しい時期と言って良いでしょう。北陸などではズワイガニ漁が出来ない時期に漁をしたりするので、金沢周辺では3月下旬から夏にかけて水揚げの最盛期を迎えます。
トヤマエビのおすすめの食べ方
ボタンエビの代用品とはいえ、水揚げは決して多くなく、食味の良さから高級品として取引されていますので、料亭や寿司店以外でお目にかかることはまずありません。
鮮度の悪いものが流通することはまずありませんので、まずはお刺身がお勧めになります。
頭は加熱することでミソまで美味しく頂くことが出来ますが、ボイルすると風味が失せてしまうので、加熱する場合は、焼くか、電子レンジが良いとされています。
モロトゲアカエビ
標準和名のモロトゲアカエビで呼ばれることはほぼなく、産地や市場ではシマエビとか、スジエビと呼ばれており、ボタンエビなどと同様に高値で取引されています。
本種を目的とした漁はなく、北陸や北海道で、底曳網漁やエビ籠漁などでわずかに混獲される程度です。これに伴い漁期もはっきりしていませんが、北陸ではカニ漁が終了してからの3月くらいから8月くらいまでは水揚げが確認出来ます。また、北海道ではアマエビの漁期とほぼ一緒です。
産卵期は秋から春にかけてですので、身質が良いのは秋ごろとなりそうですが、その頃は水揚げほとんどなく、春から初夏に水揚げが増える傾向があるようです。
モロトゲアカエビのおすすめの食べ方
食味の良さから高級品として取引されていますので、料亭や寿司店以外でお目にかかることはまずありません。
鮮度の悪いものが流通することはまずありませんので、まずはお刺身がお勧めになります。
少しもったいないですが塩焼きや唐揚げでも美味しく頂くことが出来ます。また、頭やミソ、殻からはとても良い出汁が取れますので、味噌汁などで楽しむことが出来ます。
小エビ(総称)
小エビ、または単にエビとして流通している小型のエビは、細かく分けるとアカエビ、サルエビ、トラエビなどですが、漁場も漁期もほぼ同じため、混獲され区別されることなく流通しています。
主な産地は、伊勢湾、瀬戸内海、有明海などの内湾です。産地では食用として流通することもありますが、干しエビ、煎餅、釣餌などの需要が高いため、あまりお目にかかる機会はありません。これらのエビは6~8月の産卵期が盛漁期となりますが、産卵後は死んでしまうため、秋以降、子が育ち大きくなる翌年の初夏まではお目にかかることが出来なくなります。
小エビのおすすめの食べ方
生きていれば問題ありませんが、そうでない場合は出来るだけ綺麗な色をしたものを選んで下さい。殻が黒くなり、ドリップが出ているものは、臭いが出るので止めておきましょう。
一番ポピュラーな食べ方は塩茹でです。殻をむくのが少し面倒ですが、エビそのものの味を楽しむことが出来、ビールなど、お酒の当てとしても最適です。かなり小さなものであれば、殻付きのまま唐揚げやかき揚げにしても美味しいですが、棘や殻が口の中に刺さることもあるので、気になる場合は頭や尾は取り除いておいた方が良いでしょう。
サクラエビ
サクラエビは大きくなっても4~5cm程度の小さく、透明感のある桜色のエビです。名前は聞いたことがある方が多いと思いますが、大半が乾物での流通となっていますので、生鮮にお目にかかる機会は、産地でもない限りかなり難しいでしょう。
国内でサクラエビの漁業許可が与えられているのは、駿河湾に面した静岡県清水区の由比(ゆい)港、蒲原(かんばら)港、焼津市の大井川港のみです。したがって、日本産の桜エビは全て駿河湾で捕れたものとなります。海外では台湾近海で桜エビが捕れており、乾物などに加工されて輸入されています。
また、資源保護の観点から漁期も春と秋の2回と定められており、春は3月下旬~6月上旬、秋漁は10月下旬から12月下旬となっています。
網で捕まえたサクラエビは、体を傷付けないように専用のホースで吸い取られて箱に詰め、港へ着いたら、鮮度が落ちない内に、冷凍や乾燥などへ加工がされてます。サクラエビは鮮度が落ちやすいため、生の桜エビを食べられるのは、漁期の間の駿河湾近郊だけとなります。
また、サクラエビの天日干しをする富士川の河川敷は、真っ赤な絨毯を敷き詰めたような風景になりますので、機会があれば一度は見ておきたいものです。
サクラエビのおすすめの食べ方
干しえびとして流通することが多いので、和え物やふりかけ的な要素が高いのですが、生鮮での入手が出来たらぜひ試していただきたいのが生食です。
殻は柔らかいので、そのまま食べることができ、サクサクした歯ごたえと、ふんわりした甘味を味わえます。生食は特に秋のものが殻が柔らかくて良いと言われています。
また、忘れてはならないのがかき揚げです。元々香りのよいエビですので、加熱することにより一層風味が増します。こちらは味が比較的しっかりしている春のものの方が適していると言われています。
その他は、釜揚げ、炊き込みご飯などがお勧めでです。
シラエビ
シラエビは富山湾を漁場とする石川県能登や富山県の特産品として有名です。産地ではもっぱらシロエビと呼ばれており、富山県ではホタルイカ、ブリとともの「富山県の魚」に選定されています。体色は透明ですが、手足、触角、尾、背の峰に薄い赤色の小さな斑点が無数にあり、ほんのり赤く見えるため、水揚げしたばかりのシラエビは非常に美しく「富山湾の宝石」と言われています。
シラエビは日本沿岸にしか生息しない固有種で、実は太平洋側の遠州灘、駿河湾、相模湾などにも生息していますが、棲息密度が高く、商業的に漁が行えるのは富山湾だけです。
鮮度落ちが早いため、消費地では乾物などの加工品くらいしか見ることが出来ませんでしたが、今では流通の発達により遠く離れた消費地でも生鮮品が入手出来るようになりました。
富山湾のシラエビ漁は4月1日~11月までで、最も身質が良いのは4月解禁から初夏辺りと言われています。
シラエビのおすすめの食べ方
黒変したり、ドリップが出ているものは臭いもあり、風味も失せていますので、どのような料理をするにしても鮮度が良いものを選びましょう。
獲れたてもののであれば、まずはお刺身がお勧めです。柔らかく、透明感のある身は、ほのかに甘く、エビの香りを楽しむことが出来ます。ただし、大きくても10cmに満たない小さなものであることに加え、殻が薄く、かつ非常に柔らかいため、むき身にするのに大変な労力を要します。
簡単に楽しむには、唐揚げやかき揚げがお勧めです。上述したように殻は薄く柔らかいので、そのまま加熱調理しても口に当たることはなく、またシラエビ独特の風味も一緒に楽しむことが出来ます。また、小さくても良い出汁が出ますので、すり身にする場合も殻ごとがお勧めです。
ヨシエビ
ヨシエビは大きくても20cm程度までの中型エビです。西日本に産地が多いため、東日本以北ではほとんど馴染みがありませんが、クルマエビほどではないものの、食味の良さからスシネタや天ぷらネタとしての需要も多く、クルマエビほどではないものの活物はそこそこの値段で取引されており、産地であってもスーパーなどに並ぶことはほとんどありません。また、標準和名で呼ぶ地域も少なく、近畿圏以西ではシラサエビと呼ぶ地域が多いです。
主な産地は、愛知県三河湾以西、及び若狭湾以西で、種苗放流している地域もあります。また、東南アジアなど海外にも生息しており、各地で重要な食用エビとなっています。
まとまった水揚げはないため、本種を目的とした漁はなく、様々な漁法で混獲されていますので、1年中水揚げがありますが、比較的水揚げが増えるのは初夏から秋にかけてで、この時期を旬とする地域が多いです。しかし、この時期のメスは卵巣が発達しているため、本当に美味しいのは冬とする地域もあります。ただし、冬場の水揚げは多くありません。
ヨシエビのおすすめの食べ方
ヨシエビはどのような料理をするにしても活物が基本となります。黒変したり、白濁したものや、ドリップが出ているものは、臭いもあり風味も失せていますので、避けた方が良いでしょう。また、砂泥地に生息していますので、調理する前ににしっかり洗って、背ワタは必ず抜いておきましょう。
生きているものであれば、お刺身と行きたいところですが、このエビは加熱した方が旨味が増すと言われていますので、まずは、塩茹で、塩焼きがお勧めです。次いで、天ぷら、お刺身と言う順番でしょうか。頭や殻からはとても良い出汁が出ますので、天ぷらなどにする際には捨てずにとっておき、お吸い物などに使いましょう。
ウチワエビ
ウチワエビはその名の通り、頭部が丸く平たくウチワのような恰好をしていることから名付けられました。
味の良さから、業務筋ではかなりの高値で取引されていますが、流通量が少ないことから認知度は低く、スーパーなどに並ぶことはまずありません。
九州から島根県辺りまでの西日本で比較的目にすることが出来ますが、ほとんどが産地で消費されているようです。
ウチワエビの産卵期は秋とされているため、その期間と前後を避ければ良さそうなものですが、地域によって漁期が定められており、例えば長崎県の五島列島では10月1日から11月末までと決められているので、漁期が旬にならざるを得ません。
