
5月に旬を迎える魚介一覧
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![]() タカサゴ(総称) |
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5月頃に旬を迎える魚をご紹介します。
また、おいしい食べ方も紹介するので、参考にしてみて下さい。
5月に迎える魚介とおすすめの食べ方
アイナメ
この時期のアイナメは産卵を終えて栄養を蓄えてきますので、身が最も充実して良い時期になります。ただし、暖かくなるにつれ深場に移動するため、水揚げはあまり期待出来ず、価格もそれなりに上がってしまいます。また、冬場と異なり、中小型サイズが多くなります。
アイナメのおすすめの食べ方
大振りなものであればお刺身でも良いのですが、この時期は小振りなサイズが多いので、小さなものは丸ごと食べられる唐揚げがお勧めです。
開きや二度揚げなど手間がかかりますが、頭から尾の先まで全て美味しく頂くことが出来ます。
マアジ
マアジはほぼ全国で水揚げがあり、夏には堤防釣りの対象となることなどから、非常に馴染み深い大衆魚です。
本来回遊性の魚ですが、内湾に住みついた物を「瀬付きアジ」などと言い、こちらは脂が程よくのり、体色が黄色味を帯びることから「金アジ」とも呼ばれ、ものによっては高値で取引されることもあります。一方、回遊性のアジは全体に黒っぽく、常に外洋を泳ぎ回っていることから身は締まりますが、スリムで脂ののりが少ないため、前者と比べると安値で取引されることが多いようです。
産地としては、長崎県が抜きんでており、次いで島根県、3位以下は福岡県、愛媛県、鳥取県などがほぼ横並びで、西日本に集中しています。
マアジのおすすめの食べ方
鮮度が良いマアジのお刺身は、大きさに関わらずとても美味しく、これから夏にかけて脂がのってくるので、さらに旨味が増します。
また、細かく叩いてタタキにしたり、味噌などと和えてナメロウにするとご飯にも良く合います。
小さなものは、そのまま唐揚げにしたり、南蛮漬けにすれば丸ごと食べることが出来ますし、大きさを問わず、塩焼きやフライはとても美味しいです。
特に干物の原材料としては秀逸で、マアジの干物は各産地で名物にもなっています。
マルアジ
よく似たマアジと比べ体の断面が丸くなっており、これが和名の由来になっているようです。
産卵期は地域によって多少差があるものの、おおむね4月から8月にかけてで、この時期に沿岸に寄ってくるところが多いため、マアジと同じ夏に見かけることが多くなります。豊漁期(産卵期)の春から夏を旬とする地域もあれば、身質が良くなる産卵後の秋から初冬を旬とする地域もありますが、秋から冬は暖かい海域でないとお目にかかることはまずありません。
暖流域の魚の特徴で、1年を通して身質の変化があまりありませんが、残念ながら脂がのるピークの時期であっても、マアジのようなことにはならず、非常にあっさりとした部類に入ります。ただ、価格は1年を通して相当安い部類に入りますので、お財布には非常に優しいお魚です。
マルアジのおすすめの食べ方
この時期は水揚げは増え、相当お安くなりますが、産卵期を迎え、ただでさえ少ない脂がさらに減ってしまいます。
あっさりしたものがお好みなら、鮮度が良い前提でお刺身でも良いのですが、安いお魚だけに鮮度の良いものの入手は正直かなり難しいです。こういう時は揚げ物などで油分を加えると比較的美味しく食べることが出来ますので、お勧めはフライや唐揚げなどです。
クロアナゴ
クロアナゴは関東以南でよく見られ、大きくなると1m以上にもなるため、夏の東京湾では釣りの対象魚として人気があります。しかし、マアナゴと比べて味が落ちると評価されることもあり流通は少ない上に、値段もかなり低く抑えられています。そのためか、水揚げがそこそこ期待出来る時期であっても本種を目的とした漁はありません。また廃棄されてしまうこともあれば、良く似たダイナンアナゴと区別されることなく流通するなど、かなり雑な扱いを受けてしまうこともあります。しかし、実際には決して極端に味が落ちる訳ではありません。ただ、マアナゴと同じ時期に漁獲が増えること、大型が中心であるため小骨が目立ち調理に手間がかかることなどが評価が低い大きな要因と考えられます。
実際、島根県、長崎県、宮城県などの産地では普通に流通していますが、ここでも大きなものはあまり好まれてはいません。
クロアナゴのおすすめの食べ方
脂ののりもよく、透明感のある白身で、加熱しても硬くなりにくい、大きいものは歩留まりも良いなど、毛嫌いされる要因は少なそうです。しかしアナゴと言うと小骨が多いのがやっかいです。小さなものであれば加熱してしまえば気になりませんが、大きなものになると小骨とは言えないくらいに太くなるため、ハモのように骨切りが必要になります。また皮も厚くなりますので、皮を柔らかくする工夫も必要になります。しかし、面倒でも下処理をきちんとすれば、どのように調理しても美味しいお魚です。
※アナゴの血液にはウナギと同じように血清毒のLD50が混じっているため、鮮度が良くても安易に生食しないように注意して下さい。血清毒はたんぱく質なので60℃以上で5分間加熱すると無毒になりますが、生食する場合は徹底的に血を洗い流す必要があります。
マアナゴ
マアナゴの生態はウナギと同様に不明な点が多いお魚です。産卵期は6月から9月にかけてと言われており、沖ノ鳥島南方沖の九州パラオ海嶺付近での産卵が確認されていますが、どうやってそこまで移動するかなどの詳細は不明です。孵化した後は潮流に乗って生息域まで流れつくとされており、1月から5月頃にシラス漁で透明の稚魚が混獲されます。稚魚はノレソレとも呼ばれており、生のまま食用にする地域もあります。
成魚は背から体側にかけて茶褐色で、体側の側線孔に白点があり、これが尾まで一列に連なっているのが他のアナゴと異なる大きな特徴です。1年中水揚げがありますが、美味しいとされているのは最も脂ののりが良いとされる5月から8月です。しかし、何故夏に食性が高くなるかについてはよくわかっていません。
主な産地は、長崎県、島根県、宮城県で、海域としては瀬戸内海、有明海などが多く、江戸前(東京湾)は残念ながら決して多くはありません。最近は対馬のものが評価が高く、関東でも流通が増えています。また、韓国などからも活物や冷凍で輸入されています。
マアナゴのおすすめの食べ方
スーパーなどに並んでいるのは開いたものがほとんどですが、丸魚を買う場合は、表面のヌメリが透明なほど新鮮で、体色が濃く白点がはっきりとしている物が良いとされています。
味が良くなるのは40cm程度のものと言わることが多いのですが、どのように調理するかでサイズを変えた方が良いでしょう。天ぷらなど揚物にする場合は小さめのもの、蒲焼など焼物にする場合は少し大きめのものが良いでしょう。
※アナゴの血液にはウナギと同じように血清毒のLD50が混じっているため、鮮度が良くても安易に生食しないように注意して下さい。血清毒はたんぱく質なので60℃以上で5分間加熱すると無毒になりますが、生食する場合は徹底的に血を洗い流す必要があります。
イカナゴ
春に生まれた当歳魚は6~7cm程度まで成長します。また、5月は夏眠前で1歳以上の大型も目に付くようになり、中には20cm程度の物も混じります。
6月頃(水温20℃以上が目安)になると夏眠に入るため砂に潜り込み、およそ150日、餌も摂らずに眠り続けます。水温が13℃を下回ると、一斉に砂から飛び出して産卵を始めると言われていますので、外洋に面したところでは12月、瀬戸内海など温暖な海域では2月頃にならないと再び姿を見ることは出来ません。
イカナゴのおすすめの食べ方
大きいもので鮮度が良ければ、お刺身にして食べることができます。下ろしてしまうと可食部分は少なくなりますが、イカナゴのお刺身はこの時期しか食べることが出来ないので、機会があれば試して欲しいもののひとつです。もちろん、焼物、煮物にしても美味しく頂くことが出来ます。
イサキ
イサキの産卵期のピークは6月頃と言われているため、5月は食欲が非常に旺盛となり身が一気に太くなりますので、最も美味しい時期とも言えます。
下旬には抱卵ししてお腹がパンパンになったものもチラホラ見えるようになりますが、この時期は未成熟なものがまだ多いため、真子や白子を食べたい方はもう少し待つ必要があります。
イサキのおすすめの食べ方
イサキは産卵前にとにかく荒食いするので、食べた餌が消化されずに残っていることがあります。この時期のものはまだ真子や白子は中途半端なものが多いので、お腹がパンパンに膨らんでいるものは少々疑ってかかった方が良いかも知れません。腹を開けてがっかりすることもありますので、心配な場合は調理済のものを選ばれると良いでしょう。
卵や白子がまだ大きくないものは、身に脂がしっかりのっていますので、お刺身はもちろん、焼魚などでも美味しく頂くことが出来ます。
セトダイ
セトダイはイサキの仲間で、大きくなっても25cm程度の小型魚です。瀬戸内海、有明海など西日本の内海で比較的水揚げがありますが、東日本では全く馴染みがありません。知る人ぞ知るレアなお魚ですが、岡山県や広島県の産地では夏になるとスーパーなどにも並び、煮物用として人気があります。
産卵期は6~9月頃とされており、産卵期と水揚げ時期が重なります。イサキと同じく産卵期であっても身質が落ちることはほとんどないとされていますが、夏以外は滅多に水揚げがないので、本当か否かは?です。
セトダイのおすすめの食べ方
産地では煮付用として人気が高いのですが、この時期のものは脂がのっているので、塩焼きにしても美味しく頂くことが出来ます。調理する際は固くて小さな鱗がびっしり付いているので、ち取り残さないように注意して下さい。また、イサキ同様にどの骨も非常に硬く、特にヒレで怪我をすることがありますので注意して下さい。
小さい魚ですが、非常に旨味が強いので和洋中なんにでも合わせることが出来ます。お刺身も美味しいのですが、小さい上に歩留まりが悪いので、食べられるところはほんの少しになります。
イシガキダイ
西日本から南日本の暖海域では1年中水揚げが確認出来ますが、その量は極めて少なく、市場に出回ることはまずありません。
商業流通はほとんどないものの、釣りの対象魚としての人気は高く、特に春から初夏にかけて産卵のため磯廻りの比較的浅いところにに集まるため、お目にかかる機会が増えます。
本当に身が充実するのは産卵期を終えた秋から冬なのですが、深場にいるためこの時期にお目にかかることはまずなく、入手は極めて困難です。したがって、産卵期で身が若干痩せていたとしても春から夏にかけてが旬となります。
イシガキダイのおすすめの食べ方
鮮度が良ければお刺身がお勧めですが、下処理をきちんとしておかないと磯臭さが残る場合もあります。また、活きているものは身が非常に硬いので、下処理の後最低でも1日は寝かせた方が良いでしょう。大きなものは身が非常に硬いので、お刺身にする場合は2kgくらいまでが適当です。
この時期は脂はさほどないので、加熱調理する場合には、濃いめの味付けにしたり、油分を加えたりするなどの工夫が必要です。
※60cm超える大型サイズは、稀にシガテラ毒を持っている場合があります。、捌く時に内臓は絶対に破らないようにして、腹の中を水でしっかり洗う。極端に大きなものや亜熱帯が産地のものは避けるなどの配慮も必要となります。
イシダイ
イシダイは釣りの対象魚としては非常に人気が高く、お魚自体も西日本から南日本の暖海域では1年中見られます。ただし、水揚げ自体は非常に少ないのでスーパーなどに並ぶことは滅多にありません。わずかですが養殖を行っているところもありますので、料理屋などで見かける機会は少しずつですが増えています。
春から初夏にかけて産卵を迎えて磯廻りに集まるため、この時期は磯釣りの対象魚となりますが、残念ながら滅多に釣れるものではありません。小さなものは堤防などで見かけることもありますが、ほとんどが餌取りサイズで、食用になることはありません。
暖海系のお魚ですので1年を通して身質が大きく変化する魚ではないと言われていますが、実際には秋から冬にかけてはしっかり脂がのります。しかし、この時期は深場にいるため水揚げはほとんどなくなく、釣りの対象にすらなりません。したがって、産卵を控え磯の廻りに集まってくる春から夏にかけてが旬となります。
イシダイのおすすめの食べ方
鮮度が良ければお刺身がお勧めですが、天然ものは若干磯臭さが残る場合もありますので、下処理が非常に重要です。養殖の場合は、活物を重宝する傾向が高いのですが、身が非常に硬いので、出来れば下処理をしっかりしてから、氷温で最低でも1日程度寝かせた方が食べやすい硬さになり旨味も増します。皮を付けたままお刺身にすることも出来ますが、少し硬いのでしっかり火を入れておく必要があります。ただし、あまり大きなものは身が非常に硬くなるので、特にお刺身にする場合は大きくても2kgくらいまでにしておくと良いでしょう。
加熱調理する場合は、身に脂があまりない時期ですので、少し濃い目の味付けにしたり、ソテーや揚物など油分を加える調理が良いでしょう。
※60cmを超える大型サイズは、ごく稀にシガテラ毒を持っている場合がありますので、捌く時に内臓は絶対に破らないようにして、しっかりと腹の中を水で洗って下さい。極端に大きなものや亜熱帯が産地のものは避けるなどの配慮も必要となります。
メダイ
1年中全国各地で水揚げがありますが、何故かメジャーな魚にならないお魚のひとつです。流通しているものの多くは50~60cmくらいですが、大きなものは1m程度にもなることに加え、歩留まりも良いお魚です。産地も伊豆半島沖から小笠原諸島、種子島や屋久島周辺など広く、鹿児島県ではプライドフィッシュにも指定されていますが、比較的深いところに生息しているため、水揚げが安定しないと言うのが欠点です。したがって、産地であってもスーパーなどに並ぶことはほとんどありません。
産卵期は冬なので、その前の夏から秋が旬となりそうですが、産地によって様々な説があり、三重県では春、鹿児島では1月から3月、山陰では7月から10月にかけてが美味しいとされています。
メダイのおすすめの食べ方
流通価格は安価な部類で、適度に脂が噛んだ白身はクセや臭みがなく、火を通しても硬くなりにくいなど、メジャーになっても良い要素ばかりですが、身質の個体差が激しいと指摘されるほど、当たり外れが多いお魚と言われています。なので、調理前に身質をしっかり確認して、それに見合った調理をすることをお勧めします。
脂が適度に噛んでおり、身に透明感がある場合は、どのような調理にも合いますが、身が白濁していたり、脂が少ない場合は、揚物やソテーなどに仕向けた方が無難でしょう。
マイワシ
マイワシは大きさによって呼び名が変わり、よく知られているところでは、シラス(体に色素がなく白い稚魚の総称)、平子(ヒラゴ 10cm未満)、小羽(コバ 10cm前後)、中羽(チュウバ 15cm前後)、大羽(オオバ 20cm前後)と呼ばれています。サイズごとに名前が変わるものを出世魚と言いますが、そう言う意味で言うとマイワシもその中のひとつかもしれません。
マイワシは大きくなると、体色は背が黒に近い紺色で腹は銀色に光り、七つ星(実際にはな七つ前後)と呼ばれる黒い斑点が背と腹の境目あたりに並ぶのが特徴です。しかし、七つ星は流通中に擦れて取れてしまうことも多いので、スーパーに並んでいるものにはないことがあります。逆に背と腹の色がしっかしていて、七つ星がしっかり残っていたら鮮度が良いものということにあります。
以前は日本海側に水揚げが集中していたのですが、近年は太平洋側、またここ数年は以前は水揚げがなかった北海道で増えるなど、産地は一変しています。また、1年中どこかで水揚げがあることに加え、水揚げ時期が年によってかなりずれることもあるなど、非常につかみどころがないお魚になっていますが、一般的には5月から10月にかけてが旬とされており、特に梅雨時のものは脂ののりが良いとされ、この頃のものは入梅イワシなどとも呼ばれ、良いものは高値で取引されることもあります。
マイワシのおすすめの食べ方
マイワシに限らずイワシ類はとにかく鮮度落ちが早いので、加熱調理であっても鮮度の良いものを選ぶことが大前提です。鱗がしっかり残っている、背の紺色と腹の銀色が明確、七つ星が残っている、眼に透明感がある、腹が破れておらず内臓が飛び出していない、ドリップが少ない、などを基準に選ぶと良いでしょう。
鮮度が良ければ、もちろんお刺身がお勧めですが、脂が多いと感じた場合には軽く酢締めした方が良いでしょう。
焼物、煮物、揚物など何でもできる万能選手ですので、旬の美味しい時期には、たくさん召し上がって頂きたいお魚のひとつです。
また、干物には程よい苦みと独特の風味があり、酒の肴にはもってこいと言われています。
ドジョウ
日本で昔から食べられてきたドジョウは、ヌマドジョウ、カワドジョウ、オオドジョウなどに分けられますが、特に区別せずドジョウとして親しまれてきました。しかし、河川の開発や農薬の使用などから激減したため、今では天然の流通はほとんどなく、ほぼ養殖となりました。国内で養殖が盛んなのは、新潟県、島根県、大分県などですが、国産だけでは賄えないため輸入も盛んになっており、ウナギと同様に中国や台湾などからアメリカドジョウなど外来種の入荷も増えています。ウナギと同じく、種類を細かく分けて流通しているわけではないので、養殖か天然か、国産か輸入かくらいを区別するくらいしか出来ません。
美味しい時期には諸説ありますが、一般には産卵前の春から夏が一番美味しいとされています。
昔はどこでも獲れていたこともあり、東京など関東地方には老舗のドジョウ屋が何軒かあります。金沢では蒲焼きが昔から食され、新潟の夏には柳川鍋がなくてはならないなど、各地で非常に馴染み深いお魚です。また、昔からウナギと同様に栄養価が高い食材として知られており、今でもスタミナ食と人気が高いです。しかし、水揚げの減少に伴い今では高級魚となってしまいました。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ドジョウのおすすめの食べ方
ドジョウ料理と言って最初に思いつくのはやはり丸鍋でしょう。丸ごと入っているので、見た目で敬遠する人も多いようですが、一度味わうとリピーターになる人もかなりいるようです。
その他は、オーソドックスですが柳川鍋、蒲焼、ドジョウ汁、唐揚げなどがお勧めです。
スーパーに並ぶことはないと言ってもよいでしょうから、公設市場などで購入されるか、専門店などでお召し上がり頂くしか手がありません。
ドジョウには顎口虫が寄生していることがありますので、生食はお止め下さい。
オニオコゼ
不細工な顔と背ビレの棘に強い毒を持つことで良く知られています。毒棘に刺されると激しい痛みと共に患部が腫れあがり、病院での手当てが必要となるので注意が必要です。
しかし、それでいてすこぶる美味しいことから高級魚として扱われており、特に活物は高級料理店での引合いが多く、かなりの値段で取引されています。
主な産地は三重県、瀬戸内海沿岸、九州などですが、近年は水揚げが減少していることもあり、各地で種苗養殖と放流が行われているほか、わずかですが養殖も行われています。
産卵期の5月から8月頃にかけて水揚げが増えますでの、産地であれば比較的手ごろな値段でスーパーに並ぶこともあります。
オニオコゼのおすすめの食べ方
調理に自信がない場合は、棘などを取り除いたものを購入しましょう。この時期は真子を持っている場合があるので、お刺身にする場合は冬のものより歩留まりが落ちますが、真子も煮付けなどにすれば美味しく頂けます。アラは良い出汁が出ますので、お吸い物などにすると良いでしょう。小さなものは、2度揚げすれば頭から余さず食べることも出来ます。
カツオ
カツオは毎年北上南下を繰り返す魚で、3月頃に九州南部で漁が始まり、5月頃本州中部、8月から9月頃に三陸北部、北海道南部あたりまで進み、そこからまた南下します。カツオは初夏の季語になっていますが、これは5月頃に当時の江戸周辺で初物の水揚げがあったことに加え、当時は「初物は縁起が良い、初物を食えば長生きできる」と言う文化からきているものと考えられます。
