
11月に旬を迎える魚介一覧
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11月頃に旬を迎える魚をご紹介します。
また、おいしい食べ方も紹介するので、参考にしてみて下さい。
11月に迎える魚介とおすすめの食べ方
アイナメ
アイナメはの産卵期は、北日本で9月頃から、その他の地域では10月頃から始まり、翌年1月まで続きます。この時期になると大きなサイズが浅瀬に近寄るので、水揚げも増えます。身質が良いのは産卵期前の夏なのですが、水揚げが少なく小さいことから、アイナメと言うと冬のイメージが強いかも知れません。
産卵期を迎えると、オスの体表には婚姻色と呼ばれる金色に近い黄色が現れます。ただし、産卵後オスは飲まず食わずで卵が孵化するまで守るので、産卵後のものはさすがに避けた方が良いでしょう。
アイナメのおすすめの食べ方
産卵時期のため、多少身痩はしているものの、大きなものが手に入る時期ですので切身にして煮付けや唐揚げなどにするのがお勧めです。
唐揚げは皮が付いたままにして、骨切りをするように細かく切れ込みを入れると味も染みやすく、食べやすくなります。また、あんかけにしても美味しく頂けます。
もちろん、抱卵前のものであれば、お刺身にしても十分美味しいです。
コショウダイ
コショウダイはイサキの仲間で、イサキと同じく産卵期は夏です。産卵期には沿岸に集まって来るので、定置網などににかかりやすく漁獲量も増えるため見かける機会が増えますが、イサキと異なり産卵期の身質はかなり落ちます。また、イサキのように真子や白子を珍重するお魚ではないので(食べられないことはないですが、正直あまり美味しいものではありません)、産卵前後の秋から春先にかけての身が充実する時期が最も良いとされています。ただし、この時期は水揚げはあまりないので、お目にかかる機会は正直多くはありません。ただし、冬から春先に同じく旬を迎える魚の中には、たん白な白身魚や、脂がしっかりのった青魚も増えるためか、コショウダイ自体は水揚げが少なくても低価格で流通することが多いので、お財布にはとても優しいお魚になります。
コショウダイのおすすめの食べ方
イサキの仲間なので身質は良く似ていますが、若干旨味に欠けると評価もされることもあります。物足りなさを感じる場合は、生食の場合は昆布締めにしたり、カルパッチョなどのようにドレッシングをかけるなどしたり、加熱調理する場合は濃い目の味付けにしたり、出汁をいつもより多く加えるなど一工夫が必要です。
また、野締めなど下処理があまり良くないものは磯臭さが残ることもあるので、出来れば活締めのものを購入された方が良いでしょう。
ヒゲソリダイ
近縁種のヒゲダイに似ていますが、ヒゲダイは下顎のヒゲが密生しているのに対し、ヒゲソリダイは痕跡的で名前の由来にもなっています。
イサキの仲間ですが、イサキとは違いまとまった水揚げは見られず、四国や長崎県など西日本でわずかに確認出来る程度です。したがって、産地でほとんど消費されてしまうため、消費地に出回ることはまずありません。
暖海系のお魚なので、1年中水揚げが確認出来る上、身質に大きな変化はないと言われていますが、産卵期が夏であることと、冬場は食性が落ちて痩せてしまうため、秋から初冬が最も美味しいと言われています。
ヒゲソリダイのおすすめの食べ方
イサキの仲間で、身質もイサキによく似て旨味もしっかりあるので、同じように多様な料理に使えます。
鮮度が良ければお刺身も美味しいです。見た目とは異なり皮も柔らかいので焼霜造りや湯引きにしても良いでしょう。また、煮物やソテーなどの加熱調理をしても身が硬くなりにくいので、美味しく頂くことが出来ます。
ヒゲダイ
ヒゲダイはヒゲソリダイやセトダイと同じイサキ科ヒゲダイ属の一種です。名前の由来は下アゴにヒゲが密生している事に因んでもおり、これが大きな特徴となっています。
1年中水揚げがありますが、ヒゲダイやセトダイと同じく、まとまった水揚げが期待出来ないため、本種を目的とした漁はありません。水揚げが少ないため統計資料もなく、水揚げが多い産地も曖昧な超マイナーなお魚ですが、味の評価はかなり高いです。
暖海性のお魚のですので、季節による身質の変化もあまりないとも言われていますが、イサキとは異なり夏の産卵期に前後は避けた方が良いと言われています。
ヒゲダイのおすすめの食べ方
鮮度が良いものならもちろんお刺身がお勧めですが、ヒゲソリダイとは異なり皮は硬いので引いた方が良いでしょう。身には相当弾力があるので、薄切りにした方が良く、カルパッチョなどもお勧めです。
また、加熱もしても硬くなりにくい身質で、身離れも良いので、和洋中どのような料理にも合うとされています。
イトヨリダイ
タイと名前がついていますが、どちらかというとスズキに近い部類で、いわゆるあやかりダイのひとつです。
尾ビレの上葉が糸状に伸びており、これが泳いでいる時にひらひらと動き、糸を縒っているように見えることからが名前の由来と言われています。
癖のない上品な味わいの白身が特徴で、皮目も美しいため高級魚として扱われている地域もありますが、派手な見た目から逆に下魚扱いする地域もあるなど、両極端な扱いを受けています。
秋から初春に向けては、夏の産卵に備えて食性が高くなり脂がしっかりのってくる時期なので、見かけたら是非食べて頂きたいお魚のひとつです。
イトヨリダイのおすすめの食べ方
イトヨリダイは身に水分が多いのが特徴で、加熱しても柔らかく、フワフワの食感を楽しめます。ただし、お刺身にする場合は、昆布や塩などで水分を少し抜いて身を締めた方が美味しく頂けます。また、この時期は皮下に脂がしっかりのっていますので、どのような料理であっても皮は付けたまま調理することをお勧めします。
ウルメイワシ
ウルメイワシの特徴は、潤んでいるように見える大きな目玉で、漢字では「潤目鰯」と書き、名前の由来にもなっています。マイワシに似ていますが、体表に斑点がないことから、マイワシと見分けることができます。
イワシの仲間は1年中漁獲されることから、季節感を感じにくいかもしれませんが、マイワシが夏に脂が乗るのに対し、ウルメイワシは秋から冬にかけて脂が乗ります。
小型が多く、傷みやすいという欠点もありますが、味はマイワシより良いという評価もあり、特に脂の乗りが少ない夏場のウルメイワシを使用したイリコや干物などに加工した場合は評価がグンと上がります。
残念ながら産地でもない限り、生鮮で良いものが出回ることは非常に少ない上に。春になると水揚げが少なくなり、ほぼ確実に加工に回されてしいます。脂ののりが良いこの時期は、少ないながらも生鮮で出回る機会が増えますので、見かけたらぜひお召し上がり頂きたいお魚のひとつです。
ウルメイワシのおすすめの食べ方
イワシ類は傷みが早い上、ウルメイワシは小型が多いため、干物やイリコなどに大半が加工されてしまいますが、それぞに独特の旨味があり、また1年中楽しむことも出来ます。
もちろん鮮度が良いものはお刺身ではもちろん、焼物、揚物、煮物、つみれなど何にしても美味しく頂くことが出来ます。
ウツボ
ウツボは暖かい海域であればどこでも生息していますが、食用にするのは四国太平洋側、紀州、伊豆諸島、長崎県、鹿児島県くらいで、特に和歌山県、高知県での消費が多いとされています。見た目もグロテスクで、漁師や釣り人の間では、網や仕掛けまで台無しにする嫌われ者ですが、味も栄養価も非常に良いお魚です。
産卵期は夏から初秋にかけてで、産卵期明けに食欲が旺盛になり身が太るため、冬の寒い時期が最も美味しいとされています。
ウツボのおすすめの食べ方
ウツボは、小骨が多い上に大小の骨が複雑に入り組んでいるため、それらを取り除くのが至難の業です。また皮のヌメリも非常に多いのも特徴で、下処理はハモ以上に面倒だと言われています。価格も安く、比較的入手しやすいお魚なのですが、こういったことが食用としてあまり広まらなかった理由だとも言われています。
下処理は非常に面倒なのですが、肉厚で柔らかな身は上質の鶏肉にも似たあっさり食感で、皮下のゼラチン質からはこってりとした濃厚な旨みがじゅわっと溢れ出します。
食用にする地域では、皮ごとタタキや湯引きなどにしたり、揚物、焼物、煮物など様々な料理で楽しまれています。
ウナギ
天然のウナギは水温が10℃以下になると冬眠すると言われており、10~12月は冬眠前の荒食いの時期に当たるため、身が一番太るじきと言われています。ただし、天然物の流通量はわずか1%ですので、簡単にお目にかかることが出来る代物ではありません。当然スーパーなどに並ぶことはありませんので、天然物を扱っている料理屋へ行くか、自分で獲るしか方法がありません。しかし、料理屋ではそれなりの値段は覚悟することと、自分で獲るととしても簡単に獲れるものでもありません。また天然物は、その食性と環境で大きく当たり外れがあるとも言われていますので、気楽に美味しく頂くには養殖で十分かも知れません。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ウナギのおすすめの食べ方
ウナギの料理と言えば、蒲焼が代表選手で、それ以外はあまり馴染みのない方も多いのではないかと思います。
肝はもちろん、ヒレ、頭なども調理によっては美味しく頂くことが出来ますので、生のウナギが手に入ったときに一度試してみられてはいかがでしょうか。
※ウナギの血液にはアナゴと同じように血清毒のLD50が混じっているため、鮮度が良くても安易に生食しないように注意して下さい。血清毒はたんぱく質なので60℃以上で5分間加熱すると無毒になりますが、生食する場合は徹底的に血を洗い流す必要があります。
メカジキ
メカジキ科に属する唯一の種で、カジキに中でも大型で、成魚になると全長5m、重さ400kgを超えます。他のカジキに比べて目が大きいことからメカジキという名前が付いたと言われています。
1年中水揚げされていますが、特に10月から翌3月に獲れるものは脂ののりがとてもよく、「冬メカ」とも呼ばれています。
国内では北海道から九州まで広く生息し、世界でも熱帯域から温帯域でも水揚げがあり、冷凍での出回りも比較的多いお魚ですが、スーパーなどに並ぶことは何故かほとんどありません。
メカジキのおすすめの食べ方
お目にかかる機会は少ないのですが、脂ののりが良いものを見かけたら、ぜひ味わってほしいお魚のひとつです。
皮も骨も外した切身や柵で流通しているので、調理は簡単です。鮮度が良いものが手に入ればお刺身も美味しいですが、加熱しても身が硬くなりにくいので、様々な料理にすることが出来ます。
スマ
カツオに良く似ていますが、胸鰭の下に複数の黒点があるのが特徴で、これがヤイト(お灸をすえた跡)のように見えることから「ヤイトガツオ」とも呼ばれています。
水揚げは1年中あると言われていますが、漁獲量はごくごくわずかのため、産地以外ではスーパーなどに並ぶことはまずありません。産地は鹿児島県、長崎県、三重県、和歌山県などの暖流域で、東日本にはほとんど見られませんので、馴染みのない方も多いお魚です。
1年を通して大きく身質が変化するころはありませんが、冬にはしっかりと脂がのるため、この時期を旬とする地域が多くあります。また、和歌山県や愛媛県では養殖も行われています。
スマのおすすめの食べ方
鮮度が良いものが手に入れば、お刺身やタタキがお勧めですが、寄生虫がいることもあるのでよく確認して下さい。
脂もしっかり乗っており、カツオより身が柔らかですので、揚物、煮物、焼物などの加熱調理をしても美味しく頂くことが出来ます。
ハガツオ
カツオに似ていますが、鋭い歯を持つことからハガツオと名付けられたと言われています。また、細長い顔つきからキツネガツオと呼ばれたり、背に幾筋も縦筋が入っていることからスジカツオと呼ばれたりもしています。他のカツオ同様に大きくなると1ⅿを超すこともありますが、流通しているものの大半は50cm前後です。また、本種を目的とした漁はあまり行われておらず、カツオやサバなどの混獲ですので、水揚げ自体は多くはありません。また鮮度落ちが早いためか、カツオほど人気もなく、産地か産地近くの消費地で流通する程度で、全国的な認知度は低いお魚です。
主な産地は鹿児島県から高知県、和歌山県など太平洋沿岸部と、長崎県五島から山口県、鳥取県や福井県など日本海沿岸部です。
晩秋から冬は、水揚げは減るものの、脂がしっかりのってきますので、とても美味しい時期となります。
ハガツオのおすすめの食べ方
脂がのったハガツオの身質は、カツオよりサワラに近く、身割れしやすいので取り扱いには注意が必要です。
この頃のものは、脂がしっかりのってきますので、お刺身、炙り、タタキはもちろん、焼物、煮物、汁物など多種多様な調理に対応することが出来ます。
アカカマス
カマスには20数種の仲間がいますが、日本国内で食用として流通しているのは、主にアカカマスとヤマトカマスで、流通量はアカカマスの方が多いようです。アカカマスはこの中では味が良いと評価されており、人気も高く、一般に市場でカマスと呼ばれているのはアカカマスです。また、ヤマトカマスと区別するのにホンカマスと呼ばれることもあります。
水揚げは1年中ありますが、産卵期が夏頃なので、産卵に食欲が旺盛になる春と、産卵後に身が戻る秋から初冬が最も美味しいとされています。
アカカマスのおすすめの食べ方
大きくて鮮度が良いものが手に入ればお刺身がお勧めです。
加熱調理する場合は、下処理時に塩などで水気を軽く抜いてあげると旨味が増します。干物の材料としても広く用いられており、焼物材料としての評価も高いです。また、癖のない白身ですので、色々な料理に合わせることが出来ます。
アカガレイ
ヒラメのように大きな口をしていますが、カレイの仲間です。名前の由来は、裏表ともに全体に赤みがあり、特に腹の白い側や尾鰭の付け根辺りは血がにじんだように赤くなっていることからです。
主な産地の漁期は、北海道、福井県、京都府、鳥取県などで、福井県では「越前ガレイ」としてブランド化されています。
水揚げは1年中見られますが、産卵期に浅場に集まってくる2~3月は水揚げが増えます。また、11~12月は産卵前で、身質が最も良い時期とされています。
アカガレイのおすすめの食べ方
この時期は産卵前で身が最も充実している頃ですので、鮮度が良いものが手に入れば、まずはお刺身です。もちろん、煮物、焼物、揚物などなんにしても美味しく頂くことが出来る時期でもあります。
イシガレイ
大きいものでは60cm程にもなる大型のカレイです。表も裏側も鱗がなく、表側の背や側線に沿って部分的に骨質状の硬い板があるのが特徴で、これが名前の由来にもなっています。
イシガレイとしての水揚げ統計がないため、産地などの詳細は不明ですが、ほぼ全国で水揚げが確認されており、昔から安くて美味しい惣菜魚として馴染みがあります。しかし、活物での流通が発達したため、その価値も高まり、活物や鮮度の良いものはそこそこの値段で取引されるようになりました。
イシガレイも夏に美味しいお魚のひとつで、お刺身で食べるなら夏から秋口辺りまでですが、夏場の水揚げは正直期待出来ず、それなりの値段になります。反面、秋から冬の産卵期には底曳網で大量に漁獲されることもあり、安価での出回りも期待出来ます。特に子持ちのものは煮付け用として古くから親しまれています。
イシガレイのおすすめの食べ方
この頃から中小型サイズを中心にボチボチ水揚げが増えてきますので、比較的安価で出回り始めます。
まだ、産卵前で身が充実している時期とは言え、小さなものをお刺身にすると可食部分がと相当少なくなりますので、焼物、煮物などにすると良いでしょう。小さなものは揚物にすると余すことなく召し上がることが出来ます。
マガレイ
名前に「マ」が付くように、カレイの中では最も広く親しまれているお魚と言っても良いでしょう。
主な産地は北海道、東北地方、北陸地方などで、底曳網でまとまって水揚げされることが多く、カレイの中でも比較的値段の安い部類ですが、この時期は底曳網漁を行っている地域も少ないため、水揚げもそこまでは多くありません。
マガレイは1年中どこかで水揚げされていますが、これからは産卵を終えたマガレイが栄養を蓄えだす時期ですので、肥えたものが増えてきます。
マガレイのおすすめの食べ方
秋は底曳網漁シーズンではないため、水揚げが少なくお目にかかる機会は減りますが、逆に鮮度の良いものが手に入る可能性が高くなる時期でもあります。
もし大きくて良いものが手に入ったら、まずはお刺身がお勧めです。
マツカワガレイ
マツカワガレイの名前の由来は、鱗が硬く松の樹の表皮に見立てたからとされています。昔から美味しいカレイとして知られており、大きいものだと80cmにもなる大型のカレイです。しかし、現在100%天然と言えるものはほんの僅かで、ほとんどが稚魚放流によるものとされています。希少性が高いこともあり、超高級魚として流通しているため、一般に出回ることはなく、寿司店や割烹などの高級飲食店に卸されています。