ウチワエビのおすすめの食べ方
とにかく活きているものを選びましょう。死んだものは、締めて冷やし込みをしてあるものならまだしも、野締めのものは臭みが出るので注意が必要です。
大きな頭で歩留まりは無茶苦茶悪いですが、その身はイセエビに勝るとも劣らずで、お刺身はもちろん、茹でても、焼いても美味しく頂けます。
また、殻からはとても風味豊かな出汁が出るので、汁物などにもお勧めです。
ガザミ
ガザミの仲間で食用として流通しているものは種類が多く、タイワンガザミ、ジャノメガザミ、イシガニ、ノコギリガザミなど多種多様です。また、本種は標準和名のガザミではなく、もっぱらワタリガニで流通しています。
ガザミ類は北海道南部以南の全国に分布していますが、主な産地は内湾で、三河湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、有明海などで多く見られます。県別では、愛知県、福岡県、愛媛県などです。
ガザミの産卵期は初夏から秋にかけてで、この頃は外子を抱えたメスが多くなります。夏には脱皮をするものが多いこともあり、身入りが良くて美味しいの時期は、秋に深場に戻る頃から内子が充実する冬です。しかし、冬になると深いところに潜ってしまうため、水揚げはとても少なくなります。
水揚げだけだと、浅場に移動してくる初夏から夏です。このように、旬については一概には言えませんが、身を楽しむなら夏から秋のオス、内子を楽しむなら冬のメスと言うことになりそうです。
ガザミのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
この時期のオスは身入りがしっかりしているものが多いので、蒸す、茹でる、汁物などの基本的な料理はもちろん、小さなものは揚物にしたり、身をほぐしてグラタンやパスタなどにしても良いでしょう。
クリガニ
クリガニはケガニの仲間ですが、甲長が8cm程度と小さいカニです。足も短く、身が少ないのこともあってか、とても安く流通していますが、ケガニ同様にミソはとても美味しい上、メスの内子は絶品で、コストパフォーマンスには優れています。
主な産地は北海道根室沿岸からオホーツク海沿岸にかけてです。ほぼ産地で消費されてしまうため、消費地ではあまり見ることはありません。
クリガニは主に春から初夏に漁獲されますが、春はメスが内子を持つため人気が高くなります。夏を過ぎても獲れないことはないようですが、脱皮の時期と重なるため、身入りがとても悪くなります。
良く似たものにトゲクリガニがいます。見た目だけではなく、味わいや漁期も酷似しており、混獲された場合は区別することもなく流通していることもあるため、さほど気にする必要もないかも知れませんが、大きな違いとしては下記の3点が挙げられます。
1)クリガニの額角は4歯がほぼ同じ大きさなのに対し、トゲクリガニは真ん中の2歯が気持ち小さめ
2)クリガニのメスの生殖口の周りが硬く厚い壁に取り巻かれているのに対し、トゲクリガニには壁自体がない
3)クリガニの国内産地は室蘭、根室、釧路、網走であるのに対し、トゲクリガニは北海道西岸の日本海側、津軽海峡、三陸沿岸
クリガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
このカニはシンプルに茹でるか、蒸すかして食べるのが最も良いとされています。メスであれば内子、オスであれば身が詰まっていますが、何せ小さいので、足をもいでかぶりつくような食べ方が最適とされています。もちろん、良い出汁が出ますので汁物にも最適です。
ケガニ
ケガニはクリガニやトゲクリガニなどと同じクリガニ科のですが、クリガニやトゲクリガニは安価なのに対し、ケガニはオスで甲長15cmと大きくなるため、身がしっかりあることに加え、身やミソの美味しさから高級品として流通しています。
主な産地は、胆振、日高、網走、宗谷、十勝、釧路などの北海道沿岸各地と岩手県です。以前は大量に水揚げがあったとされていますが、今では最盛期の10分の1程度まで減少しているため、各地で厳しい規制が行われています。メスガニ、甲長8cm未満、脱皮直後ののものはリリースされます。加えて、リリース時に傷ついていたりすると死んでしまうため、必ず籠を使って漁をしなければなりません。また、漁が行える船隻数、1隻が使える籠の数、漁期中の水揚げ総量などの制約もあります。
ケガニは冬にになると出回るが増えるようなイメージがありますが、実は1年中どこかで水揚げがあります。それぞれの漁期は、胆振で6~7月、登別から白老町沖で7月中旬から8月中旬、日高で12月~4月、十勝と釧路で1~3月と9~12月、オホーツク沿岸は流氷がなくならない塗料が出来ないため、網走で3~8月、雄武町で3月下旬~7月下旬、宗谷で3月15日~8月21日となります。道外の岩手県では12~3月となっています。
それぞれの産地で、最も身質が良いであろう時期に漁が行われていますので、他のカニ類とは異なり、いつでも美味しいケガニに巡り合うことが出来ます。
ケガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。高いカニですので、慎重に選びましょう。
新鮮なものはお刺身で食べることも出来ますが、クリガニの仲間は足が短くいので、可食部分はわずかです。やはりお勧めお薦めの食べ方は、茹でるか蒸すかしたものの身やミソをほぐして食べることです。クリガニの仲間は何と言ってもミソが美味しいので、この食べ方が一番でしょう。
もちろん、良い出汁が出ますので汁物にも最適です。また、グラタン、パスタ、サラダ、コロッケなどの洋風料理でも、他の具材に味が負けることなく、ケガニの芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
ベニズワイガニ
ベニズワイガニは松葉ガニでも知られるズワイガニの仲間で、姿形はそっくりですが、その名の通り加熱しておらずとも既に赤い色になっているのが最大の特徴です。水揚げがズワイガニより多いと言うこともありますが、足が細く、身が水っぽいと言うことなどから、国産ズワイガニの5分の1~10分の1の値段で流通することも多いです。しかし、ミソの旨味や身の甘味はズワイガニより良いと言う評価もあり、とにかくコストパフォーマンスには優れています。
産地としては、鳥取県、島根県、兵庫県、新潟県、石川県など日本海側に集中しており、特に山陰地方で多く水揚げされています。兵庫県では香住漁港にしか水揚げされていないことから、香住ガニと呼ばれており、良いものは漁船の名前が印字された白いタグが付けられてから出荷されます。
ベニズワイガニもズワイガニ同様、資源保護のため各地でサイズ規制や禁漁期間が設定されており、また、メスは全国一律で捕獲禁止とされています。
主な漁期は、鳥取県(境港市)で9~6月、兵庫県(香住)と富山県で9~5月、新潟県と石川県で3~12月、北海道の茂津多岬以北で7~4月、北海道の茂津多岬以南で4~8月と、1年中どこかで水揚げされていますので、いつでも楽しむことが出来ます。
ベニズワイガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
鮮度がべらぼうに良い場合はお刺身でも食べることも可能ですが、水分が多いのであまりお勧めはしません。ミソは濃厚で、身の甘味は強いため、特にお勧めするのはシンプルに焼き、茹で、蒸し、汁物などです。また、カニの風味が強く、乳製品などとの相性も良いので、グラタンやクリームコロッケなどもお勧めです。
また、ベニズワイガニは缶詰などでむき身になったものも多く流通していますので、調理の下処理が面倒な時には便利です。
ハナサキガニ
ハナサキガニの手足は8本で、タラバガニの仲間ですので、分類上はカニよりヤドカリに近い種類となります。名前の由来は 花咲半島(根室半島)で多く獲れたことからと言う説と、茹でた時に花が咲いたような見事な朱色になるからという説がありますが、どちらかははっきりしません。
主な産地は、釧路港(襟裳から根室にかけての太平洋沿岸)と、花咲港(根室半島のオホーツク海)です。以前は年間1000トン程度水揚げがあったようですが、見境なく獲ってしまったこともあり、今では10分の1程度まで減少しています。このため、水揚げされたものは、地元や、札幌、函館などでほぼ消費されてしまい、道外に出回ることは滅多にありません。現在では、漁期を4~9月(6~7月は産卵期)、オスは甲長8cm以上、メスは甲長11.5cm以上のみを漁獲対象としていますが、何故か産卵期のメスも漁獲対象としている影響もあるためか、明確な資源回復には至っておりません。
ハナサキガニのおすすめの食べ方
ハナサキガニも死んでしまうと、く自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