また、近年では遠洋漁業が主体になっており、冷凍の流通が非常に多いことなどから、正直何をもって旬と言うか難しいお魚のひとつにもなっています。
一般的には4月から5月のいわゆる初カツオのシーズンと、8月下旬から10月頃に三陸沖で漁獲される戻りカツオのシーズンを旬と呼びます。
また、各地でブランド化も進められており、この時期だと宮城県の金華鰹などがお勧めです。
カツオのおすすめの食べ方
3~5月は初カツオの時期なので、あっさりとした味わいが特徴です。
カツオの身は加熱するとパサパサになってしまいます。この時期は脂ののりは期待できないでの、必然的にタタキやお刺身などがメインになります。
※カツオにはサバなどと同様にヒスチジンという成分が含まれており、鮮度が落ちて古くなるとヒスタミンというアレルギーを起こす成分に変化しますので、鮮度が悪いものは食べないようにして下さい。
クロガシラガレイ
クロガシラガレイの主な産地は北海道で、道内では重要な水産資源とされ、能取湖では採卵用親魚の捕獲から人工受精卵の放流まで増殖事業も行われています。しかし、近縁種のクロガレイと区別されることなく流通することが多い上、関東以南では産地から離れていることもあり、ほとんど知られていません。
クロガシラガレイは、産卵期に浅瀬に集まる春先から初夏が盛漁期となります。
クロガシラガレイのおすすめの食べ方
臭みやクセは無く、透明感のある白身ですが、やや水分が多いため、身は柔らかめです。
鮮度が良ければお刺身にも出来ますが、産卵期と盛漁期が重なるため、素直に煮付けにした方が真子も一緒に味わるので良いでしょう。。
シロギス
日本国内には、アオギス、ホシギス、モトギスなどがいますが、いずれも希少種で、一般にキスと言うとシロギスを指します。ただし、海外から開きなどに加工されてて輸入されているものにはシロギス以外のものも多いです。
シロギスは遠浅の砂浜に生息していますが、護岸工事などの影響からか、他のキス類と同じく漁獲量は年々減少しており、魚価も高騰しています。首都圏や京阪神などの大きな消費地市場で流通しているものは、近隣の三重県や千葉県などから入荷したものがほとんどで、消費地の前浜で獲れることほとんどありません。
シロギスは主に初秋に産卵期を迎えるため、身が美味しい時期は産卵前の春から初夏までとされています。ただし、産卵前にわずかながら水揚げが増えることもあるため、6~7月を旬とする地域もあれば、8~9月頃に抱卵したものを好む地域もあるなど、旬の捉え方は様々です。
シロギスのおすすめの食べ方
この時期は小さなものが主体になりますが、鮮度が良ければお刺身で美味しく頂くことも出来ます。ただし、血合い骨の除去など、手間が多少発生しますし、小さい分手早く処理しないと鮮度が落ちてしまうので、注意が必要です。皮は柔らかいので、湯霜造りなどにすれば一緒に食べることも出来ますが、身が薄いので加熱し過ぎにならないように注意して下さい。
特に小さなものは、頭を落とすだけで骨が付いたまま唐揚げにしても良いでしょう。
キビナゴ
キビナゴは、スマートな体は美しい銀色で、中央には鮮やかな青色の帯模様が走っています。その見た目から、「帯(きび)」の「小魚(なご)」と名付けられたと言われています。
大きくなっても10cm程度と、ニシンの仲間の中では最も小さな部類です。
産地としては、鹿児島県、熊本県、長崎県、宮崎県、大分県など九州地方に多く、その他は愛媛県、高知県、和歌山県、三重県、静岡県などにもみられますが、鹿児島県、高知県、長崎県が特に多く、鹿児島県では郷土料理のひとつになっています。身が締り美味しくなるのは12~2月頃の寒い時期とされていますが、産卵期を迎える春から初夏頃にかけては海岸近くに産卵のために寄って来るので水揚げが増えるため、12~6月まで旬が続くと言っても良いでしょう。
また、キビナゴは小さいこともあり鮮度落ちが早いので、干物に加工されたものも多く流通しています。
キビナゴのおすすめの食べ方
5月には抱卵したものがかなり増えてきますので、煮付け、焼物、揚物などの加熱調理がお勧めです。捌く手間も要らず、大きくても10cm程度ですので、頭や骨も気にせず食べることも出来るでしょうし、真子のホクホクとした食感を身と一緒に楽しむことが出来ます。
また、水揚げが増えるこの時期は干物の出回りも増えます。干物は旨味がギュッと詰まっていますので、焼物だけではなく、唐揚げ、フライ、南蛮漬けなどにするとさらに美味しく頂くことが出来ます。
ワカサギ
ワカサギの主な産地は青森県、北海道、茨城県、秋田県などの北日本で、水揚げの最盛期は産卵を控えた冬から春先です。凍結した湖の一部に穴をあけて釣り糸を垂らす「穴釣り」は冬の風物にもなっているため、寒いところのお魚、冬のお魚と言うイメージを持たれる方も多いとは思いますが、実ははほぼ1年中安定したた水揚げがあります。また、北陸や山陰でもわずかながら水揚げがあります。
前述したように湖での釣りがイメージとしてありますので、淡水魚と思われる方も多いのですが、実ははアユと同じように河川と海を行き来する両側回遊型と、一生を淡水で過ごす陸封型がいます。また、同じ水域で生活していても両側回遊型と陸封型が混在することもありますので、獲れる場所は湖だけではなく、河川、汽水域、海岸など実に様々です。
産卵期は地域差があるため、1~5月と幅があります。ざっくり言うと11~12月頃は産卵前の身が充実したもの、1~5月は抱卵したものが美味しいとされていますが、小さなお魚ですので、そこまで違いを感じることは難しいため、実際には1年を通して美味しく頂くことが出来ると言っても良いでしょう。
ワカサギのおすすめの食べ方
非常に小さなお魚で、頭も骨も柔らかく丸ごと食べることが出来ます。ただし、釣物には口の中や胃袋に未消化の餌が残っていることもありますので、面倒でも必ずチェックして下さい。残ったままだと食味が悪くなりますので、必要に応じて頭や内臓を除去するなどした方が良いでしょう。
調理法としては正直何でもござれですが、人気が高いのは天ぷらや唐揚げなどの揚物です。煮物にする場合は甘露煮がお勧めです。また、抱卵の有無によって調理法を変える必要も特にありません。
シログチ
夏になると産卵期を迎え、浅瀬に寄ってくるため、釣りはもちろん、定置網などで捕らえられる機会が増えます。このお魚は練り製品の原料としての評価は非常に高いですが、鮮魚としての価値は非常に低くなっており、特に夏時期は産卵期で身が薄くなるため、さらに評価が落ちるようです。
とは言え、夏場はスーパーなどに鮮魚として並ぶ機会は増えてきます。ただし、残念ながらものが良い保証はありませんので、注意が必要です。
シログチのおすすめの食べ方
この頃のものは塩焼きや煮付けが一般的ですが、脂が非常に少ない時期であることに加えて、産卵期で身が薄くなっています。あっさりしたものがお好みであれば問題ありませんが、そうでない場合は、フライ、ソテー、ムニエルなど油分を足す料理が良いでしょう。
ウグイ
ウグイはコイ目に分類される日本の在来種で、沖縄県を除く日本全国に分布しています。河川、ダム湖を含む湖など淡水域はもちろんのこと、海に下るタイプもいるため、汽水域や海水域でも生息が確認されています。ウグイの名前の由来は鵜に良く食べられるところからきているそうです。また、オイカワなど他のコイ科の細長い魚とひとまとめにされハヤと呼ばれることもあります。
広く分布していることもあり、存在自体はとてもポピュラーお魚なのですが、食用としての知名度は今ひとつです。ウグイは汚染された水域でも生息出来るため、泥臭さや、コイ科特有の小骨の多さが原因で「不味い魚」と評価されてしまうことが多いことが理由のようです。ただし、水質が良いところで獲れたものは普通に美味しく、長野県、栃木県、富山県の一部では郷土料理として提供しているお店もあります。
ウグイの旬は産卵期前の初冬から春とされています。産卵期を迎えると、雌雄ともに鮮やかな3本の朱色の条線が走る婚姻色へ体の色が変わりますので、状態を見極める目安になるでしょう。
ウグイのおすすめの食べ方
婚姻色になったものは産卵期を迎えていますので、メス前提であれば真子も一緒に楽しむ料理、焼物、煮物、田楽、揚物などがお勧めです。
大きなものは小骨の多さが気になりますので、料理によっては骨切りなどの処理をして下さい。
メゴチ(総称)
標準和名でメゴチと言うお魚はいますが、食用として出回ることはまずありません。ここで言うメゴチはネズッポ科魚種の総称で、セトヌメリ、ヌメリゴチ、ネズミゴチなどを区別せずに言う場合を指します。
メゴチ(総称)はほぼ全国で水揚げされますが、網にかかると棘が絡んで外しにくいなど嫌われることが多いお魚で、水揚げされても非常に雑な扱いを受けることも多く、さらに釣りの外道としても有名です。加えて、小さくてヌメリが多いため、非常に捌きにくいことと、鮮度落ちもすさまじく早いので、処理を怠るとすぐに臭みが出るなど、嫌われる理由が満載です。しかし、その身は上品で甘味が強く、火を通しても硬くならないので、特に天ぷらのタネとしては価値が高いです。ただし、スーパーなどに並ぶことはまずないので、食べたい場合は、自分で釣るか、常日頃から取り扱いのある天ぷら専門店などに行かねばならないでしょう。
夏に産卵期を迎えるため、春先から食性が上がり身が肥えることに加え、水揚げが増えるため、春から夏を旬とするところが多いのですが、味が良いのは冬から春とされています。
メゴチのおすすめの食べ方
鮮度が悪いとヌメリがひどくなり、身にも臭いが移るので、とにかく鮮度が命です。
お刺身に出来ないこともないですが、難易度がかなり高いので、素直に天ぷらなどの揚物で頂くのが良いでしょう。
アマゴ
サケの仲間は同じお魚であっても、一生を淡水で過ごすものもいれば、一旦海で過ごして産卵の際に川などに戻るものもいたりします。海で生活したものの方が大きくなりやすく、見た目が違ってくるとも多いので、それに伴い名前が変わることもあります。
アマゴは一生を川で過ごしますが、成長とともに海に出て、産卵のため再び川を遡上する降海型のものはサツキマスと呼ばれています。
流通しているアマゴの大半は養殖で、天然物は滅多にお目にかかれるものではありません。河川で獲れるものであっても、冬から春にかけて放流されたものばかりですので、純粋な天然とではありません。
アマゴ本来の生息域は、関東西部から九州の瀬戸内海側にかけての比較的温暖な地域ですが、現在は放流が盛んに行われていることもあり、北陸などの河川にも見られるようになりました。
養殖の産地としては、静岡県、愛知県、岐阜県、徳島県、奈良県などがありますが、その量も決して多いわけではありません。
漁が出来る時期は河川を管理する漁協等により決められており、その多くが3月解禁で、夏の終わり頃まで続きます。
アマゴのおすすめの食べ方
養殖であれば寄生虫の心配はありませんので、鮮度さえ良ければお刺身にすることも出来ます。
アマゴを初め、川魚の代表的な料理は塩焼きですが、アマゴはあまり大きくなりませんので、田楽、煮物、ソテーはもちろん、小さなものは丸ごと甘露煮や唐揚げにしても美味しく頂けます。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
イワナ(総称)
日本に生息するイワナは、まずイワナとオショロコマに分けられ、さらにイワナは「ニッコウイワナ」、「ヤマトイワナ」、「エゾイワナ」、「ゴギ」の亜種に分けられ、オショロコマは「オショロコマ」と「ミヤベイワナ」の亜種に分けられます。ここではオショロコマを除いたイワナをまとめて簡単に紹介します。
イワナで海降型のものはエゾイワナが知られており、この場合はアメマスと名前を変えますが、他のイワナは陸封型とされています。現在は放流や養殖が盛んに行われているため全国で確認されますが、元々冷水を好むため、自然分布しているものは中国地方が南限とされ、山岳の渓流のみで確認出来ます。
水温がやや高くなる3月頃から活性化するようで、秋から冬の産卵を控え食性が高くなるのが夏で、最も身が充実すると言われています。10月以降は産卵期となることと、餌が少なくなるためかなり痩せるようです。また、ほとんどの河川で、秋から春先産卵期間は禁漁となっているため、この時期の入手は不可能と言っても良いでしょう。
イワナのおすすめの食べ方
養殖であればお刺身を食べることも出来ますが、天然物(放流含む)は寄生虫がついていることが多いので、生食はお勧めで出来ません。
清流で育つため、臭みはほとんどなく、身はふっくらとして柔らかく、料理の素材として非常に使いやすいお魚とされています。夏の定番は塩焼きですが、ソテーや燻製などでも美味しく頂くことが出来ます。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
ギンサケ
天然のギンサケは、ロシア沿海地方から千島列島、米国カリフォルニア州にかけての北部太平洋地域に生息していますが、サケ類の大半は母川匡主義(川や湖で産卵して海に出る魚は、その川や湖を有する国のもの)となるため、日本で水揚げはありません。国内に出回っているもののほとんどは養殖で、大半はチリからの輸入です。国内では宮城県や鳥取県などで養殖されています。水揚げは4月頃から始まりますが、生育限界水温が20℃と言われているため、海水温が上限になる前の7月にはほぼ出荷を完了しますので、生鮮の出回りは4ヶ月のみで、これを逃すと冷凍のみとなります。現在では、生け簀を温度が低い深度まで下げたり、年間を通して低水温が保てる北海道での生産を始めたりはしていますが、これらの生産はまだわずかです。よって、生鮮の旬と言える時期は出荷時期と同じ4~7月となります。
ギンサケのおすすめの食べ方
国内に出回っているものは生鮮であっても養殖ですので脂ののりは非常に良いのですが、身が非常に柔らかく、すぐに身割れするため、お刺身にはあまり向かないとされています。塩だけでは水分を抜ききれませんので、生食される場合は燻煙などの処理がお勧めです。
逆に加熱しても身が硬くなりにくいので、焼物、煮物、揚物など加熱調理するには最適なお魚です。
サクラマス
サケの仲間は同じお魚であっても、一生を淡水で過ごすものもいれば、一旦海で過ごして産卵の際に川などに戻るものもいたりします。生活環境で大きさや見た目が違ってくることが多いので、それに伴い名前も変わることがあります。
サクラマスは降海型のお魚ですが、一生を川で過ごすものをヤマメと言います。
産地として有名なのは北海道で、全国の7割以上を占めています。流通しているもののの大半は天然物ですが、養殖事業も進められており、新潟県佐渡島和木漁港沖では「佐渡満開さくらます」というブランドで海面養殖されたものが出荷されている他、山形県遊佐町など陸上養殖も行われています。
養殖はまだまだ出荷が少ないので、サクラマスの旬は、河川へ遡上を始める3~5月となります。川に遡上すると一気に痩せてしまいますので、沖合の定置網で漁獲されたものの方が良いでしょう。婚姻色になっているものは、既に身が痩せてしまっている可能性が高いので、注意して下さい。
サクラマスのおすすめの食べ方
養殖のものはお刺身で食べることが出来ますが、天然物はアニサキスなどの寄生虫がいることが多いので、どうしても生で食べたい場合は、ー20℃以下で24時間以上冷凍したものを使って下さい。
天然のものは産卵期と重なるため、養殖ほどあぶらがのることはありませんが、逆にすっきりとした味わいが特徴で、どのような料理にも合います。
富山県ではサクラマスを使用した「鱒寿司」が有名で、その昔、将軍家へ献上されたとも伝えられています。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
サケ
サケ漁は産卵のため回帰してくるときに行うのが基本ですが、5月頃に獲れるサケは、未成熟のものが北海道沖に回遊してきたものです。本来獲れる時期と違う時にやってくることから「トキシラズ(時知らず、時不知)」、または「トキサケ」と呼ばれています。漁は7月くらいまで続くこともありますが、5月頃が最盛期とされています。
当然、秋の物とは異なり、真子や白子に栄養が取られているわけではありませんので、身はしっとりとしており、適度に脂ものっています。また、その希少性から、高値で取引されています。
未成熟のサケには「鮭児(ケイジ)」と呼ばれるものもいますが、こちらは秋の産卵期に混じって漁獲される未成熟のサケのことです。
サケのおすすめの食べ方
近海の定置網で漁獲されたものは鮮度が良いので、お刺身で食べたくなるかも知れませんが、アニサキスなどの寄生虫がいる確率が非常に高いので、どうしても食べたい場合はー20℃以下で24時間以上冷凍したものを使いましょう。
適度に脂を噛んでいますので、加熱しても極端に硬くなることもありませんので、特に工夫なく焼物、煮物にしても美味しく頂くことが出来ます。
※釣りなどを行う場合は、漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
タイセイヨウサケ
名前の通り、大西洋の北部冷水域に生息しているサケで、アトランティックサーモンと呼ばれ、以前は北米北欧の大西洋沿岸地域のみで消費されていました。1980年代からノルウェーで盛んに養殖されるようになり、その後、需要の高まりとともに、南半球のチリ、ペルー、オーストラリアのタスマニア島などでも養殖が始まりした。元々大きな需要があったことに加え、流通の発達により販路は世界中に広がり、現在では生鮮での空輸も増えています。世界中で消費されているるサケの中で最も需要が高く、ほぼ養殖で賄われています。日本国内でもサーモンと言うと、ほとんどがタイセイヨウサケを指します。また、他の養殖魚と比べて、骨取りフィーレやロインなどの加工品の割合が非常に多く、捌く手間などが大きく軽減されているのも、需要が拡大するひとつの要因でしょう。また、特に北欧、豪州では厳格な管理の元で養殖されているため、身質も非常に安定しており、1年中良質のお魚を口にすることが出来ます。
また、サケの中でも大型で、大きなものでは1ⅿを超えることもある上、体に比べて頭が小さく、歩留まりが良いのも特徴のひとつです。
タイセイヨウサケのおすすめの食べ方
養殖は寄生虫の心配がありませんので、ほとんどが生食用として流通しています。日本国内ではお刺身やスシネタとしての需要が定着しており、スーパーや寿司店には必ずあると言っても良いお魚になっています。
脂が多く、身が柔らかいので、加熱調理しても身が硬くなりにくいのも利点で、生食に限らず色々な料理を楽しむことが出来ます。ただし、脂が非常に多いので、お好み次第で、塩焼きなど幾分脂を落とすような調理や、ポン酢などあっさりとした調味料などと合わせる工夫も必要になるでしょう。
ヒメマス
サケの仲間は同じお魚であっても、一生を淡水で過ごすものもいれば、一旦海で過ごして産卵の際に川などに戻るものもいたりします。生活環境で大きさや見た目が違ってくることが多いので、それに伴い名前も変わることがあります。ヒメマスは一生を湖で過ごしますが、降海型のものはベニザケと言います。
国内では北海道の阿寒湖とチミケップ湖をが原産とされ、その後道内の支笏湖、栃木県中禅寺湖、神奈川県芦ノ湖、山梨県の西湖と本栖湖、長野県青木湖などに移入され、いまでは重要な漁業資源となっています。産卵期は9月下旬から11月にかけてで、その前に食欲が旺盛になる初夏から夏に一番身が充実すると言われています。産卵期になると、オスはベニサケ同様に背が膨らみ紅色の婚姻色となります。
ヒメマスのおすすめの食べ方
夏のヒメマスは程良い脂と甘味を備えており、味の評価は高いお魚です。鮮度が良いとお刺身を食べたくなるのが常ですが、サケの仲間は寄生虫がいることが常ですので、天然物の場合は必ず冷凍処理して寄生虫を死滅させて下さい。もちろん養殖であれば心配はほとんどありません。