主な産地は北海道で、ここでは資源保護のため全長35cm未満のものは海に戻す決まりがあります。また、北海道襟裳町から函館市南茅部にいたる海域で水揚げされたマツカワガレイはブランド化され、「王鰈(おうちょう)」として商標登録されています。
水揚げがわずかながら増えるのは産卵期で浅瀬に寄って来る晩秋から12月にかけてです。普通に考えると産卵前のものが良さそうですが、その時期のものは身が柔らかいとされ、敬遠されることが多いようです。
マツカワガレイのおすすめの食べ方
産卵期であっても、生食が基本のお魚ですので、活物か活〆されたものが前提です。お刺身やお寿司前提のお魚ですが、硬い鱗を除けばほぼ余すことなく食用可能です。
中骨やヒレなどの派生部位は揚物へ、アラや卵、肝などは煮付けにするととても美味しく頂くことが出来ます。
ムシガレイ
標準和名のムシガレイで呼ばれることはほとんどなく、ミズガレイとかミズクサガレイと呼ばれて流通しています。
産卵期の晩秋から春先にかけて、浅瀬に寄ってくることに加え、冬場は底曳網のシーズンに当たるため、水揚げは一気に増えます。産地では、美味しくて安い惣菜魚として人気があります。
全戸各地で水揚げが確認出来ますが、冬場に底引き網漁が盛んになる北陸から山陰地方、北九州から長崎にかけての日本海側で多く見居られます。
ムシガレイのおすすめの食べ方
鮮度抜群であっても、水分が非常に多い魚ですので正直お刺身には向きません。2月から3月は産卵前で最も身が充実している時期なので、煮付けが最も良いでしょう。
焼物や揚げ物などにする際は、塩などをして水分を抜いた方が、適度に身が締まり美味しく頂けますが、下処理が面倒な場合は干物を利用すると良いでしょう。
ヤナギムシガレイ
ヤナギムシガレイは、カレイの中でも水揚げが多い方なのですが、鮮魚での流通はあまりなく、もっぱら干物で流通しています。
味の良さには定評があり、干物であっても高価な部類に入ります。中でも冬場に獲れる30cm程度の大きなものは、高値で取引されています。
主な産地は、島根県、鳥取県、福井県、茨城県などです。福井県では「若狭がれい」としてブランド化されており、新潟県ではプライドフィッシュにもなっています。一方干物としての「笹がれい」は島根県産がよく知られています。
ヤナギムシガレイは底曳網漁主体で水揚げされますので、秋から春先が漁期となります。子持ちのものが好まれることと、漁期が産卵期に重なるため、旬は抱卵する11月頃から1月にかけてとなります。三陸などでは産卵期が多少ずれるようで、5月くらいまで水揚げが確認出来ます。
ヤナギムシガレイのおすすめの食べ方
身に厚みがないお魚ですので、出来るだけ大きなものを購入しましょう。
また、水気が多いので、お刺身にするには鮮度がすこぶる良いことが条件となり、これは産地でもかなり難しいです。
身は柔らかく、甘味があるので、焼物、煮物、揚物、蒸物などなんにでも合わせることが出来ますが、前述したように身が薄いので切身にせず、丸のまま調理した方が良いようです。
干物には一夜干しから上乾までありますが調理用途を考えると一夜干しが値段も含めてお勧めです。
小さなものは、鮮魚、干物に限らず二度揚げすると丸ごと食べることも出来ます。
ウマヅラハギ
ウマヅラハギは、カワハギ、ウスバハギと共に、カワハギの仲間では数少ない食用魚です。カワハギの仲間は鱗がありませんが、皮が非常に硬くザラザラしており、皮を剥いで料理するところからこの名が付いたと言われています。加えてウマヅラハギはその名前の通り、顔が馬に似ているところから来ています。
ウマヅラハギに限らず、食用となるカワハギは、水揚げが比較的多く、スーパーなどにもよく並ぶ惣菜魚ですが、淡白な白身は上品な味わいで、食感はフグに例えられることがあります。また、肝が非常に美味しいことでも知られています。
日本海側でよく獲れ、主な産地は、石川県、富山県、福岡県などです。
美味しい旬の時期は、産地により諸説あり、夏の産卵期を旬とする地域もありますが、この時期は単に水揚げが増えるだけで、決して身質が良いとは言えません。身が充実するのは産卵明けの晩夏から秋で、肝が大きくなるのは晩秋から春先にかけてなので、寒い時期が最も美味しいようです。
ウマヅラハギのおすすめの食べ方
ポピュラーな大衆魚ですが、活物や活〆されたものはお刺身用として高値で取引されることもあります。
鮮度の良いものが手に入れば、まずはお刺身がお勧めで、肝も一緒に頂くことが事が出来ますが、スーパーなどに皮を剥いで並んでいるものは、見た目が良くてもお刺身には向きませんので、注意して下さい。
肝が大きくなる冬場は何と言っても煮付け、鍋、汁物がお勧めで、あっさりした白身に肝を和えて食べると芳醇な旨味が口いっぱいに広がります。
小さなものは唐揚げにすると美味しく頂くことが出来ますが、骨はとても硬いので食用にはなりません。焼物にする場合は、身自体が非常にあっさりしていますので、味醂や味噌に漬けた方が良いようです。
カワハギ
カワハギは、ウマヅラハギ、ウスバハギと共に、カワハギの仲間では数少ない食用魚です。カワハギの仲間は鱗がありませんが、皮が非常に硬くザラザラしており、皮を剥いで料理するところからこの名が付いたと言われています。このお魚を単に「ハゲ」と呼ぶ地域が多いのですが、関西などでは単に「ハゲ」というとウマヅラハギを指すため、カワハギを「マルハゲ」と呼び区別しています。
日本各地に分布していますが、暖海系のお魚なので西日本の水揚げの方が多いです。また、静岡県や愛媛県などでは養殖も行われています。
カワハギは肝が美味しいため、一般的には肝が大きくなる秋から冬にかけてが旬と言われています。夏を旬とする説もありますが、これはカワハギ自体が1年を通して身質が大きく変わらない上に、夏場に美味しい白身魚が少ないことが要因のようです。
カワハギのおすすめの食べ方
比較的ポピュラーな大衆魚ですが、活物や活〆されポピュラーな大衆魚ですが、活物や活〆されたものはお刺身用として高値で取引されることもあります。
鮮度の良いものが手に入れば、まずはお刺身がお勧めで、肝も一緒に頂くことが事が出来ますが、スーパーなどに皮を剥いで並んでいるものは、見た目が良くてもお刺身には向きませんので、注意して下さい。
肝が大きくなる冬場は何と言っても煮付け、鍋、汁物がお勧めで、あっさりした白身に肝を和えて食べると芳醇な旨味が口いっぱいに広がります。
小さなものは唐揚げにすると美味しく頂くことが出来ますが、骨はとても硬いので食用にはなりません。焼物にする場合は、身自体が非常にあっさりしていますので、味醂や味噌に漬けた方が良いようです。。
キチジ
標準和名はキチジですが、流通名の「キンキ」や「キンキン」で呼ばれていることの方が多いです。昔は捨てるほど獲れたと言われていますが、今では水揚げはほとんどなく、身質の良さからもっぱら超高値で流通するため、高級鮮魚店、百貨店、料亭などでしかお目にかかることが出来ません。特に釣物は評価が高く、さらに高値で取引されます。
このお魚は1年中、少ないながら水揚げがあう上、身質に大きな変化はないとされていますが、秋から冬に最も脂がのるようです。
近縁種にアラスカキチジと言うお魚がおり、冷凍魚としては超高値で流通しています。こちらもとても美味しいのですが、主に干物に加工されて流通していますので、調理用途が限られていしまいます。
国産の生鮮キチジは滅多にお目にかかれるものではありませんので、機会があればぜひ一度はお召し上がり頂きたいお魚のひとつです。
キチジのおすすめの食べ方
キチジと言うと、甘辛い煮付け、塩焼などを思い浮かべる方も多いと思います。もちろん加熱しても美味しいことに間違いはないのですが、鮮度の良いものが手に入れば、まずはお刺身がお勧めです。獲れたてでもその身は柔らかで、皮も柔らかく、皮下に脂と旨味が詰まっているので、皮は引かずに湯霜造りか炙りにするのがお勧めです。また、身の旨味もたっぷりなので、塩や昆布で水分を抜いたり、旨味を足すなどの手間も特に必要ありません。
キュウリウオ
キュウリウオの名前の由来は、キュウリのような香りがすることからと言われています。シシャモやワカサギの仲間で、シシャモに似ているところもあるので、小さなものは間違ってシシャモとして販売されていることもあるそうです。しかし、国産のシシャモは超高級魚なのに対し、キュウリウオは大衆魚なので、間違えたでは済まなそうなものですが…。また、さらに小さなものはワカサギとして売られていることもあるそうですが、ワカサギとの見分けは簡単なので、こちらは単に選別するのが面倒だからかも知れません。
キュウリウオは冷水域のお魚で、国内の産地は北海道だけです。2歳くらいになると、4月下旬から5月下旬にサケのように河を遡り産卵しますが、サケとは異なりその場で息絶えることなく(個体差はありますが)産卵後は海に戻ります。またサケのように大きな回遊はせず、産卵場所近辺で普段も生活していますので、水揚げは1年中確認出来ます。ただし、身質が最も良いのは産卵前の冬から春先とされています。
キュウリウオのおすすめの食べ方
鮮度の良いものは、もちろんお刺身でも食べられますが、香りを嫌う人もいるようです。また、アニサキスがいることもあるので、基本的に焼物、煮物、揚物などの加熱調理がお勧めです。
干物も流通しており、こちらも焼物、煮物、揚物に利用できますが、頭や骨はしっかりしているので、シシャモやワカサギのように頭から丸かじりは止めておいた方が良いでしょう。
シシャモ
シシャモというと、スーパーで干物として販売されているものをを思い浮かべる方がほとんどでしょうが、ここで紹介するお魚は別物です。スーパーで売られているものはカラフトシシャモというお魚で、アイスランドやカナダなどの北洋で獲れたものです。良く似ているため、国産のシシャモが少なくなった時に、代用品として販売されたのが始まりのようですが、今では代替品ではなく、シシャモと言うとカラフトシシャモを指すと言っても過言ではないでしょう。
国産のシシャモは北海道の太平洋岸にのみ生息していると言われており、その漁獲量はごくわずかです。10月から12月にサケと同じく、産卵のため川を遡ります。これに合わせて漁が解禁となるため、メスは必然的に子持ちになります。資源保護のため漁獲制限も厳しく、北海道のごく一部でしか水揚げされないので、流通量はとても少なく、非常に高価なお魚になっています。
シシャモのおすすめの食べ方
水揚げ後、すぐに干物に加工されてしまうため、生鮮でお目にかかることはまずありません。また干物であっても、スーパーなどに並ぶ機会はほとんどないため、消費地では通販くらいしか入手手段はありません。
干物は必然的に焼物か揚物になりますが、揚物にするとせっかくの上品な風味が失われてしまいますので、シシャモに限ってはそのまま焼くのがベストです。カラフトシシャモのように七味やマヨネーズも必要ありません。
チカ
チカは主産地である北海道では水揚げも多く、安価で流通していることもあり、知名度100%と言っても過言ではありません。しかし、その他の地域では、水揚げ自体が少ないことなどから知名度はかなり低く、良く似たワカサギと区別なく流通していることもあるようです。
チカは大きくなると20cm程度となり、ワカサギより一回り大きくなります。またワカサギは海淡水両方に棲むことが出来ますが、チカは海水のみしか棲息出来ません。
春に産卵期となるため、秋から冬はそれに向けて栄養を蓄える時期ですので、よく太ったものが手に入りやすくなります。
チカのおすすめの食べ方
チカの身は柔らかく、淡白な味わいの白身です。ワカサギより大きいので、鮮度が良ければお刺身にも出来るそうですが、アニサキスが寄生していることもあるので、基本的には焼物、揚物、煮物などの加熱調理がお勧めです。
揚物にする場合は、小さなものであれば物骨も柔らかく気になりませんが、大きなものしっかり取り除いておいた方がよいでしょう。
煮物にする場合は、甘露煮のようにじっくりと味を沁みこまた方が良いとされています。
ワカサギ
ワカサギの主な産地は青森県、北海道、茨城県、秋田県などの北日本で、水揚げの最盛期は産卵を控えた冬から春先です。凍結した湖の一部に穴をあけて釣り糸を垂らす「穴釣り」は冬の風物にもなっているため、寒いところのお魚、冬のお魚と言うイメージを持たれる方も多いとは思いますが、実ははほぼ1年中安定したた水揚げがあります。また、北陸や山陰でもわずかながら水揚げがあります。
前述したように湖での釣りがイメージとしてありますので、淡水魚と思われる方も多いのですが、実ははアユと同じように河川と海を行き来する両側回遊型と、一生を淡水で過ごす陸封型がいます。また、同じ水域で生活していても両側回遊型と陸封型が混在することもありますので、獲れる場所は湖だけではなく、河川、汽水域、海岸など実に様々です。
産卵期は地域差があるため、1~5月と幅があります。ざっくり言うと11~12月頃は産卵前の身が充実したもの、1~5月は抱卵したものが美味しいとされていますが、小さなお魚ですので、そこまで違いを感じることは難しいため、実際には1年を通して美味しく頂くことが出来ると言っても良いでしょう。
ワカサギのおすすめの食べ方
非常に小さなお魚で、頭も骨も柔らかく丸ごと食べることが出来ます。ただし、釣物には口の中や胃袋に未消化の餌が残っていることもありますので、面倒でも必ずチェックして下さい。残ったままだと食味が悪くなりますので、必要に応じて頭や内臓を除去するなどした方が良いでしょう。
調理法としては正直何でもござれですが、人気が高いのは天ぷらや唐揚げなどの揚物です。煮物にする場合は甘露煮がお勧めです。また、抱卵の有無によって調理法を変える必要も特にありません。
キンメダイ
キンメダイは、とても鮮やかな赤色と金色の目が特徴で一際目を引きます。名前の由来もこのキラキラした金色の目からです。
主な産地は静岡県、神奈川県、千葉県、東京都、高知県などですあるようで、産地ではブランド化も進められており、
静岡県伊豆地方 須崎の日戻り地金目・稲取キンメ・伊東の地キンメ
千葉県房総地方 銚子つりきんめ・外房つりきんめ鯛
高知県室戸地方 土佐沖どれキンメダイ
などが有名です。
キンメダイの産卵期は6~10月頃にかけてで、この時期に水揚げが増えるところもあるため、夏を旬とする地域もありますが、最も美味しい旬の時期は12~2月にかけてとされています。また、赤いお魚は縁起が良いとされる風潮からか、特に年末年始は縁起物として高値で取引されることが多くなります。
ちなみに、近縁種にはフウセンキンメやナンヨウキンメなどがおり、日本近海でも水揚げが確認出来ます。いずれも食味がそこまで変わらないと評価されているため、大半はキンメダイとして流通しています。
キンメダイのおすすめの食べ方
キンメダイは身が非常に柔らかいため、昔はお刺身には向かないとされていましたが、漁法や流通の発達により、身が締まった良いものが入手できるよになったため、今ではお刺身で食べるのが当たり前になっています。お刺身にする場合、皮は赤くて見た目も良いことに加え、たっぷりと脂を含んでいるため、湯霜や焼霜にして一緒に食べる方が良いでしょう。
あっさりした味わいを求めるなら焼物も良いですが、キンメダイといえばやはり煮物です。脂ののったホロホロの白身は、少し濃い味付けにするのが定番です。
シログチ
シログチは標準和名で呼べれることはほぼなく、単にグチと呼ばれたり、大きな耳石を持っていることからイシモチと呼ばれたりすることの方が多いお魚です。釣りをされる方であれば、投げ釣りや船釣りなどでよくお目にかかるため馴染みもあるでしょうが、鮮魚として一般に流通することはほとんどありませんので、一般的には馴染みがほとんどないお魚です。その理由としては、水分が多く見が柔らかい上、鮮度落ちが早いなどと言われています。ただし、昔から蒲鉾原料としては引き合いが強いため、大半がすり身に加工されています。シログチはイトヨリダイと同じく、すり身は評価が非常に高く、これを使った練り製品は高級品として流通しています。
産卵期は夏で、浅瀬に寄って来るため水揚げは増えますが、身質は決して良いとは言えないことに加え、鮮魚としての評価が低いため、扱いも雑になりますので、良いものの入手は自分で釣りでもしない限り困難です。身質が最も良いのは冬とされていますが、水揚げは少ないので、これまた釣りでもしない限りこの時期のシログチの入手は難しいでしょう。
シログチのおすすめの食べ方
この時期のシログチは適度に脂がのり、甘味も増していますので、お刺身にすると美味しく頂くことが出来ます。身が柔らかい感じる場合は、下処理の際に塩などで少し水分を抜くと良いでしょう。
お刺身にするのが厳しい場合は、煮物、焼物、揚物などにすると美味しく頂くことが出来ます。
ウグイ
ウグイはコイ目に分類される日本の在来種で、沖縄県を除く日本全国に分布しています。河川、ダム湖を含む湖など淡水域はもちろんのこと、海に下るタイプもいるため、汽水域や海水域でも生息が確認されています。ウグイの名前の由来は鵜に良く食べられるところからきているそうです。また、オイカワなど他のコイ科の細長い魚とひとまとめにされハヤと呼ばれることもあります。