ハナサキガニは殻がとにかく硬い上に、刺々しいため、調理する際には必ず軍手などでカバーして下さい。
とても濃厚な味わいが特徴ですので、あまり余計なことをせず、茹でガニ、焼きガニ、汁物などで素直に味わうのが良いでしょう。
6~7月はは産卵期ですので、メスには外子が付いている場合があります。これも加熱すると食用になりますので、身と一緒に頂くと良いでしょう。
また、タラバガニ同様に加熱するとミソが流れ出てしまいますので注意が必要です。
ミミイカ
ミミイカは胴長が4cmくらいで、大きくても大人の手のひらの半分程度のくらいの、とても小さなイカです。胴は丸い砲弾型で、その真ん中あたりに丸く耳状にヒレが付いており、これが名前の由来とされています。
産地としては、瀬戸内海、三河湾などがありますが、混獲でわずかに獲れる程度で、ほとんどが産地で消費されてしまうため、消費地での認知度は激低です。
漁期は地域でかなり異なり、明石では冬場に底曳網で獲れるようですが、子持ちのものが良いとされる傾向がありますので、一応初夏を旬として紹介します。
ミミイカのおすすめの食べ方
生きたものに超したことはありませんが、入手は極めて困難なので、出来るだけ半透明で、白くなっていないものを選びましょう。
鮮度が良いものお刺身で食べることが出来ますが、何せ小さいので下処理はかなり面倒です。
加熱調理する場合は、小さいので、下処理なしで使えそうに見えますが、体に似合わぬくらい墨袋が大きく、そのまま調理すると、墨袋が破けて真っ黒になってしまいますので、面倒でも取り除かなければなりません。また、目と口は硬く、かなり口に当たりますので、気になるようなら取り除いておいた方が良いでしょう。
身は加熱しても硬くなりにくいのですが、とにかく小さいので、加熱しすぎるとさらに小さくなってしまいますので、加熱し過ぎには注意して下さい。
基本的なイカ料理であれば何でも出来ますが、揚物は油が恐ろしい勢いで跳ねますので覚悟が必要です。
ケンサキイカ
ケンサキイカはヤリイカの仲間で良く似ています。見た目の違いとしては、胴がヤリイカよりも太く、腕も太く、触腕については太く長いことなどが挙げられます。胴の先が尖って剣先に似ることが名前の由来とされていますが、ヤリイカも胴の先が尖って鎗のようになっていることが名前の由来とされているように、実際には並べて比較しないとわかりにくいかもしれません。ただし、ケンサキイカが春から夏に水揚げが増えるのに対して、ヤリイカは冬が多いので、同時に見る機会は多くありません。
ケンサキイカは、生息域よって体形に違いが出て来る特徴があり、大きく3つのグループに分けられています。九州沿岸に棲息するものは典型的な体形をしておりゴトウイカと呼ばれています。島根県から兵庫県の山陰地方で獲れるものは腕がより太く、ブドウイカとかシロイカとか呼ばれています。三浦半島や伊豆近辺で獲れるものは、他の半分くらいの大きさいで成熟する特徴があり、メヒカリとかマルイカと呼ばれています。どの生息域のものであっても、身が厚く味の評価も高いことから、高値で流通することが多く、特に干スルメに加工されるものは「一番するめ」とも呼ばれ、輸入品であっても高級品になっています。
主な産地は、長崎県、佐賀県、山口県、島根県などで、佐賀県と山口県ではプライドフィッシュに指定されています。中でも玄界灘は産地としても有名で、佐賀県の呼子ではイカの活き造りが名物になっています。ただし、呼子ではケンサキイカのことをヤリイカと呼ぶので、注意して下さい。
産卵のため春から夏にかけて岸に近寄るため、水揚げのピークを迎えます。特に初夏から真夏に水揚げが増えるため、夏のイカとされています。ただし、獲れ始めのものは子持ちが多いため、身だけを味わうなら産卵を終えた後に、食欲が活性化して身が充実し始める7~9月のものが良いでしょう。
ケンサキイカのおすすめの食べ方
鮮度の良いケンサキイカは何と言ってもお刺身がお勧めです。その身は半透明で艶々しており、歯触り、旨みともに申し分ありません。甘味を増すためには、少し寝かせるか、一度冷凍したりすると良いのですが、柔らかくなってしまいます。また、生のまま明太子などと和えても美味しく頂けます。
加熱しても硬くなりにくいイカですので、お刺身には少し厳しいものや、耳、下足は炒め物や揚物にするとコリコリとした食感とともに、イカの旨味を味わうことが出来ます。
また、子持ちで小さめのものが手に入った場合は、素直に煮付けにして、真子や白子とともに頂いた方が良いでしょう。
ジンドウイカ
ジンドウイカは大きくても胴長10cm程度の小さなイカで、ヒイカとも呼ばれています。
ほぼ全国で水揚げがあり、東日本では宮城県などの三陸から房総沖、中部では三河湾から伊勢湾、西日本では和歌山県や瀬戸内海周辺などで見られます。
市場には周年出荷されているようですが、小さいこともあり品質や味のバラツキが大きなことが原因なのか、値段が高いわけでもないのに、何故かスーパーなどに並ぶことは少なく、料理屋でもあまり見かけることのない、非常にマイナーな存在です。
水揚げが増える時期も産地でかなりばらついており、春から夏というところや、冬から春にかけてというところに分かれます。共通しているのは、晩夏から初冬は水揚げが減るところです。
ジンドウイカのおすすめの食べ方
生きているものは内臓が透けて見えるくらいの透明感がありますが、時間経過とともに赤みを帯び、さらに透明感のない白濁色になります。特にこのイカは小さいこともあって、鮮度劣化が早いので、最低でも多少なり赤みが残っている物を選んで下さい。
鮮度が良ければお刺身がお勧めで、もし生きているものが手に入れば歯応えを楽しむことが出来ます。
加熱調理する場合は、小さいので、特に処理する必要もなく、軽く火を通す程度で十分です。
スルメイカ
スルメイカは日本近海で最も多く漁獲されているイカです。瀬戸内海などの内湾を除けば、ほぼ全国で水揚げがあることから、マイカ、マツイカ、バライカなど様々な呼び名もあります。ここ最近は不漁が続いており、値段もかなり上がってきましたが、どのような料理にも合わせることが出来るため、イカの中では最も重宝されています。
生きている時は半透明ですが、興奮すると全体に赤褐色に発色します。一般市場に出回るものの多くはこの発色した状態で、この色はケンサキイカやヤリイカの色に比べ濃く、時に黒っぽく見えます。
主な漁場はほっかいどうから東北地方にかけてですが、イカ釣船は全国各地から出漁しており、その時々の産地を求めて移動します。水揚げ港は船籍に関わらず主漁場の近くになることが多いため、統計は漁場の近隣である北海道と青森県で全体の6割を占めています。
またスルメイカの魚群は、発生する季節により秋、冬、夏の3つに大まかに分けられ、それそれが育つ海域が異なり、また大きく移動する群もあるため、ほぼ1年中どこかで水揚げがあります。ただし、夏イカと呼ばれるように、水揚げが最も増えるのは夏です。また、大きくなり身が肥えるのは、秋頃に青森県から北海道で獲れるものです。
スルメイカのおすすめの食べ方
生きているものは半透明(または赤褐色)ですが、死んでしばらくすると黒褐色になります。それからさらに時間が経つと段々白くなってしまいます。購入される場合は、少なくとも真っ白になったものは避けた方が無難です。生鮮で良いものがない場合は、鮮度が良いうちに凍結したものを選んだ方が良いでしょう。
鮮度の良いものはお刺身で食べることも出来ますが、スルメイカはアニサキスなどの寄生虫がいることが多いので、特に注意が必要です。
このイカは加熱調理にも良く向き、焼物、煮物、、炒め物、揚物など幅広い料理に対応出来ます、
また、お刺身は元より、干物、珍味、イカ飯などに加工されてたものが多く流通していますので、お手軽に楽しむのであれば加工品を購入されるのもありです。
※スルメイカはアニサキスやニベリニアが寄生していることが非常に多いので、そのまま生食することはお勧め出来ません。ニベニリアは人体には寄生せず、食べても無害とされていますが、見た目が非常に悪いので取り除いた方が無難です。アニサキスはー20℃以下で24時間以上冷凍するか、70℃以上で加熱すれば死滅します。冷凍せず生食する場合は、アニサキスライトなどを用いて隅から隅まで徹底的に目視確認した上で、発見した場合は100%除去しなければなりません。
ホタルイカ
ホタルイカは胴長7cm、重量10g程度の小さなイカで、腕や腹部に沢山の発光器を持ち、蛍と同じように青白く光ることが名前の由来です。
日本海側一帯や、駿河湾、相模湾などで生息が確認出来ていますが、商業漁業が可能な水揚げがあるのは富山県、兵庫県などに限られます。
ホタルイカは富山湾が有名ですが、水揚げが最も多いのは兵庫県の日本海側で、その次が富山県です(とは言っても、この2県くらいしかないのですが)。漁法は異なり、兵庫県では日中の底曳網漁を行うのに対し、富山県は夜間の定置網漁です。兵庫県で獲れるものは、底曳網漁のため鮮度保持が難しく、ほぼ全てが水揚げ後すぐに釜茹でされてしまいますが、富山県では生はもちろん、活物でも出荷出来ますので、評価が高くなっています。