また、加熱しても身が硬くなりにくい身質ですので、塩焼きはもちろん、ムニエルやソテー、揚物などにしても比較的さっぱりと食べることが出来ます。
また、サケ以外のイクラはもっぱら評価が低いのですが、ヒメマスは食感、味ともに非常に高い評価を得ています。ただし、出回りは非常に少ないので、出会えたらぜひ一度お召し上がり下さい。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
ヤマメ
サケの仲間は同じお魚であっても、一生を淡水で過ごすものもいれば、一旦海で過ごして産卵の際に川などに戻るものもいたりします。生活環境で大きさや見た目が違ってくることが多いので、それに伴い名前も変わることがあります。ヤマメは一生を川で過ごしますが、成長と共に海に出て、産卵のため再び川を遡上する降海型のものをサクラマスと言います。天然物の生息域は北海道から九州までの河川の上流などの冷水域です。
ヤマメの最大の特徴は体の側面に上下に長い斑紋模様があることです。しかし成長ともに薄くなり、30cmを超えるとほとんど見られなります。このため良く似たアマゴと区別が難しく、ごっちゃになっている地域もあるようです。以前はアマゴと生息域がかなり綺麗に分かれていたので間違えることもなかったようですが、各地で放流事業が活発に行われたことにより、現在では生息域がほぼ重なっています。純粋な天然物は非常に少なくなり、河川などで獲れるもののほとんどは放流事業によるものです。
ヤマメは9~10月に産卵期を迎えるため、その前の春から夏が最も身が充実して美味しい時期と言われています。
ヤマメのおすすめの食べ方
養殖のものはお刺身で食べることが出来ますが、天然物は寄生虫がいることがあるので、どうしても生で食べたい場合は、ー20℃以下で24時間以上冷凍したものを使って下さい。
代表的な料理はやはり塩焼きですが、田楽、煮物、ソテーはもちろん、小さなものは丸ごと甘露煮や唐揚げにしても美味しく頂けます。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
サッパ
サッパはニシンの仲間で瀬戸内海などの内湾に生息しており、回遊することはほとんどなく、一生を通して生息域大きく変えることはありません。大きさも10cmくらいまでと小さいため、雑魚として扱われることが多く、食用とする地域は少ないです。食用とする地域で特に有名なのは岡山県で、ここではママカリと呼ばれています。名前の由来は「用意したご飯が足りず、隣から借りなければならない程旨い」と言うところから来ているそうです。駅弁にもなっていますので、真意の程はご自分の舌でお確かめ下さい。
サッパの旬は年2回あります。ひとつめは産卵前の夏で、小さいながら身が最も充実する時期です。ふたつめは成長して大きくなる秋から冬で、脂がしっかりのってくる頃とされていますが、水揚げが少ないのが難点です。
サッパのおすすめの食べ方
韓国の仁川ではお刺身(フェ)や唐辛子味噌和えが名物になっていますが、国内でお刺身で食べる地域は確認出来ていません。鮮度が良ければお刺身に出来ないことはありませんが、小さい上に小骨が非常に多いので、骨が気にならない方限定です。
代表的な食べ方は酢漬けで、開いて甘酢に漬けることで、小骨も気にならなくなります。それでも気になる場合は、唐揚げ、南蛮漬けなどの揚物にすればよいでしょう。
ヒラ
ヒラは日本国内で水揚げされるニシンの仲間で大きな部類に入り、70cmくらいになることもあります。また、小骨が多いニシンの仲間内でも、最も多い部類に入るため、味云々よりその小骨の多さから食用として敬遠する地域も多く、全国的にはあまり馴染みがないお魚のひとつです。食用として流通している地域は岡山県、香川県などの瀬戸内海の一部と有明海周辺などに限られていますが、この地域では釣りの対象魚としても人気が高く、岡山県はプライドフィッシュにも登録しています。
美味しい旬は、産卵前に身が充実する3月頃から初夏にかけてとされており、この時期に水揚げも増えます。
ヒラのおすすめの食べ方
旬の時期で、鮮度が良いものは脂も適度にのり、旨味も強いため、どのような料理にして美味しく頂くことが出来ますが、とにかく小骨が多いのが難点です。産地のスーパーではハモのように細かく骨切りしたものを販売していることもあります。
お刺身にする場合は、小骨を丁寧に取り除くのがベストですが、普通は骨ごと細かく刻むか、骨切りするように超薄造りにしています。ただ、ここまで手間をかけても旬のヒラは美味しいとされています。
サワラ
サワラも大きさで呼び名が変わるお魚のひとつです。地域により多少違いはありますが、40cm以下のものをサゴシ、50cmを超えたくらいからヤナギ、70cm以上をサワラと言います。ただし、他のお魚同様、その時々で基準が変わりますので、名前だけで大きさを判断することは出来ません。
また、サワラは地域により旬とされる時期が異なります。サワラは漢字で「魚へんに春」と書きますので、春の魚と言うのが通説で、俳句でも晩春の季語になっています。これはサワラが4~5月頃に産卵のため瀬戸内海などに集まり、沢山獲れることから来ています。春は身だけではなく、真子や白子も一緒に楽しむことが出来ます。この時期の産地としては、高知県、和歌山県、岡山県などが有名です。
脂ののりも良く身が最も充実している時期は産卵前の冬で、関東では寒鰆と呼ばれており、東京湾周辺の海域で水揚げが確認されます。ただし、実際に水揚げが多いのは福井県、石川県、京都府などの日本海沿岸で、質の良いものは産地であり消費地でもある岡山県などへも送られています。
サワラのおすすめの食べ方
成熟したサワラであれば、真子、白子が美味しい時期になります。小さなものは身と一緒に煮付けにすると良いですが、大きなものは身はお刺身や焼物、真子は煮物、白子はポン酢などで別々に料理して頂くと良いでしょう。
アカシタビラメ
シタビラメは、カレイ目ウシノシタ科に属するお魚の総称で、その形が舌に似ていることから、漢字で「舌平目」と書きます。日本国内で食用として流通しているものには、アカシタビラメ、オオシタビラメ、クロウシノシタ、イヌノシタなどがいますが見た目で似たようなものは区別されずに流通することが多いです。アカシタビラメもよく似たイヌノシタと区別されずに、アカシタとして流通しています。
アカシタビラメの産卵期は主に夏で、早いところでは3~5月ですので、産卵期前の冬から梅雨時くらいまでのものが身質が良いとされています。しかし、産卵明け以外は身質がそう大きく変わるお魚ではないため、水揚げが増える夏の産卵期を旬とする地域もあります。
主な産地は、香川県、徳島県、愛媛県、大阪府、岡山県など瀬戸内海沿岸で、これらの地域では普段からスーパーなどにも並びます。
アカシタビラメのおすすめの食べ方
アカシタビラメに限らず、シタビラメの仲間は相当大きなものでもない限り身が薄いので、お刺身にする場合は、相当の技術が必要な上、歩留まりもかなり悪くなります。また、身自体は甘味があって美味しいのですが、水分が非常に多く柔らかいので、これを適度に抜く強いた処理も必要となります。難易度は高いのですが、旬の時期に良いものが手に入ったら試してみる価値はあります。
ソテー、ムニエル、煮付けにするのが一般的ですが、小さなものであれば、しっかり揚げれば頭から食べることも出来ます。ただし、焼物にする場合は、お刺身と同様に少し水分を抜いた方が良いでしょう。
クロウシノシタ
シタビラメは、カレイ目ウシノシタ科に属するお魚の総称で、その形が舌に似ていることから、漢字で「舌平目」と書きます。日本国内で食用として流通しているものには、アカシタビラメ、オオシタビラメ、クロウシノシタ、イヌノシタなどがいますが見た目で似たようなものは区別されずに流通することが多いです。クロウシノシタもイヌノシタやオオシタビラメとよく似ていることから、区別されずに流通していることもあるようです。
クロウシノシタはアカシタビラメなどとは異なり関東地方以北でも水揚げがありますので、関東以北でシタビラメと言うとこちらの方がポピュラーです。
身が充実する時期は、産卵前に栄養を蓄える春から夏とされています。水揚げが増える時期は地域で多少ずれもありますが、おおむね6~8月に集中しています。
クロウシノシタのおすすめの食べ方
クロウシノシタはシタビラメの中でも比較的大きな部類になり、30cm以上の大きなものの入手が比較的容易です。他のシタビラメ同様、身が柔らかいので、水を抜く下処理は必要ですが、大きい分お刺身にするのは簡単になります。
その他の料理としては、ソテー、ムニエル、煮付けにするのが一般的ですが、小さなものであれば、しっかり揚げれば頭から食べることも出来ます。ただし、焼物にする場合は、お刺身と同様に少し水分を抜いた方が良いでしょう。
シロウオ
シロウオがスーパーなどに並ぶことはなく、ほとんどが料理屋直行となるため、名前を聞いたことがあってもお目にかかる機会が少ないお魚です。北海道から九州までの広い範囲で水揚げがあり、産卵期を迎える早春から海から川に遡上します。この時期は地域により多少ずれがありますが、おおむね2月中旬~4月上旬が最盛期とされています。シロウオは生きている状態では黄色みを帯びた透明で、腹側に黒い点)がありますが、死んでしまうと白くなります。また加熱調理しても白くなることから、これが名前の由来とされています。
また、シロウオは同じ時期に旬を迎えるシラウオと混同されやすいのですが、シロウオはハゼ科で頭が丸く、活きていれば全体に黄色味を帯びているに対し、シラウオはシラウオ科で、背びれと尾びれの間に脂びれがあり頭が尖っているので、名前は似ていますが、見ればすぐにわかります。
シロウオのおすすめの食べ方
シロウオは踊り食いが非常に有名ですが、稀に顎口虫が寄生していることがありますので、正直お勧め出来ません。万が一に備え、生食する場合は-20℃以下で24時間以上冷凍することをお勧めします。
実際には加熱した方が旨味が強くなりますので、天ぷら、唐揚げ、お吸い物、卵とじなどがお勧めですが、すぐに火が通ってしまうので、加熱し過ぎないように注意して下さい。
スズメダイ
スズメダイの仲間は小さく、見た目が可愛く、色彩豊かなものが多いため、観賞魚として利用されるものも多いのですが、本種は見た目が地味なこともあり観賞魚としての需要はありません。
暖かい時期になると良く見られ、釣人の間では餌取りとしてかなり嫌われています。その気になれば沢山獲れるのですが、小さい上、しっかりした鱗がびっしり付いており、骨も硬く、調理するのがかなり面倒なお魚なので、雑な扱いを受けることが多く、市場に出してもまともな値段が付くことはまずありません。しかし、食べてみると意外に美味しく、地域によっては積極的に食用としており、スーパーに並ぶこともあります。
スズメダイの美味しい時期は産卵前の春から初夏です。産卵期になると、かなり身が痩せてしまうため、ただでさえ小さくて可食部分が少ないのに、さらに少なくなってしまいます。
スズメダイのおすすめの食べ方
小さな魚なので、揚物にすれば頭から食べることが出来ると思われるかも知れませんが、骨がとにかくしっかりしていますので、面倒でも開きにした方が無難です。
鮮度が良ければお刺身も出来ますが、歩留まりが相当悪いので、相当の数が必要な上、当然かなりの手間です。ただし、鮮度が良いものが手に入れば試す価値のある味だと思います。
福岡県には、鱗も内臓も取らずに、そのまま塩焼きにした「あぶってかも」と言う郷土料理があります。
キダイ
標準和名で呼ばれることはほぼなく、もっぱら連子鯛(レンコダイ)として流通しています。見た目はマダイそっくりですが、マダイほど大きくはならず、せいぜい30cmくらいまでです。また、体や顔に黄色い部分があることがマダイとは異なり、名前の由来にもなっています。ちなみに、レンコダイの名前の由来は、延縄漁の際に何尾も連なって獲れたことからとされているようです。
身質はマダイと比べるとやや水っぽく、味もやや落ちると評価されるため、手ごろな値段で流通することが多いです。また、手頃な大きさで、同じサイズのものを揃えやすいお魚であるため、輸入の近縁種を含めて、結婚式の披露宴やお節などに1尾付けで提供されることが多いです。
主な産地は山陰から九州にかけてで、特に長崎県、山口県、島根県で多く見られます。
キダイは1年中水揚げがありますが、6月から8月に最も脂がのるため、最も美味しい時期とされています。ただし、この時期は釣りや延縄が主体となるため、水揚げは決して多くありません。秋から冬にかけては脂がかなり落ちるため評価は下がりますが、冬は底曳網漁が盛んになるため、水揚げは増えます。
キダイのおすすめの食べ方
キダイは大きさが手頃で色が美しく、皮も火を通すと柔らかくなりますので、切身にしたりせず丸ごと使う料理に向きます。特に夏場のものは、非常に良く脂がのるため、塩焼きがお勧めです。
身はマダイに比べ水分が多く柔らかいので、お刺身などにする際には、多少水分を抜く作業が必要になります。皮下の脂はとても美味しいので、湯霜造りや焼霜造りがお勧めです。
クセのない白身なので、他にも色々な料理に使うことが出来ます。小さなものは唐揚げや南蛮漬けなどにすると美味しく頂くことが出来ます。
チダイ
チダイはマダイにそっくりですが、大きくても40cm程度までしかなりません。見た目の違いは、名前の由来にもなっているエラブタの縁の血が滲んだような赤い箇所や、マダイとは違い尾びれの後縁に黒い縁取りがないことなどがあげられます。
水産統計ではチダイとキダイがごっちゃになっていますので、正確なところはわかりませんが、主な産地は山陰から長崎にかけての日本海沿岸から東シナ海です。
チダイは1年を通して水揚げがありますが、9~11月に産卵期は身が痩せてしまうため、あまりお勧めできません。最も良い時期は産卵期前の春から夏にかけてで、丁度この時期はマダイが痩せて味が落ちてきますので、マダイの代替品としての需要も増えるようです。
チダイのおすすめの食べ方
チダイの外見はマダイとそっくりですが、身はマダイより水分が多く柔らかめですので、調理する前に塩などで少し水分を抜いておいた方が良いとされてます。
その他は、特に欠点のない上品な白身ですので、マダイと同じ調理は全て可能です。また、旬のものは皮や皮下の脂にも旨味がありますので、皮を付けたまま調理した方が良いでしょう。
タカサゴ(総称)
タカサゴは漢字で「高砂」と書くため、非常におめでたい名前のようですが、 実は、漁師言葉では「たか」が岩礁、「さご」は細魚と言う意味で、あわせて岩礁に棲む小魚と言う意味のようです。高砂は後からとって付けた当て字で、本来の意味とは全く関係がありません。
主に琉球列島に生息するお魚で、沖縄県ではグルクンと呼ばれ、県の魚と言っても良いくらい馴染み深く、食用魚としても重要ですが、その他の地域ではほとんど知られていません。また、タカサゴとそっくりなニセタカサゴと言うお魚がおり、タカサゴと区別することなく流通しています。加えて、ニセタカサゴの方が多いともされていますので、ここでも区別せずあわせてタカサゴとして紹介します。
タカサゴは暖海性で、国内では奄美大島が北限とされていますが、海水温の上昇の影響からか最近ではそれ以外の地域でも確認されるようになりました。
暖海性のお魚の共通した特徴で、1年を通して比較的安定した水揚げがあり、身質も大きくかわることはありませんが、沖縄県では産卵期の5~7月とその前後に水揚げが多いこともあり、この時期を旬としているようです。
タカサゴのおすすめの食べ方
脂が少ないお魚ということもあってか、沖縄県では唐揚げにするのが定番ですが、あっさりした味わいがお好みなら身、煮付けや塩焼きなどにしても良いでしょう。
また、沢山獲れた時には、保存食として干物に加工することもあり、焼物にする場合は、干物の方が旨味が強く美味しいらしいです。。
鮮度が良ければお刺身にしても美味しいのです。お刺身を皮付きで食べたい場合は、少し硬めの皮なので、カツオのタタキのようにしっかりと火を通した方が良いでしょう。
テンジクダイ
テンジクダイは大きくても10cm程度と小さなお魚です。全国で水揚げは確認出来ますが、食用として流通しているのは、岡山県、広島県東部から中部、徳島県、香川県など瀬戸内海に面する地域のなどに限られています。な魚で、何でこんな名前になったのかすらもはっきりしていないようです。
天竺(インドの古称)と言う名前が何故付いたのかについては不明ですが、自然発生した名称ではなく、学者が付けたのだろうと言われています。
標準和名で流通することはなく、消費地ではネブトとかメンパチと呼ばれており、季節になるとスーパーにも並ぶ人気が高いお魚で、じゃこ天などの原料としても利用されています。しかし、上述した地域以外では雑魚扱いされているため、もったいないことにほとんどが選別もされず廃棄されているようです。
瀬戸内海では4月頃から獲れ始め、夏の産卵期に向けて水揚げが増えていきます。
テンジクダイのおすすめの食べ方
頭の骨が硬く、大きくて硬い耳石を持っているためいずれも取り除く必要があります。また、鱗や内臓はもちろん、ヌメリや血合いもしっかり洗い流しておかないと臭みが残るため、しっかりした下処理が必要です。加えて小さなお魚のため、最終的な可食部分は3割から4割程度と歩留まりも悪いです。唯一の救いは包丁など使わずとも、手だけで処理できることくらいです。しかし、小さな体に似合わず旨味が非常に強いお魚ですので、手間の見返りは期待出来ます。
とにかく小さいので、お刺身、焼物、煮物などの調理は不可能に近く、基本的に揚物となります。中骨は柔らかいので、二度揚げまでせずとも食べることが出来ます。素揚げの場合は、塩や柑橘などで頂くと香ばしさが際立ちます。三杯酢や南蛮漬けにする場合は、軽く打ち粉してからを揚げたものを使うと良いでしょう。
少しレアなですが煮干しも作られていますので、こちらはだし汁などで戻して、酢の物にすると頭から丸ごと食べることも出来ます。とは言え、硬いことに変わりはないので、気になる方は頭だけは外した方が良いでしょう。
ニギス
キスに良く見ていることから似鱚(にぎす)と名付けられたと言われていますが、キスとは別種です。また、他にも様々な呼び名がありますが、沖ギス、沖イワシ、沖ウルメなど、いずれも何かに似ていることから名付けられたものばかりです。
ニギスは海底に棲息しているため、底曳網漁での水揚げが基本になります。石川県、新潟県、島根県など日本海側で底曳網漁が盛んに行われている地域での水揚げが多く、特に島根県沖は日本有数の好漁場として知られています。
ニギスは1年を通して水揚げがあり、季節による身質の違いもさほどありませんが、食欲が旺盛になり、脂がのるのは5月頃と9月頃と言われています。産卵期は、3~4月と、9~11月の年2回で、この前後も比較的水揚げが多くなるようです。
あまりメジャーなお魚ではありませんが、旬の時期には美味しい上に安いので、財布に優しいお魚と言えるでしょう。
ニギスのおすすめの食べ方
ニギスは水分が非常に多いため、鮮度落ちが著しく早く、水揚げされるとすぐに干物などに加工されることが多いので、鮮魚で出回るのは産地でもごくわずかです。鮮度が良ければお刺身も可能と言われていますが、これは産地でもかなり難しいです。
基本的に焼物、煮物、揚物などに向けられますが、前述したように水分が非常に多いので、調理前に適度に水分を抜く下処理が必要となります。また、調理中も丁寧に扱わないと、すぐに身崩れしてしまいます。干物を使うと身崩れしにくくくなりますので便利ですが、塩味が強いので、配慮した味付けが必要です。
ムツゴロウ
ムツゴロウの生息域は、国内では有明海と八代海の一部しかなく、全国的な需要もないため産地でしか流通していません。しかし、そのユニークな姿や、ムツカケと言う独特な漁法はテレビなどで広く紹介されているため、比較的有名です。