広く分布していることもあり、存在自体はとてもポピュラーお魚なのですが、食用としての知名度は今ひとつです。ウグイは汚染された水域でも生息出来るため、泥臭さや、コイ科特有の小骨の多さが原因で「不味い魚」と評価されてしまうことが多いことが理由のようです。ただし、水質が良いところで獲れたものは普通に美味しく、長野県、栃木県、富山県の一部では郷土料理として提供しているお店もあります。
ウグイの旬は産卵期前の初冬から春とされています。産卵期を迎えると、雌雄ともに鮮やかな3本の朱色の条線が走る婚姻色へ体の色が変わりますので、状態を見極める目安になるでしょう。
ウグイのおすすめの食べ方
ウグイの旬は、初冬から初夏の時期までと言われています。特に寒い時期は「寒バヤ(かんばや)」と呼ばれており、脂がのってとても美味と評されています。
塩焼きはもちろん、洗い、田楽、唐揚げ、天ぷらなど、様々な川魚料理で楽しむことが出来ます。
大きなものは小骨の多さが気になりますので、料理によっては骨切りなどの処理をして下さい。
※寄生虫がいる場合がありますので、洗いなど生食する場合は、除去を徹底するか、冷凍処理して寄生虫を死滅さえたものを使いましょう。
コイ
国内には日本在来種のノゴイと、ユーラシア大陸からもたらされて今では普通に見られるコイの2種がいます。ノゴイは希少種なので、もっぱら食用とされているのはコイの方です。内臓や生殖巣も食用とすることもあるため、これらが大きくなり脂がのって来る冬が旬と言われています。
コイは身近な水源で飼うことが出来る上、雑食性で成長が早いため、特に海から遠い山間部では人気の高いお魚でしたが、流通の発達から海水魚が簡単に入手出来るようになったため、今では特種な食べ物になりました。取り扱っている店もどんどん減っているため、前もって注文しておかないと食べることは難しくなっています。当然需要は大きく減少し、これに伴い値段も下がったため、生産者も非常に少なくなっています。また、現在流通しているものの大半は養殖で、天然物はまずありません。
産地としては、秋田県、山形県、福島県、群馬県、滋賀県、宮崎県、福岡県、長野県、富山県、鹿児島県などがあげられますが、産地で消費する量もごくわずかです。郷土食として残っている地域もありますが、年に数回食べるか食べないかになっているようです。
コイのおすすめの食べ方
養殖であっても、食べる前にはきれいな水で数日間は餌を与えずに飼って、胃の内容物吐き出せるなどして臭みの元を出来るだけ取り除く必要があります。鱗はよく加熱すると柔らかくなって食べられないことはないのですが、これは好き好きです。
血合いの赤い透明感のある白身で、ゼラチン質が多いため、加熱してもトロッとしており、固くはなりません。また、身よりも卵巣、精巣、内臓を好む場合もあるため、コイコクや煮付けにはもっぱら内臓が充実したものを使います。
コイと言うと洗いが有名ですが、これは夏の料理で、脂がのったこの時期のものは適さないようです。
※天然のコイには寄生虫がほぼ確実にいますので、生食は絶対にしないで下さい。生食する場合は必ず養殖のものを使いましょう。
メゴチ(総称)
標準和名でメゴチと言うお魚はいますが、食用として出回ることはまずありません。ここで言うメゴチはネズッポ科魚種の総称で、セトヌメリ、ヌメリゴチ、ネズミゴチなどを区別せずに言う場合を指します。
メゴチ(総称)はほぼ全国で水揚げされますが、網にかかると棘が絡んで外しにくいなど嫌われることが多いお魚で、水揚げされても非常に雑な扱いを受けることも多く、さらに釣りの外道としても有名です。加えて、小さくてヌメリが多いため、非常に捌きにくいことと、鮮度落ちもすさまじく早いので、処理を怠るとすぐに臭みが出るなど、嫌われる理由が満載です。しかし、その身は上品で甘味が強く、火を通しても硬くならないので、特に天ぷらのタネとしては価値が高いです。ただし、スーパーなどに並ぶことはまずないので、食べたい場合は、自分で釣るか、常日頃から取り扱いのある天ぷら専門店などに行かねばならないでしょう。
夏に産卵期を迎えるため、春先から食性が上がり身が肥えることに加え、水揚げが増えるため、春から夏を旬とするところが多いのですが、味が良いのは冬から春とされています。
メゴチのおすすめの食べ方
鮮度が悪いとヌメリがひどくなり、身にも臭いが移るので、とにかく鮮度が命です。
お刺身に出来ないこともないですが、難易度がかなり高いので、素直に天ぷらなどの揚物で頂くのが良いでしょう。
サケ
この時期のサケ漁は産卵のため川は回帰してくるものが対象となります。
11月、北海道ではは水揚げ減ってきますが、青森県や岩手県などではピークを迎える時期と言われています。また、「鮭」という漢字のつくりの部分の「圭」が「十一十一」と分解されることにこじつけて、11月11日は鮭の日になっています。
サケのおすすめの食べ方
この頃は散乱寸前のものは多く、卵や白子も成熟しきっているため、身やイクラの評価は走りの頃と比べて落ちます。身は非常にさっぱりとしているので、ちゃんちゃん焼きや石狩鍋など、しっかりと味付けした料理、揚物など油分を足す料理が良いでしょう。イクラの成熟したものは殻が口に残ることがありますので、出来れば購入される際に、いつ獲れたものかを確認しておくと良いでしょう(9月頃の走りのものが一番よいとされています)。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
タイセイヨウサケ
名前の通り、大西洋の北部冷水域に生息しているサケで、アトランティックサーモンと呼ばれ、以前は北米北欧の大西洋沿岸地域のみで消費されていました。1980年代からノルウェーで盛んに養殖されるようになり、その後、需要の高まりとともに、南半球のチリ、ペルー、オーストラリアのタスマニア島などでも養殖が始まりした。元々大きな需要があったことに加え、流通の発達により販路は世界中に広がり、現在では生鮮での空輸も増えています。世界中で消費されているるサケの中で最も需要が高く、ほぼ養殖で賄われています。日本国内でもサーモンと言うと、ほとんどがタイセイヨウサケを指します。また、他の養殖魚と比べて、骨取りフィーレやロインなどの加工品の割合が非常に多く、捌く手間などが大きく軽減されているのも、需要が拡大するひとつの要因でしょう。また、特に北欧、豪州では厳格な管理の元で養殖されているため、身質も非常に安定しており、1年中良質のお魚を口にすることが出来ます。
また、サケの中でも大型で、大きなものでは1ⅿを超えることもある上、体に比べて頭が小さく、歩留まりが良いのも特徴のひとつです。
タイセイヨウサケのおすすめの食べ方
養殖は寄生虫の心配がありませんので、ほとんどが生食用として流通しています。日本国内ではお刺身やスシネタとしての需要が定着しており、スーパーや寿司店には必ずあると言っても良いお魚になっています。
脂が多く、身が柔らかいので、加熱調理しても身が硬くなりにくいのも利点で、生食に限らず色々な料理を楽しむことが出来ます。ただし、脂が非常に多いので、お好み次第で、塩焼きなど幾分脂を落とすような調理や、ポン酢などあっさりとした調味料などと合わせる工夫も必要になるでしょう。
コノシロ
コノシロは大きさで呼び名が変わり、5cm位までの稚魚をシンコ、10cm位迄をコハダ、13cm位をナカズミ、それ以上をコノシロと呼び流通しており、11月くらいから一番大きなコノシロサイズの水揚げが増えます。ただし、他のお魚と同様に明確な基準があるわけではないので、その時々で呼び名は微妙に変化します。
コノシロが、鱗が多くて取りにくい、身が薄い、小骨が多い、焼くと嫌な臭いがするなど、あまり良い条件が揃わないため、積極的に食用に向けない地域もありますが、冬は脂がのりとても美味しいシーズンとされています。特に江戸前寿司では大きなものは全てコハダと呼び、光物のネタとしてはなくてはならないもののひとつになっています。
コノシロの水揚げは全体で5000トン程度と水産物としては決して多くはありません。そのうち千葉県が全体の40%を占めていますが、これは最大の消費地である東京が近いためと考えられます。
コノシロのおすすめの食べ方
冬になると脂がほんのりとのり、旨味も増しますので、やはり酢締めがお勧めです。ただ、大きくなったとは言え家庭での調理は難易度が高いので、お店で頂いた方が手間もかからず無難ですし、この時期のコノシロはかなりお安くなっています。
家庭で調理する場合は揚物が簡単ですが、骨が口に当たることが多いので細かく骨切りをして下さい。あんかけにしたり、南蛮漬けなどにするとさらに美味しく頂けます。
サッパ
サッパはニシンの仲間で瀬戸内海などの内湾に生息しており、回遊することはほとんどなく、一生を通して生息域大きく変えることはありません。大きさも10cmくらいまでと小さいため、雑魚として扱われることが多く、食用とする地域は少ないです。食用とする地域で特に有名なのは岡山県で、ここではママカリと呼ばれています。名前の由来は「用意したご飯が足りず、隣から借りなければならない程旨い」と言うところから来ているそうです。駅弁にもなっていますので、真意の程はご自分の舌でお確かめ下さい。
サッパの旬は年2回あります。ひとつめは産卵前の夏で、小さいながら身が最も充実する時期です。ふたつめは成長して大きくなる秋から冬で、脂がしっかりのってくる頃とされていますが、水揚げが少ないのが難点です。
サッパのおすすめの食べ方
韓国の仁川ではお刺身(フェ)や唐辛子味噌和えが名物になっていますが、国内でお刺身で食べる地域は確認出来ていません。鮮度が良ければお刺身に出来ないことはありませんが、小さい上に小骨が非常に多いので、骨が気にならない方限定です。
代表的な食べ方は酢漬けで、開いて甘酢に漬けることで、小骨も気にならなくなります。それでも気になる場合は、唐揚げ、南蛮漬けなどの揚物にすればよいでしょう。
マサバ
マサバは大きく分けて、回遊型と瀬付き型に分かれています。回遊型は、太平洋の黒潮の内側を回遊するもの、日本海沿岸を回遊するもの、東シナ海を回遊するものの3グループに分かれており、それぞれ夏季に北上し秋から冬にかけて南下し、特に南下し始めのものは餌をたっぷり食べていることから、脂ののりも良く美味しいとされています。
一方瀬付きのものは各地でブランド化されており、関サバ(大分県佐賀関)、金華サバ(宮城県石巻)、松輪サバ(神奈川県三浦)などが有名で、これらは餌を求めて回遊することもないので、身質は1年を通して比較的安定していると言われています。
水揚げは年間通しての統計しかありませんが、茨城県、長崎県、静岡県などが多いようですが、特にどこのものが良いと言うわけではなく、美味しいとされる秋冬に水揚げがある地域であれば問題ないでしょう。場所によっては、夏に水揚げが増えるため、夏を旬とするところもあるようですが、マサバの産卵期は3~6月で、産卵期と産卵期明けは食性も落ちて身も痩せているので、あまり良い評価は出来ません。
マサバのおすすめの食べ方
瀬付きのものは比較的安心とされていますが、サバの類は基本的にアニサキスが寄生していることが多いので、生鮮の生食は控え手下さい。どうしてもの場合は、必ず-20℃以下で24時間以上冷凍したものを使いましょう。
秋から冬は、どこのものであっても脂がしっかりのっているので、どのような料理にも合います。脂が少ない小さなものはソテーや揚物など、油分を足す調理をすれば良いでしょう。
※サバにはヒスチジンという成分が含まれており、鮮度が落ちて古くなるとヒスタミンというアレルギーを起こす成分に変化しますので、鮮度が良いうちに食べ切るか、余った場合は冷蔵ではなく冷凍することをお勧めします。
サンマ
サンマは広い海域を回遊するお魚で、南の暖流域で孵化した稚魚が成長しながら北上し、秋に産卵に向けて南下するとされていますが、詳しい回遊経路はまだわかっていません。また、寿命は2年程とされています。主な漁場は北海道根室沖から三陸沖を経て銚子沖の太平洋沿岸で、水揚げの半分強は北海道です。
例年であれば7月中旬から太平洋北東部からオホーツク海で漁が始まります。最盛期は9~11月で、9月頃までは北海道から東北、10月以降は三陸沖から銚子沖などでも水揚げ確認できるようになります。しかし、ここ数年は不漁が続いており、このパターンは通用しなくなっています。加えて、過去の数倍の価格で取引されることも増えています。このため、鮮魚店やスーパーなどでは生鮮の取り扱いを控え、解凍や輸入品の販売を増やすなどして対応していますが、決して安いものではありません。
とは言え、夏から秋の代表的な味覚ですので、シーズン中に一度はお召し上がり頂きたいものです。
サンマのおすすめの食べ方
この頃に獲れるサンマはかなり細くなり、脂も少なくなりますので、下手に加熱調理すると硬くなり、食味も悪くなります。こういう時はフライや天ぷらなどにするのがお薦めです。サンマの小骨は柔らかくあまり口に当たることもありませんので、気にならなければ中骨や腹骨は付いたままでも良いですが、気になる場合は面倒でも取り除いて下さい。
煮物にする場合は、骨まで柔らかくなるくらい、しっかり煮込んで頂くと良いでしょう。
クロダイ
クロダイは釣りの対象としては非常に人気が高いお魚で、ほぼ全国で1年中そこそこ水揚げがあります。マダイなど比べても安価なので、沢山流通していそうですが、スーパー、業務筋ともにあまり見かける機会がないお魚です。これは、何でも食べる悪食が災いして食用としない地域があったり、特に夏場は河川などの汽水域で生活することが多いため、身が柔らかく、臭みがあることなどが敬遠される理由のようです。春先から初夏は産卵期で浅瀬に寄ってくるため、釣りの対象魚として評価は高いですが、逆に身質は最も悪い時期とされています。食べるのであれば、水揚げが少ないながらも、生活水域や植生が変わる秋から冬が最も良いとされています。
クロダイも大きさで名前が変わり、主なところでは、幼魚をチンチン、中型をカイズ、大型をクロダイと呼びますが、他のお魚と同様に明確な基準はありません。また、関西のチヌのように、大きさによって名前が変わらない地域もありますので、出世魚としての認識はほとんどありません。
また、このお魚は雄性先熟型で、1~3歳頃までは全て精巣が発達したオスで、4~5歳になると多くは卵巣が発達しメスとなります。しかし、一部は性転換せずオスのまま成長することもあります。
産地としては突出したところはありませんが、瀬戸内海などの内湾に比較的多く見られ、広島県では放流事業も行われており、プライドフィッシュにもなっています。
最近はその数が増え、海苔、牡蠣、アサリなどを食い荒らすことによる漁業被害も出ていますので、積極的な消費を図りたいものです。
クロダイのおすすめの食べ方
鮮度が良いものが手に入れば、お刺身も良いでしょう。おろしてみて皮下に脂があれば焼霜造りなどにすると美味しく頂くことが出来ますが、獲れた場所によっては臭うこともありますので、可能であれば、購入する際にどこで獲れたかを確認すると良いでしょう。多少臭いがある場合は、日本酒などで軽く洗い、カルパッチョやマリネのように薬味とドレッシングを使えば、ある程度はカバー出来ます。
冬場には脂がのると言ってもかなり控えめですので、焼物にする場合は、ムニエルやソテーなどのように油分を加えた方が良いでしょう。
煮付けにする場合は、少し濃いめの甘辛い味付けが良いでしょう。
ヘダイ
クロダイに似ていますが、全体的に白っぽい色をしていますので、シロチヌとかギンダイとか呼ぶところもあります。旬の時期のヘダイはマダイと比べても遜色なく非常に美味しいのですが、まとまった水揚げがあまりないため、ほとんどが産地で消費され、消費地に出回ることはまずありません。知名度が低いため、もっぱら安価で流通しています。
水産統計もないので、はっきりしたことは言えませんが、主に西日本での水揚げが確認されます。
ヘダイの産卵期は晩春から初夏なので、晩秋から春先のものが最も良いとされています。
ヘダイのおすすめの食べ方
風味はマダイに似ていますので、マダイと同じ料理は全て可能です。
特に旬のものは脂ののりが非常に良いので、お刺身はもちろん、焼物や煮付けなどにしても美味しく頂くことが出来ます。
ニギス
一見するとキスの仲間のようですが、ニギス科の別種です。ニギスは漢字で似鱚と書くように、キスに似ていることからる名付けられたとされています。他にも様々な呼び名がありますが、沖ギス、沖イワシ、沖ウルメなど、いずれも何かに似ていることから名付けられたものばかりです。
ニギスは海底に棲息しているため、底曳網漁での水揚げが基本となりますので、底曳網漁が盛んな日本海側の石川県、新潟県、島根県などでの水揚げが多く、特に島根県沖は日本有数の好漁場として知られています。
ニギスは1年を通して水揚げがあり、季節による身質の違いもさほどありませんが、食欲が旺盛になり、脂がのるのは5月頃と9月頃と言われています。産卵期は3~4月と、9~11月の年2回で、この前後は比較的水揚げが多くります。