また、富山県では乱獲防止のため、富山市水橋から魚津市にかけての海岸沿い約15km、沖合約1.3kmの海域は、春にホタルイカの群れが押し寄せることから「ホタルイカ群遊海面」として国の特別天然記念物に指定されています。
漁期は、兵庫県で1月下旬頃に解禁となり、3~4月が最盛期を迎え、5月末まで続きます。富山県は毎年3月1日が解禁日で、最盛期は4~5月初旬頃で、6月末まで続きます。身質が最も良くなる時期はいずれの産地も3月頃から4月と言われています。
ホタルイカのおすすめの食べ方
富山県産のものは、生のままパック詰めされたものや、活物で流通することもあります。鮮度が良いものは、身や腕に透明感がありますが、鮮度が落ちてくると全体に白っぽくなり、表皮が薄茶色になりますので、こう言ったものは避けるようにして下さい。
生や活物が手に入ったら、お刺身と行きたいところでしょうが、ホタルイカには旋尾線虫と言う寄生虫がいることが多く、これは人にも寄生します。魚体も寄生虫も非常に小さいので完全に取り除くことは極めて難しいため、いくら鮮度が良くても生食は止めておきましょう。
多少でも食感を残したい場合は、しゃぶしゃぶがお勧めですが、内臓は必ず取り除き、良く洗浄して下さい。また、中途半端な加熱は危険ですので、しっかり火を通して下さい。内臓も一緒に食べたいのであれば、炒め物、煮物、揚物、炊き込みご飯など、然り火を通す料理がお勧めです。また、目や口は他のイカ同様に硬いので、気になる場合はあらかじめ取り除いておきましょう。
※尾線虫は人体内部では成長しませんが、幼体のまま胃腸を破って腹部の皮膚近くに移動し、ミミズ腫れなどの症状を引き起こしたり、腸付近に留まるとと腸閉塞を起こしたりします。冷凍で死滅させる方法もありますが、その温度はー30℃以下ですので、家庭用冷蔵庫では不可能です。
テナガダコ
テナガダコはその名の通り、腕を広げると大きなものでは全長70cm程度にもなる、とても腕が長いタコです。
瀬戸内海、三河湾、有明海などの内湾で底曳網漁などで混獲される程度で、その量は決して多くありませんので、ほとんどが産地で消費されてしまいます。身は水分がやや多く、旨味も足りないと言われているため、生きているものであって、高値で流通することはまずありませんし、死んでしまうとさらに安くなってしまいます。
産卵期は6月頃とされており、この時期に目掛けて浅瀬などに集まる傾向があるためか、春先から初夏にかけて水揚げが増えるところが多いようです。
テナガダコのおすすめの食べ方
とにかく身が細いため、死んでしまうとすぐに鮮度劣化してしまい、臭いが出ることもありますので、とにかく生きているものが大前提です。また、砂泥地に生息しており、底曳網で漁獲されることが多いため、吸盤などに泥や砂を噛んでいますので、調理前にはしっかりと洗って下さい。
韓国ではサンナクチ(活けダコ刺身)に使われており、評価が高いですが、日本では生で食べるほど旨味があるものではないとの評価が一般的です。普通は、煮物、揚物、炒め物などに仕向けられ、味付けもやや濃い目にすることが多いです。加熱すると長い腕がクルクル巻いて食べにくくなるので、調理する前に適度な長さに切っておくと良いでしょう。
マダコ
マダコは昔から重要な食用魚介類で、普通タコと言えばマダコを指しますが、近年水揚げが減少していることもあり、輸入物に加えて、ミズダコ、ヤナギダコなどの割合が増えており、タコ=マダコの構図は崩れつつあります。
マダコは全長60cmほどになる中型のタコで、オスよりメスの方が大きくなります。オスとメスの違いは交接腕と説明されることが多いのですが、一番わかりやすいのは吸盤の配置で、メスはサイズ含めて綺麗に配列しているのに対し、オスはサイズも配列も不規則です。ただし、オスとメスの区別が付いた方が良いのは産卵期くらいで、それ以外は特に区別する必要は感じられません。
マダコだけの水揚げ統計はありませんので具体性に欠けますが、主な産地としては瀬戸内海沿岸、有明海沿岸、三陸沖などがあげられます。
産卵期は海域や水温などの条件で大きく異なるとされており、春頃から始まり秋まで続くとされています。本来であれば、産卵期前のものが良いとされるのでしょうが、西日本では産卵期に当たる夏に半夏生などでタコを食べる習慣があり、三陸ではお正月にタコを食べる週間があり、この時期にマダコを重宝する傾向がありますので、美味しい時期と言うより食べる時期で旬を定める傾向が高いようです。したがって、産卵期に入る夏を旬とする地域は有明海沿岸と瀬戸内海沿岸で、有明海沿岸では「盆ダコ」、瀬戸内海沿岸では「麦わらだこ」と呼び重宝します。ただし、これは抱卵している状態までで、産卵した後のメスは身が痩せていることもあり、評価がガタンと落ちます。一方、三陸では11~12月が漁期と重なることもあり、冬の物を良いとする傾向が高いようです。
マダコのおすすめの食べ方
生鮮のマダコは、新鮮なものほど赤茶色が濃く、軽く押すとその部分の色が変化します。また、吸盤に強い吸着力があるものも鮮度が良い証拠です。時間が経過とともに白っぽくなり、吸引力も落ち、臭いも強くなってきますので、このようなものの購入は避けた方が良いでしょう。茹でたものの場合は、色合いが鮮やかで、しっかり中まで火が通っており、ドリップが出ていないものを選んで下さい。
マダコは砂泥地に生息していることもあります。このため、特に底曳網で取れたものは、吸盤などに砂を噛んでいることがありますので、生鮮を購入された場合は、調理する前にしっかり塩揉みをして、ヌメリとともに砂や汚れを取り除いておきましょう。
マダコは生のままで食べると、歯応えだけで、旨味が足りないとされていますので、お刺身であっても火を通した方が良いとされています。基本は茹でることですが、皮目だけを炙っても美味しく頂くことが出来ます。煮物にする場合は、じっくり長時間煮込むことで柔らかく仕上げることも出来ます。コリコリとした食感の楽しみたい場合は、しっかり茹でてから、和え物、酢の物、炊き込みご飯、揚げ物などにすると良いでしょう。硬くて食べにくいと感じる場合は、調理する前に細かな切り込みなどを入れておくと良いでしょう。
クロアワビ
クロアワビはアワビの中でも最も食味が良いとされ、もっぱら高値で取引されます。クロアワビは、その名の通り足の色が黒っぽいものが多く、足と殻の間にあるヒダには黒い縞模様があり、殻はやや細長い卵型をしています。これに対してメガイアワビなどは足の色がクリーム色のものが多く、殻は丸っこくなっていますので、見た目で区別出来ます。
近年水揚げが減ってきたこともあり、近縁種のエゾアワビの稚貝をクロアワビの生息海域に放流し、大きくなったものをクロアワビとして出荷しているところもあるようです。当然こういうことをすると交雑種が発生する可能性が高くなりますので、注意が必要です。
主な産地は、千葉県南房総、三重県、和歌山県、長崎県五島列島、伊豆半島などで、太平洋沿岸や暖流の影響を受ける外洋に面したところが中心です。上述したように水揚げは減少傾向にあるため、各地で資源保護対策や種苗放流が行われています。
美味しい旬の時期は産卵期前の初夏から夏にかけてで、産卵期に当たる晩秋から冬は禁漁とするところが多いです。
クロアワビのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、アワビは身がむき出しで生活していますので、調理時にしっかり洗って汚れを落としておきましょう。貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
クロアワビはコリコリした食感が特徴ですので、一般的には生のお刺身を好む傾向がありますが、火を通すことにより柔らかくなり風味も増しますので、焼物、煮物、蒸し物などもお勧めです。
※2~5月頃のアワビの中腸線に餌となる海藻のクロロフィルに由来する毒素が溜ることがあり、これを大量に食べると極まれに光過敏症という中毒を起こすことがあります。有毒な中腸腺は黒っぽい濃い緑色なのに対し、無毒な物は灰緑色か緑褐色なので、色で見分けられるそうですが、念のため同時期のアワビの肝は避けた方が良いでしょう。また、無許可の採取は禁止されています。
トコブシ
トコブシは小さなアワビにそっくりですが、大きくなっても殻長7cmくらいにしかなりません。アワビとの違いは、貝殻にある呼吸孔と呼ばれる穴で確認することが出来ます。アワビは穴の廻りが筒状に隆起しているのに対し、トコブシは隆起せず、単に穴として存在しています。
また、名前の由来は、常に海の底にある岩(床)に張り付き(臥)しているように見えるからと言われています。