エラと皮膚の両方で呼吸が出来るため干潟の上を這い回ることが出来る変わったお魚です。普段は干潟に巣穴を掘って隠れていますが、潮が引くとそこから出て干潟表面の珪藻類を食べます。天気が良ければ、冬であっても巣穴から出ることがありますが、普通は12月上旬から翌3月上旬が越冬の期間で、表には出てきませんので、最も水揚げが増えるのは産卵期の夏となります。産卵期には、オスがメスへの求愛行動としてジャンプを繰り返すことから、その様子を写真に収めようと全国から人が集まります。釣り上げられる。
ムツゴロウのおすすめの食べ方
干潟に生息しているため、臭い抜きなどの処理が必要かと思いきや、産地では特に下処理はせず、そのまま調理しているようです。お刺身にすることもあるようですが、一般的な食べ方は蒲焼で、佐賀県では郷土料理にもなっています。また、活きたまま串刺しにして、酒、味醂、醤油などで味付けする豪快な料理もあります。他には、甘露煮、味噌汁などがポピュラーですが、加熱調理は、いずれも切るなどの下処理はせず、丸のまま調理するのが基本のようです。
ワラスボ
ワラスボは有明海にのみ生息する珍魚です。内臓や血管が透けて見えるような紫色のヌルヌルとして気味が悪い細長い魚体と、歯がむき出しになった醜悪な面構えは非常にグロテスクで、映画「エイリアン」の怪物にそっくりですが、これもハゼの仲間です。
普段は巣穴に潜んでいるので、ナギナタのような道具で泥の中をひっかき回して獲ります。この漁法は有明海の夏の風物詩になっていますが、実際には底引網で獲れる方が多いようです。ムツゴロウと同じく、産地以外での流通はないと言っても良いでしょう。
産卵期は6~9月とされており、この前後に水揚げが増えます。
ワラスボのおすすめの食べ方
産地では普通は味噌汁や煮付けにして食べるのが一般的ですが、鮮度が良いものはお刺身にすることもあるようです。
また、干物に加工したものは、食べ易い大きさに切って揚物や焼物にしたり、ふぐのひれ酒のようにお酒に浸したり、粉末状にしてご飯のふりかけにされたりもしています。
スジアラ
沖縄県ではアカジンミーバイと呼ばれ、ハマダイ(アカマチ)やシロクラベラ(マクブー)とともに沖縄三大高級魚として知られています。本州では水揚げがほとんどないため、馴染みはありませんが、入荷した時には、沖縄県同様に高値で取引されているようです。
主な産地は沖縄県、鹿児島県の島しょ部です。沖縄県では養殖も始まっており、2016年には完全養殖にも成功していますが、まだその量はわずかです。
スジアラは暖海系のお魚のため、ほぼ1年中水揚げがあり、身質の変化もそうありませんが、夏から秋にかけては産卵期に当たるため、身が痩せていることが多いらしいです。決して安くないお魚ですので、この時期だけは避けておいた方が無難でしょう。
スジアラのおすすめの食べ方
鮮度が良過ぎると、身が反り返ったり、加熱した際の身離れが悪かったりしますので、サイズにもよりますが、どのような調理をするにしても少なくとも2~3日は寝かせた方が良いでしょう。
非常に上品な白身ですので、お刺身にした場合には、少し物足りなさを感じる可能性もあります。その時は、カルパッチョやマリネなどのように少し味を加えた方が良いでしょう。
加熱調理も同様で、油を加えたり、少し濃い目の味付けをした方が美味しく感じられることもあります。
ハタハタ
ハタハタは、秋田の伝統調味料である塩汁(しょっつる)の原料としても有名です。漢字では「鰰」と書きますが、これは雷やいかずちを意味する霹靂神(はたたがみ)に由来しているとされています。漁期であり、産卵期である11~12月は雪の前に雷が鳴ることが多く、その時期に沿岸に押し寄せてきたものを獲ることから、名付けられたと言われています。
ハタハタと言う呼び名は、主に秋田県など北日本の呼び方で、兵庫県から島根県など山陰地方ではシロハタとかシラハタと呼ぶこともあります。
美味しいとされる旬の時期は産地で異なり、秋田県周辺は11〜1月、山陰地方は3〜5月となります。秋田県のハタハタは産卵のためメスは抱卵しており、卵をブリコと呼び珍重します。山陰地方のものは産卵期とは逆になるため身が充実しています。このため、卵を楽しむの冬の秋田県周辺のもの、身を楽しむのであれば春から初夏の山陰のものを選ぶと良いでしょう。
ハタハタのおすすめの食べ方
3~5月は、身だけを純粋に楽しむ季節になります。
大きなものは煮物や焼物、小さなものは唐揚げにすると美味しく頂くことが出来ます。
また、干物に加工することで、余分な水分も抜け旨味も増しますので、焼物、揚物などにする場合は、これを利用すると良いでしょう。
また、鳥取県には酢で締めた「白ハタ寿司」と呼ばれる郷土料理もあります。
ハモ
ハモは特に関西で珍重され、京都の祇園祭や大阪の天神祭には、なくてはならないお魚とされています。しかし他の地域で食する機会は料理屋くらいで、関西のようにスーパーなどに並ぶことはほとんどありません。
主な産地も西日本に集中しています。ハモの統計はここ数年行われていませんので詳細は不明ですが、兵庫県淡路島周辺、徳島県、豊後水道周辺(大分県、愛媛県)などで水揚げが多く見られます。
ハモは「梅雨の水を飲んで美味しくなる」と言われており、産卵前の6~7月あたりが最も美味しいとされ、祭りの時期と重なるため1年の中では最も値で取引されます。産卵後の9月は最も水揚げが最も多い時期とされていますが、この頃は身が痩せているために1年で最も安い時期のようです。しかし、実が再び充実する10~11月の晩秋あたりに獲れる物は評価が高く、体表が金色を帯びてきますので「金ハモ」とも呼ばれ珍重されます。
ハモのおすすめの食べ方
ハモは細長い上に、体中に細く頑丈な骨が複雑に入り組んでいるため、料理するためには骨を全部貫くか、骨切りするなどの工程が必要です。ご家庭で料理される場合は、あらかじめ下処理をしたものを購入された方が良いでしょう。ただし、お店で販売しているものには、解凍したものなどもありますので、出来れば生鮮で、かつ鮮度が良いものを選んで下さい。
基本の料理は湯引き、蒲焼、塩焼き、天ぷらなどですが、鮮度が良いものはお刺身で食べることも出来ます。
ヒメジ
ヒメジは赤い体色とアゴのひげが特徴の見た目がとても艶やかお魚で、北海道から九州までの沿岸に広く分布しており、投げ釣りなどでもよく見かけるお魚です。しかし、小さい上に、まとまったて水揚げされるところも少ないことなどから、雑魚扱いされ廃棄されてしまうこともあります。特定地域を除けばスーパーなどに並ぶことはまずないので、国内ではマイナーなお魚ですが、ヨーロッパでは人気が高く、ムニエルや揚物などで良く食べられています。
水揚げ統計はとられていないため、産地もはっきりはしていませんが、冬場の底曳網漁で混獲されることが多く、この漁が盛んな日本海側では比較的目にする機会が多いです。
また、ヒメジは夏から秋が産卵期のため、晩冬から初夏頃が最も身質が良いとされていおり、特に冬は底曳網の漁期とも重なります。
ヒメジのおすすめの食べ方
お魚自体はクセのない白身ですので、どのような料理にも合わせることは出来ます。
少し小さいお魚なので、面倒ですが、鮮度が良いものが手に入ればお刺身がお勧めです。皮は少し硬いので、付けたままにするのであれば湯引きではなく、焼霜造りが良いでしょう
揚物にする場合は、二度揚げすると、頭も骨も美味しく頂くことが出来ます。
山口県では金太郎と呼ばれ、干物に加工され、良く食べられているようです。
ヒメダイ
ヒメダイは、沖縄ではクルキンマチと呼ばれ、味の良さから高級魚として扱われています。しかし、暖海系のお魚と言うこともあり、本州では滅多にお目にかかれないため、ほとんど馴染みがありません。
統計資料もないため、はっきりした産地は不明ですが、沖縄県以外では、八丈島から小笠原周辺、高知県、鹿児島県などで見ることが出来ます。
暖海系のお魚の特徴で、1年を通して大きく身質が変わることはないとされていますが、産卵期である5~9月は身が痩せる傾向にあるため、身はどうしても痩せてしまいます。ただし、産卵期には多少なり水揚げが増えるため、高知県などのように夏を旬としているところもあります。
ヒメダイのおすすめの食べ方
産地にもよりますが、5月頃からは抱卵したものが混じり始めますので、身質をマダイに良く似た上品な白身ですので、鮮度がや太り具合をよく確認しましょう。
真子や白子が入っていれば、まずは煮物はお勧めです。1日おいておくと、煮凝りでも美味しく頂くことが出来ます。
ハマフエフキ
ハマフエフキは熱帯から亜熱帯の海域に多いフエフキダイ科のひとつです。沖縄県ではタマンと呼ばれ、重要な食用魚で、フエダイと同様に暖海系のお魚の中では美味しい部類に入ります。また、大きなものでは1m程度まで成長します。
主な産地は、沖縄県、鹿児島県、長崎県、宮崎県、高知県などです。南の方で獲れるお魚は、味の評価が低かったり、産地が遠方で輸送に時間がかかるなどの理由から一般には流通していませんが、このお魚は大阪、京都、東京の市場にも出荷されています。
沖縄県では3月下旬頃から獲れ始め、漁が始まった頃の水揚げが地元新聞などで取り上げられています。その他の地域では夏頃に最盛期を迎えるようです。
ハマフエフキのおすすめの食べ方
上品でクセがなく、旨味の強い白身ですので、鮮度が良ければ、まずはお刺身がお勧めです。ただし、皮は非常に硬いので、お刺身には向きません。
また、加熱しても硬くなりにくい身質ですので、料理は選びません。加えて、アラからはとても良い出汁が出るので、スープなどで楽しむことが出来ます。
ナシフグ
あまり馴染みのないフグですが、香川県では、2010年に香川県漁連が地元のナシフグの販売促進を目的に「讃岐でんぶく」のブランド名で商標登録するなど、力を入れています。
以前は比較的安価なフグとして流通していましたが、韓国産で食中毒が発生したため、1993年に販売禁止となり、一度姿を消してしまいました。しかし、1995年に有明海と橘湾、1998年には香川県と岡山県の瀬戸内海沿岸産のみ解禁され、国内で漁獲海域を限定して販売許可措置がとられている唯一のフグとなりました。加えて、漁獲後に適正処理を行い、販売時には「産地確認認証紙」の添付が義務付けられています。
フグは冬のイメージが強いのですが、ナシフグは1年中水揚げがあります。最盛期は春から夏にかけてです。ただ、どうしてもこの時期はフグの需要期から外れてしまっているため、一旦冷凍してから、冬に出荷することが多くなっているようです。
ナシフグのおすすめの食べ方
トラフグほど高価ではないため、気軽に楽しめるフグとして産地では人気があるようですが、産地以外で入手しにくいのが難点です。
身は柔らかめなので、お刺身する場合は、水分を抜いたり、炙ったりなどするなどした方が良いでしょう。
逆に、加熱しても硬くなりにくいので、煮物、焼物、揚物などには適しています。
※フグは猛毒のテトロドトキシンを持っているため、調理は必ず免許を持っているプロにお願いしましょう。
ブリ
この頃は、いわゆるツバスとかヤズとか呼ばれる30cmくらいの大きさのもので、ブリの名前ではは流通していません。
このサイズは、初夏のさっぱりした味わいのものが良いと言う評価と、秋から初冬に少し脂を蓄えた時期のものが良いと言う評価に別れています。
この時期のものは、水温が上がるにつれて北上しますので、太平洋側では東海から関東で、日本海側では山陰から北陸で水揚げが増えます。価格も非常にお手頃ですが、それが故、雑な扱いをされる場合もありますので、購入される場合は鮮度チェックが必要です。
小さなものは養殖での出荷はありませんので、ほぼ間違いなく全て天然物となります。
ブリのおすすめの食べ方
この時期のものはあっさりした味わいが特徴です。最盛期のものと比べると脂ののりは少ないのですが、お魚自体の味わいが楽しめますので、鮮度が良いものが手に入れば、まずはお刺身がお勧めです。
ただし、脂が少ないため、加熱すると硬くなりやすいので、揚物、ムニエル、ソテーなど油分を加える料理が適当でしょう。
もちろん、あっさりした味わいをお望みなら、そのまま調理して頂ければ良いでしょう。
ホッケ
ホッケと言うと、まず思いつくのが開き干しで、全国で認知されています。ただし、鮮魚となると産地が北海道に限られてしまうこともあり、あまり馴染みはありません。今では、輸送技術の発達により、関東、関西の市場でも見られるようになりましたが、それでもお目にかかる機会はほとんどありません。
ホッケは元々安価で、干物はとても美味しいため、あっという間に需要がふえたものの、ピークの1998年には24万トンもあった水揚げは、2016年には1.7万トンまで落ち込み、値段も急上昇しました。
少なくなったとは言え、ホッケはほぼ1年中漁が行われています。北海道の漁期は、石狩、後志、檜山、宗谷では周年、網走は3~翌1月、根室は5~11月などとなっています。水揚げが比較的多いのは5~11月ですが、秋に産卵期を迎えるため、最も身が充実するのは4月中旬~7月と言われています。
ホッケのおすすめの食べ方
鮮度が良いものが手に入れば、生食も可能と言われていますが、ほぼ確実にくアニサキスが寄生していますので、お勧めはしません(どうしてもの場合は冷凍処理するか、自己責任です)。
ホッケは加熱した方が旨味が増すと言われており、身も硬くなりにくく、身離れも良いので、産地であっても干物の流通が基本ですので、どうしても焼物がメインとなります。ただし、鮮魚が手に入った場合は、煮物、ムニエル、揚物など多種多様な料理が可能です。皮はとても硬く食用には不向きですので、料理によっては最初から外しておいた方が良いでしょう。
メナダ
メナダはボラの仲間で、非常によく似ています。大きな違いは唇で、上唇が下方に曲がっていることや、赤い色をしていることで見分けが付きます。この赤い唇から朱口(シュクチ)と呼ぶ地域もあります。また、メナダも大きさで名前が変わる出世魚ですが、全国的に見ても認知度はかなり低めです。
生息域は、ボラと同じように内湾や汽水域になることもありますが、ボラのように奥までは入り込むことはなく、河口や湾の入口に留まりますし、どちらかと言うと綺麗な砂地や外洋を好みますので、ボラのように身質が環境に左右されることはあまりありません。水揚げされた海域にもよりますが、特に外洋で獲れたものは臭みもなく美味しいとされています。ただし、このように高い評価が得られるのは、有明海や瀬戸内海などに限られており、関東地方ではボラと混同されて流通することも多いためか、ほとんど評価されていません。
美味しい旬の時期は、ボラが真冬の産卵期とされているのに対しに、メナダは産卵明けの晩春から夏とされていますので、良く似ていても美味しい時期は真逆になります。
メナダのおすすめの食べ方
メナダはクセのない上品な白身ですので、料理は選びませんが、生息域によっては皮下の脂が臭うこともありますので、皮は引いておいた方が無難です。
鮮度が良いものであれば、もちろんお刺身がお勧めです。活〆のものであれば、洗いにするとプリッとした食感も楽しむことが出来ます。
アナジャコ
シャコと名前が付いており、良く似ていますが、シャコは口脚目であるのに対し、アナジャコは十脚目に分類されるため、ヤドカリやエビの仲間になります。
全国の干潟に生息しており、比較的多く見られるのは長崎県、佐賀県、熊本県、岡山県などです。有明海では、巣穴に書道用の大筆を差し込み、嫌がって出てきたところを釣り上げる独特の漁法があります。
とにかく1尾ずつ根気よく獲るしか方法がないため、水揚げは少なく、産直お取り寄せでもしない限り、消費地で入手することは極めて困難です。加えて、味の良さも加わり、産地であっても、お取り寄せであっても、高値で取引されています。
初夏から夏に向けて、少ないながらも水揚げが増えますが、産地であっても店頭に並ぶことはほとんどない、知る人ぞ知る夏の風物詩です。
アナジャコのおすすめの食べ方
アナジャコは殻が柔らかいので、加熱すると小エビのように殻ごと食べることが出来、とても風味豊かな味わいとなります。産地では、唐揚げ、天ぷら、塩茹で、煮付けなどで食べられています。
ただし、干潟に棲んでいますので、調理する前に、出来れば綺麗な海水で数日活かし込みをして泥を吐かせたり、体に付いた汚れをしっかりと洗い流しておいたりしなければなりません。
アマエビ(総称)
ここでは国産のアマエビを紹介しますが、アマエビと言う呼び名は流通名で、標準和名はホッコクアカエビ、もしくホンホッコクアカエビです。前者はロシアから日本の日本海側で獲れます。後者は北欧や北米など北大西洋で獲れ、スーパーや回転寿司などでよく見られるのはこちらです。この2種は本当にそっくりで、ぱっと見で区別するのは難しく、産地で判断するくらいしか出来ません。
国産のアマエビはは1年中水揚げがありますので、お目にかかる機会が多そうな気はしますが、輸入品と比べてかなり高いこと、冷凍や加工品での流通がほとんどないこと、鮮度落ちが早いことなどから、産地や料理専門店でもない限りお店に並ぶことはまずありません。したがって、食べたい場合は料理専門店に問い合わせして入荷がある場合に予約するか、水揚げが多い時期に産地に行くくらいしか手がありません。
美味しい旬の時期についても悩ましいくらい複数の説があります。晩秋から冬にかけての海水温度が下がる時期が良いと言う説、北陸地方では休漁明け9月上旬から10月と言う説、北海道では水揚げピークの5月などと言う説などがありますが、いずれも明確な根拠はありません。ひとつ言えることは、抱卵しているものは間違いなく身が痩せていると言うこと、産卵後はさらに身が痩せると言うことです。ただし、卵は食べることがありますので、産卵明けの6~8月だけは避けた方が無難と言うことになりそうですので、ここでは産卵明けの夏以外を旬として紹介します。
アマエビ(総称)のおすすめの食べ方
アマエビは基本生食用ですので、鮮度が命です。鮮度が良ければ、頭を抜いたときに背ワタも一緒に獲れますし、芳醇なミソも一緒に味わうことが出来ます。抱卵したものであれば、卵のプチプチ食感も一緒に楽しむことが出来ます。ただし、適正に管理することが出来れば、1日程度置いた方が、獲れたてより甘味が増巣と言われています。
お刺身には少し厳しい場合は、殻付きのまま調理すると良いでしょう。お勧めは塩茹で、唐揚げ、炒め物、汁物などです。ただし、頭の先のトゲは口に刺さることがありますので、取り除いておいた方が良いでしょう。
トゲザコエビ
トゲザコエビは、産地ではガスエビ、ドロエビ、モサエビなどと呼ばれています。見た目は決して良いとは言えませんが、鮮度の良いものは生食用として非常に評価が高く、アマエビよりも甘いとさえ言われています。産卵期は1~3月のようですが、初夏にも抱卵が確認されるなど抱卵期が長いため、子持ちのものが多く見られます。
生息域に関しては未解明な部分が多いのですが、主に山陰以北の日本海からオホーツク海で見られ、主な産地として知られているのは、島根県以東の山陰地方、北陸地方、新潟県や秋田県などです。
主に底曳網漁で獲られるので、日本海側各地で底曳網が禁漁期となる夏以外が漁期となりますが、産地では冬場にズワイガニ漁が始まりますので、水揚げが増えるのはズワイガニ漁が終わった春から初夏にかけてです。春から夏は卵と一緒に、晩秋から冬は身だけを楽しむことが出来る時期となります。
水揚げも少なく、産地での評価が高いため、産地でほぼ全て消費されてしまいますので、消費地への出回りはまずありません。旅先などで見かけた際にはぜひお召し上がり頂きたいもののひとつです。
トゲザコエビのおすすめの食べ方
底曳網で獲られるため、砂や泥を噛んでいることがありますので、調理前にしっかり洗っておきましょう。
お刺身にする場合は、活きているくらい鮮度が良いものが適しています。死んでから時間が経つと殻が白濁したり、黒ずんできたりしますので、目安にして下さい。
お刺身に厳しそうなものは、塩茹で、塩焼きが、小さなものは、唐揚げ、炒め物がお勧めです。ただし、唐揚げや炒め物にする場合は、頭の殻やトゲが口に当たることがありますので、頭ごと取り除いておいた方が良いでしょう。頭は焼いてから、汁物などの出汁を取るのに使っても良いです。