あまりメジャーなお魚ではありませんが、旬の時期には美味しい上に安いので、財布に優しいお魚と言えるでしょう。
ニギスのおすすめの食べ方
ニギスは水分が非常に多いため、鮮度落ちが著しく早く、水揚げされるとすぐに干物などに加工されることが多いので、鮮魚で出回るのは産地でもごくわずかです。鮮度が良ければお刺身も可能と言われていますが、これは産地でもかなり難しいです。
基本的に焼物、煮物、揚物などに向けられますが、前述したように水分が非常に多いので、調理前に適度に水分を抜く下処理が必要となります。また、調理中も丁寧に扱わないと、すぐに身崩れしてしまいます。干物を使うと身崩れしにくくくなりますので便利ですが、塩味が強いので、配慮した味付けが必要です。
マハゼ
ハゼ科のお魚は世界中で2000種を超えるとも言われており、実に多種多様な種族です。その中でも「真」が付くマハゼは代表的なお魚です。
昔は日本全国に普通に見られ、ら食用魚として親しまれてきました。江戸前の天ぷら種には欠かせないものともされていますが、今では獲れるところも数も減り、なかなかお目にかかれなくなっています。また、環境の影響を受けやすいお魚であるため、獲れる場所によっては食用に適さないことすらあります。
現在の主な産地は、松島湾、東京湾、浜名湖、伊勢湾などです。
1年中水揚げがありますが、春から初夏にかけては産卵期で身が薄くなるため、秋から冬が最も美味しいとされています。
マハゼのおすすめの食べ方
鮮度が良いものであれば、もちろんお刺身にも出来ますが、このお魚はなんと言ってもまずは天ぷらです。クセのない上品な白身で、揚げたてはホクホクした食感が楽しめます。
また、小さなものは、古くから佃煮や甘露煮にして楽しまれています。
アラ
アラはハタ科の中で1属1種で、大きくなると1mを超えることもあります。味の評価はとても高く、大きなものは超高値で取引されることもある高級魚です。
九州ではアラと言うとクエを主に指し、加えて九州の一部地域ではアラのことをタラと呼んだりするため、九州では名前だけでなく、実物を見て確認しないとややこしいことになりそうです。
アラの成魚は長崎県や鹿児島県に比較的多く見られ、小さなものは山口県や福井県など日本海側で見られます。小さなものは時にまとまって水揚げされることもあり、その場合は比較的安価で流通することもあります。ただし、いずれの場合も産地でほとんど消費されてしまうため、消費地でお目にかかる機会はほとんどなさそうです。
美味しい旬の時期は脂がのる秋から冬にかけてです。
アラのおすすめの食べ方
大きなものは高値で取引されることが前提ですので、活物か活〆の流通が基本です。このため、すぐに調理すると鮮度が良すぎて身が反り返ったりしますので、どのような料理をするにしても、少なくとも1~2日寝かせた方が良いでしょう。
旨味がとても強いお魚ですので、大きなものはまずはお刺身がお勧めです。加熱調理する際は、味付けは控えめにするくらいで十分です。
小さなものであっても、鮮度が良ければ大きなものと同様の調理で良いでしょう。
キジハタ
キジハタは、非常に味がよく、水揚げも少ないため、特に活物など鮮度の良いものは高級魚として流通することが多く、産地でもなければ一般の食卓に並ぶことはまずありません。
主に福井県あたりから九州にかけての日本海沿岸や瀬戸内海で水揚げが見られますが、前述した通り、その量はわずかです。
美味しい時期は秋から冬の寒い時期とされていますが、少ないながらも1年中水揚げがあり、また身質が大きく変化することもありません。しかし、夏の産卵期だけしてどうしても身が痩せてしまうため、この時期のものと、産卵明け早々のものは避けた方が無難かも知れません。ただし、産卵明けは食性が戻るため、水揚げが増える傾向にあるため、少ないながらも見かける機会が増えます。
キジハタのおすすめの食べ方
キジハタは、クセや臭みがなく、引き締まった肉質が特徴です。活物は身が反り返ることもあるので、1~2日寝かせてから調理した方が良いでしょう。また、小さな鱗がビッシリと付いており、取り除き損ねると食味が悪くなりますので、丁寧に取り除くことが必要です。
旨味が強いお魚ですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。また、皮下の脂やアラからも良い出汁が出ますので、骨と内臓以外は余すことなく食べることが出来ます。
クエ
クエはハタの仲間の大型魚で、1mを優に超えるものもいます。九州ではアラとも呼ばれ、主に冬場の鍋料理ではとても人気が高く、特に大きなものはかなりの高値で取引されています。
和歌山県や五島列島などでは養殖もされていますが、その量もわずかで、養殖物であって高価です。
主な産地は、鹿児島県、長崎県、高知県など主に西日本です。水揚げはがほとんどなきに等しい状態で、あったとしてもほとんどが高級料亭直行のため、なかなか口にすることは出来ません。
クエは鍋料理で知られていることから、冬に美味しい魚というイメージが強いのですが、身質は1年を通して大きく変わることはありません。ただし、数が少ないこともあるため、資源保護の観点で春から夏の産卵期は避けた方が良いでしょう。
クエのおすすめの食べ方
クエは活物か活〆の流通が基本のお魚です。このため、すぐに調理すると鮮度が良すぎて身が反り返ったりしますので、どのような料理をするにしても、少なくとも1~2日寝かせた方が良いでしょう。また、1尾丸ごと購入するのは無理な話なので、購入される場合は専門店で柵にしたものを分けてもらうと良いでしょう。
鍋料理はもちろんのこと、お刺身や煮物、焼物、揚物など、どのような料理にも合わせることが出来る万能魚です。
また、は捨てるところが無いお魚と言われており、アラはもちろん、調理法によっては鱗、胃袋、肝も美味しく食べられます。
鱗はサクサクになるまで揚げると、香ばしくなり、美味しく頂くことが出来ます。
スジアラ
沖縄県ではアカジンミーバイと呼ばれ、ハマダイ(アカマチ)やシロクラベラ(マクブー)とともに沖縄三大高級魚として知られています。本州では水揚げがほとんどないため、馴染みはありませんが、入荷した時には、沖縄県同様に高値で取引されているようです。
主な産地は沖縄県、鹿児島県の島しょ部です。沖縄県では養殖も始まっており、2016年には完全養殖にも成功していますが、まだその量はわずかです。
スジアラは暖海系のお魚のため、ほぼ1年中水揚げがあり、身質の変化もそうありませんが、夏から秋にかけては産卵期に当たるため、身が痩せていることが多いらしいです。決して安くないお魚ですので、この時期だけは避けておいた方が無難でしょう。
スジアラのおすすめの食べ方
鮮度が良過ぎると、身が反り返ったり、加熱した際の身離れが悪かったりしますので、サイズにもよりますが、どのような調理をするにしても少なくとも2~3日は寝かせた方が良いでしょう。
非常に上品な白身ですので、お刺身にした場合には、少し物足りなさを感じる可能性もあります。その時は、カルパッチョやマリネなどのように少し味を加えた方が良いでしょう。
加熱調理も同様で、油を加えたり、少し濃い目の味付けをした方が美味しく感じられることもあります。
ハタハタ
ハタハタは、秋田の伝統調味料である塩汁(しょっつる)の原料としても有名です。漢字では「鰰」と書きますが、これは雷やいかずちを意味する霹靂神(はたたがみ)に由来しているとされています。漁期であり、産卵期である11~12月は雪の前に雷が鳴ることが多く、その時期に沿岸に押し寄せてきたものを獲ることから、名付けられたと言われています。
ハタハタと言う呼び名は、主に秋田県など北日本の呼び方で、兵庫県から島根県など山陰地方ではシロハタとかシラハタと呼ぶこともあります。
美味しいとされる旬の時期は産地で異なり、秋田県周辺は11〜1月、山陰地方は3〜5月となります。秋田県のハタハタは産卵のためメスは抱卵しており、卵をブリコと呼び珍重します。山陰地方のものは産卵期とは逆になるため身が充実しています。このため、卵を楽しむの冬の秋田県周辺のもの、身を楽しむのであれば春から初夏の山陰のものを選ぶと良いでしょう。
ハタハタのおすすめの食べ方
冬場はブリコが楽しめる季節ですので、秋田県や北海道のもので、腹が大きく膨らんでいるものを選びましょう。
淡白でよく締まった身は鱗が無いので、ヌメリを洗い落としたらそのまますぐに調理出来ます。しょっつる鍋や味噌煮などの郷土料理として親しまれている他、熟れ寿司などにも調理されます。
ハマダイ
ハマダイは暖かい海の深海魚で、伊豆諸島、小笠原諸島、沖縄県、鹿児島などで水揚げがありますが、その量は少なく、高級魚の部類に入ります。
水揚げが多いのは産卵期と重なる6月から8月にかけてと、11月頃の秋ですが、夏の魚として扱われていることが多いようです。5月から8月には発達した卵巣が見られるため、身質が充実するのは晩秋からから春にかけてのようです。
ハマダイのおすすめの食べ方
ハマダイはクセや臭みがなく、旨みの強い白身の魚で、血合いは少なく色も赤く綺麗です。また、皮が赤く綺麗で、皮と身の間に旨味が多いので、お刺身にする場合は湯霜造りが良いでしょう。
身は加熱しても硬くなりにくいので、揚物、煮物、焼物など何でも向きます。また、アラからはとても美味しい出汁が出るの、スープなどに使いましょう。
シロサバフグ
フグと言うと高級魚のイメージがありますが、シロサバフグはとても安価で、スーパーなどにもよく並びます。昔は毒のないフグとして流通しており、肝も食べられていたと言われていますが、毒を持つ近縁種の存在や、海域によっては毒を持つことなどが確認されたため、現在では法律によって無毒な筋肉と皮、精巣のみが食用として認められています。
シロサバフグは、フグの中では最も多く流通していると言っても良いくらいで、ほぼ1年中水揚げがあります。産卵期は初夏ですので、身が充実するのは秋から春先までとなりますが、産卵期であっても多少身が痩せるくらいで身質に大きな変化はなさそうです。
統計資料がないので、はっきりしたことはわかりませんが、福岡県、長崎県など東シナ海で比較的水揚げがあるようです。ただし、加工品として流通しているものの多くは中国や台湾で水揚げされたものです。
シロサバフグのおすすめの食べ方
食用のフグの中では小型で、身に水分が多いため、いくら鮮度が良くても、そのままではお刺身には不向きです。お刺身にする場合は、塩や昆布などで水分を抜く下処理が必要です。また、フグ全般に言えることですが、数日寝かせた方が旨味が増すとされています。
逆に水分が多いための利点もあります。加熱しても身が硬くなりにくいため、鍋、揚物などには適しています。ただし、焼物にする場合は、水分を幾らか抜いた方が身離れも良くなり、旨味も増すようです。
※フグは猛毒のテトロドトキシンを持っているため、調理は必ず免許を持っているプロにお願いしましょう。
ニゴロブナ
ニゴロブナは琵琶湖の固有種で、滋賀県のプライドフィッシュになっており、特に鮒寿司の原料として琵琶湖周辺では古くから親しまれています。
鮒寿司にはゲンゴロウブナが使われることもありますが、ニゴロブナの方が骨が軟らかく味が良いとされています。
琵琶湖での水揚げ量は、昭和40年ごろには500トン程度であったとされていますが、平成元年には178トン、平成9年には18トンにまで低下しました。これは外来魚の影響や産卵繁殖の場であるヨシ帯などが減少したこと、また瀬田川洗堰の操作により、産卵期に琵琶湖水位が急激に低下し、稚魚の棲むヨシ帯が干上がってしまうことなどが原因と指摘されています。このことから、今では高級魚となってしまいました。
身だけを考えるとコイやタノフナと同様に晩秋から冬が旬となりますが、鮒寿司用としての需要が極めて高く、春から夏に集中的に水揚げがあるようです。
ニゴロブナのおすすめの食べ方
基本的には他のフナと同じように料理されるはずなのですが、ニゴロブナに至ってはとにかく鮒寿司しかないくらいの紹介しかありません。
カンパチ
カンパチは、お刺身向けの魚として流通することが多いため、基本的に高級魚として取引されています。アジ科の中ではヒラマサに次いで大きくなり、大きなものは2m近くになります。近縁種にヒレナガカンパチがいますが、こちらは大きくても1ⅿ程度です。
ブリと同じく成長とともに呼び名が変わる出世魚と言われてはいますが、呼び名は地方やその時々で異なりますので、正直なところはっきりしていません。関東周辺では、30cm位までをショッコ、60cm位までをシオゴ、80cm位までをアカハナ、それ以上をカンパチと呼びますが、全国的にはどのサイズもカンパチで流通しているようです。
産地としては、天然物だと長崎県、鹿児島県、高知県、福岡県などです。養殖も盛んに行われており、産地としては鹿児島県が全体の半分程度と抜きんでており、その他は愛媛県、宮崎県などです。
美味しい旬は夏から秋と言われていますが、この時期は産卵期から産卵期明けとなりますので、正直なところ良い時期とはは言いにくいのですが、水揚げが増えること、時期に暖海性のお魚のため、ブリとは違い身質に大きな変化がないこと、冬のブリと夏のヒラマサの合間を埋めるような使い方を良くされることなどから、この時期を旬としているのではないかと推察されます。
カンパチのおすすめの食べ方
お刺身向けとして丁寧な扱いを受けることが多いお魚ですので、まずはお刺身をに勧めざるを得ません。
脂ののりは、寒ブリほどではないものの、適度に程良くと言う感じですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。
養殖を召し上がる場合が、寒ブリに負けないくらい脂がのっているので、逆に少し脂を落とす意味でも、焼物や煮物などにした方が良いかも知れません。
ブリ
ブリは同じブリ属のヒラマサやカンパチと共にブリ御三家と呼ばれています。冬に佐渡島辺りから能登半島辺りで獲れる脂がのった大物の「寒ブリ」は高級魚として扱われますが、夏などに獲れる小さいものは非常に安い総菜魚として扱われるなど、ヒラマサやカンパチとは異なり、時期やサイズで評価が分かれます。また、出世魚としては良く知られていますが、他の出世魚同様に地方で呼び名が変わったり、正確な基準がないことなどから、困惑する場合もあります。代表的な呼び名は40cmくらいまでをツバス・ヤズ、60cmくらいまでをハマチ、80cmくらいまでをメジロ・ワラサ、それ以上をブリと呼びますが、以前からの慣習で活締めの養殖物をどの大きさであってもハマチと呼んだり、養殖物の野締めは全てブリと呼んだりしており、非常に煩わしくなっています。
11月になると各地でいわゆるブリサイズの水揚げが増えてきます。有名な富山県氷見市のブリもこの頃から水揚げが始まります。
ブリのおすすめの食べ方
ツバス・ヤズでも脂がのってくる頃ですので、鮮度が良いものはお刺身がお勧めです。また、脂がのることにより、加熱しても身が硬くなりにくくなりますので、脂はまだ少ないながらも焼物、煮物などにも合わせることが出来ます。
もちろん、北海道産の良いものが手に入れば、一般的なブリ料理を全て楽しむことが出来ます。
※寒い時期の天然ブリにはアキサキスが寄生していることもありますので、お刺身にする場合は必ずチェックして下さい。心配な場合は必ず加熱調理して下さい。
カナガシラ
カナガシラはホウボウの仲間で、外見だけでなく、身質もホウボウと良く似ています。ただし、ホウボウと比べて一回り小さいことや、水揚げもそう多くないため、出回りはほとんどなく、産地で消費されるに留まっています。頭部の骨はかなり硬く、名前であるカナガシラ(金頭)の由来になっています。
海底に生息しているため、冬に底曳網漁が盛んになる日本海側で見かけることが出来ます。漁期が春の産卵期の丁度前ですので、身質が良い時期と重なります。
カナガシラのおすすめの食べ方
上品な白身で、甘みが強いので、鮮度が良いものが手に入れば、まずはお刺身がお勧めです、ただし、頭が大きくほっそりした体形で、大きくても30cm程度ですので、歩留まりは決して良くありません。
ただし、アラからはとても良い出汁が出ますので、小さなものであれば、丸ごと煮物にすることで、余す事無く食べることが出来ます。
ホウボウ
ホウボウは、胸びれに3本の脚のような柔らかい軟条が発達しており、これを使って海底を歩くように砂の中の獲物を方々に探し回るそうで、これが名前の由来とも言われています。また、胸ビレは非常に艶やかで、非常に大きなことも特徴のひとつで、海底で泳ぐ様は蝶々の様にも見えます。
産卵期は地域によりずれがありますが、おおむね4~6月にかけてのようですので、身が最も充実するのは冬とされており、日本海側で底曳網漁のシーズンと重なります。
水揚げ自体は1年中ありますが、頭が大きくスマートで、只でさえ歩留まりが悪いお魚ですので、産卵期及び産卵明けの身が痩せたものは避けた方が無難でしょう。
ホウボウのおすすめの食べ方
甘味が強い上に上品な白身が特徴ですので、大きくて、鮮度が良いものが手に入ればまずはお刺身がお勧めです。