トコブシは全国の岩礁域で見られますが、市場に出荷されるほどまとまった量が採れる産地としては、三重県、徳島県、高知県などがあります。
トコブシは1年中流通していますが、産卵期が秋から冬であるため、その前の春から夏に身が充実して美味しくなると言われています。ただし、別名で福溜(ふくだめ)と呼ばれていることもあり、縁起物としてお節料理に用いられることから、年末年始も旬とする考え方もあります。
※福溜は元々伊勢志摩での呼び名と言われていますが、何故そのような名前になったかについては不明です。
トコブシのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。トコブシか殻付きのままの料理も多いので、調理する前にたっぷりの塩とタワシなどで、殻ごとしっかりとヌメリや汚れを採り除いて下さい。
鮮度の良いものであれば、お刺身も出来ます。身は柔らかいので、アワビのように薄くスライスする必要はありません。ただし、生食の場合は残念ながら旨味にやや欠けます。この貝は昔から加熱することで旨味が増すと言われており、加熱しても柔らかいままと言う特徴があります。定番の煮貝や焼貝はもちろん、揚物や炒め物などにしても良いでしょう。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
メガイアワビ
メガイアワビはその色目から、アカとかアカアワビと呼ばれたりします。また、メガイは漢字で雌貝と書くため、これに対しクロアワビを雄貝(おがい)と呼んだりもします。クロアワビとこのように分けられると安いような気もしますが、こちらも資源量が減少していることもあり、それなりの値段で流通しています。
メガイアワビは、クロアワビに比べ殻の膨らみが浅く、輪郭は幅広で丸みを帯びます。また、足の色は個体差があるものの淡いクリーム色が多いこと、クロアワビより深場に生息していることなどが特徴です。
主な産地は、東北から南の日本海沿岸、房総以南の太平洋沿岸、瀬戸内海などがあげられますが、比較的西日本に多く見られます。産卵期はクロアワビと同じく秋から冬ですので、その前の夏が美味しい旬の時期となります。
メガイアワビのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、アワビは身がむき出しで生活していますので、調理時にしっかり洗って汚れを落としておきましょう。貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
メダカアワビは、クロアワビなどと異なり、柔らかめの食感が特徴ですので、生のお刺身よりは焼物、煮物、蒸し物などの加熱調理がお勧めと言われることがありますが、柔らかいと言ってもアワビはアワビですので、生で食べても何ら遜色はありません。
※2~5月頃のアワビの中腸線に餌となる海藻のクロロフィルに由来する毒素が溜ることがあり、これを大量に食べると極まれに光過敏症という中毒を起こすことがあります。有毒な中腸腺は黒っぽい濃い緑色なのに対し、無毒な物は灰緑色か緑褐色なので、色で見分けられるそうですが、念のため同時期のアワビの肝は避けた方が良いでしょう。また、無許可の採取は禁止されています。
イタヤガイ
イタヤガイは産地では食用として親しまれていますが、採れなかったりの差が著しく、全く安定供給出来ないため、消費地に出回ることはほとんどありません。
見た目はホタテガイにそっくりですが、イタヤガイは太い放射筋が8~10本なのに対し、ホタテガイは細い放射筋が20本以上入っていますので、簡単に見分けることが出来ます。また、イタヤガイは雄雌同体ですので、産卵期には真子と白子を同時に有します。大きさも異なり、ホタテガイは殻長が20cmを超えることもありますが、イタヤガイは大きくても12cm程度と小振りです。
イタヤガイは主に底曳網漁や貝桁網漁で混獲される程度で、これと言った産地はありません。その中でも比較的見られるのは、愛知県から九州にかけての太平洋沿岸と、山陰から北九州沿岸にかけてですが、上述したように獲れても数が少ない時は、その場で廃棄されることもあるようです。
産卵期は冬ですので、真子や白子を一緒に食べるのであれば秋から冬が美味しいと言うことになりますが、貝柱が充実するのは産卵明けの春から初夏にかけてと考えれば良いでしょう。
イタヤガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、イタヤガイは底曳網などで採られることが多いため、ほぼ確実に砂や泥を噛んでいると思って下さい。活かし込みで砂を吐かせる方法もありますが、食用箇所は貝柱、ヒモ(外套膜)、真子、白子くらいなので、水管などに含まれている砂まで抜く必要はあまりないと思われます。ですので、むき身にした後に、しっかり水洗いすれば良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
身はホタテガイより若干柔らかいのですが、味は勝るとも劣らずで、お刺身はもちろん、煮物、焼物、揚物など何でも対応できるオールマイティーな貝です。特にシチューやクリームコロッケなどとの相性は抜群と言われています。
※2枚貝は時期(概ね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ホタテガイ
ホタテガイは食用の貝としては最も一般的と言っても良いくらい普及しており、生鮮、冷凍、ボイル、貝柱など様々な形態で全国に流通しています。
大きくなると殻長20cmを超えることもあり、表裏で色や形が違うのも特徴です。表側は少し丸く膨らんでおり白っぽく、裏側は平らに近く紫褐色となっています。
市場に流通しているものには栽培物と天然物がありますが、100%天然は少なく、そのほとんどは稚貝を放流してから約3年後に収穫したものです。厳密には天然とは言えないかも知れませんが、川に放流した魚と違って、数年は自活しているわけですので、天然と言っても全く差支えはないでしょう。
撒くための稚貝の採取は、幼生が生活のために岩などに付着する習性を利用しています。産卵期である春に生息域に採苗器を沈めてから幼生が自然に付着するのを待ちます。その後、おおむね1cm程度に成長したであろう時期に引き上げて、稚貝を採取します。この後、1年程度生育し、海に撒くか、栽培するかに分けます。
産地は北海道と青森県でほぼ100%を占めています。天然物はほぼ100%北海道で、栽培物は約60%が青森県で、残り約40%が北海道です。岩手県や宮城県でも採取が行われていますが、その量は本当にわずかです。
青森県はベビーホタテと呼ばれる小さなものが有名です。籠の中が過密になると生育が阻害されるため、半成貝と呼ばれる5cm程度のものを4~6月くらいに間引いて出荷します。2~3年育ててある程度大きくなったものは、基本的に1年中水揚げがありますが、多いのは2~8月のようです。北海道では、栽培物は3~4月、撒いたものは8~9月の水揚げが多いとされています。
美味しい旬の時期は水揚げ時期とは少し異なりますが、産卵に向けて生殖巣が最も大きくなるのは冬ですので、生殖巣を一緒に食べるのであれば冬が美味しいと言うことになります。ただし、貝柱だけで見ると産卵後に栄養が回復する夏が良いと言えるでしょう。
ホタテガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。栽培物の場合は、砂を噛んでいることはほとんどありませんが、天然物の場合は砂を噛んでいることが多々あります。念のため、いずれであっても、むき身にしてから良く洗っておくと良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
夏は貝柱が充実する時期ですので、お刺身はもちろん、焼物、揚物など貝柱の持つ旨味を堪能出来ます。また、青森県産で小さなものの出回りがありますので、手に入ったら殻付きのまま、酒蒸し、味噌汁、ホタテバターなどにするのがお勧めです。
2枚貝にはウロと呼ばれる黒っぽく丸い中腸線などの内臓が付いており、特にイタヤガイの仲間は目につきます。大きな貝であれば、貝毒の危険を避けるため取り除いた方が良いのですが、小さなものであれば、特に気にする必要はありません。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ウチムラサキ
ウチムラサキは一般に大アサリと呼ばれることが多く、大きくなると殻長10cmほどになる大きな2枚貝です。殻は硬く厚みがあり、殻の色は白、黄褐色、灰青など様々ですが、内側は濃紺から紫色で、これが名前の由来となっています。
生息範囲は広いのですが、水揚げが比較的多いのは、三河湾と伊勢湾に面した愛知県と三重県で、ここでは大あさりの浜焼きが名物になっています。
美味しい時期は意見が分かれ、春から夏と言うところもあれば、秋から冬とするところもありますが、産卵期は秋とされていますので、身が充実するのは春から夏とみてよいでしょう。また、この時期に水揚げも増えます。
ウチムラサキのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭かったり、砂や泥を噛んでいる場合がありますので、臭いのチェックと砂抜きは欠かせません。死んでから中身が空っぽになって泥が詰まっている場合もありますが、大きな貝ですので確認は比較的容易です。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
アカガイやウバガイのように、綺麗に身を取り出して調理する方法もありますが、加熱調理用の貝ですので、殻ごと身を半分に切った方が加熱しやすく、見場も良いのでお勧めです。半分に割ったものを殻ごと焼物にしても良いですし、また身だけ取り出して、揚物や煮物にしても良いでしょう。旨味は非常に強い貝ですので、味付けは最小限度で結構です。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
イワガキ
イワガキとマガキは同じマガキ属の仲間で、見た目も良く似ていますが、マガキは産卵後の初夏には身が痩せてしまうため、その前の冬が旬とされていますが、イワガキは産卵期間が長く数ヶ月にわたるものの、その間も身が痩せることがないのが特徴です。また、マガキで流通しているものはほぼ100%栽培物なのに対し、イワガキは天然物と栽培物が流通しています。また、イワガキは大きなものでは1kgを超えることもあります。
イワガキは夏牡蠣と呼ばれるように、晩春から夏が旬とされていますが、身が痩せることがないため、その気になれば1年中出荷は可能です。しかし、同属であるマガキとの競合を避けるためか、マガキの出荷が終わってからの出荷となります。
産地としては、天然物だと秋田県、山形県、新潟県、千葉県、石川県、京都府、鳥取県、大分県など、栽培物だと三重県、鳥取県、島根県などがあげられます。各地でブランド化も進められており、三重県の「あだこ岩がき」、鳥取県の「夏輝(なつき)」、島根県の「隠岐の岩がき」、「旬香(しゅんこう)」など色々なものがありますので、機会があれば、産地ごとに取り寄せて楽しむのも良いでしょう。
イワガキのおすすめの食べ方
イワガキはマガキのようにむき身で流通することはなく、ほぼ100%殻付きとなります。無論、他の貝同様に元気なものを選ばなくてはなりませんが、牡蠣に至っては、とにかく口がきちんと閉まっているものが前提となります。口が空いたままのものは、死んでいる可能性があるので避けましょう。また、持ってみてズッシリとした重みのあるものが良いです。
栽培物などは、出荷前に滅菌処理のため数日綺麗な水で活かし込みをしているところもありますが、天然物の場合は、砂、汚れ、小さなエビやカニなどが身に付着していることもありますので、むき身したところで、一旦塩水で洗浄して下さい。加えて、生食する場合は腸炎ビブリオ菌が付着している可能性もありますので、真水でも洗浄して下さい。殻はとても厚く、特にぴっちり口が締まっている場合は殻を外すのに一苦労ですので、購入されるお店でむき身にして頂いた方が無難かもしれません。
一般的な牡蠣料理であれば何でも出来ますが、ひとつひとつが大きくて、そこそこ良い値段がしますので、鮮度が良い前提であれば、まずはお刺身がお勧めです。食べる直前に氷水でで冷やすと、身が締まり、一層美味しく感じられます。
もちろん、焼物、蒸し物、煮物、揚物などにして頂いても良いですが、必要に応じて適当な大きさにカットしておくと良いでしょう。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
サザエ
磯で採れる貝で、最も馴染みがあるものと言えばサザエではないでしょうか。馴染みがありすぎたためか、中国産のナンカイサザエと日本のサザエは別種にも関わらず、ずっと混同され続けており、2017年にようやく国産サザエに「トゥルボ・サザエ」と言う学名が付けられました。
かつては、外洋のものはツノが長く、内湾のものはツノがないとされていましたが、これは遺伝的な要素が強く、環境によるものではないと言うことがわかってきました。また、殻の色合いについては、食べ物が影響すると言うところまでわかっています。
水揚げはほぼ全国で確認出来ますが、千葉県、三重県、石川県、山口県、長崎県などが比較的多いようです。各産地では稚貝の放流なども積極的に行われていますが、栽培までには至っていません。
流通は1年を通してありますが。初夏から夏に産卵期を迎えるため、一般には春から初夏までが一番美味しい時期となります。しかし、産地によっては6月解禁のところもあり、夏のバーベキューなどには欠かせない食材になっていますので、需要は夏が一番多く、これに伴い流通量も増えます。
サザエのおすすめの食べ方
貝類全般に言えることですが、殻付きの場合は元気に生きているものを選びましょう。ちょっと触っただけで、さっと蓋を閉じるようなものでなくてはなりません。
サザエは磯の風味が豊かで、旨味もたっぷりですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。殻ごと焼物や煮物にすれば、肝とともに磯の風味を堪能できます。肝が苦手だったり、食べやすさを求める場合は、中身を一旦取り出して、身だけにしたり、食べやすい大きさにカットなどすれば良いでしょう。お刺身はコリコリした歯応えが身上ですが、硬いのが苦手な方は少し火を通すことで柔らかく仕上げることも出来ます。また、炊き込みご飯もお勧めです。
尚、殻ごと調理する場合は、砂袋に砂が溜まっていることがありますので、お召し上がりの際にご注意下さい。また、柔らかいものがお好みの場合は、大きなものは身が硬くなる傾向が高いので、少し小振りなものを選ばれると良いでしょう。
※無許可の採取は禁止されています。
トリガイ
トリガイの名前の由来は、貝殻から伸びる黒い足が鳥のくちばしに見えるからと言う説や、食べた時の食感が鶏肉に似ているからと言説などがありますが、はっきりはしていません。
この貝は、寿司だねとして食されることが多いこともあり、輸入品も含めボイルされたむき身(斧足)で流通することが多く、殻付きを見かけることはほとんどありません。
近年は資源量が激減していることもあって、殻付きはもちろん、輸入品のむき身であってもかなりの高値で取引されており、スーパーなどで見かけることはほとんどなくなりました。最近では代用品として斧足がクリーム色のエゾイシカゲガイという近縁種を見かけることも増えています。
水揚げが少ないながらも、主な産地としては、東京湾、三河湾、伊勢湾、丹後地方、瀬戸内海などがあげられます。各産地ともに状況に応じて禁漁期間を設けるなど、資源回復に取り組んでいるようですが、今のところあまり良い結果には結び付いていないようです。一部地域では栽培も実施されていますが、量産には至っておらず、栽培物であっても天然物と同じくらいの値段で流通しています。
漁期は産地によって違い、三河湾や石川県七尾湾などでは3~6月頃、宮津や舞鶴など丹後では5~7月となっています。春に獲れる物は「春貝」と呼ばれ、食感が柔らかく甘味が強い反面、秋にはかなり硬くなると言われていますので、美味しい旬の時期は春から夏までと言えそうです。
トリガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、手に持った時にズッシリと重さを感じるものでなければなりません。むき身の場合は、色艶が濃く、色剥がれがなく、肉厚のものを選びましょう。砂地に生息していますので、殻付きで購入した際には、むき身にしてから必ず砂や汚れなどを落としましょう。
トリガイの可食部は斧足とヒモ(外套膜)だけで、それ以外は食べられなくもないですが、正直美味しくはありません。可食部分が少ないこともあり、どうしてもお刺身や寿司が中心となってしまいます。加熱してもそう硬くなりませんので、焼物や揚物などにしても美味しいのですが、とても贅沢な食べ方にになります。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
オニコンブ
オニコンブの成長した葉は笹状で、長さは1.5ⅿから3mほどになります。主な産地は北海道の厚岸町から根室市を経て羅臼町で、北方四島でも確認されています。中でも羅臼町での収穫が多いため、「羅臼昆布」として流通することが多いのですが、北海道水産物検査規格では羅臼町内で生産したものは「りしり系えながおにこんぶ」という名称で出荷しています。
漁期は6~8月で、ねじりと呼ばれる漁具を小舟から伸ばしてコンブに巻き付けて採取します。また、浜に打ち上げられたコンブを採取する方法もあります。
コンブはそのまま出荷されることはほとんどなく、乾燥したものの流通がほとんどですので、旬を感じにくい食材のひとつになっていますが、加工したばかりのコンブはとても風味が良いので、ぜひこの時期に味わって欲しいものです。