トヤマエビ
トヤマエビは、一般にボタンエビとして市場に流通しています。これは、ボタンエビの水揚げが減少したため、良く似ているトヤマエビを代用品として流通させている内に、流通名として定着してしまったことによるものです。ちなみにトヤマエビの名前の由来は、富山湾で研究用として最初に採捕されたことによるもので、富山県周辺に多く生息していると言う意味ではありません。実際のところ、富山県の水揚げはわずかで、大半は北海道となっています。
産卵期は早いところで4月頃から始まりますが、期間が非常に長く、一旦抱卵すると産卵まで10ヶ月程度かかりますので、正確な旬の時期についての把握は困難です。ただし、卵も味わいのひとつですので、産卵明けで身が痩せた物を除けば、いつでも美味しい時期と言って良いでしょう。北陸などではズワイガニ漁が出来ない時期に漁をしたりするので、金沢周辺では3月下旬から夏にかけて水揚げの最盛期を迎えます。
トヤマエビのおすすめの食べ方
ボタンエビの代用品とはいえ、水揚げは決して多くなく、食味の良さから高級品として取引されていますので、料亭や寿司店以外でお目にかかることはまずありません。
鮮度の悪いものが流通することはまずありませんので、まずはお刺身がお勧めになります。
頭は加熱することでミソまで美味しく頂くことが出来ますが、ボイルすると風味が失せてしまうので、加熱する場合は、焼くか、電子レンジが良いとされています。
モロトゲアカエビ
標準和名のモロトゲアカエビで呼ばれることはほぼなく、産地や市場ではシマエビとか、スジエビと呼ばれており、ボタンエビなどと同様に高値で取引されています。
本種を目的とした漁はなく、北陸や北海道で、底曳網漁やエビ籠漁などでわずかに混獲される程度です。これに伴い漁期もはっきりしていませんが、北陸ではカニ漁が終了してからの3月くらいから8月くらいまでは水揚げが確認出来ます。また、北海道ではアマエビの漁期とほぼ一緒です。
産卵期は秋から春にかけてですので、身質が良いのは秋ごろとなりそうですが、その頃は水揚げほとんどなく、春から初夏に水揚げが増える傾向があるようです。
モロトゲアカエビのおすすめの食べ方
食味の良さから高級品として取引されていますので、料亭や寿司店以外でお目にかかることはまずありません。
鮮度の悪いものが流通することはまずありませんので、まずはお刺身がお勧めになります。
少しもったいないですが塩焼きや唐揚げでも美味しく頂くことが出来ます。また、頭やミソ、殻からはとても良い出汁が取れますので、味噌汁などで楽しむことが出来ます。
サクラエビ
サクラエビは大きくなっても4~5cm程度の小さく、透明感のある桜色のエビです。名前は聞いたことがある方が多いと思いますが、大半が乾物での流通となっていますので、生鮮にお目にかかる機会は、産地でもない限りかなり難しいでしょう。
国内でサクラエビの漁業許可が与えられているのは、駿河湾に面した静岡県清水区の由比(ゆい)港、蒲原(かんばら)港、焼津市の大井川港のみです。したがって、日本産の桜エビは全て駿河湾で捕れたものとなります。海外では台湾近海で桜エビが捕れており、乾物などに加工されて輸入されています。
また、資源保護の観点から漁期も春と秋の2回と定められており、春は3月下旬~6月上旬、秋漁は10月下旬から12月下旬となっています。
網で捕まえたサクラエビは、体を傷付けないように専用のホースで吸い取られて箱に詰め、港へ着いたら、鮮度が落ちない内に、冷凍や乾燥などへ加工がされてます。サクラエビは鮮度が落ちやすいため、生の桜エビを食べられるのは、漁期の間の駿河湾近郊だけとなります。
また、サクラエビの天日干しをする富士川の河川敷は、真っ赤な絨毯を敷き詰めたような風景になりますので、機会があれば一度は見ておきたいものです。
サクラエビのおすすめの食べ方
干しえびとして流通することが多いので、和え物やふりかけ的な要素が高いのですが、生鮮での入手が出来たらぜひ試していただきたいのが生食です。
殻は柔らかいので、そのまま食べることができ、サクサクした歯ごたえと、ふんわりした甘味を味わえます。生食は特に秋のものが殻が柔らかくて良いと言われています。
また、忘れてはならないのがかき揚げです。元々香りのよいエビですので、加熱することにより一層風味が増します。こちらは味が比較的しっかりしている春のものの方が適していると言われています。
その他は、釜揚げ、炊き込みご飯などがお勧めでです。
シラエビ
シラエビは富山湾を漁場とする石川県能登や富山県の特産品として有名です。産地ではもっぱらシロエビと呼ばれており、富山県ではホタルイカ、ブリとともの「富山県の魚」に選定されています。体色は透明ですが、手足、触角、尾、背の峰に薄い赤色の小さな斑点が無数にあり、ほんのり赤く見えるため、水揚げしたばかりのシラエビは非常に美しく「富山湾の宝石」と言われています。
シラエビは日本沿岸にしか生息しない固有種で、実は太平洋側の遠州灘、駿河湾、相模湾などにも生息していますが、棲息密度が高く、商業的に漁が行えるのは富山湾だけです。
鮮度落ちが早いため、消費地では乾物などの加工品くらいしか見ることが出来ませんでしたが、今では流通の発達により遠く離れた消費地でも生鮮品が入手出来るようになりました。
富山湾のシラエビ漁は4月1日~11月までで、最も身質が良いのは4月解禁から初夏辺りと言われています。
シラエビのおすすめの食べ方
黒変したり、ドリップが出ているものは臭いもあり、風味も失せていますので、どのような料理をするにしても鮮度が良いものを選びましょう。
獲れたてもののであれば、まずはお刺身がお勧めです。柔らかく、透明感のある身は、ほのかに甘く、エビの香りを楽しむことが出来ます。ただし、大きくても10cmに満たない小さなものであることに加え、殻が薄く、かつ非常に柔らかいため、むき身にするのに大変な労力を要します。
簡単に楽しむには、唐揚げやかき揚げがお勧めです。上述したように殻は薄く柔らかいので、そのまま加熱調理しても口に当たることはなく、またシラエビ独特の風味も一緒に楽しむことが出来ます。また、小さくても良い出汁が出ますので、すり身にする場合も殻ごとがお勧めです。
ウチワエビ
ウチワエビは、全体に押し潰されたように平たく、団扇のような姿をしているから名付けられました。地方によっては、やはり見た目からタビとかセッタと呼ぶところもあります。画像を見ると大きそうに見えますが、実際には15~20cm程で、可食部分は非常に少ないです。しかし、味の評価は高く、イセエビより美味しいと言う人もいます。
島根県から九州の西日本で水揚げが確認出来ますが、水揚げ自体はほんとに少ないので、ほぼ産地で消費されてしまい、余程のことがない限り消費地に出回ることはありません。昔は漁もそこそこあり安く流通していたので、気軽に楽しむことが出来ましたが、味の良さが知られてしまったため、特に大都市の市場ではかなり高値で取引されるため、産地であっても、中々口にすることが出来なくなっています。
美味しい旬の時期については、諸説ありますが、産卵期が秋頃なので、冬から夏までが最も身質が良いと仮定されます。ただし、産地によってはこれに関係なく漁期を定めているところもあり、ちなみに長崎県の五島列島では10月1日~11月末の産卵期にかかる頃を漁期と定められています。したがって、身だけを純粋に楽しむなら冬から夏、卵を一緒に楽しむなら秋と、1年中楽しむことが出来ることになりそうです。
ウチワエビのおすすめの食べ方
死んでしまうと、臭みが出る上に、身が痩せてしまうので、とにかく生きているものが前提です。しかし、生簀で数日生かしたものは身が痩せている場合があります。
見ての通り、頭が大きく、体が小さいので、歩留まりは無茶苦茶悪いですが、まずはお刺身がお勧めです。イセエビに負けない芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
もちろん、塩茹で、焼物などシンプルに味わって頂いても結構ですし、変わり種では天ぷらもお勧めです。もちろん、殻からは美味しい出汁が獲れますので、汁物もお勧めです。
クリガニ
クリガニはケガニの仲間ですが、甲長が8cm程度と小さいカニです。足も短く、身が少ないのこともあってか、とても安く流通していますが、ケガニ同様にミソはとても美味しい上、メスの内子は絶品で、コストパフォーマンスには優れています。
主な産地は北海道根室沿岸からオホーツク海沿岸にかけてです。ほぼ産地で消費されてしまうため、消費地ではあまり見ることはありません。
クリガニは主に春から初夏に漁獲されますが、春はメスが内子を持つため人気が高くなります。夏を過ぎても獲れないことはないようですが、脱皮の時期と重なるため、身入りがとても悪くなります。
良く似たものにトゲクリガニがいます。見た目だけではなく、味わいや漁期も酷似しており、混獲された場合は区別することもなく流通していることもあるため、さほど気にする必要もないかも知れませんが、大きな違いとしては下記の3点が挙げられます。
1)クリガニの額角は4歯がほぼ同じ大きさなのに対し、トゲクリガニは真ん中の2歯が気持ち小さめ
2)クリガニのメスの生殖口の周りが硬く厚い壁に取り巻かれているのに対し、トゲクリガニには壁自体がない
3)クリガニの国内産地は室蘭、根室、釧路、網走であるのに対し、トゲクリガニは北海道西岸の日本海側、津軽海峡、三陸沿岸
クリガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
このカニはシンプルに茹でるか、蒸すかして食べるのが最も良いとされています。メスであれば内子、オスであれば身が詰まっていますが、何せ小さいので、足をもいでかぶりつくような食べ方が最適とされています。もちろん、良い出汁が出ますので汁物にも最適です。
ケガニ
ケガニはクリガニやトゲクリガニなどと同じクリガニ科のですが、クリガニやトゲクリガニは安価なのに対し、ケガニはオスで甲長15cmと大きくなるため、身がしっかりあることに加え、身やミソの美味しさから高級品として流通しています。
主な産地は、胆振、日高、網走、宗谷、十勝、釧路などの北海道沿岸各地と岩手県です。以前は大量に水揚げがあったとされていますが、今では最盛期の10分の1程度まで減少しているため、各地で厳しい規制が行われています。メスガニ、甲長8cm未満、脱皮直後ののものはリリースされます。加えて、リリース時に傷ついていたりすると死んでしまうため、必ず籠を使って漁をしなければなりません。また、漁が行える船隻数、1隻が使える籠の数、漁期中の水揚げ総量などの制約もあります。
ケガニは冬にになると出回るが増えるようなイメージがありますが、実は1年中どこかで水揚げがあります。それぞれの漁期は、胆振で6~7月、登別から白老町沖で7月中旬から8月中旬、日高で12月~4月、十勝と釧路で1~3月と9~12月、オホーツク沿岸は流氷がなくならない塗料が出来ないため、網走で3~8月、雄武町で3月下旬~7月下旬、宗谷で3月15日~8月21日となります。道外の岩手県では12~3月となっています。
それぞれの産地で、最も身質が良いであろう時期に漁が行われていますので、他のカニ類とは異なり、いつでも美味しいケガニに巡り合うことが出来ます。
ケガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。高いカニですので、慎重に選びましょう。
新鮮なものはお刺身で食べることも出来ますが、クリガニの仲間は足が短くいので、可食部分はわずかです。やはりお勧めお薦めの食べ方は、茹でるか蒸すかしたものの身やミソをほぐして食べることです。クリガニの仲間は何と言ってもミソが美味しいので、この食べ方が一番でしょう。
もちろん、良い出汁が出ますので汁物にも最適です。また、グラタン、パスタ、サラダ、コロッケなどの洋風料理でも、他の具材に味が負けることなく、ケガニの芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
トゲクリガニ
トゲクリガニも仲間で、クリガニ同様に甲長が8cm程度と小さいカニです。クリガニと同じ理由で、とても安く流通していますが、同様にミソがとても美味しく、メスの内子も絶品です。
産地としては、青森県の陸奥湾が有名で、他は北海道西岸の日本海側、津軽海峡、三陸沿岸などがあります。三陸ではケガニ漁で混獲されるため、2月頃から出回りますが、陸奥湾の漁期は4月下旬から5月下旬頃までで、丁度内子が入る時期と重なります。青森県ではお花見の時期と漁期が重なるため、花見に欠かせないカニとして古くから親しまれており、桜蟹や花見蟹とも呼ばれています。
良く似たものにクリガニがいます。見た目だけではなく、味わいや漁期も酷似しており、混獲された場合は区別することもなく流通していることもあるため、さほど気にする必要もないかも知れませんが、大きな違いとしては下記の3点が挙げられます。
1)トゲクリガニの額角は4歯の内、真ん中の2歯が気持ち小さめなのに対し、クリガニはほぼ同じ大きさ
2)トゲクリガニのメスの生殖口には壁がないのに対し、クリガニは生殖口の周りが硬く厚い壁に取り巻かれている
3)トゲクリガニの国内産地は、北海道西岸の日本海側、津軽海峡、三陸沿岸などになるのに対し、クリガニは室蘭、根室、釧路、網走
トゲクリガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
このカニはシンプルに茹でるか、蒸すかして食べるのが最も良いとされています。メスであれば内子、オスであれば身が詰まっていますが、何せ小さいので、足をもいでかぶりつくような食べ方が最適とされています。もちろん、良い出汁が出ますので汁物にも最適です。
ベニズワイガニ
ベニズワイガニは松葉ガニでも知られるズワイガニの仲間で、姿形はそっくりですが、その名の通り加熱しておらずとも既に赤い色になっているのが最大の特徴です。水揚げがズワイガニより多いと言うこともありますが、足が細く、身が水っぽいと言うことなどから、国産ズワイガニの5分の1~10分の1の値段で流通することも多いです。しかし、ミソの旨味や身の甘味はズワイガニより良いと言う評価もあり、とにかくコストパフォーマンスには優れています。
産地としては、鳥取県、島根県、兵庫県、新潟県、石川県など日本海側に集中しており、特に山陰地方で多く水揚げされています。兵庫県では香住漁港にしか水揚げされていないことから、香住ガニと呼ばれており、良いものは漁船の名前が印字された白いタグが付けられてから出荷されます。
ベニズワイガニもズワイガニ同様、資源保護のため各地でサイズ規制や禁漁期間が設定されており、また、メスは全国一律で捕獲禁止とされています。
主な漁期は、鳥取県(境港市)で9~6月、兵庫県(香住)と富山県で9~5月、新潟県と石川県で3~12月、北海道の茂津多岬以北で7~4月、北海道の茂津多岬以南で4~8月と、1年中どこかで水揚げされていますので、いつでも楽しむことが出来ます。
ベニズワイガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
鮮度がべらぼうに良い場合はお刺身でも食べることも可能ですが、水分が多いのであまりお勧めはしません。ミソは濃厚で、身の甘味は強いため、特にお勧めするのはシンプルに焼き、茹で、蒸し、汁物などです。また、カニの風味が強く、乳製品などとの相性も良いので、グラタンやクリームコロッケなどもお勧めです。
また、ベニズワイガニは缶詰などでむき身になったものも多く流通していますので、調理の下処理が面倒な時には便利です。
タラバガニ
カニの手足の合計は10本なのですが、タラバガニは見ての通り8本です。実はタラバガニはヤドカリ下目に分類されており、カニではなくヤドカリに近い種類です。ですので、横だけではなく、前に歩くことも出来ます。
日本では 鱈が獲れる場所で一緒に獲れたことから、鱈場蟹(タラバガニ)と、英語圏では足を拡げると1mを超える位大きなものがいることもあるため、KingCrab(カニの王様)と名付けられました。
主な生息域は北太平洋及び北大西洋の寒流域ですが、最近では南半球の寒流域でも確認されています。国内で水揚げがあるのは北海道のオホーツク沿岸のみですが、その量は本当にわずかですので、国内需要を賄うためにアメリカ、ロシア、ノルウェーなどから多く輸入しており、漁場が近いロシアからは活物でも輸入されています。身入りだけ見ると、北海道より寒い海域で獲れている輸入物の方が良いと言う評価もあります。
国内(北海道)の漁期は、おおむね2回に分けられます。ひとつは流氷がなくなることにより漁が再開される3~5月で、この頃は餌が豊富になるため、身が充実し、甘味が増すと言われています。もうひとつは脱皮が終わり身質が向上すると言われている10月~2月です。ただし、10~11月は脱皮直後のものが混じったりしますし、12月以降は冬眠期に入るため活動が鈍ることもあり、水揚げ量は期待出来ません。もちろん、流氷が押し寄せる海域では漁は出来ません。ただし、ロシア産の活物はいつでも入荷しているようですので、北海道の禁漁期間中に活物がある場合は、ほぼ間違いなくロシア産と思って頂ければ良いでしょう。
タラバガニのおすすめの食べ方
タラバガニカの仲間も死んでしまうと、例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
タラバガニは大きなものが基本であることに加え、身の繊維がしっかりしていますので、非常に食べ応えがあります。鮮度の良いものであればお刺身も可能ですが、お勧めは素直に、茹でガニと焼ガニです。濃厚な味わいとしっかりした食べ応えはタラバガニの最大の特徴です。
尚、タラバガニのミソは、そのまま加熱してしまうと流れ出てしまうため、調理する前に取り除いておいて、足などとは別に調理する必要があります。
ハナサキガニ
ハナサキガニの手足は8本で、タラバガニの仲間ですので、分類上はカニよりヤドカリに近い種類となります。名前の由来は 花咲半島(根室半島)で多く獲れたことからと言う説と、茹でた時に花が咲いたような見事な朱色になるからという説がありますが、どちらかははっきりしません。
主な産地は、釧路港(襟裳から根室にかけての太平洋沿岸)と、花咲港(根室半島のオホーツク海)です。以前は年間1000トン程度水揚げがあったようですが、見境なく獲ってしまったこともあり、今では10分の1程度まで減少しています。このため、水揚げされたものは、地元や、札幌、函館などでほぼ消費されてしまい、道外に出回ることは滅多にありません。現在では、漁期を4~9月(6~7月は産卵期)、オスは甲長8cm以上、メスは甲長11.5cm以上のみを漁獲対象としていますが、何故か産卵期のメスも漁獲対象としている影響もあるためか、明確な資源回復には至っておりません。
ハナサキガニのおすすめの食べ方
ハナサキガニも死んでしまうと、く自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
ハナサキガニは殻がとにかく硬い上に、刺々しいため、調理する際には必ず軍手などでカバーして下さい。
とても濃厚な味わいが特徴ですので、あまり余計なことをせず、茹でガニ、焼きガニ、汁物などで素直に味わうのが良いでしょう。
また、タラバガニ同様に加熱するとミソが流れ出てしまいますので注意が必要です。
シリヤケイカ
とんでもない名前を付けられたものですが、その由来は、胴の先端が尖っておらず、お尻のような形をしていおり、そこから赤褐色の粘液を吐き出すこともあることから、先端が赤く染まていることで、尻が焼けたように見えることからと言われています。また、背側にはゴマのような白く小さな斑点のような模様が入っているのも特徴のひとつです。
他のコウイカと同様に春~夏の産卵に向けて内湾に集まってきますので、その頃に他の魚に混じって水揚げがある程度増えますが、身が充実していのは産卵前の秋~春先です。