また、アラなどからはとても良い出汁が出ますので、丸ごと煮付けにしても良いですし、他の旬の食材とともにアクアパッツアやブイヤベースにすると一層旨味が増します。
ボラ
ボラは世界中の熱帯から温帯の沿岸で見られるお魚で、様々な国で重要な食用魚とされていますが、日本では、獲れた海域によっては身に臭みがあるため、正直人気はありません。ただし、卵巣を加工したカラスミは日本三大珍味のひとつとして珍重されています。
ボラ大きさによって名前が変わる出世魚のひとつで、3cm位のものをハク・キララゴ、10cm位のものをオボコ、20cm位のものをスバシリ、30cm位のものをイナ、30cm以上をボラ、さらに大きなものをトドと呼びます。「トドのつまり」という言葉はこの最終的なボラの名称に由来し、「結局」「あげくの果て」「行き着いた先」「最終的に」などを意味します。他にもボラにあやかった言葉は多く、昔から馴染みのあるお魚なのですが、いざ食べるとなると前述したように敬遠されることが多いです。
水揚げは全国で見られますが、特にここと言った産地はなく、大きな河川があるところではおおむね見られます。強いて言うと長崎県はカラスミの産地として有名です。
ボラは、産卵期に当たる晩秋から冬にかけて脂がのり美味しい旬とされており、この時期のものは寒ボラとも呼ばれます。ただし、外洋で獲れたものでないと臭みが残りますので、注意が必要です。
ボラのおすすめの食べ方
ボラを調理する際に気を付けて頂きたいのは臭いです。出来れば、購入される際に獲れた海域が確認して下さい。難しければ、調理する際に、少しだけ身を切落して、加熱してから食べてチェックしてみて下さい。臭みさえなければ、この時期のものは、ほんのりと脂ものっていて美味しいので、お刺身でも十分いけます。少し旨味が足りないと感じられる場合は、カルパッチョやマリネにすると良いでしょう。
とは言え、冬はマサバやブリのように、脂をしっかり持ったお魚が多い時期ですので、物足りなさを感じるかも知れません。そういう時は、揚物のように油を使った料理にしたり、焼物や煮物にする場合は、濃い目の味付けなどにすると良いでしょう。
ビンナガ
ビンナガと言うより流通名明のビンチョウと言った方が馴染みがあるでしょう。脂がのったハラスの部分は回転寿司などで「ビントロ」としても販売されています。長い胸鰭が大きな特徴で、上から見るとトンボのように見えることから、トンボマグロとも呼ばれています。
マグロの中では小型の部類で、大きくても1.5ⅿ程度にしかなりませんが、最も安価で、小さなものはカツオとともにシーチキンの原料になります。
遠洋漁業も行われていますし、近海でも1年中漁が行われているので、旬の時期と言われてもピンとこない場合が多いのですが、ビンナガも脂がのるのは冬で、この時期が一番美味しいとされています。
ビンナガのおすすめの食べ方
他のマグロと比べると、身はほんのりピンク色程度で、脂がのると白っぽくなり、身割れしやすくなりますので、マグロと言うよりサワラに近いような身質ですので、取り扱いには十分注意して下さい。また、他のマグロ同様、釣りたては旨味にかけるので、出来れば2日から3日寝かせた方が良いようです。
小型の物や、尻尾、腹回りは硬い筋が多いので、あまりお刺身には向きません。お刺身にする場合は、筋が少ない部位を選ぶか、筋を取るなどの処理が必要です。
マグロの宿命か、加熱するとどうしてもパサついてしまうので、加熱する場合はオイル煮や揚物など油を足す料理がおすすめです。
メバチ
目が鉢のように大きいことからメバチと名付けられたと言われていますが、一般にはバチマグロとして流通しています。
メバチは世界中の温帯から熱帯地域に広く棲息しており、1年中どこかで水揚げがあります。スーパーなどにもよく並んでいるため、旬を感じにくいお魚のひとつですが、日本近海で獲れるものは、晩秋から冬に最も脂がのり美味しいとされています。
統計資料には、生鮮だけでなく、遠洋漁業の冷凍も含まれているため、はっきりしたことはわかりませんが、主な産地は、高知県、静岡県、宮城県、鹿児島県などとされています。
生鮮のメバチは滅多にお目にかかれるものではありませんので、特にこの時期に見かけたら、お目合いあがり頂きたいお魚です。
メバチのおすすめの食べ方
メバチは赤身が強く、あっさりした味わいが特徴ですが、この時期のものは脂がのっていることが多いので、まずはお刺身で頂きたいものです。
また、同様にハラスやカマにも、脂がしっかりのる時期ですので、煮物や焼物に最適です。
メジナ(総称)
メジナは、関西ではグレと呼ばれ、磯釣りの対象魚としては人気がとても高く、釣人の間では味の良いお魚とされているのですが、何故か料理素材としては人気がなく、市場価格はかなり低いです。
近縁種にクロメジナとオキナメジナがいますが、市場価値が低いこともあってか、区別されずに流通していることも多いようですので、ここでは3種まとめてメジナとして紹介します。
小さなものは堤防付近でも見られますが、磯周辺が漁場となるため、漁自体が困難でまとまった水揚げがありません。これも市場価値が低い原因かも知れません。
産地と言うより、釣場として有名なので、伊豆半島、紀伊半島、山陰沿岸、九州沿岸などです。
雑食性のため、食べたものの影響が身に出やすくなります。夏は磯周りの生物を食べるためか磯臭いとされて評価が低く、冬場は海藻が主体となるため臭みがなくなると言われていますが、釣餌としてオキアミなどが多用されているため、有名な釣場のものは、磯臭いものが少なく、1年中安定しているように感じます。
美味しい時期は産卵前の冬で、最も脂がのるとされていますが、これも釣餌の影響からか、1年中脂がのっている個体も存在するようです。ただし寒い時期のもので、しっかり処理されたものは身の締りがとても良く、美味しいです。
メジナのおすすめの食べ方
自分で釣るか、知り合いにメジナ釣りが好きな人でもいない限り、高鮮度のメジナを手に入れるのは難しいですが、寒い時期のメジナは身の締りも良く、脂もしっかりのっていますので、特にお刺身と煮物は絶品です。ただ、小さなものは旨味に欠ける場合がありますので、そのような時は、マリネやカルパッチョなどにすると良いでしょう。
さらに小さなものは、唐揚げやあんかけにすると美味しく頂けますが、骨や頭はとても硬いので、あらかじめ外しておいた方が良いでしょう。
クロメバル
かつて、クロメバル、シロメバル、アカメバルの3種は同一種のメバルとされていましたが、2008年にそれぞれ別種として分類されました。3種ともに同じような体形をしていますが、名前に付いた色で見分けることが出来ます。
クロメバルは、本州、九州、四国の沿岸各地で水揚げがありますが、特に多いのは瀬戸内海沿岸です。
メバルは卵胎生のお魚で、初冬に交尾し、12~2月に稚魚を出産します。美味しい旬は交尾前の秋とされていますが、この時期は残念ながら水揚げが期待出来ません。
メバルを春告魚と呼ぶ地域もありますが、これは出産のために浅瀬に寄って来る物を指しており、美味しい時期を指しているものではありません。
秋から冬は抱卵または、稚魚を抱えているものが多いのですが、栄養を補うため食性が活発となり、それなりに身はふっくらしています。水揚げが多いことも考慮して、旬と言えるのは秋から冬ではないでしょうか?
クロメバルのおすすめの食べ方
メバル料理で外してはならないのは煮付けです。非常にオーソドックスな料理ですが、独特の旨味に加え、身離れが非常に良いため、煮付け用のお魚としては超一級品です。
鮮度が良ければお刺身もお勧めですが、大きくても20cm程度と小さいお魚で、かつ頭が大きいので可食部分が非常に少なくなるのが難点です。ただし、しっとりして甘味のある白身は、とても上品で美味しいです。
唐揚げにする場合は、カマやヒレなどにかなり鋭利な箇所がありますので、取り除いておいた方が良いでしょう。
シマゾイ
ソイの仲間はよく似ているものがおおいため、区別されずに流通することも多いのですが、シマゾイは他体の色彩が特徴的で判別しやすいため、他のソイとは区別されて流通しています。
主な産地は北海道で、ソイの中でも安い部類に入ります。この手のお魚は産地でほとんど消費されてしまうのが常なのですが。関東や関西の市場に並ぶことも多く、同様に安価で流通しています。産地から遠く離れた消費地市場で流通する場合は、広く知られているか、高級魚の場合が多いのですが、シマゾイはどちらにも当てはまりません。恐らくですが、沢山獲れて地元での消費が難しい場合に、他のソイと一緒に送り付けているのだろうと推察されます。
統計など詳しい情報はありませんが、北海道では秋から冬にまとまった水揚げがあるとされています。
シマゾイのおすすめの食べ方
お刺身にする場合は、鮮度が良いものが条件ですが、安価での流通が前提ですので、産地であってもかなり難しいでしょう。どうしてもとなると自分で釣るか、釣りが好きな人に頼むくらいしか手がないでしょう。
メバルの仲間ですので、おすすめ料理としては煮付けが鉄板です。アラからは良い出汁が出るので、味噌汁などにすると良いでしょう。小さなもの1尾丸ごと使える料理が適当ですので、唐揚げや、アクアパッツァなどが良いでしょう。
アマエビ(総称)
ここでは国産のアマエビを紹介しますが、アマエビと言う呼び名は流通名で、標準和名はホッコクアカエビ、もしくホンホッコクアカエビです。前者はロシアから日本の日本海側で獲れます。後者は北欧や北米など北大西洋で獲れ、スーパーや回転寿司などでよく見られるのはこちらです。この2種は本当にそっくりで、ぱっと見で区別するのは難しく、産地で判断するくらいしか出来ません。
国産のアマエビはは1年中水揚げがありますので、お目にかかる機会が多そうな気はしますが、輸入品と比べてかなり高いこと、冷凍や加工品での流通がほとんどないこと、鮮度落ちが早いことなどから、産地や料理専門店でもない限りお店に並ぶことはまずありません。したがって、食べたい場合は料理専門店に問い合わせして入荷がある場合に予約するか、水揚げが多い時期に産地に行くくらいしか手がありません。
美味しい旬の時期についても悩ましいくらい複数の説があります。晩秋から冬にかけての海水温度が下がる時期が良いと言う説、北陸地方では休漁明け9月上旬から10月と言う説、北海道では水揚げピークの5月などと言う説などがありますが、いずれも明確な根拠はありません。ひとつ言えることは、抱卵しているものは間違いなく身が痩せていると言うこと、産卵後はさらに身が痩せると言うことです。ただし、卵は食べることがありますので、産卵明けの6~8月だけは避けた方が無難と言うことになりそうですので、ここでは産卵明けの夏以外を旬として紹介します。
アマエビ(総称)のおすすめの食べ方
アマエビは基本生食用ですので、鮮度が命です。鮮度が良ければ、頭を抜いたときに背ワタも一緒に獲れますし、芳醇なミソも一緒に味わうことが出来ます。抱卵したものであれば、卵のプチプチ食感も一緒に楽しむことが出来ます。ただし、適正に管理することが出来れば、1日程度置いた方が、獲れたてより甘味が増巣と言われています。
お刺身には少し厳しい場合は、殻付きのまま調理すると良いでしょう。お勧めは塩茹で、唐揚げ、炒め物、汁物などです。ただし、頭の先のトゲは口に刺さることがありますので、取り除いておいた方が良いでしょう。
トゲザコエビ
トゲザコエビは、産地ではガスエビ、ドロエビ、モサエビなどと呼ばれています。見た目は決して良いとは言えませんが、鮮度の良いものは生食用として非常に評価が高く、アマエビよりも甘いとさえ言われています。産卵期は1~3月のようですが、初夏にも抱卵が確認されるなど抱卵期が長いため、子持ちのものが多く見られます。
生息域に関しては未解明な部分が多いのですが、主に山陰以北の日本海からオホーツク海で見られ、主な産地として知られているのは、島根県以東の山陰地方、北陸地方、新潟県や秋田県などです。
主に底曳網漁で獲られるので、日本海側各地で底曳網が禁漁期となる夏以外が漁期となりますが、産地では冬場にズワイガニ漁が始まりますので、水揚げが増えるのはズワイガニ漁が終わった春から初夏にかけてです。春から夏は卵と一緒に、晩秋から冬は身だけを楽しむことが出来る時期となります。
水揚げも少なく、産地での評価が高いため、産地でほぼ全て消費されてしまいますので、消費地への出回りはまずありません。旅先などで見かけた際にはぜひお召し上がり頂きたいもののひとつです。
トゲザコエビのおすすめの食べ方
底曳網で獲られるため、砂や泥を噛んでいることがありますので、調理前にしっかり洗っておきましょう。
お刺身にする場合は、活きているくらい鮮度が良いものが適しています。死んでから時間が経つと殻が白濁したり、黒ずんできたりしますので、目安にして下さい。
お刺身に厳しそうなものは、塩茹で、塩焼きが、小さなものは、唐揚げ、炒め物がお勧めです。ただし、唐揚げや炒め物にする場合は、頭の殻やトゲが口に当たることがありますので、頭ごと取り除いておいた方が良いでしょう。頭は焼いてから、汁物などの出汁を取るのに使っても良いです。
トヤマエビ
トヤマエビは、一般にボタンエビとして市場に流通しています。これは、ボタンエビの水揚げが減少したため、良く似ているトヤマエビを代用品として流通させている内に、流通名として定着してしまったことによるものです。ちなみにトヤマエビの名前の由来は、富山湾で研究用として最初に採捕されたことによるもので、富山県周辺に多く生息していると言う意味ではありません。実際のところ、富山県の水揚げはわずかで、大半は北海道となっています。
産卵期は早いところで4月頃から始まりますが、期間が非常に長く、一旦抱卵すると産卵まで10ヶ月程度かかりますので、正確な旬の時期についての把握は困難です。ただし、卵も味わいのひとつですので、産卵明けで身が痩せた物を除けば、いつでも美味しい時期と言って良いでしょう。北陸などではズワイガニ漁が出来ない時期に漁をしたりするので、金沢周辺では3月下旬から夏にかけて水揚げの最盛期を迎えます。
トヤマエビのおすすめの食べ方
ボタンエビの代用品とはいえ、水揚げは決して多くなく、食味の良さから高級品として取引されていますので、料亭や寿司店以外でお目にかかることはまずありません。
鮮度の悪いものが流通することはまずありませんので、まずはお刺身がお勧めになります。
頭は加熱することでミソまで美味しく頂くことが出来ますが、ボイルすると風味が失せてしまうので、加熱する場合は、焼くか、電子レンジが良いとされています。
イセエビ
イセエビと言う名前はミナミイセエビ属の総称として使われていることが多く、標準和名のイセエビのみを指すと言うことはまずありませんが、ここでは本家本元のイセエビを紹介すます。
イセエビは、その長いヒゲと曲がった腰から老人に見立てられ、長寿にあやかると言う意味を込めて、結婚式の披露宴や正月など祝い事には欠かせない食材です。主な産地は三重県、千葉県、和歌山県、静岡県ですが、三重県、千葉県、和歌山県でほぼ全国の半分を占めています。また三重県では県の魚に指定しています。
漁期は資源保護のため、各地で産卵時期の初夏から夏の間禁漁とされており、それ以外の時期が旬となります。地域で若干異なりますが、主なところでは、三重県で10月1日から4月末日、千葉県で8月1日から5月末日、和歌山県で9月15日から4月末日、南伊豆で9月16日から4月末日、宮崎県で9月1日から4月15日、徳島県で9月16日から徳島5月14日などとなっています。
産卵期は夏なので、8~9月頃はまだ身質が改善されていない場合もあるかも知れませんので、実際の食べ頃は10月くらいから内子が入りだす3月前までではないでしょうか。
イセエビのおすすめの食べ方
イセエビは、どんな料理をするにしても、とにかく元気よく生きていることが肝心です。ただし、長い間生簀にいると身が痩せてしまいますので、獲れたてもののがベストです。死んだ者は、活〆でもない限り味わいが悪くなることが多いので、とにかく注意して下さい。いつ死んだかわからないものならば、鮮度の良いうちに冷凍したものの方が随分マシです。
イセエビと言うとまずはお刺身を思い浮かべる方も多いでしょうが、とにかく歯応えと旨味が強いので、焼物や揚物などにしても美味しく頂くことが出来ます。ただし、尻尾の可食部位はとても少ないので、頭や殻も有効利用しなければなりません。半分に割って、炉端焼き風にすれば、ミソと身を一緒に味わうことも出来ますし、ソースを塗ってテルミドールに仕上げても良いでしょう。殻や脚は殻はとても良い出汁が出ますので、汁物には最適ですし、大きなものであれば脚の身をカニのように食べることも出来ます。
サクラエビ
サクラエビは大きくなっても4~5cm程度の小さく、透明感のある桜色のエビです。名前は聞いたことがある方が多いと思いますが、大半が乾物での流通となっていますので、生鮮にお目にかかる機会は、産地でもない限りかなり難しいでしょう。
国内でサクラエビの漁業許可が与えられているのは、駿河湾に面した静岡県清水区の由比(ゆい)港、蒲原(かんばら)港、焼津市の大井川港のみです。したがって、日本産の桜エビは全て駿河湾で捕れたものとなります。海外では台湾近海で桜エビが捕れており、乾物などに加工されて輸入されています。