オニコンブのおすすめの食べ方
オニコンブの葉は褐色で大柄ですが、厚みはさほどありません。味が濃く、香りが高いのが特徴で、収穫量も多くないこともあり、最高級品として扱われることが多いです。
出汁はとても濃厚で、特有の香りと旨味がありますが、黄色味を帯び、少し濁るため、お吸い物などのように透明感が必要な料理には向きません。出汁として使うのであれば、めんつゆ、鍋など濁りが出ても良いような料理が良いでしょう。
また煮出すとコンブの旨味が抜けてしまいますので、佃煮などの煮物には向いていません。お勧めは、おぼろ昆布、とろろ昆布、昆布茶、塩昆布などで、コンブそのものの旨味をダイレクト味わうことが出来ます。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ナガコンブ
ナガコンブは文字通り非常に長くなる昆布で、平均で10m、中には20mを超えるものもありますが、生息場所の水深は3~6mと比較的浅場です。
産地としては、釧路港以東、昆布森、厚岸、浜中、花咲、歯舞、貝殻島周辺などの太平洋沿岸で、納沙布岬沖と貝殻島地域でのさお前こんぶ漁は日ロ民間協定による操業となります。
漁期は、6月に生育途中の若生コンブを採取する棹前こんぶ漁と、7~10月まで十分生育したコンブを採取する成こんぶ漁のふたつに分かれています。棹前こんぶとは、成こんぶの解禁(棹入れ)前に採取するもののことです。
コンブはそのまま出荷されることはほとんどなく、乾燥したものの流通がほとんどですので、旬を感じにくい食材のひとつになっていますが、加工したばかりのコンブはとても風味が良いので、この時期に味わって欲しいものです。
ナガコンブのおすすめの食べ方
コンブの乾物は、しっかり乾燥していることはもちろんですが、ナガコンブの場合は、黒味を帯びて艶のあるものを選んで下さい。
ナガコンブは早煮昆布と言う名前で良く売られているように、煮ると簡単に柔らかくなり、食べやすくなります。お勧めは、おでん、昆布巻、炒め煮、佃煮、サラダのトッピングなどです。出汁が取れないことはありませんが、他のコンブに比べると風味も旨味も薄いので、あまりお勧めは出来ません。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ホソメコンブ
北海道ではもっとも古くから採取されてきたコンブですが、現在は生産量が少なく価格も安いため、漁が行われていない地域もあります。
増殖対策も行われていますが、冬の水温が上昇傾向にあることなどから、それほど増産にはつながっていないようです。
利尻島、礼文島から渡島半島の福島町まで分布しており、漁場水深は0mから10mで、波当たりの強いところでは深く、逆に弱いところでは浅くなります。波打ち際に生息しているものは長さ0.4mから1mと短くなります。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ホソメコンブのおすすめの食べ方
コンブは乾物での流通が基本なので旬を感じ難いもののひとつですが、加工されて間もないものは風味豊かですので、出来るだけ新しいものの方が良いようです。
ホソメコンブは乾物でも他のコンブのように黒くはならず、茶色味を帯びていることが多いようですので、色目はあまり気にせず、艶やかなものを選ぶと良いでしょう。
出汁の香りは弱いですが、比較的粘りが強いため、とろろ昆布、きざみ昆布などに利用されることが多く、製品としても出回っています。
マコンブ
マコンブは、コンブの中では最も古くから食用とされてきており、主に出汁用として使われています。
主産地は渡島半島南東部沿岸で、産地別に5銘柄に分けられ、砂原町から南茅部町までのものはコンブの切口が白いことから白口浜と呼ばれ、葉は小さいものの厚みがあり、5銘柄の内で最も良い評価を得ています。その昔、松前藩が朝廷や将軍家に献上していたことでも有名です。椴法華村から戸井町までのものは、切口が黒いことから黒口浜と呼ばれ、白口浜に次ぐ評価を得ています。そのほかは、本場折浜、真折浜、場違い折浜があります。
収穫時期は6月から10月ですが、栽培も盛んに行われており、こちらは6月下旬から8月下旬に水揚げされます。
コンブはそのまま出荷されることはほとんどなく、乾燥したものの流通がほとんどですので、旬を感じにくい食材のひとつになっていますが、加工したばかりのコンブはとても風味が良いので、この時期に味わって欲しいものです。
マコンブのおすすめの食べ方
マコンブの乾物は、しっかり乾燥されていることはもちろんですが、黒みを帯びて艶やかなものを選びましょう。また、マコンブの場合は切りの色で等級が異なりますので、良く確認しておきましょう。
マコンブは、山出汁昆布と呼ばれることもあるように、上品な澄んだ出汁が取れるのが特徴で、特に関西地方で人気があり、汁物、煮物、鍋料理など広く使われています。また、コンブそのものの味も良いことから、塩コンブや佃煮などにも向けられます。
最近は、成長途中の春先に採れる身の柔らかいコンブが海藻サラダや昆布巻きなどに使用されており、需要も増えています。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
オキナワモズク
標準和名で言うところのモズクは、昔は日本各地で水揚げがあり、春の季語になるほど親しまれてきましたが、今ではほとんど見られず、非常に高価なものとなりました。現在モズクとして流通しているものは、ほぼ全てがオキナワモズクで、その名の通り、沖縄県での栽培が主体で、プライドフィッシュにもなっています。
オキナワモズクの栽培は、夏から秋にかけてで、海中に採苗シートを張り、海中に漂うモズクの種を採取し、着生させるところから始まります。種が着生している採苗シートをタンクに投入して、さらに網に種付けを行い、海中の苗床と称される漁場にセットし、準備完了となります。冬から春先にかけて成長した後、春から初夏にかけて収穫されますので、収穫時期である3~6月が旬となります。
もずくは、味付けされたものの流通が圧倒的に多く、その他は塩蔵品、乾燥品となりますので、旬を感じにくい食材のひとつになっています。味付けの場合は、いつ食べても味わいに変わりはありませんが、塩蔵品や乾燥品は、出来立ての方が風味が良いので、出来るだけ新しいものを選んだほうが良いでしょう。
今では物流の発達により、収穫時期に限り、生鮮での流通も少なからずありますが、冷凍や塩蔵品を戻した「なんちゃって生もずく」もありますので、注意して下さい。
オキナワモズクのおすすめの食べ方
生鮮のモクズを購入される場合は、黒く艶があり、太く長いものを選びましょう。薄茶色になっているものや、細いものは、味わい落ちますので、避けた方が良いでしょう。
生鮮の場合は、軽く水洗いしてから、麺つゆなどで素麺のようにそのま食べるのがお勧めです。汁物や鍋物などに入れる場合は、さっと火を通すくらいで十分です。
塩蔵品や乾燥品の場合は、水で戻してから調理します。卵焼き、お好み焼き、天ぷらなどもお勧めですが、水気が多いので、調理前に適度に水気を取っておいた方が、歯ざわりが良くなります。酢の物や和え物などにする場合は、調理してから少し時間をおいて、味を馴染ませてからお召し上がり頂いた方が良いでしょう。。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
エゾバフンウニ
エゾバフンウニは、生殖巣が鮮やかなオレンジ色をしていることからアカウニとも呼ばれています。ウニの中では最も収穫量が多いとされていますが、風味や味の良さから高級品として扱われています。中でも利尻や羅臼で獲れるものは、昆布を食べているため、最も風味が良いとされ、高値で取引されています。
名前に蝦夷と付くだけあって、水揚げのほとんどは北海道ですが、東北地方でも少ないながら採れています。また、はロシア、韓国、中国にも生息しており、板ウニなどに加工されたものが輸入されていますが、味わいは国産にはかなわないと言われています。
国内の産地では、資源保護のため各地で種苗放流が行われており、厳格な漁期も定められています。主なところでは、渡島が12~9月、石狩と後志が5~8月、宗谷が4~9月、根室が12~6月となっています。10~11月以外漁期と言うことになりますが、生殖巣が最も充実するのは6~8月と言われています。
エゾバフンウニのおすすめの食べ方
殻付きのまま販売されていることもありますが、見た目や持った感じで良し悪しを判断するのが難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。
新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのはかなり手間ですので、当たり外れが少なく無難なのは板ウニや塩水ウニです。