主な産地としては、東京湾、大阪湾、瀬戸内海などがありますが、どこかが突出して多いと言うことはありません。
シリヤケイカのおすすめの食べ方
コウイカの仲間は、鮮度が落ちるにしたがって背側の紋様がぼやけて、最後には白っぽくなります。こうなるとお刺身では少し厳しくなりますので、出来るだけ紋様が鮮やかなものや、表面の細かい斑点が点滅しているものを選びましょう。むき身になっている場合は、張りがあって、透明感のある物を選んで下さい。また、コウイカの仲間は身に付いている薄皮をきちんと取っておかないと口当たりが悪くなることに加え、臭みも残りますので、注意して下さい。
シリヤケイカは、カミナリイカやコウイカと比べると甘味が足りないとされており、やや低評価のため低価格で流通していますが、同時に食べ比べでもしない限りその違いは分からないレベルですので、そこまで気にする必要もないと思われます。
他のコウイカ同様に、鮮度が良いものはまずはお刺身がお勧めで、もちろん、耳や下足も含め、焼物炒め物、揚物、和え物などなんにでも合わせることが出来ます。墨はイタリアンではお馴染みで、パスタやリゾットなどに使われます。
また、産卵期が近づくと白子が入っている場合があります。見つけたら塩でよく揉み洗いして、焼物、煮物、揚物などにすると美味しく頂くことが出来ます。
ミミイカ
ミミイカは胴長が4cmくらいで、大きくても大人の手のひらの半分程度のくらいの、とても小さなイカです。胴は丸い砲弾型で、その真ん中あたりに丸く耳状にヒレが付いており、これが名前の由来とされています。
産地としては、瀬戸内海、三河湾などがありますが、混獲でわずかに獲れる程度で、ほとんどが産地で消費されてしまうため、消費地での認知度は激低です。
漁期は地域でかなり異なり、明石では冬場に底曳網で獲れるようですが、子持ちのものが良いとされる傾向がありますので、一応初夏を旬として紹介します。
ミミイカのおすすめの食べ方
生きたものに超したことはありませんが、入手は極めて困難なので、出来るだけ半透明で、白くなっていないものを選びましょう。
鮮度が良いものお刺身で食べることが出来ますが、何せ小さいので下処理はかなり面倒です。
加熱調理する場合は、小さいので、下処理なしで使えそうに見えますが、体に似合わぬくらい墨袋が大きく、そのまま調理すると、墨袋が破けて真っ黒になってしまいますので、面倒でも取り除かなければなりません。また、目と口は硬く、かなり口に当たりますので、気になるようなら取り除いておいた方が良いでしょう。
身は加熱しても硬くなりにくいのですが、とにかく小さいので、加熱しすぎるとさらに小さくなってしまいますので、加熱し過ぎには注意して下さい。
基本的なイカ料理であれば何でも出来ますが、揚物は油が恐ろしい勢いで跳ねますので覚悟が必要です。
アオリイカ
アオリイカの背側は長楕円形ですので、コウイカのようにも見えますが、スルメイカなど同じツツイカの仲間です。腹側から見るとわかりやすく、細長移動にヒレが広く全体に付いていることで、背側から見ると楕円形になるのが確認出来ます。
沿岸で獲れるイカの中では大型で、大きいものだと胴長は50cm、重量5kgを超えるものもいます。
名前の由来は、乗馬の際に馬の両腹に垂れ提げる泥除けの障泥(あおり)と言う馬具から来ていると言われています。また、芭蕉の葉の形に似ていることからバショウイカと呼ぶ地域もあります。
関東以西、福井県以西の沿岸で比較的見られますが、水揚げは決して多くないため、特にここがと言う産地はありません。加えて、味や食感がとても良いことから高級品として流通しています。
アオリイカは普段は深場で生活していますが、産卵期が近づく春頃には浅瀬に集まり、4月中頃から8月頃にかけて産卵すると言われています。寿命は約1年で、産卵後は死んでしまいます。孵化した子イカは沿岸の藻場で夏から秋にかけて成長し、冬になると深場に潜ります。
深場に潜ったものは中々獲れませんので、水揚げが増えるのは、産卵のために浅瀬に寄って来る春から初夏と、秋になって成長した子イカが深場に潜る前の2回となります。
アオリイカのおすすめの食べ方
イカは生きているものの方が良いとはされていますが、ツツイカの仲間は鮮度が良すぎると歯応えばかりになりますので、丁寧に下処理をした後、1日程度寝かせた方が甘味が出ると言われています。
決して安いイカではありませんので、とにかく良いものを手に入れて、お刺身です。適度に寝かせたものであれば、ねっとりした甘味を味わうことが出来ますが、活物であれば、表裏に細かく切り込みを入れておくと食べやすく、甘みも感じやすくなります。
耳や下足など、お刺身にするのが難しい部位は揚物や炒め物などにすると良いでしょう。お刺身にするのが厳しいものは、むき身にしてから良く洗い、一夜干しにすると臭いも取れて、旨味も増すのでお勧めです。
ケンサキイカ
ケンサキイカはヤリイカの仲間で良く似ています。見た目の違いとしては、胴がヤリイカよりも太く、腕も太く、触腕については太く長いことなどが挙げられます。胴の先が尖って剣先に似ることが名前の由来とされていますが、ヤリイカも胴の先が尖って鎗のようになっていることが名前の由来とされているように、実際には並べて比較しないとわかりにくいかもしれません。ただし、ケンサキイカが春から夏に水揚げが増えるのに対して、ヤリイカは冬が多いので、同時に見る機会は多くありません。
ケンサキイカは、生息域よって体形に違いが出て来る特徴があり、大きく3つのグループに分けられています。九州沿岸に棲息するものは典型的な体形をしておりゴトウイカと呼ばれています。島根県から兵庫県の山陰地方で獲れるものは腕がより太く、ブドウイカとかシロイカとか呼ばれています。三浦半島や伊豆近辺で獲れるものは、他の半分くらいの大きさいで成熟する特徴があり、メヒカリとかマルイカと呼ばれています。どの生息域のものであっても、身が厚く味の評価も高いことから、高値で流通することが多く、特に干スルメに加工されるものは「一番するめ」とも呼ばれ、輸入品であっても高級品になっています。
主な産地は、長崎県、佐賀県、山口県、島根県などで、佐賀県と山口県ではプライドフィッシュに指定されています。中でも玄界灘は産地としても有名で、佐賀県の呼子ではイカの活き造りが名物になっています。ただし、呼子ではケンサキイカのことをヤリイカと呼ぶので、注意して下さい。
産卵のため春から夏にかけて岸に近寄るため、水揚げのピークを迎えます。特に初夏から真夏に水揚げが増えるため、夏のイカとされています。ただし、獲れ始めのものは子持ちが多いため、身だけを味わうなら産卵を終えた後に、食欲が活性化して身が充実し始める7~9月のものが良いでしょう。
ケンサキイカのおすすめの食べ方
鮮度の良いケンサキイカは何と言ってもお刺身がお勧めです。その身は半透明で艶々しており、歯触り、旨みともに申し分ありません。甘味を増すためには、少し寝かせるか、一度冷凍したりすると良いのですが、柔らかくなってしまいます。また、生のまま明太子などと和えても美味しく頂けます。
加熱しても硬くなりにくいイカですので、お刺身には少し厳しいものや、耳、下足は炒め物や揚物にするとコリコリとした食感とともに、イカの旨味を味わうことが出来ます。
また、子持ちで小さめのものが手に入った場合は、素直に煮付けにして、真子や白子とともに頂いた方が良いでしょう。
ジンドウイカ
ジンドウイカは大きくても胴長10cm程度の小さなイカで、ヒイカとも呼ばれています。
ほぼ全国で水揚げがあり、東日本では宮城県などの三陸から房総沖、中部では三河湾から伊勢湾、西日本では和歌山県や瀬戸内海周辺などで見られます。
市場には周年出荷されているようですが、小さいこともあり品質や味のバラツキが大きなことが原因なのか、値段が高いわけでもないのに、何故かスーパーなどに並ぶことは少なく、料理屋でもあまり見かけることのない、非常にマイナーな存在です。
水揚げが増える時期も産地でかなりばらついており、春から夏というところや、冬から春にかけてというところに分かれます。共通しているのは、晩夏から初冬は水揚げが減るところです。
ジンドウイカのおすすめの食べ方
生きているものは内臓が透けて見えるくらいの透明感がありますが、時間経過とともに赤みを帯び、さらに透明感のない白濁色になります。特にこのイカは小さいこともあって、鮮度劣化が早いので、最低でも多少なり赤みが残っている物を選んで下さい。
鮮度が良ければお刺身がお勧めで、もし生きているものが手に入れば歯応えを楽しむことが出来ます。
加熱調理する場合は、小さいので、特に処理する必要もなく、軽く火を通す程度で十分です。
ベイカ
ベイカは胴長8cmほどの小さなイカで、産地ではベカ、チイチイイカ、チイイカなどと呼ばれています。瀬戸内海や有明海くらいでしか見られず、生鮮で流通しているのは、広島県東部、岡山県、香川県などごく一部に限られます。
水揚げは多かれ少なかれ1年中ありますが、産卵期の春から初夏にある程度まとまります。産地では子持ちのものを重宝する傾向が高いため、この時期が旬となります。また、岡山県では観光四つ手網があり、初夏の風物詩となっています。
ベイカのおすすめの食べ方
鮮度が良いものは身が半透明で、体表に小さな斑点がくっきりと見えますが、鮮度落ちしてくると白濁してきます。また、網で獲られるため、擦れて皮が剥げているものが多いのですが、出来るだけ皮がしっかり残ったものを選びましょう。
ベイカは、皮や内臓を取り除かなくても、軽く洗ってそのまま調理出来ます。加熱しても硬くなりにくいので、子持ちのものは、丸のままボイルして酢みそ和えや煮付けで食べるのが一般的です。炒め物や揚物にも向きますが、アヒージョやリゾットなどの変わり種もお勧めです。
また、瀬戸内海沿岸では、お刺身が名物になっている地域もあります。
ホタルイカ
ホタルイカは胴長7cm、重量10g程度の小さなイカで、腕や腹部に沢山の発光器を持ち、蛍と同じように青白く光ることが名前の由来です。
日本海側一帯や、駿河湾、相模湾などで生息が確認出来ていますが、商業漁業が可能な水揚げがあるのは富山県、兵庫県などに限られます。
ホタルイカは富山湾が有名ですが、水揚げが最も多いのは兵庫県の日本海側で、その次が富山県です(とは言っても、この2県くらいしかないのですが)。漁法は異なり、兵庫県では日中の底曳網漁を行うのに対し、富山県は夜間の定置網漁です。兵庫県で獲れるものは、底曳網漁のため鮮度保持が難しく、ほぼ全てが水揚げ後すぐに釜茹でされてしまいますが、富山県では生はもちろん、活物でも出荷出来ますので、評価が高くなっています。
また、富山県では乱獲防止のため、富山市水橋から魚津市にかけての海岸沿い約15km、沖合約1.3kmの海域は、春にホタルイカの群れが押し寄せることから「ホタルイカ群遊海面」として国の特別天然記念物に指定されています。
漁期は、兵庫県で1月下旬頃に解禁となり、3~4月が最盛期を迎え、5月末まで続きます。富山県は毎年3月1日が解禁日で、最盛期は4~5月初旬頃で、6月末まで続きます。身質が最も良くなる時期はいずれの産地も3月頃から4月と言われています。
ホタルイカのおすすめの食べ方
富山県産のものは、生のままパック詰めされたものや、活物で流通することもあります。鮮度が良いものは、身や腕に透明感がありますが、鮮度が落ちてくると全体に白っぽくなり、表皮が薄茶色になりますので、こう言ったものは避けるようにして下さい。
生や活物が手に入ったら、お刺身と行きたいところでしょうが、ホタルイカには旋尾線虫と言う寄生虫がいることが多く、これは人にも寄生します。魚体も寄生虫も非常に小さいので完全に取り除くことは極めて難しいため、いくら鮮度が良くても生食は止めておきましょう。
多少でも食感を残したい場合は、しゃぶしゃぶがお勧めですが、内臓は必ず取り除き、良く洗浄して下さい。また、中途半端な加熱は危険ですので、しっかり火を通して下さい。内臓も一緒に食べたいのであれば、炒め物、煮物、揚物、炊き込みご飯など、然り火を通す料理がお勧めです。また、目や口は他のイカ同様に硬いので、気になる場合はあらかじめ取り除いておきましょう。
※尾線虫は人体内部では成長しませんが、幼体のまま胃腸を破って腹部の皮膚近くに移動し、ミミズ腫れなどの症状を引き起こしたり、腸付近に留まるとと腸閉塞を起こしたりします。冷凍で死滅させる方法もありますが、その温度はー30℃以下ですので、家庭用冷蔵庫では不可能です。
テナガダコ
テナガダコはその名の通り、腕を広げると大きなものでは全長70cm程度にもなる、とても腕が長いタコです。
瀬戸内海、三河湾、有明海などの内湾で底曳網漁などで混獲される程度で、その量は決して多くありませんので、ほとんどが産地で消費されてしまいます。身は水分がやや多く、旨味も足りないと言われているため、生きているものであって、高値で流通することはまずありませんし、死んでしまうとさらに安くなってしまいます。
産卵期は6月頃とされており、この時期に目掛けて浅瀬などに集まる傾向があるためか、春先から初夏にかけて水揚げが増えるところが多いようです。
テナガダコのおすすめの食べ方
とにかく身が細いため、死んでしまうとすぐに鮮度劣化してしまい、臭いが出ることもありますので、とにかく生きているものが大前提です。また、砂泥地に生息しており、底曳網で漁獲されることが多いため、吸盤などに泥や砂を噛んでいますので、調理前にはしっかりと洗って下さい。
韓国ではサンナクチ(活けダコ刺身)に使われており、評価が高いですが、日本では生で食べるほど旨味があるものではないとの評価が一般的です。普通は、煮物、揚物、炒め物などに仕向けられ、味付けもやや濃い目にすることが多いです。加熱すると長い腕がクルクル巻いて食べにくくなるので、調理する前に適度な長さに切っておくと良いでしょう。
エゾアワビ
エゾアワビは見た目も食感もクロアワビによく似ています。足の色はクロアワビと同じような黒っぽいものからクリーム色のものまで個体差があり、比較的明るい色のものが多いとされています。また、流通しているものは、クロアワビより小さなものが多くいです。養殖もされており、韓国や中国から活物や冷凍で輸入されています。
エゾアワビは養殖されていることもあり、ほぼ周年市場流通しています。また、アワビと言うと夏のイメ-ジが強いのですが、エゾアワビの産卵期は8~10月ですので、身質が良いのは産卵前の初夏と、晩秋から冬になります。流通が増えるのは、年末年始需要があるため11~1月となります。
エゾアワビのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、アワビは身がむき出しで生活していますので、調理時にしっかり洗って汚れを落としておきましょう。貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
エゾアワビはコリコリした食感が特徴ですので、一般的には生のお刺身を好む傾向がありますが、火を通すことにより柔らかくなり風味も増しますので、焼物、煮物、蒸し物などもお勧めです。
※2~5月頃のアワビの中腸線に餌となる海藻のクロロフィルに由来する毒素が溜ることがあり、これを大量に食べると極まれに光過敏症という中毒を起こすことがあります。有毒な中腸腺は黒っぽい濃い緑色なのに対し、無毒な物は灰緑色か緑褐色なので、色で見分けられるそうですが、念のため同時期のアワビの肝は避けた方が良いでしょう。また、無許可の採取は禁止されています。
トコブシ
トコブシは小さなアワビにそっくりですが、大きくなっても殻長7cmくらいにしかなりません。アワビとの違いは、貝殻にある呼吸孔と呼ばれる穴で確認することが出来ます。アワビは穴の廻りが筒状に隆起しているのに対し、トコブシは隆起せず、単に穴として存在しています。
また、名前の由来は、常に海の底にある岩(床)に張り付き(臥)しているように見えるからと言われています。
トコブシは全国の岩礁域で見られますが、市場に出荷されるほどまとまった量が採れる産地としては、三重県、徳島県、高知県などがあります。
トコブシは1年中流通していますが、産卵期が秋から冬であるため、その前の春から夏に身が充実して美味しくなると言われています。ただし、別名で福溜(ふくだめ)と呼ばれていることもあり、縁起物としてお節料理に用いられることから、年末年始も旬とする考え方もあります。
※福溜は元々伊勢志摩での呼び名と言われていますが、何故そのような名前になったかについては不明です。
トコブシのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。トコブシか殻付きのままの料理も多いので、調理する前にたっぷりの塩とタワシなどで、殻ごとしっかりとヌメリや汚れを採り除いて下さい。
鮮度の良いものであれば、お刺身も出来ます。身は柔らかいので、アワビのように薄くスライスする必要はありません。ただし、生食の場合は残念ながら旨味にやや欠けます。この貝は昔から加熱することで旨味が増すと言われており、加熱しても柔らかいままと言う特徴があります。定番の煮貝や焼貝はもちろん、揚物や炒め物などにしても良いでしょう。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
イタヤガイ
イタヤガイは産地では食用として親しまれていますが、採れなかったりの差が著しく、全く安定供給出来ないため、消費地に出回ることはほとんどありません。
見た目はホタテガイにそっくりですが、イタヤガイは太い放射筋が8~10本なのに対し、ホタテガイは細い放射筋が20本以上入っていますので、簡単に見分けることが出来ます。また、イタヤガイは雄雌同体ですので、産卵期には真子と白子を同時に有します。大きさも異なり、ホタテガイは殻長が20cmを超えることもありますが、イタヤガイは大きくても12cm程度と小振りです。
イタヤガイは主に底曳網漁や貝桁網漁で混獲される程度で、これと言った産地はありません。その中でも比較的見られるのは、愛知県から九州にかけての太平洋沿岸と、山陰から北九州沿岸にかけてですが、上述したように獲れても数が少ない時は、その場で廃棄されることもあるようです。
産卵期は冬ですので、真子や白子を一緒に食べるのであれば秋から冬が美味しいと言うことになりますが、貝柱が充実するのは産卵明けの春から初夏にかけてと考えれば良いでしょう。
イタヤガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、イタヤガイは底曳網などで採られることが多いため、ほぼ確実に砂や泥を噛んでいると思って下さい。活かし込みで砂を吐かせる方法もありますが、食用箇所は貝柱、ヒモ(外套膜)、真子、白子くらいなので、水管などに含まれている砂まで抜く必要はあまりないと思われます。ですので、むき身にした後に、しっかり水洗いすれば良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
身はホタテガイより若干柔らかいのですが、味は勝るとも劣らずで、お刺身はもちろん、煮物、焼物、揚物など何でも対応できるオールマイティーな貝です。特にシチューやクリームコロッケなどとの相性は抜群と言われています。
※2枚貝は時期(概ね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ホタテガイ
ホタテガイは食用の貝としては最も一般的と言っても良いくらい普及しており、生鮮、冷凍、ボイル、貝柱など様々な形態で全国に流通しています。
大きくなると殻長20cmを超えることもあり、表裏で色や形が違うのも特徴です。表側は少し丸く膨らんでおり白っぽく、裏側は平らに近く紫褐色となっています。
市場に流通しているものには栽培物と天然物がありますが、100%天然は少なく、そのほとんどは稚貝を放流してから約3年後に収穫したものです。厳密には天然とは言えないかも知れませんが、川に放流した魚と違って、数年は自活しているわけですので、天然と言っても全く差支えはないでしょう。