また、資源保護の観点から漁期も春と秋の2回と定められており、春は3月下旬~6月上旬、秋漁は10月下旬から12月下旬となっています。
網で捕まえたサクラエビは、体を傷付けないように専用のホースで吸い取られて箱に詰め、港へ着いたら、鮮度が落ちない内に、冷凍や乾燥などへ加工がされてます。サクラエビは鮮度が落ちやすいため、生の桜エビを食べられるのは、漁期の間の駿河湾近郊だけとなります。
また、サクラエビの天日干しをする富士川の河川敷は、真っ赤な絨毯を敷き詰めたような風景になりますので、機会があれば一度は見ておきたいものです。
サクラエビのおすすめの食べ方
干しえびとして流通することが多いので、和え物やふりかけ的な要素が高いのですが、生鮮での入手が出来たらぜひ試していただきたいのが生食です。
殻は柔らかいので、そのまま食べることができ、サクサクした歯ごたえと、ふんわりした甘味を味わえます。生食は特に秋のものが殻が柔らかくて良いと言われています。
また、忘れてはならないのがかき揚げです。元々香りのよいエビですので、加熱することにより一層風味が増します。こちらは味が比較的しっかりしている春のものの方が適していると言われています。
その他は、釜揚げ、炊き込みご飯などがお勧めでです。
ウチワエビ
ウチワエビは、全体に押し潰されたように平たく、団扇のような姿をしているから名付けられました。地方によっては、やはり見た目からタビとかセッタと呼ぶところもあります。画像を見ると大きそうに見えますが、実際には15~20cm程で、可食部分は非常に少ないです。しかし、味の評価は高く、イセエビより美味しいと言う人もいます。
島根県から九州の西日本で水揚げが確認出来ますが、水揚げ自体はほんとに少ないので、ほぼ産地で消費されてしまい、余程のことがない限り消費地に出回ることはありません。昔は漁もそこそこあり安く流通していたので、気軽に楽しむことが出来ましたが、味の良さが知られてしまったため、特に大都市の市場ではかなり高値で取引されるため、産地であっても、中々口にすることが出来なくなっています。
美味しい旬の時期については、諸説ありますが、産卵期が秋頃なので、冬から夏までが最も身質が良いと仮定されます。ただし、産地によってはこれに関係なく漁期を定めているところもあり、ちなみに長崎県の五島列島では10月1日~11月末の産卵期にかかる頃を漁期と定められています。したがって、身だけを純粋に楽しむなら冬から夏、卵を一緒に楽しむなら秋と、1年中楽しむことが出来ることになりそうです。
ウチワエビのおすすめの食べ方
死んでしまうと、臭みが出る上に、身が痩せてしまうので、とにかく生きているものが前提です。しかし、生簀で数日生かしたものは身が痩せている場合があります。
見ての通り、頭が大きく、体が小さいので、歩留まりは無茶苦茶悪いですが、まずはお刺身がお勧めです。イセエビに負けない芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
もちろん、塩茹で、焼物などシンプルに味わって頂いても結構ですし、変わり種では天ぷらもお勧めです。もちろん、殻からは美味しい出汁が獲れますので、汁物もお勧めです。
ゾウリエビ
ゾウリエビは、見た目が草履(ぞうり)にそっくりなところから名付けられています。ちなみに英名もslipper lobster(スリッパー・ロブスター)とスリッパにそっくりなところから来ています。
ウチワエビと比べると、体にやや厚みがあるものの、大きさは15~20cmとほぼ同じです。ただし、殻は極めて厚く硬く、歩留まりは非常に悪いです。
また、余程ジッとしていることが多いのか、ウチワエビなどとは異なり、特に頭部周辺ににフジツボやエボシガイが付着しているものが多いです。
市場の評価は高く、産地であっても高値で取引されることが多いため、活物での流通が基本です。
産地は暖流域に集中しており、沖縄県、鹿児島県では良く見られます。ただし、本種を目的とした漁はなく、イセエビ漁の混獲ですので、沖縄県ではイセエビの解禁時期である9月から春くらいまでがゾウリエビの水揚げ時期となります。
ゾウリエビのおすすめの食べ方
死んでしまうと、臭みが出る上に、身が痩せてしまうので、とにかく生きているものが前提です。しかし、生簀で数日生かしたものは身が痩せている場合があります。
見ての通り、頭が大きく、体が小さく、殻も分厚いので、歩留まりは極めて悪いですが、まずはお刺身がお勧めです。イセエビに負けない芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
もちろん、塩茹で、焼物などシンプルに味わって頂いても結構ですし、変わり種では天ぷらもお勧めです。もちろん、殻からは美味しい出汁が獲れますので、汁物もお勧めです。
アサヒガニ
アサヒガニの最大の特徴は、一般的なカニ類の尾が退化し完全に腹部に折りたたまれているのに対し、はエビのように頭胸甲の後方に出ていることで、このため原始的な形態を残すカニと言われています。また、名前の由来はとされている、生きている時の甲羅の色が鮮やかな橙赤色をしていることも特徴のひとつです。
海外から活物や冷凍で輸入されることが多いようですが、国内でも九州南部で水揚げされており、味の良さと希少性から高級品として扱われています。
主な産地は、鹿児島県の種子島、屋久島、奄美大島海域で、他に高知県、三重県、和歌山県でも確認出来ますが、こちらはごくわずかです。
アサヒガニは5~10月に産卵期を迎えることもあってか、鹿児島県では6~7月、種子島では5~10月までが禁漁とされています。旬の時期については諸説あり、11~12月の冬と言うところもあれば、春先を旬として紹介しているところもありますが、ここでは解禁明けで身が充実しているであろう、秋から冬を旬として紹介します。
アサヒガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
アサヒガニは旨味はあるものの、やや水っぽい身質なので、鮮度が良くても生食にはあまり適しません。蒸したり焼いたりした方が、水分が抜けて旨味が増すことに加え、ミソはもちろん、時期によっては内子も一緒に楽しむことが出来ます。殻からはとても良い出汁が出るので、甲羅や足先など可食部位が少ないところは汁物に使うと良いでしょう。
ガザミ
ガザミの仲間で食用として流通しているものは種類が多く、タイワンガザミ、ジャノメガザミ、イシガニ、ノコギリガザミなど多種多様です。また、本種は標準和名のガザミではなく、もっぱらワタリガニで流通しています。
ガザミ類は北海道南部以南の全国に分布していますが、主な産地は内湾で、三河湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、有明海などで多く見られます。県別では、愛知県、福岡県、愛媛県などです。
ガザミの産卵期は初夏から秋にかけてで、この頃は外子を抱えたメスが多くなります。夏には脱皮をするものが多いこともあり、身入りが良くて美味しいの時期は、秋に深場に戻る頃から内子が充実する冬です。しかし、冬になると深いところに潜ってしまうため、水揚げはとても少なくなります。
水揚げだけだと、浅場に移動してくる初夏から夏です。このように、旬については一概には言えませんが、身を楽しむなら夏から秋のオス、内子を楽しむなら冬のメスと言うことになりそうです。
ガザミのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
この時期のメスは内子が付き始める頃ですので、良いものが手に入ったら、素直に蒸すのが一番出でしょう。茹でるのが簡単ですが、うっかりすると内子が流れ出たり、身が水っぽくなったりするので、注意が必要です。
また、かなり手間がかかりますが、身や内子を一緒に楽しむ料理としてはケジャンもお勧めです。
タイワンガザミ
タイワガザミはオスとメスで見た目が異なり、オスはアオガニとも呼ばれるように、鮮やかな青い色をしています。また、甲羅に不規則な白い模様があり、この模様は茹でて甲羅が赤くなっても白く残ります。一方メスの甲羅には目立った模様はなく、は暗緑色で近縁のガザミと良く似た色をしています。
タイワンガザミは、ガザミより暖かい海域を好みますので、日本海側では山形県以南、太平洋側では房総半島以南で確認出来ますが、特にここが多いと言う産地はなく、強いて言うと山陰当たりで見かけることが多いくらいです。どちらかと言うと海外の方が多く、東南アジアや中東から足だけに加工処理されたものが輸入されています。
カニは脱皮すると膨大なエネルギーを使うため、脱皮前後は身質があまり良くないと言われています。タイワンガザミは夏には脱皮を繰り返すものの、晩秋から春には脱皮しなくなると言われており、身質が良いのは冬と言うことになりそうです。しかし、暖海域を好むため、冬はあまり獲れず、夏に水揚げが増える傾向にあります。
タイワンガザミのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
この時期のメスは内子が期待出来ますので、素直に蒸すのが一番出でしょう。茹でるのが簡単ですが、うっかりすると内子が流れ出たり、身が水っぽくなったりするので、注意が必要です。
また、かなり手間がかかりますが、身や内子を一緒に楽しむ料理としてはケジャンもお勧めです。
ケガニ
ケガニはクリガニやトゲクリガニなどと同じクリガニ科のですが、クリガニやトゲクリガニは安価なのに対し、ケガニはオスで甲長15cmと大きくなるため、身がしっかりあることに加え、身やミソの美味しさから高級品として流通しています。
主な産地は、胆振、日高、網走、宗谷、十勝、釧路などの北海道沿岸各地と岩手県です。以前は大量に水揚げがあったとされていますが、今では最盛期の10分の1程度まで減少しているため、各地で厳しい規制が行われています。メスガニ、甲長8cm未満、脱皮直後ののものはリリースされます。加えて、リリース時に傷ついていたりすると死んでしまうため、必ず籠を使って漁をしなければなりません。また、漁が行える船隻数、1隻が使える籠の数、漁期中の水揚げ総量などの制約もあります。
ケガニは冬にになると出回るが増えるようなイメージがありますが、実は1年中どこかで水揚げがあります。それぞれの漁期は、胆振で6~7月、登別から白老町沖で7月中旬から8月中旬、日高で12月~4月、十勝と釧路で1~3月と9~12月、オホーツク沿岸は流氷がなくならない塗料が出来ないため、網走で3~8月、雄武町で3月下旬~7月下旬、宗谷で3月15日~8月21日となります。道外の岩手県では12~3月となっています。
それぞれの産地で、最も身質が良いであろう時期に漁が行われていますので、他のカニ類とは異なり、いつでも美味しいケガニに巡り合うことが出来ます。
ケガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。高いカニですので、慎重に選びましょう。
新鮮なものはお刺身で食べることも出来ますが、クリガニの仲間は足が短くいので、可食部分はわずかです。やはりお勧めお薦めの食べ方は、茹でるか蒸すかしたものの身やミソをほぐして食べることです。クリガニの仲間は何と言ってもミソが美味しいので、この食べ方が一番でしょう。
もちろん、良い出汁が出ますので汁物にも最適です。また、グラタン、パスタ、サラダ、コロッケなどの洋風料理でも、他の具材に味が負けることなく、ケガニの芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
ズワイガニ
ズワイガニはオスとメスで大きさが違うことや、メスは内子や外子と呼ばれる卵巣や卵を持っていることなどから、産地ではオスとメスを別物として扱っています。価格もオスは高価で、ほとんどが都市部の消費地市場や料理屋へ送られるのに対し、メスは手頃な価格で、産地ではスーパーなどに並ぶこともあります。
また、良く似たものにベニズワイガニとオオズワイガニがいますが、ベニズワイガニとは見た目での判断が容易です。オオズワイガニは国内ではほとんど水揚げがないため、ほぼ100%冷凍加工されてからの輸入です。またオオズワイガニを学名からバルダイ種と呼ぶのに対し、本種はオピリオ種とも呼ばれています。
国産ズワイガニの主な産地は、日本海から北海道沖に集中しており、太平洋側は獲れてもごくわずかです。水揚げが最も多いのは北海道で、次いで兵庫県、鳥取県、福井県、石川県などと続きます。本種は海外でも水揚げがあり、カナダ、アメリカ、ロシアなどでも獲れており、ロシア産はは活物で輸入されることがあります。
国内の漁期は資源保護のため、厳格に定められていますが、全国一斉ではなく産地で微妙にずれています。良くニュースで見る11月初め頃の解禁は富山県以西のもので、メスは1月10日まで、オスは3月20日までです。一方新潟以北では10月1日が解禁日で、オスメスともに5月31日まで漁が続きます。ただメインシーズンは11月から3月くらいまでです。
また、甲の大きさにも制限があり、幅9cm未満のオスと未熟なメスは漁獲禁止となっています。生鮮のズワイガニは、輸入の活物を除き、この期間しか入手出来ませんので、当然漁期が旬となります。
また、各産地で厳格な基準の元、ブランド化が進められており、有名なところでは、石川県の加賀、能登で水揚げされたオスが加能ガニ、石川県内で水揚げされたメスが香箱蟹(メスのブランド化はここだけ)、山形県の庄内に水揚げされるオスが芳ガニ、島根県、兵庫県、京都府の山陰地方で水揚げされるオスが松葉ガニ、京都北部の丹後半島にある間人(たいざ)港で水揚げされるオスが間人ガニなどとされており、適正に流通するよう各産地でタグ付けが行われています。また、等級分けも行っている産地もあり、最上級のものは超高値で取引されています。
ズワイガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。高いカニですので、慎重に選びましょう。
鮮度の良いものは、お刺身やシャブシャブがまずはお勧めです。こういう食べ方が出来るのはズワイガニならではです。
他は、蒸す、茹でるはもちろん、焼き、天ぷら、鍋、雑炊など多種多様な料理を楽しむことが出来ます。無論、殻からはとても良い出汁が出ますので、全て使い切ることが出来ます。
ベニズワイガニ
ベニズワイガニは松葉ガニでも知られるズワイガニの仲間で、姿形はそっくりですが、その名の通り加熱しておらずとも既に赤い色になっているのが最大の特徴です。水揚げがズワイガニより多いと言うこともありますが、足が細く、身が水っぽいと言うことなどから、国産ズワイガニの5分の1~10分の1の値段で流通することも多いです。しかし、ミソの旨味や身の甘味はズワイガニより良いと言う評価もあり、とにかくコストパフォーマンスには優れています。
産地としては、鳥取県、島根県、兵庫県、新潟県、石川県など日本海側に集中しており、特に山陰地方で多く水揚げされています。兵庫県では香住漁港にしか水揚げされていないことから、香住ガニと呼ばれており、良いものは漁船の名前が印字された白いタグが付けられてから出荷されます。
ベニズワイガニもズワイガニ同様、資源保護のため各地でサイズ規制や禁漁期間が設定されており、また、メスは全国一律で捕獲禁止とされています。
主な漁期は、鳥取県(境港市)で9~6月、兵庫県(香住)と富山県で9~5月、新潟県と石川県で3~12月、北海道の茂津多岬以北で7~4月、北海道の茂津多岬以南で4~8月と、1年中どこかで水揚げされていますので、いつでも楽しむことが出来ます。
ベニズワイガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
鮮度がべらぼうに良い場合はお刺身でも食べることも可能ですが、水分が多いのであまりお勧めはしません。ミソは濃厚で、身の甘味は強いため、特にお勧めするのはシンプルに焼き、茹で、蒸し、汁物などです。また、カニの風味が強く、乳製品などとの相性も良いので、グラタンやクリームコロッケなどもお勧めです。
また、ベニズワイガニは缶詰などでむき身になったものも多く流通していますので、調理の下処理が面倒な時には便利です。
タラバガニ
カニの手足の合計は10本なのですが、タラバガニは見ての通り8本です。実はタラバガニはヤドカリ下目に分類されており、カニではなくヤドカリに近い種類です。ですので、横だけではなく、前に歩くことも出来ます。
日本では 鱈が獲れる場所で一緒に獲れたことから、鱈場蟹(タラバガニ)と、英語圏では足を拡げると1mを超える位大きなものがいることもあるため、KingCrab(カニの王様)と名付けられました。