エゾバフンウニは生のまま食べるのは一番美味しいとされています。お刺身はもちろん、お寿司や丼などご飯との相性も抜群です。
※無許可の採取は禁止されています。
キタムラサキウニ
キタムラサキウニは、エゾバフウニとともに国産を代表するウニのひとつです。身の色がオレンジ色のバフンウニやエゾバフンウニに比べて薄いことからシロウニとも呼ばれることもあり、濃厚な味わいのバフンウニに比べると、比較的あっさりした味わいが特徴です。
名前の通り、主な産地は北日本で、特に北海道が大半を占めます。産地では、資源保護のため各地で種苗放流が行われており、厳格な漁期も定められています。主なところでは、北海道日本海側が8~10月、北海道噴火湾(内浦湾)で3~5月と8~10月、北海道太平洋側で6~9月、北海道オホーツク海側で7~9月、三陸で9~10月などとなっており、11~2月は禁漁となるところが多くなります。生殖巣が最も充実するのは9~10月の禁漁前と言われています。
キタムラサキウニのおすすめの食べ方
殻付きのまま販売されていることもありますが、見た目や持った感じで良し悪しを判断するのが難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。
新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのはかなり手間ですので、当たり外れが少なく無難なのは板ウニや塩水ウニです。
キタムラサキウニは生のまま食べるのは一番美味しいとされています。お刺身はもちろん、お寿司や丼などご飯との相性も抜群です。
※無許可の採取は禁止されています。
バフンウニ
バフンウニは殻径が5cm程度の小型のウニで、殻は全体的に緑っぽいのが特徴です。
味が良く、人気はあるものの収穫量が少なく、殻も身も小さくて手間がかかることもあり、生鮮は産地周辺でほとんど消費されてしまいます。生鮮で消費地に出回っているバフンウニと呼ばれるもののほとんどはエゾバフンウニで、まず本種ではありません。本種は生鮮より加工品の原料として有名で、日本三大珍味の「越前うに」の原料にもなっています。
北海道を除く日本全土で生息が確認出来ますが、産地としては突出したところはありません。一番美味しいとされる時期は産地によってずれがあり、西日本で1~4月頃、北陸地方などでは夏頃とされているようです。
バフンウニのおすすめの食べ方
バフンウニが殻付きのまま流通することはほとんどありませんが、他のウニと同様に、見た目や持った感じだけで良し悪しを判断するのは難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。新鮮な殻付きは美味しいのですが、特にこのウニは小さく、生殖巣を取り出すのは相当手間ですので、お刺身にされる場合は、板ウニなどを購入された方が無難でしょう。生鮮のバフンウニは産地でないとなかなかお目にかかれませんが、機会があれば一度は味わっておいて欲しいものです。
練ウニなどの加工品は1年中出回っていますので、いつでもお召し上がり頂くことは出来ますが、加工したばかりのものが良いと言う人もいれば、製造から日にちがある程度経って塩味が馴染んだものの方が良いと言う人もいますので、ご自分でお確かめください。
※無許可の採取は禁止されています。
ムラサキウニ
ムラサキウニは茨城県以南の太平洋側、秋田県以南の日本海側の暖流域であれば全国的に見られますが、小振りなこともあってか、積極的に収穫しているところは少なく、消費地でお目にかかる機会はほとんどありません。一般にムラサキウニとして流通しているものの大半はキタムラサキウニです。
美味しいとされる時期は、地域により多少ずれがあり、南日本で春、中部以北で夏と言われています。
ムラサキウニは、餌の海草が減ると、生殖巣が発達しないまま異常に増殖し、海草を食べ尽くしてしまう特徴を持ちます。いわゆる磯焼けと言う現象で、生息するものはほぼいなくなる、砂漠のような光景となります。そうならぬよう、磯焼けの前兆が見られた場合は、駆除の対象となりますが、前述したように生殖巣が未発達であるため、食用としての価値はほぼなく、廃棄される運命となります。ただし神奈川県では、駆除したムラサキウニに規格外のキャベツを食べさせ商品化する取り組みも行われており、日本で食用とされるウニの中で唯一養殖が行われています。
ムラサキウニのおすすめの食べ方
ムラサキウニが殻付きのまま流通することは産地でもなければありませんが、他のウニと同様に、見た目や持った感じだけで良し悪しを判断するのは難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのは相当手間ですので、お刺身にされる場合は、板ウニなどを購入された方が無難でしょう。生鮮のムラサキウニは産地でないとなかなかお目にかかれませんが、機会があれば一度は味わっておいて欲しいものです。
※無許可の採取は禁止されています。
カメノテ
カメノテは岩の割れ目などにビッシリ貼り付いており、先端の白い殻が目立つので、貝の仲間のように見えますが、実はエビやカニなどと同じ甲殻類で、ミョウガガイ科カメノテ属の動物に分類されます。海に面した地域でのみ食べられてきたマイナーな食材ですが、最近はわずかながらスーパーなどでも見かけるようになりました。ヨーロッパのイベリア北西部でも近縁種が採れ、スパインやポルトガルでは高級食材として扱われています。
カメノテは大きいものでも7~8cm程度で、殻と柄に分かれており、細かな鱗のようなもので覆われた柄の中に食用となる筋肉があります。殻の中いは触手や貝柱のようなものがありますが、食味が良くないため、食用となることはまずなさそうです。
ほぼ全国に生息しているため、食用とする地域は多いのです。ただし、収穫量自体がわずかなこともあり、四国や九州の一部を除き、商業的な採取を行っているところはほとんどないようです。産卵期は6~8月とされていますので、これに向けて栄養を蓄える5~8月が、美味しい時期とされています。
カメノテのおすすめの食べ方
死んだものは磯の香がきつくなることに加え、身が痩せてしまいますので、必ず生きているかどうかを確認しましょう。また、可食部が非常に少ないので、出来るだけ大きなものを選ぶと良いでしょう。カメノテの表面には海草などが付着していることがお多いので、調理前にはブラシなどを使って、必ず良く洗って下さい。
可食部だけを取り出して、色々な料理に使うことも可能ですが、相当な手間となりますので、殻付きのまま調理する、塩茹で、酒蒸し、味噌汁などがお勧めです。加熱することで、程よい磯の香と、特有の甘味を堪能出来ますし、汁物は良質の出汁を楽しむことが出来ます。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
マボヤ
マボヤは海草や貝のように見えますが、脊索動物に分類され、成長過程で変態する動物です。幼生はオタマジャクシのような恰好をしており、眼点、平衡器、背側神経、筋肉、脊索などの組織を持ち、遊泳します。その後岩場などに付着すると、変態し、ほとんど動かなくなり、脊索がなくなります。
ホヤの仲間は国内だけでも百数十種いると言われていますが、そのうち食用とされているものはマボヤなどごく一部です。これらは栽培もされ、東北や北海道では一般的な食材として親しまれていますが、見た目のインパクトに加え、独特の風味があるため、産地であっても好き嫌いがはっきりしています。元々地元で漁師が食べていた程度のマイナーな食材だったものが、宮城県で栽培が始まり、今では全国的にその存在が知られるようになりましたが、あくまで珍味、酒の肴としてです。
産地としては宮城県がおよそ60%、北海道が30%と、産地=消費地の構図が見られます。
漁期は、天然物で4~8月にかけてで、栽培物は3月頃から水揚げが始まり、6~8月に盛漁期を迎えます。盛漁期は5~8月で、この時期が最も美味しいとされています。ちなみに、晩秋の11月頃から翌春にかけては産卵期となるため水揚げはありません。
マボヤのおすすめの食べ方
ホヤは鮮度が落ちると強い磯の香りが不快な生臭みに変わり、苦くなると言われていますので、とにかく新鮮なものでなければなりません。また、軽いものは水分が抜けて乾いている可能性があるので、手に持ってみてズッシリと重みを感じるものを選びましょう。
また、ホヤを捌く際には、中に詰まっている水を捨てずに取っておき、浸け汁に使ったり、その中で身を洗うように漬けたりすることで、香りを活かすことが出来ると言われています。
ホヤの皮は捨ててしまう人も多いようですが、三陸地方などでは数日天日干しをして、出汁を取るそうです。
一般にはお刺身にすることが多いようですが、産地では焼物、揚物、炊き込みご飯など、幅広い料理に向けられています。
※無許可での採取は罰せられる場合があります。