撒くための稚貝の採取は、幼生が生活のために岩などに付着する習性を利用しています。産卵期である春に生息域に採苗器を沈めてから幼生が自然に付着するのを待ちます。その後、おおむね1cm程度に成長したであろう時期に引き上げて、稚貝を採取します。この後、1年程度生育し、海に撒くか、栽培するかに分けます。
産地は北海道と青森県でほぼ100%を占めています。天然物はほぼ100%北海道で、栽培物は約60%が青森県で、残り約40%が北海道です。岩手県や宮城県でも採取が行われていますが、その量は本当にわずかです。
青森県はベビーホタテと呼ばれる小さなものが有名です。籠の中が過密になると生育が阻害されるため、半成貝と呼ばれる5cm程度のものを4~6月くらいに間引いて出荷します。2~3年育ててある程度大きくなったものは、基本的に1年中水揚げがありますが、多いのは2~8月のようです。北海道では、栽培物は3~4月、撒いたものは8~9月の水揚げが多いとされています。
美味しい旬の時期は水揚げ時期とは少し異なりますが、産卵に向けて生殖巣が最も大きくなるのは冬ですので、生殖巣を一緒に食べるのであれば冬が美味しいと言うことになります。ただし、貝柱だけで見ると産卵後に栄養が回復する夏が良いと言えるでしょう。
ホタテガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。栽培物の場合は、砂を噛んでいることはほとんどありませんが、天然物の場合は砂を噛んでいることが多々あります。念のため、いずれであっても、むき身にしてから良く洗っておくと良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
夏は貝柱が充実する時期ですので、お刺身はもちろん、焼物、揚物など貝柱の持つ旨味を堪能出来ます。また、青森県産で小さなものの出回りがありますので、手に入ったら殻付きのまま、酒蒸し、味噌汁、ホタテバターなどにするのがお勧めです。
2枚貝にはウロと呼ばれる黒っぽく丸い中腸線などの内臓が付いており、特にイタヤガイの仲間は目につきます。大きな貝であれば、貝毒の危険を避けるため取り除いた方が良いのですが、小さなものであれば、特に気にする必要はありません。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ウチムラサキ
ウチムラサキは一般に大アサリと呼ばれることが多く、大きくなると殻長10cmほどになる大きな2枚貝です。殻は硬く厚みがあり、殻の色は白、黄褐色、灰青など様々ですが、内側は濃紺から紫色で、これが名前の由来となっています。
生息範囲は広いのですが、水揚げが比較的多いのは、三河湾と伊勢湾に面した愛知県と三重県で、ここでは大あさりの浜焼きが名物になっています。
美味しい時期は意見が分かれ、春から夏と言うところもあれば、秋から冬とするところもありますが、産卵期は秋とされていますので、身が充実するのは春から夏とみてよいでしょう。また、この時期に水揚げも増えます。
ウチムラサキのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭かったり、砂や泥を噛んでいる場合がありますので、臭いのチェックと砂抜きは欠かせません。死んでから中身が空っぽになって泥が詰まっている場合もありますが、大きな貝ですので確認は比較的容易です。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
アカガイやウバガイのように、綺麗に身を取り出して調理する方法もありますが、加熱調理用の貝ですので、殻ごと身を半分に切った方が加熱しやすく、見場も良いのでお勧めです。半分に割ったものを殻ごと焼物にしても良いですし、また身だけ取り出して、揚物や煮物にしても良いでしょう。旨味は非常に強い貝ですので、味付けは最小限度で結構です。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
イワガキ
イワガキとマガキは同じマガキ属の仲間で、見た目も良く似ていますが、マガキは産卵後の初夏には身が痩せてしまうため、その前の冬が旬とされていますが、イワガキは産卵期間が長く数ヶ月にわたるものの、その間も身が痩せることがないのが特徴です。また、マガキで流通しているものはほぼ100%栽培物なのに対し、イワガキは天然物と栽培物が流通しています。また、イワガキは大きなものでは1kgを超えることもあります。
イワガキは夏牡蠣と呼ばれるように、晩春から夏が旬とされていますが、身が痩せることがないため、その気になれば1年中出荷は可能です。しかし、同属であるマガキとの競合を避けるためか、マガキの出荷が終わってからの出荷となります。
産地としては、天然物だと秋田県、山形県、新潟県、千葉県、石川県、京都府、鳥取県、大分県など、栽培物だと三重県、鳥取県、島根県などがあげられます。各地でブランド化も進められており、三重県の「あだこ岩がき」、鳥取県の「夏輝(なつき)」、島根県の「隠岐の岩がき」、「旬香(しゅんこう)」など色々なものがありますので、機会があれば、産地ごとに取り寄せて楽しむのも良いでしょう。
イワガキのおすすめの食べ方
イワガキはマガキのようにむき身で流通することはなく、ほぼ100%殻付きとなります。無論、他の貝同様に元気なものを選ばなくてはなりませんが、牡蠣に至っては、とにかく口がきちんと閉まっているものが前提となります。口が空いたままのものは、死んでいる可能性があるので避けましょう。また、持ってみてズッシリとした重みのあるものが良いです。
栽培物などは、出荷前に滅菌処理のため数日綺麗な水で活かし込みをしているところもありますが、天然物の場合は、砂、汚れ、小さなエビやカニなどが身に付着していることもありますので、むき身したところで、一旦塩水で洗浄して下さい。加えて、生食する場合は腸炎ビブリオ菌が付着している可能性もありますので、真水でも洗浄して下さい。殻はとても厚く、特にぴっちり口が締まっている場合は殻を外すのに一苦労ですので、購入されるお店でむき身にして頂いた方が無難かもしれません。
一般的な牡蠣料理であれば何でも出来ますが、ひとつひとつが大きくて、そこそこ良い値段がしますので、鮮度が良い前提であれば、まずはお刺身がお勧めです。食べる直前に氷水でで冷やすと、身が締まり、一層美味しく感じられます。
もちろん、焼物、蒸し物、煮物、揚物などにして頂いても良いですが、必要に応じて適当な大きさにカットしておくと良いでしょう。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
サザエ
磯で採れる貝で、最も馴染みがあるものと言えばサザエではないでしょうか。馴染みがありすぎたためか、中国産のナンカイサザエと日本のサザエは別種にも関わらず、ずっと混同され続けており、2017年にようやく国産サザエに「トゥルボ・サザエ」と言う学名が付けられました。
かつては、外洋のものはツノが長く、内湾のものはツノがないとされていましたが、これは遺伝的な要素が強く、環境によるものではないと言うことがわかってきました。また、殻の色合いについては、食べ物が影響すると言うところまでわかっています。
水揚げはほぼ全国で確認出来ますが、千葉県、三重県、石川県、山口県、長崎県などが比較的多いようです。各産地では稚貝の放流なども積極的に行われていますが、栽培までには至っていません。
流通は1年を通してありますが。初夏から夏に産卵期を迎えるため、一般には春から初夏までが一番美味しい時期となります。しかし、産地によっては6月解禁のところもあり、夏のバーベキューなどには欠かせない食材になっていますので、需要は夏が一番多く、これに伴い流通量も増えます。
サザエのおすすめの食べ方
貝類全般に言えることですが、殻付きの場合は元気に生きているものを選びましょう。ちょっと触っただけで、さっと蓋を閉じるようなものでなくてはなりません。
サザエは磯の風味が豊かで、旨味もたっぷりですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。殻ごと焼物や煮物にすれば、肝とともに磯の風味を堪能できます。肝が苦手だったり、食べやすさを求める場合は、中身を一旦取り出して、身だけにしたり、食べやすい大きさにカットなどすれば良いでしょう。お刺身はコリコリした歯応えが身上ですが、硬いのが苦手な方は少し火を通すことで柔らかく仕上げることも出来ます。また、炊き込みご飯もお勧めです。
尚、殻ごと調理する場合は、砂袋に砂が溜まっていることがありますので、お召し上がりの際にご注意下さい。また、柔らかいものがお好みの場合は、大きなものは身が硬くなる傾向が高いので、少し小振りなものを選ばれると良いでしょう。
※無許可の採取は禁止されています。
トリガイ
トリガイの名前の由来は、貝殻から伸びる黒い足が鳥のくちばしに見えるからと言う説や、食べた時の食感が鶏肉に似ているからと言説などがありますが、はっきりはしていません。
この貝は、寿司だねとして食されることが多いこともあり、輸入品も含めボイルされたむき身(斧足)で流通することが多く、殻付きを見かけることはほとんどありません。
近年は資源量が激減していることもあって、殻付きはもちろん、輸入品のむき身であってもかなりの高値で取引されており、スーパーなどで見かけることはほとんどなくなりました。最近では代用品として斧足がクリーム色のエゾイシカゲガイという近縁種を見かけることも増えています。
水揚げが少ないながらも、主な産地としては、東京湾、三河湾、伊勢湾、丹後地方、瀬戸内海などがあげられます。各産地ともに状況に応じて禁漁期間を設けるなど、資源回復に取り組んでいるようですが、今のところあまり良い結果には結び付いていないようです。一部地域では栽培も実施されていますが、量産には至っておらず、栽培物であっても天然物と同じくらいの値段で流通しています。
漁期は産地によって違い、三河湾や石川県七尾湾などでは3~6月頃、宮津や舞鶴など丹後では5~7月となっています。春に獲れる物は「春貝」と呼ばれ、食感が柔らかく甘味が強い反面、秋にはかなり硬くなると言われていますので、美味しい旬の時期は春から夏までと言えそうです。
トリガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、手に持った時にズッシリと重さを感じるものでなければなりません。むき身の場合は、色艶が濃く、色剥がれがなく、肉厚のものを選びましょう。砂地に生息していますので、殻付きで購入した際には、むき身にしてから必ず砂や汚れなどを落としましょう。
トリガイの可食部は斧足とヒモ(外套膜)だけで、それ以外は食べられなくもないですが、正直美味しくはありません。可食部分が少ないこともあり、どうしてもお刺身や寿司が中心となってしまいます。加熱してもそう硬くなりませんので、焼物や揚物などにしても美味しいのですが、とても贅沢な食べ方にになります。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
アカニシ
アカニシは内湾がある地域では良く見られる貝ですが、産地以外では一般的ではありませんでした。かつてはサザエの代用品として出回っていましたが、最近では、味が良いことに加え、お刺身用の貝の中ではお手頃な価格であること、寿司ネタなどに加工された輸入品も増えていることなどもあり、広く認知されてきました。ただし、流通の大半はむき身などの加工品ですので、殻付きで見かけることは産地以外ではまずありません。
産地としては、愛知県三河湾、熊本県と福岡県の有明海沿岸、瀬戸内海などがあげられます。ただし、この貝は肉食のため、同産地の主力品であるアサリやカキなど食べてしまうこともあるため、漁師さんからは正直嫌われています。ちなみに、輸入品はトルコ、ブリガリアなどの黒海周辺で採れることが多く、トップシェルと言う名前で流通しています。
国産アカニシの産卵期は夏ですので、美味しい旬の時期は3~5月初旬くらいまでとなります。
アカニシのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選んで下さい。少し触っただけで、蓋がさっと閉まるくらいのものが目安です。また砂泥地に生息していることもありますので、臭いのチェックも欠かせません。
唾液腺の除去に加え、中腸線以外の内臓は苦くて食べない人が多いので、基本的には身を取り出して調理する必要があります。生きた状態での取り出しは極めて困難ですので、素直に殻を割るか、軽く下茹でして取り出すと良いでしょう。
活物が手に入れば、まずはお刺身がお勧めです。生、もしくは軽く下茹でしたものであればコリコリとした食感が楽しめます。また、しっかり茹でるとシコシコとした食感を楽しむことも出来ます。中腸線は生でも良いですが、さっと火を通した方が食べやすくなります。
ただし、加熱し過ぎるとかなり硬くなりますので、加熱調理する場合は適度に加減した方が良いでしょう。特に茹でる場合は、旨味も抜けてしまうことがありますので、少し濃い目の味付けにすると良いでしょう。
※アカニシの唾液腺にも人の神経を麻痺させるテトラミンという有毒成分が含まれていることがあります。これは加熱しても分解されませんので、必ず取り除いて下さい。取り除くのが難しい場合は、取り除いた除いたものを必ず購入して下さい。また、無許可の採取は罰せられる場合があります。
ナミガイ
ナミガイは、普通シロミルまたはミルガイとして流通していますので、ナミガイと言われてもピンとこない方も多いと思います。ミルガイは、元々ミルクイを使用していたのですが、資源が激減したため、代用としてこのナミガイを使うことが多くなり、いつの間にかこちらがミルガイとして広く認知されるようになりました。市場などではミルクイをホンミルとかクロミルと、ナミガイをシロミルと呼び区別していることが多い。しかし、味の評価としては、ミルクイの方が上とされています。
いわゆるミルガイの仲間は、見ての通り非常に面白い形をしており、水管が殻に収まりきらずに大半が飛び出しているため、貝殻を完全に閉じることが出来ません。加えて、上下のヒモ(外套膜)は貝殻と一体化して、異物の侵入を防ぐ作りになっていますので、貝殻を開くことも出来ません。また、殻は非常に薄く脆いため、簡単に割ることが出来ますので、貝の中でも無防備な部類に入ります。
主な産地は愛知県で、その他は千葉県、瀬戸内海などにも見られます。以前は、大量に水揚げがあったようですが、こちらも年々水揚げが減少しており、ミルクイほどではないにしろ、高値で取引されることが多くなっています。
産卵期は地域により多少ずれがありますが、おおむね秋とされており、産卵前に栄養を蓄える春から夏に向けてが最も美味しい時期となるようです。
ナミガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。水管に触れた時に機敏に反応するものが良く、動きが悪く、だらしなく伸びているものは要注です。殻は大きなものが良く、さらに上下の厚みがあるとが可食部が多い目安となります。水管が短いものは、単に縮んでいるだけの場合もありますが、出来るだけ太くて長いものを選んでおく方が無難です。ズッシリと重みのあるものを選ぶことも大事ですが、水管にたっぷり水を含んでいることもありますので、水管を軽く摘まんで、水を吐かせてから確認しましょう。
可食部分は水管とヒモだけになります。内臓なども食べられないことはありませんが、正直美味しいものではありませんので、お勧めはしません。和え物、焼物、揚物、炒め物などにしても美味しいのですが、決して安いものではありませんので、一番のお勧めはどうしてもお刺身などになります。水管は軽く湯通しして、皮をむき、食べやすくなるよう隠し包丁を入れて、お召し上がり頂くのが一般的な調理法です。ヒモ(外套膜)はヌメリや汚れをしっかり取って下さい。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
アオサ(総称)
アオサは、アオサ目アオサ属に属する海藻の総称ですが、食用として主に流通しているのはアナアオサと言う種類になります。見た目が同じアオサ目のアオノリに似ているため、同じものだと思われている方も多いようですが、アオサは海に生息しているのに対して、アオノリは湖や汽水域が生息場所となります。また、いずれも乾燥して流通することが多いのですが、アオサは栽培が盛んなこともあってかアオノリと比べると安価です。ちなみに、お好み焼きなどに振りかけるアオノリはアナアオサを乾燥させ粉末状にしたものであって、アオノリではありません。
主な産地は愛知県と三重県で、ほぼ栽培です。九州や四国でも見られますが、自生しているものを収穫することが多いので、生産量は多くありません。このうち特に多いのは愛知県三河湾で、アオサを粉末にした「あおさ粉」の約70%が三河湾のものと言われています。
乾燥したものは1年中流通していますが、摘み取りは1~5月で、産地によっては、これを摘み取る様子が春の風物詩になっています。
アオサは乾物での流通が基本となりますが、加工したてのものはとても風味が良いので、ぜひこの時期に味わって頂きたいものです。
アオサ(総称)のおすすめの食べ方
生が手に入った場合は、砂やゴミなどが付着している確率が高いので、良く洗って下さい。アオサは香りが味わいのひとつですが、生の場合は香りが強く、鼻に付くこともありますので、調理する前に軽く茹でて香りを抑えておくと良いでしょう。
乾物の場合は、そのまま使う方法と、水で戻す方法があります。海苔のよう使う場合は、そのまま冷奴や納豆などにふりかけても良いですが、軽く炙るとで香ばしさが増します。水で戻したものは、味噌汁、天ぷらが定番ですが、卵焼き、お好み焼き、チヂミなどに入れたりするのもお勧めです。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
アカモク
アカモクはホンダワラと言う海草の仲間で、ほぼ全国に見られます。長く伸びて大きな群落を作るので、小さな魚などの生息場所にもなりますが、堤防付近に密生すると船の航行の邪魔になりますので、嫌われることも多いです。昔から食用としてきた地域は多くなく、主なところでは、秋田県、山形県、新潟県、京都府などに限られています。ここ最近は健康食品として注目されるようになったとは言え、知名度はまだかなり低く、消費地市場に出回ることはほとんどありません。新潟県佐渡島では「佐渡産天然ながも」としてプライドフィッシュに登録されていますが、やはり地元での消費が主体です。
アカモクは、秋から冬にかけて成長して、3~5月頃に収穫時期となります。成長のピークから2週間ほど経つと次第に朽ちて、枯れてしまいますので、夏に自然のものを見る機会は少なくなります。
ほとんどが乾燥または冷凍して流通していますので、1年中入手可能のように思われますが、生産量自体が非常に少ないので、この時期を外すと入手しにくくなります。
アカモクのおすすめの食べ方
上述したように、流通の大半は、葉だけにしたものを、鮮度劣化を防ぐために下茹でして、乾燥または冷凍していますので、調理は比較的簡単です、ただし、ここまでしてあっても下処理が雑な場合がありますので、調理前に良く洗ってゴミなどを取り除く必要があります。
料理としては味噌汁が一般的ですが、酢の物、和え物、かき揚げ、刻んで卵焼き、お好み焼き、チヂミなどに入れても美味しく頂くことが出来ます。
また、包丁などで叩くと粘着度が増しますので、納豆のようにご飯にかけて食べても良いでしょう。
ヒジキ
ヒジキはワカメ、コンブ、ノリなどとともに流通が多い海草のひとつで、栽培も盛んに行われています。国産の産地としては千葉県、神奈川県、静岡県、三重県、瀬戸内海沿岸、長崎県、大分県などがありますが、残念ながら生産量はわずかで、ほとんどが中国や韓国から輸入されています。