主な生息域は北太平洋及び北大西洋の寒流域ですが、最近では南半球の寒流域でも確認されています。国内で水揚げがあるのは北海道のオホーツク沿岸のみですが、その量は本当にわずかですので、国内需要を賄うためにアメリカ、ロシア、ノルウェーなどから多く輸入しており、漁場が近いロシアからは活物でも輸入されています。身入りだけ見ると、北海道より寒い海域で獲れている輸入物の方が良いと言う評価もあります。
国内(北海道)の漁期は、おおむね2回に分けられます。ひとつは流氷がなくなることにより漁が再開される3~5月で、この頃は餌が豊富になるため、身が充実し、甘味が増すと言われています。もうひとつは脱皮が終わり身質が向上すると言われている10月~2月です。ただし、10~11月は脱皮直後のものが混じったりしますし、12月以降は冬眠期に入るため活動が鈍ることもあり、水揚げ量は期待出来ません。もちろん、流氷が押し寄せる海域では漁は出来ません。ただし、ロシア産の活物はいつでも入荷しているようですので、北海道の禁漁期間中に活物がある場合は、ほぼ間違いなくロシア産と思って頂ければ良いでしょう。
タラバガニのおすすめの食べ方
タラバガニカの仲間も死んでしまうと、例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
タラバガニは大きなものが基本であることに加え、身の繊維がしっかりしていますので、非常に食べ応えがあります。鮮度の良いものであればお刺身も可能ですが、お勧めは素直に、茹でガニと焼ガニです。濃厚な味わいとしっかりした食べ応えはタラバガニの最大の特徴です。
尚、タラバガニのミソは、そのまま加熱してしまうと流れ出てしまうため、調理する前に取り除いておいて、足などとは別に調理する必要があります。
モクズガニ
モクズガニは、ハサミに藻屑のような毛が沢山生えているのが特徴で、名前の由来にもなっています。中国の高級食材である上海ガニの仲間で、味わいもほぼ変わらないとされていますが、日本では中国のように珍重することはありませんので、比較的安価で手に入ります。
日本全国に生息していますが、積極的に漁が行われているわけではありませんので、産地として著名なところはありません。また、標準和名のモクズガニで呼ばれることは少なく、西日本ではツガニと呼ぶところが多く、鳥取県と岡山県ではカワガニ、徳島県ではガンチなどと呼ばれています。
モズクガニは、上海ガニと同じくミソや内子を食べるカニですので、産卵期前のものは価値がないとされています。このため、旬とされる時期は産卵期に当たる9~11月です。ただし出始めのものは内子を持っていない場合がありますので、9月下旬以降のものの方が無難です。11月下旬以降になると、メスは産卵のため海に下りますので、採取は難しくなります。
※地域によっては、一般の採取を禁止しているところもありますので、近隣の漁協などに必ず確認して下さい。
モクズガニのおすすめの食べ方
モクズガニは比較的水質の良いところを好んで生息していますが、食べ物などの影響で泥臭い場合が多いので、食べる前に必ず綺麗な水で数日活かし込みして、泥をしっかりぬいておくことが必要です。また、爪に生えている毛にも泥などが付着していることがありますので、調理前にしっかり洗っておくことも必要です。加えて、活かし込みしている際に共食いすることもありますので、出来れば1尾ずつネットなどに入れて分けておくと良いでしょう。
モズクガニは、身よりミソや内子を楽しむカニですので、とにかく生きているもので、手にもってズッシリと重みがあるものを必ず選びましょう。ミソはウニのように濃厚で、内子はとても芳醇な旨味を有していますので、蒸して単純に楽しむのも良いのですが、味噌汁、炊き込みご飯 パスタ、パエリアなどにしても旨味を堪能することが出来ます。
※生活排水が流れ込んでいるようなところにも生息していることがありますので、可能であればどこで獲れたものかを確認しましょう。
※淡水のカニには肺吸虫という寄生虫がいることがありますので、生食は絶対にしないで下さい。
コウイカ
コウイカは墨を沢山持っており、水揚げした時に大量にこれを噴くため墨烏賊(すみいか)とも呼ばれます。また、胴のてっぺんに甲の先が針状に突き出していることから、針烏賊(はりいか)とも呼ばれます。背側には横縞模様が入っており、オスの方が明確で、メスはぼんやりしているものが多いとされています。
主な産地としては、瀬戸内海沿岸や九州などですが、特にここが多いと言うところはありません。
この時期は、生まれて間もない5cmくらいの「新イカ」の季節です。新イカは身が柔らかく瑞々しいことから珍重され、かなりの高値で取引されます。
コウイカのおすすめの食べ方
新イカは小さい分、傷むのも早いので、とにかく鮮度が良いものを選んで下さい。白っぽくなったり身の色が濁ったものはお刺身には向きません。また、小さいからと言って薄皮をそのままにしておくと、食味が悪くなり、臭みも出ますので、面倒でも丁寧に取り除く必要があります。
良いものはかなりの高値で取引されて寿司店などに直行しますので、入手すること自体難しいのですが、柔らかく瑞々しい食感はこの時期にしか味わえないものですので、機会があればぜひお召し上がり下さい。
シリヤケイカ
とんでもない名前を付けられたものですが、その由来は、胴の先端が尖っておらず、お尻のような形をしていおり、そこから赤褐色の粘液を吐き出すこともあることから、先端が赤く染まていることで、尻が焼けたように見えることからと言われています。また、背側にはゴマのような白く小さな斑点のような模様が入っているのも特徴のひとつです。
他のコウイカと同様に春~夏の産卵に向けて内湾に集まってきますので、その頃に他の魚に混じって水揚げがある程度増えますが、身が充実していのは産卵前の秋~春先です。
主な産地としては、東京湾、大阪湾、瀬戸内海などがありますが、どこかが突出して多いと言うことはありません。
シリヤケイカのおすすめの食べ方
コウイカの仲間は、鮮度が落ちるにしたがって背側の紋様がぼやけて、最後には白っぽくなります。こうなるとお刺身では少し厳しくなりますので、出来るだけ紋様が鮮やかなものや、表面の細かい斑点が点滅しているものを選びましょう。むき身になっている場合は、張りがあって、透明感のある物を選んで下さい。また、コウイカの仲間は身に付いている薄皮をきちんと取っておかないと口当たりが悪くなることに加え、臭みも残りますので、注意して下さい。
シリヤケイカは、カミナリイカやコウイカと比べると甘味が足りないとされており、やや低評価のため低価格で流通していますが、同時に食べ比べでもしない限りその違いは分からないレベルですので、そこまで気にする必要もないと思われます。
他のコウイカ同様に、鮮度が良いものはまずはお刺身がお勧めで、もちろん、耳や下足も含め、焼物炒め物、揚物、和え物などなんにでも合わせることが出来ます。墨はイタリアンではお馴染みで、パスタやリゾットなどに使われます。
アオリイカ
アオリイカの背側は長楕円形ですので、コウイカのようにも見えますが、スルメイカなど同じツツイカの仲間です。腹側から見るとわかりやすく、細長移動にヒレが広く全体に付いていることで、背側から見ると楕円形になるのが確認出来ます。
沿岸で獲れるイカの中では大型で、大きいものだと胴長は50cm、重量5kgを超えるものもいます。
名前の由来は、乗馬の際に馬の両腹に垂れ提げる泥除けの障泥(あおり)と言う馬具から来ていると言われています。また、芭蕉の葉の形に似ていることからバショウイカと呼ぶ地域もあります。
関東以西、福井県以西の沿岸で比較的見られますが、水揚げは決して多くないため、特にここがと言う産地はありません。加えて、味や食感がとても良いことから高級品として流通しています。
アオリイカは普段は深場で生活していますが、産卵期が近づく春頃には浅瀬に集まり、4月中頃から8月頃にかけて産卵すると言われています。寿命は約1年で、産卵後は死んでしまいます。孵化した子イカは沿岸の藻場で夏から秋にかけて成長し、冬になると深場に潜ります。
深場に潜ったものは中々獲れませんので、水揚げが増えるのは、産卵のために浅瀬に寄って来る春から初夏と、秋になって成長した子イカが深場に潜る前の2回となります。
アオリイカのおすすめの食べ方
イカは生きているものの方が良いとはされていますが、ツツイカの仲間は鮮度が良すぎると歯応えばかりになりますので、丁寧に下処理をした後、1日程度寝かせた方が甘味が出ると言われています。
決して安いイカではありませんので、とにかく良いものを手に入れて、お刺身です。適度に寝かせたものであれば、ねっとりした甘味を味わうことが出来ますが、活物であれば、表裏に細かく切り込みを入れておくと食べやすく、甘みも感じやすくなります。
耳や下足など、お刺身にするのが難しい部位は揚物や炒め物などにすると良いでしょう。お刺身にするのが厳しいものは、むき身にしてから良く洗い、一夜干しにすると臭いも取れて、旨味も増すのでお勧めです。
ジンドウイカ
ジンドウイカは大きいものでも胴長12cm程度の小さなイカです。
全国各地で水揚げされますが、三陸から房総沖、三河湾から伊勢湾、紀州からから瀬戸内海周辺などが特に多いようです。ほぼ1年中水揚げがあり、量もそこそこありますので、旬とする時期も産地で異なり、春から夏というところや、冬から春にかけてというところなどに分かれますが、夏から初秋は少し出回りが減るようです。
ジンドウイカのおすすめの食べ方
ジンドウイカの活きたものは内臓が分かるくらいの透明感があります。それが時間とともに赤みが現れ、さらに鮮度が落ちてくると全体に透明感のない白になってきます。ツツイカ全般に言えることですが、特にこの類の小さなイカは鮮度劣化が早いので、白くなっておらず、赤みが残っている物を選びましょう。
とても小さなイカですが、捌くのは簡単な部類なので、鮮度が良ければお刺身がお勧めです。
加熱調理する場合は、小さいので、さっと火を通す程度で十分です。
スルメイカ
スルメイカは日本近海で最も多く漁獲されているイカです。瀬戸内海などの内湾を除けば、ほぼ全国で水揚げがあることから、マイカ、マツイカ、バライカなど様々な呼び名もあります。ここ最近は不漁が続いており、値段もかなり上がってきましたが、どのような料理にも合わせることが出来るため、イカの中では最も重宝されています。
生きている時は半透明ですが、興奮すると全体に赤褐色に発色します。一般市場に出回るものの多くはこの発色した状態で、この色はケンサキイカやヤリイカの色に比べ濃く、時に黒っぽく見えます。
主な漁場はほっかいどうから東北地方にかけてですが、イカ釣船は全国各地から出漁しており、その時々の産地を求めて移動します。水揚げ港は船籍に関わらず主漁場の近くになることが多いため、統計は漁場の近隣である北海道と青森県で全体の6割を占めています。
またスルメイカの魚群は、発生する季節により秋、冬、夏の3つに大まかに分けられ、それそれが育つ海域が異なり、また大きく移動する群もあるため、ほぼ1年中どこかで水揚げがあります。ただし、夏イカと呼ばれるように、水揚げが最も増えるのは夏です。また、大きくなり身が肥えるのは、秋頃に青森県から北海道で獲れるものです。
スルメイカのおすすめの食べ方
生きているものは半透明(または赤褐色)ですが、死んでしばらくすると黒褐色になります。それからさらに時間が経つと段々白くなってしまいます。購入される場合は、少なくとも真っ白になったものは避けた方が無難です。生鮮で良いものがない場合は、鮮度が良いうちに凍結したものを選んだ方が良いでしょう。
鮮度の良いものはお刺身で食べることも出来ますが、スルメイカはアニサキスなどの寄生虫がいることが多いので、特に注意が必要です。
このイカは加熱調理にも良く向き、焼物、煮物、、炒め物、揚物など幅広い料理に対応出来ます、
また、お刺身は元より、干物、珍味、イカ飯などに加工されてたものが多く流通していますので、お手軽に楽しむのであれば加工品を購入されるのもありです。
※スルメイカはアニサキスやニベリニアが寄生していることが非常に多いので、そのまま生食することはお勧め出来ません。ニベニリアは人体には寄生せず、食べても無害とされていますが、見た目が非常に悪いので取り除いた方が無難です。アニサキスはー20℃以下で24時間以上冷凍するか、70℃以上で加熱すれば死滅します。冷凍せず生食する場合は、アニサキスライトなどを用いて隅から隅まで徹底的に目視確認した上で、発見した場合は100%除去しなければなりません。
ソデイカ
ソデイカも多くのイカと同様には1年魚なのですが、大きなものは胴長1m、重量30kgにもなります。あまりにも大きすぎるため、冷凍の柵などでの流通が大半で、産地でもない限り丸のまま見る機会はまずないでしょう。
名前の由来は、第三腕に付いているヒレ状の幕が袖の様に見えることですが、地方によっても様々な名前があり、兵庫県から鳥取県の山陰地方ではアカイカ(標準和名でアカイカと言う別種あり)、京都府から石川県ではタルイカ、沖縄県ではセーイカと呼ばれています。など、地方によって様々な呼び名があります。
産卵期も産卵場所も特に決まっておらず、暖海域であればほぼ1年中いたるところで産卵していますので、ほぼ1年中どこかで水揚げがあります。
主な産地は兵庫県、鳥取県、福井県、鹿児島県、沖縄県ですが、中でも沖縄県が抜きん出ており、県のプライドフィッシュにも指定されています。
沖縄県では、毎年変更されますがおおむね7~10月が禁漁期間となっており、2~3月が最盛期となります。一方、日本海沿岸では6月頃から若い個体が獲れ始め、最盛期は9~11月となります。
ソデイカのおすすめの食べ方
丸のままで入手出来たとしても、大きさによっては一家庭で食べ切れなくなりますので、柵などに切り分けられたものを購入した方が無難です。生鮮の場合、赤みがかったものは鮮度が落ちている可能性がありますので、綺麗な白色のものを選んで下さい。また、生鮮のままだと、身が硬く、大味で旨味が足りないため、面倒でも一度冷凍するか、冷凍したものを購入されることをお勧めします。そうすることにより、甘味が増すとともに、もっちりとした食感になり、加熱してもそう硬くはなりません。
料理用途は、お刺身はもちろんん、焼物、煮物、炒め物、揚物など多種多様ですが、大きな切身にする場合は食べやすくするために、切り込みを入れておいた方が良いでしょう。
マダコ
マダコは昔から重要な食用魚介類で、普通タコと言えばマダコを指しますが、近年水揚げが減少していることもあり、輸入物に加えて、ミズダコ、ヤナギダコなどの割合が増えており、タコ=マダコの構図は崩れつつあります。
マダコは全長60cmほどになる中型のタコで、オスよりメスの方が大きくなります。オスとメスの違いは交接腕と説明されることが多いのですが、一番わかりやすいのは吸盤の配置で、メスはサイズ含めて綺麗に配列しているのに対し、オスはサイズも配列も不規則です。ただし、オスとメスの区別が付いた方が良いのは産卵期くらいで、それ以外は特に区別する必要は感じられません。
マダコだけの水揚げ統計はありませんので具体性に欠けますが、主な産地としては瀬戸内海沿岸、有明海沿岸、三陸沖などがあげられます。
産卵期は海域や水温などの条件で大きく異なるとされており、春頃から始まり秋まで続くとされています。本来であれば、産卵期前のものが良いとされるのでしょうが、西日本では産卵期に当たる夏に半夏生などでタコを食べる習慣があり、三陸ではお正月にタコを食べる週間があり、この時期にマダコを重宝する傾向がありますので、美味しい時期と言うより食べる時期で旬を定める傾向が高いようです。したがって、産卵期に入る夏を旬とする地域は有明海沿岸と瀬戸内海沿岸で、有明海沿岸では「盆ダコ」、瀬戸内海沿岸では「麦わらだこ」と呼び重宝します。ただし、これは抱卵している状態までで、産卵した後のメスは身が痩せていることもあり、評価がガタンと落ちます。一方、三陸では11~12月が漁期と重なることもあり、冬の物を良いとする傾向が高いようです。
マダコのおすすめの食べ方
生鮮のマダコは、新鮮なものほど赤茶色が濃く、軽く押すとその部分の色が変化します。また、吸盤に強い吸着力があるものも鮮度が良い証拠です。時間が経過とともに白っぽくなり、吸引力も落ち、臭いも強くなってきますので、このようなものの購入は避けた方が良いでしょう。茹でたものの場合は、色合いが鮮やかで、しっかり中まで火が通っており、ドリップが出ていないものを選んで下さい。
マダコは砂泥地に生息していることもあります。このため、特に底曳網で取れたものは、吸盤などに砂を噛んでいることがありますので、生鮮を購入された場合は、調理する前にしっかり塩揉みをして、ヌメリとともに砂や汚れを取り除いておきましょう。
マダコは生のままで食べると、歯応えだけで、旨味が足りないとされていますので、お刺身であっても火を通した方が良いとされています。基本は茹でることですが、皮目だけを炙っても美味しく頂くことが出来ます。煮物にする場合は、じっくり長時間煮込むことで柔らかく仕上げることも出来ます。コリコリとした食感の楽しみたい場合は、しっかり茹でてから、和え物、酢の物、炊き込みご飯、揚げ物などにすると良いでしょう。硬くて食べにくいと感じる場合は、調理する前に細かな切り込みなどを入れておくと良いでしょう。