ヒジキも他の海藻同様に乾物での流通が多いのですが、他の海草は保存性を高めることが主目的になっていますが、ヒジキは少しだけ理由が違います。生のヒジキは無機ヒ素を含んでおり、苦みも強いので、そのままでは食用になりません。食用とするためには、必ず長時間茹でてヒ素と苦みを抜き、冷ました後、洗浄選別して、保存性を高めるため乾燥させます。
収穫時期には、鮮魚売場などで「生ひじき」と称するものが販売されていることもありますが、上述したように必ず茹でると言う工程が入っていますので、本来はボイルヒジキとすべきものです。また、中には乾燥を水戻ししたものもあります。
ヒジキの収穫時期は、成長スピードが高まる3~5月の春から初夏にかけてです。乾物全般に言えることですが、加工したてのものは風味が良いので、可能なら出来るだけ新しいものを選んだ方が良いでしょう。
ヒジキのおすすめの食べ方
乾燥ひじきには芽ヒジキ(穂先)と長ヒジキ(茎)がありますので、それぞれ特徴に合わせた調理が必要です。芽ヒジキは長ヒジキに比べると風味が薄いとされていますが、柔らかく、水戻しの時間も短くて済みますので、混ぜご飯、サラダや和え物のトッピングに向きます。長ひじきは、茎の部分ですので、やや硬く、水戻しに時間がかかりますが、歯応えがしっかりしており、ヒジキそのものの醍醐味が味わえますので、炊き込みご飯や炒め煮などに向きます。
生ヒジキとして売られているものは、乾燥したものに比べて、柔らかい食感が特徴ですので、芽ヒジキと同じように調理しても良いですが、卵焼きやごま和えなどしても美味しく頂けます。ただし、調理する際には、軽くもう一度茹でてから、念のためゴミなどの付着がないよう、しっかり洗ってからにした方が良いでしょう。
また、コンニャクの黒い点々にはヒジキやアラメが使われていますので、知らず知らず口にしていることもあります。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
オキナワモズク
標準和名で言うところのモズクは、昔は日本各地で水揚げがあり、春の季語になるほど親しまれてきましたが、今ではほとんど見られず、非常に高価なものとなりました。現在モズクとして流通しているものは、ほぼ全てがオキナワモズクで、その名の通り、沖縄県での栽培が主体で、プライドフィッシュにもなっています。
オキナワモズクの栽培は、夏から秋にかけてで、海中に採苗シートを張り、海中に漂うモズクの種を採取し、着生させるところから始まります。種が着生している採苗シートをタンクに投入して、さらに網に種付けを行い、海中の苗床と称される漁場にセットし、準備完了となります。冬から春先にかけて成長した後、春から初夏にかけて収穫されますので、収穫時期である3~6月が旬となります。
もずくは、味付けされたものの流通が圧倒的に多く、その他は塩蔵品、乾燥品となりますので、旬を感じにくい食材のひとつになっています。味付けの場合は、いつ食べても味わいに変わりはありませんが、塩蔵品や乾燥品は、出来立ての方が風味が良いので、出来るだけ新しいものを選んだほうが良いでしょう。
今では物流の発達により、収穫時期に限り、生鮮での流通も少なからずありますが、冷凍や塩蔵品を戻した「なんちゃって生もずく」もありますので、注意して下さい。
オキナワモズクのおすすめの食べ方
生鮮のモクズを購入される場合は、黒く艶があり、太く長いものを選びましょう。薄茶色になっているものや、細いものは、味わい落ちますので、避けた方が良いでしょう。
生鮮の場合は、軽く水洗いしてから、麺つゆなどで素麺のようにそのま食べるのがお勧めです。汁物や鍋物などに入れる場合は、さっと火を通すくらいで十分です。
塩蔵品や乾燥品の場合は、水で戻してから調理します。卵焼き、お好み焼き、天ぷらなどもお勧めですが、水気が多いので、調理前に適度に水気を取っておいた方が、歯ざわりが良くなります。酢の物や和え物などにする場合は、調理してから少し時間をおいて、味を馴染ませてからお召し上がり頂いた方が良いでしょう。。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ワカメ
ワカメは、1年で一生を終える1年草です。秋に受精したものが、冬から春にかけて一気に成長し、この成長期が収穫時期となります。ただし、ワカメは自己消費のスピードがすさまじく、鮮度維持が難しいため、生鮮は産地であってもあまり見かけません。ですので、収穫後すぐにボイルし、そのまま乾燥するか、塩蔵処理して水抜きをした後に、加工原料として保管するかのいずれかになります。塩蔵処理したものは、その後に選別・計量を経て、塩蔵品として出荷されます。塩蔵にすると風味が失われそうですが、ワカメの場合はこれが最も良い保存方法とされており、風味も色合いもかなり残ります。
ワカメは栽培が主体で、沖縄県や九州南部を除く 日本各地で広く生産されていますが、生産量が多いのは宮城県、岩手県、兵庫県(淡路島南端)、徳島県です。 宮城県と岩手県のわかめは三陸わかめ 、兵庫県と徳島県のわかめは鳴門わかめとそれぞれブランド化されています。また、中国や韓国などからの輸入物も多く、安価で流通していますが、味わいや香りはやはり国産が上です。
鳴門わかめは、その名の通り鳴門海峡で育ったワカメで、徳島県と兵庫県淡路島の特産品です。葉は薄いのですが、綺麗な緑色でシャキッとした歯応えを楽しめるのが特徴で、1~4月に収穫されます。三陸わかめは、全国の収穫量のおよそ90%を占めていると言われている大産地で、特徴は肉厚で弾力のある食感で、収穫は冬から初夏にかけて行われます。もうひとつ南方型ワカメと呼ばれるものがあります。こちらは比較的マイナーな存在ですが、主に本州中部より南の日本海側で採れたワカメのことで、栽培ではない場合が多く、小ぶりで、茎も短いのが特徴ですが、ワカメの香と言う点では一番強いかも知れません。こちらの収穫時期は冬から春にかけてです。
塩蔵や乾物での流通が基本ですので、旬を感じにくい食材のひとつですが、出来立ての方が風味が良いので、特にこの時期は出来るだけ新しいものを選んだほうが良いでしょう。
ワカメのおすすめの食べ方
生のワカメは手に入りにくいですが、もし見かけたら、艶があり、綺麗な茶色で、軽い磯の香がするものが良いでしょう。
塩蔵のは袋に入っていることが多いので、確認しにくいですが、葉が濃い緑色をしたものを選んで下さい。また、塩蔵の場合は、塩込みの重量で表示されていることもありますので、内容量の確認も必要です。また、茎付きと茎なしがありますので、調理によって選んで下さい。
乾燥ワカメは、しっかり乾燥していることはもちろんですが、色艶が良いものを選びましょう。乾燥したものは、板状のものから、細かくカットしたものまで色々ありますので、調理によって選ぶと良いでしょう。
お勧めの料理はあくまで参考となりますが、鳴門海峡のものは歯応えと綺麗な緑色が特徴ですが、加熱してしまうと色が褪せて、食感も失われますので、和え物やサラダなど、いわゆる生食に向きます。三陸のものは肉厚ですので、加熱しても風味や食感が失われることが少ないので、汁物や煮物などに向きます。
収穫時期にはメカブや茎なども出回ります。メカブは細かく叩くことでネバネバになりますので、ご飯にかけたり、和え物にするなどして楽しむことが出来ます。茎は柔らかいものが大前提になりますが、炒め物や佃煮にすると美味しく頂けます。太くて硬い茎は歯応えがあり過ぎるので、圧力鍋などでしっかり加熱しないといけません。
また、収穫時期は塩蔵処理したものを軽く水戻しした「なんちゃって生ワカメ」も出回ります。生だと信じて調理すると、とんでもなく塩辛い場合がありますので、注意して下さい。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
エゾバフンウニ
エゾバフンウニは、生殖巣が鮮やかなオレンジ色をしていることからアカウニとも呼ばれています。ウニの中では最も収穫量が多いとされていますが、風味や味の良さから高級品として扱われています。中でも利尻や羅臼で獲れるものは、昆布を食べているため、最も風味が良いとされ、高値で取引されています。
名前に蝦夷と付くだけあって、水揚げのほとんどは北海道ですが、東北地方でも少ないながら採れています。また、はロシア、韓国、中国にも生息しており、板ウニなどに加工されたものが輸入されていますが、味わいは国産にはかなわないと言われています。
国内の産地では、資源保護のため各地で種苗放流が行われており、厳格な漁期も定められています。主なところでは、渡島が12~9月、石狩と後志が5~8月、宗谷が4~9月、根室が12~6月となっています。10~11月以外漁期と言うことになりますが、生殖巣が最も充実するのは6~8月と言われています。
エゾバフンウニのおすすめの食べ方
殻付きのまま販売されていることもありますが、見た目や持った感じで良し悪しを判断するのが難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。
新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのはかなり手間ですので、当たり外れが少なく無難なのは板ウニや塩水ウニです。
エゾバフンウニは生のまま食べるのは一番美味しいとされています。お刺身はもちろん、お寿司や丼などご飯との相性も抜群です。
※無許可の採取は禁止されています。
キタムラサキウニ
キタムラサキウニは、エゾバフウニとともに国産を代表するウニのひとつです。身の色がオレンジ色のバフンウニやエゾバフンウニに比べて薄いことからシロウニとも呼ばれることもあり、濃厚な味わいのバフンウニに比べると、比較的あっさりした味わいが特徴です。
名前の通り、主な産地は北日本で、特に北海道が大半を占めます。産地では、資源保護のため各地で種苗放流が行われており、厳格な漁期も定められています。主なところでは、北海道日本海側が8~10月、北海道噴火湾(内浦湾)で3~5月と8~10月、北海道太平洋側で6~9月、北海道オホーツク海側で7~9月、三陸で9~10月などとなっており、11~2月は禁漁となるところが多くなります。生殖巣が最も充実するのは9~10月の禁漁前と言われています。
キタムラサキウニのおすすめの食べ方
殻付きのまま販売されていることもありますが、見た目や持った感じで良し悪しを判断するのが難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。
新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのはかなり手間ですので、当たり外れが少なく無難なのは板ウニや塩水ウニです。
キタムラサキウニは生のまま食べるのは一番美味しいとされています。お刺身はもちろん、お寿司や丼などご飯との相性も抜群です。
※無許可の採取は禁止されています。
バフンウニ
バフンウニは殻径が5cm程度の小型のウニで、殻は全体的に緑っぽいのが特徴です。
味が良く、人気はあるものの収穫量が少なく、殻も身も小さくて手間がかかることもあり、生鮮は産地周辺でほとんど消費されてしまいます。生鮮で消費地に出回っているバフンウニと呼ばれるもののほとんどはエゾバフンウニで、まず本種ではありません。本種は生鮮より加工品の原料として有名で、日本三大珍味の「越前うに」の原料にもなっています。
北海道を除く日本全土で生息が確認出来ますが、産地としては突出したところはありません。一番美味しいとされる時期は産地によってずれがあり、西日本で1~4月頃、北陸地方などでは夏頃とされているようです。
バフンウニのおすすめの食べ方
バフンウニが殻付きのまま流通することはほとんどありませんが、他のウニと同様に、見た目や持った感じだけで良し悪しを判断するのは難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。新鮮な殻付きは美味しいのですが、特にこのウニは小さく、生殖巣を取り出すのは相当手間ですので、お刺身にされる場合は、板ウニなどを購入された方が無難でしょう。生鮮のバフンウニは産地でないとなかなかお目にかかれませんが、機会があれば一度は味わっておいて欲しいものです。
練ウニなどの加工品は1年中出回っていますので、いつでもお召し上がり頂くことは出来ますが、加工したばかりのものが良いと言う人もいれば、製造から日にちがある程度経って塩味が馴染んだものの方が良いと言う人もいますので、ご自分でお確かめください。
※無許可の採取は禁止されています。
ムラサキウニ
ムラサキウニは茨城県以南の太平洋側、秋田県以南の日本海側の暖流域であれば全国的に見られますが、小振りなこともあってか、積極的に収穫しているところは少なく、消費地でお目にかかる機会はほとんどありません。一般にムラサキウニとして流通しているものの大半はキタムラサキウニです。
美味しいとされる時期は、地域により多少ずれがあり、南日本で春、中部以北で夏と言われています。
ムラサキウニは、餌の海草が減ると、生殖巣が発達しないまま異常に増殖し、海草を食べ尽くしてしまう特徴を持ちます。いわゆる磯焼けと言う現象で、生息するものはほぼいなくなる、砂漠のような光景となります。そうならぬよう、磯焼けの前兆が見られた場合は、駆除の対象となりますが、前述したように生殖巣が未発達であるため、食用としての価値はほぼなく、廃棄される運命となります。ただし神奈川県では、駆除したムラサキウニに規格外のキャベツを食べさせ商品化する取り組みも行われており、日本で食用とされるウニの中で唯一養殖が行われています。
ムラサキウニのおすすめの食べ方
ムラサキウニが殻付きのまま流通することは産地でもなければありませんが、他のウニと同様に、見た目や持った感じだけで良し悪しを判断するのは難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのは相当手間ですので、お刺身にされる場合は、板ウニなどを購入された方が無難でしょう。生鮮のムラサキウニは産地でないとなかなかお目にかかれませんが、機会があれば一度は味わっておいて欲しいものです。
※無許可の採取は禁止されています。
カメノテ
カメノテは岩の割れ目などにビッシリ貼り付いており、先端の白い殻が目立つので、貝の仲間のように見えますが、実はエビやカニなどと同じ甲殻類で、ミョウガガイ科カメノテ属の動物に分類されます。海に面した地域でのみ食べられてきたマイナーな食材ですが、最近はわずかながらスーパーなどでも見かけるようになりました。ヨーロッパのイベリア北西部でも近縁種が採れ、スパインやポルトガルでは高級食材として扱われています。
カメノテは大きいものでも7~8cm程度で、殻と柄に分かれており、細かな鱗のようなもので覆われた柄の中に食用となる筋肉があります。殻の中いは触手や貝柱のようなものがありますが、食味が良くないため、食用となることはまずなさそうです。
ほぼ全国に生息しているため、食用とする地域は多いのです。ただし、収穫量自体がわずかなこともあり、四国や九州の一部を除き、商業的な採取を行っているところはほとんどないようです。産卵期は6~8月とされていますので、これに向けて栄養を蓄える5~8月が、美味しい時期とされています。
カメノテのおすすめの食べ方
死んだものは磯の香がきつくなることに加え、身が痩せてしまいますので、必ず生きているかどうかを確認しましょう。また、可食部が非常に少ないので、出来るだけ大きなものを選ぶと良いでしょう。カメノテの表面には海草などが付着していることがお多いので、調理前にはブラシなどを使って、必ず良く洗って下さい。
可食部だけを取り出して、色々な料理に使うことも可能ですが、相当な手間となりますので、殻付きのまま調理する、塩茹で、酒蒸し、味噌汁などがお勧めです。加熱することで、程よい磯の香と、特有の甘味を堪能出来ますし、汁物は良質の出汁を楽しむことが出来ます。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
シャコ
シャコはエビなどの甲殻類に外観が似ていますが、十脚目であるエビやカニのようにハサミを持たないため、口脚目(シャコ目)に分類される全くの別物です。
江戸前寿司のネタとしては有名で、かつては日本各地で大量に水揚げがあったため、産地では家庭で気軽に沢山食べられていましたが、近年は資源量が激減したため、入手自体が難しくなり、高級品の仲間入りをしていしまいました。
以前は東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などが主な産地でしたが、資源量の回復はあまり見られず、現在は三陸や北海道の割合がかなり増えています。
シャコは、少ないながらほぼ周年水揚げがありますが、美味しい旬の時期は、カツブシと呼ばれる卵巣が発達する春から初夏のメスと、オスメス関係なく身が最も充実する秋から初冬にかけてと言われています。
シャコのおすすめの食べ方
この時期は子持ちのメスが特にお勧めですが、必ず生きているものを選んで下さい。シャコは死んでしまうと酵素を出し、自らを溶かし始めるため、身質が落ちてしまいます。生きたものが難しい場合は、浜茹でして、凍結せず流通しているものを選んで下さい。それもない場合は浜茹での冷凍、最後がむき身です。ただし、一度冷凍してしまうと、どうしても解凍時に旨味が一緒に抜けてしまうので、あまりお勧めできません。
生きているものであれば、生食も可能ですが、むき身にするには相当手間がかかりますし、旨味は強くありませんので、一番のお勧めは茹でシャコです。シャコは加熱した方が、食感も良くなり、旨味も増すと言われています。刺身醤油はもちろん、甘ダレや酢味噌などとも良くあいます。また、唐揚げや天ぷらなどの揚物もお勧めで、茹でたものを使えば、衣に火を通すだけで出来上がりとなります。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
マボヤ
マボヤは海草や貝のように見えますが、脊索動物に分類され、成長過程で変態する動物です。幼生はオタマジャクシのような恰好をしており、眼点、平衡器、背側神経、筋肉、脊索などの組織を持ち、遊泳します。その後岩場などに付着すると、変態し、ほとんど動かなくなり、脊索がなくなります。
ホヤの仲間は国内だけでも百数十種いると言われていますが、そのうち食用とされているものはマボヤなどごく一部です。これらは栽培もされ、東北や北海道では一般的な食材として親しまれていますが、見た目のインパクトに加え、独特の風味があるため、産地であっても好き嫌いがはっきりしています。元々地元で漁師が食べていた程度のマイナーな食材だったものが、宮城県で栽培が始まり、今では全国的にその存在が知られるようになりましたが、あくまで珍味、酒の肴としてです。
産地としては宮城県がおよそ60%、北海道が30%と、産地=消費地の構図が見られます。
漁期は、天然物で4~8月にかけてで、栽培物は3月頃から水揚げが始まり、6~8月に盛漁期を迎えます。盛漁期は5~8月で、この時期が最も美味しいとされています。ちなみに、晩秋の11月頃から翌春にかけては産卵期となるため水揚げはありません。
マボヤのおすすめの食べ方
ホヤは鮮度が落ちると強い磯の香りが不快な生臭みに変わり、苦くなると言われていますので、とにかく新鮮なものでなければなりません。また、軽いものは水分が抜けて乾いている可能性があるので、手に持ってみてズッシリと重みを感じるものを選びましょう。
また、ホヤを捌く際には、中に詰まっている水を捨てずに取っておき、浸け汁に使ったり、その中で身を洗うように漬けたりすることで、香りを活かすことが出来ると言われています。
ホヤの皮は捨ててしまう人も多いようですが、三陸地方などでは数日天日干しをして、出汁を取るそうです。
一般にはお刺身にすることが多いようですが、産地では焼物、揚物、炊き込みご飯など、幅広い料理に向けられています。
※無許可での採取は罰せられる場合があります。