アサリ
アサリは2枚貝の中で最も馴染みがあると言っても良いくら広く認知されており、スーパーには季節を問わずほぼ毎日並んでいます。大きくても殻長6cm程度の小さな貝ですが、表面の模様は千差万別で、変化に富んでいます。昔は干潟さえあれば、どこでも採れていたようですが、乱獲、開発による干潟の減少、水質汚染など様々な影響で、水揚げは年々減少しており、水揚げは年々減少しており、これに伴い値段も年々上がってきています。これを補うため、中国や韓国からも活物で輸入されており、その量は国産を上回ることもあります。
国内の産地では、愛知県が全体の65%程度を占め、次いで静岡県が10%程度、その他は三重県、北海道などが5%程度となり、それ以外は本当に微々たるものです。各産地では資源復活に向けて、種苗放流や、禁漁期間を設けるなどの動きが出ていますので、今後に期待したいものです。
アサリは海水温度が20℃位になる春と秋に産卵しますが、当然南の方から海水温が上昇しますので、海域によりずれが生じます。ちなみに北海道では、夏しか水温が上がらないので産卵も夏だけになります。産卵期は栄養の大半を生殖巣が持って行ってしまうため、身はかなり痩せてしまなくなります。したがって美味しい旬の時期は、産地により多少ずれますが、産卵前の2~4月頃と9~11月頃になります。
アサリのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。また、稀に中身がなく泥が詰まっているということもあります(俗に爆弾と呼ばれています)。これが混じったまま調理すると、最悪の場合、料理全体にヘドロやヘドロ臭が付いてしまうので注意が必要です。大体は出荷元で除去されていますが、すり抜けてくる場合もありますので、面倒でも5~6個くらいずつ手に持って、音で確認するくらいしか方法がありません。乾いた高い音がすれば中身は空っぽで、反対に妙に重たい音がすると泥が詰まっている可能性が高くなりますので、包丁などで開いて確認した方が良いでしょう。選別が終わったら、しばらく活かし込みをして砂出しをします。
旬の時期のアサリはとても肉厚で、旨味も強いので、あまり味付けはせず、素直にアサリそのもの旨味を味を楽しむよう、味噌汁、酒蒸し、あさりバターなど簡単な料理がお勧めです。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
エゾアワビ
エゾアワビは見た目も食感もクロアワビによく似ています。足の色はクロアワビと同じような黒っぽいものからクリーム色のものまで個体差があり、比較的明るい色のものが多いとされています。また、流通しているものは、クロアワビより小さなものが多くいです。養殖もされており、韓国や中国から活物や冷凍で輸入されています。
エゾアワビは養殖されていることもあり、ほぼ周年市場流通しています。また、アワビと言うと夏のイメ-ジが強いのですが、エゾアワビの産卵期は8~10月ですので、身質が良いのは産卵前の初夏と、晩秋から冬になります。流通が増えるのは、年末年始需要があるため11~1月となります。
エゾアワビのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、アワビは身がむき出しで生活していますので、調理時にしっかり洗って汚れを落としておきましょう。貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
エゾアワビはコリコリした食感が特徴ですので、一般的には生のお刺身を好む傾向がありますが、火を通すことにより柔らかくなり風味も増しますので、焼物、煮物、蒸し物などもお勧めです。
※2~5月頃のアワビの中腸線に餌となる海藻のクロロフィルに由来する毒素が溜ることがあり、これを大量に食べると極まれに光過敏症という中毒を起こすことがあります。有毒な中腸腺は黒っぽい濃い緑色なのに対し、無毒な物は灰緑色か緑褐色なので、色で見分けられるそうですが、念のため同時期のアワビの肝は避けた方が良いでしょう。また、無許可の採取は禁止されています。
イタヤガイ
イタヤガイは産地では食用として親しまれていますが、採れなかったりの差が著しく、全く安定供給出来ないため、消費地に出回ることはほとんどありません。
見た目はホタテガイにそっくりですが、イタヤガイは太い放射筋が8~10本なのに対し、ホタテガイは細い放射筋が20本以上入っていますので、簡単に見分けることが出来ます。また、イタヤガイは雄雌同体ですので、産卵期には真子と白子を同時に有します。大きさも異なり、ホタテガイは殻長が20cmを超えることもありますが、イタヤガイは大きくても12cm程度と小振りです。
イタヤガイは主に底曳網漁や貝桁網漁で混獲される程度で、これと言った産地はありません。その中でも比較的見られるのは、愛知県から九州にかけての太平洋沿岸と、山陰から北九州沿岸にかけてですが、上述したように獲れても数が少ない時は、その場で廃棄されることもあるようです。
産卵期は冬ですので、真子や白子を一緒に食べるのであれば秋から冬が美味しいと言うことになりますが、貝柱が充実するのは産卵明けの春から初夏にかけてと考えれば良いでしょう。
イタヤガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、イタヤガイは底曳網などで採られることが多いため、ほぼ確実に砂や泥を噛んでいると思って下さい。活かし込みで砂を吐かせる方法もありますが、食用箇所は貝柱、ヒモ(外套膜)、真子、白子くらいなので、水管などに含まれている砂まで抜く必要はあまりないと思われます。ですので、むき身にした後に、しっかり水洗いすれば良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
身はホタテガイより若干柔らかいのですが、味は勝るとも劣らずで、お刺身はもちろん、煮物、焼物、揚物など何でも対応できるオールマイティーな貝です。特にシチューやクリームコロッケなどとの相性は抜群と言われています。
※2枚貝は時期(概ね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ツキヒガイ
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、ツキヒガイは底曳網などで採られることが多いため、ほぼ確実に砂や泥を噛んでいると思って下さい。活かし込みで砂を吐かせる方法もありますが、食用箇所は貝柱、ヒモ(外套膜)、真子、白子くらいなので、水管などに含まれている砂まで抜く必要はあまりないと思われます。ですので、むき身にした後に、しっかり水洗いすれば良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
とにかく旨味の強い貝ですので、不用意に濃い味付けをすると風味が台無しになります。お刺身、焼物、煮物など、あっさりと味わう料理が良いでしょう。
※2枚貝は時期(概ね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ツキヒガイのおすすめの食べ方
ツキヒガイの場合、ホタテのように冷凍加工されることはあまりなく、生鮮が基本になりますので、その場合は必ず元気に生きているものを選びましょう。
基本的な料理はホタテと同じですが、甘味はホタテより強いとされており、かなり評価が高いですので、下手に味付けをするより、あっさりした料理の方が良いかも知れません。
お刺身はもちろん、煮物、ソテー、フライ、炒め物などいろいろな楽しみ方が出来ます。
※2枚貝は時期(概ね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ヒオウギガイ
ヒオウギガイの最大の特徴は、人工的に着色したかのような鮮やかな色で、個体によって黄色、オレンジ、紫、赤などに分かれており遺伝します。ヒオウギガイはほとんどが栽培されており、綺麗な色の親貝を選抜し人口採卵するため、市場に出待っているものは鮮やかな色のものが目立ちます。紫や赤は冠婚葬祭などの料理に、また、飾り物や器としての利用価値も高い貝です。ちなみに、天然物は褐色の割合が多いと言われています。殻の色に目を奪われがちですが、身はホタテより甘味が強いと言われており、評価はとても高いです。
上述したように、市場流通しているもののほとんどは栽培物で、産地としては、愛媛県の愛南町、三重県志摩、熊本県天草、大分県佐伯市、島根県隠岐などがありますが、生産量は決して多い訳ではありませんので、スーパーなどに並ぶことは滅多にまずありません。
人口採卵するためか、産卵期に当たる4~5月と、産卵明けで身が痩せている夏の出荷はほとんどありません。美味しい旬の時期は、産卵が空けて再び身が充実する晩秋から、産卵前の春までとなります。
ヒプギガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。ヒオウギガイは栽培が主体ですので、砂を噛んでいることはほとんどありませんが、気になる場合は、むき身にしてから良く洗っておくと良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
鮮度が良いものはお刺身での良いのですが、この貝は加熱することでさらに甘味が増すと言われていますので、焼物、煮物、揚物などがお勧めです。また、少々加熱しても硬くなりにくいので、炊き込みご飯、グラタン、ピザなどにも適しています。
※2枚貝は時期(概ね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ホタテガイ
ホタテガイは食用の貝としては最も一般的と言っても良いくらい普及しており、生鮮、冷凍、ボイル、貝柱など様々な形態で全国に流通しています。
大きくなると殻長20cmを超えることもあり、表裏で色や形が違うのも特徴です。表側は少し丸く膨らんでおり白っぽく、裏側は平らに近く紫褐色となっています。
市場に流通しているものには栽培物と天然物がありますが、100%天然は少なく、そのほとんどは稚貝を放流してから約3年後に収穫したものです。厳密には天然とは言えないかも知れませんが、川に放流した魚と違って、数年は自活しているわけですので、天然と言っても全く差支えはないでしょう。
撒くための稚貝の採取は、幼生が生活のために岩などに付着する習性を利用しています。産卵期である春に生息域に採苗器を沈めてから幼生が自然に付着するのを待ちます。その後、おおむね1cm程度に成長したであろう時期に引き上げて、稚貝を採取します。この後、1年程度生育し、海に撒くか、栽培するかに分けます。
産地は北海道と青森県でほぼ100%を占めています。天然物はほぼ100%北海道で、栽培物は約60%が青森県で、残り約40%が北海道です。岩手県や宮城県でも採取が行われていますが、その量は本当にわずかです。
青森県はベビーホタテと呼ばれる小さなものが有名です。籠の中が過密になると生育が阻害されるため、半成貝と呼ばれる5cm程度のものを4~6月くらいに間引いて出荷します。2~3年育ててある程度大きくなったものは、基本的に1年中水揚げがありますが、多いのは2~8月のようです。北海道では、栽培物は3~4月、撒いたものは8~9月の水揚げが多いとされています。
美味しい旬の時期は水揚げ時期とは少し異なりますが、産卵に向けて生殖巣が最も大きくなるのは冬ですので、生殖巣を一緒に食べるのであれば冬が美味しいと言うことになります。ただし、貝柱だけで見ると産卵後に栄養が回復する夏が良いと言えるでしょう。
ホタテガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。栽培物の場合は、砂を噛んでいることはほとんどありませんが、天然物の場合は砂を噛んでいることが多々あります。念のため、いずれであっても、むき身にしてから良く洗っておくと良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
冬場は生殖巣が発達している時期ですので、貝全体を味わう季節ですので、素直に焼物などにした方が良いでしょう。
2枚貝にはウロと呼ばれる黒っぽく丸い中腸線などの内臓が付いており、特にイタヤガイの仲間は目につきます。大きな貝であれば、貝毒の危険を避けるため取り除いた方が良いのですが、小さなものであれば、特に気にする必要はありません。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
マガキ
日本にはおよそ25種類のカキが生息しているそうですが、食用にされているのは主に、マガキ、イワガキ、スミノエガキ、それに絶滅の懸念があるイタボガキガキなどです。そのうちマガキは、栽培が積極的に行われているため、圧倒的な割合を占めており、普通カキと言えばマガキを指します。
マガキは産卵期には身が痩せてしまうため、産卵期である夏前後の出荷は行っていません。また、鍋など寒い時期の料理が定着していることもあってか、冬の食材として定着しており、冬を旬とするのが一般的で、この時期水揚げがピークを迎えます。
産地は、太平洋側、瀬戸内海などの内湾に集中しており、外洋や日本海側には見られません。自治体別では、広島県が最も多く全体の60%以上を占め、次いで宮城県が10%程度、その他岡山県、兵庫県などと続きますが、いずれも一桁です。
各地で様々なブランド化も進められており、栽培方法や味わいも様々ですので、機会があれば取り寄せて楽しむのも良いでしょう。
マガキのおすすめの食べ方
殻付きで付きで買われる場合は、必ず口がきちんと閉まっているものを選びましょう。口が空いたままのものは、死んでいる可能性があるので避けましょう。また、持ってみてズッシリとした重みのあるものが良いです。殻付きの場合は、むき身にしてから、汚れなどを落とすための洗浄を行って下さい。ただし、焼きガキなどにして、すぐに食べる場合は、そこまで神経質になる必要はないでしょう。
マガキは塩水入りのむき身で流通することが多いので、必ず水が濁っていないものを選びましょう。水が濁っていると、鮮度が悪くなっている可能性が高くなります。また、必ず生食用か加熱用かの記載を確認してから調理して下さい。殻付きで生きているものであっても、生食用と記載のないものの生食は自己責任です。
マガキはどのような料理にも対応できる万能選手ですので、これが特にお勧めと言うものはありません。焼物、煮物、鍋物、揚物、炒め物、炊き込みご飯など、その時に食べたいものに合わせて調理して頂ければ良いでしょう。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
シジミ(総称)
国内に生息しているシジミは、ヤマトシジミ、マシジミ、セタシジミなど3種ですが、細かく名称を分けることなく全てシジミとして流通しています。
このうちヤマトシジミは国内で最も一般的なもので、北海道から九州に至るまで全国の河口などの汽水域の砂礫底に生息しています。マシジミとセタシジミは淡水性ですが、農薬や河川護岸工事などの影響から、今ではほとんど姿を見ることが出来なくなっており、国産で流通するシジミの99%はヤマトシジミだと言われています。
また、国産で賄えきれない場合は、中国や台湾から活物で輸入されることもあります。こちらも違う種類ですが、国産シジミが生息する流域で活かし込みなども行われているため、種の交雑が懸念されるところです。
ヤマトシジミの産地としては、青森県の十三湖と小川原湖、島根県の宍道湖、茨城県の涸沼川と利根川、北海道の網走湖とパンケ沼などがあります。セタシジミは滋賀県の琵琶湖で僅かながら水揚げが確認出来ますが、マシジミは漁業としては成立していないようです。
シジミは周年通水揚げがあり、流通も安定しているため、旬を感じにくい食材にひとつになっていますが、美味しい時期については、一般的には、夏を旬とする「土用蜆」、冬を旬とする「寒しじみ」があります。また、産卵期が夏であるため、これに備えて栄養を蓄える春が良いと言う説もあります。身の充実を考えると春とするのが一般的ですが、昔から夏と冬に欠かせないものになっているので、いずれも旬として捕らえざるを得ないでしょう。
シジミのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、ヤマトシジミは砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。加えて、稀に中身がなく泥が詰まっているということもあります(俗に爆弾と呼ばれています)。これが混じったまま調理すると、最悪の場合、料理全体にヘドロやヘドロ臭が付いてしまうので注意が必要です。大体は出荷元で除去されていますが、すり抜けてくる場合もありますので、面倒でも10個くらいずつ手に持って、音で確認するくらいしか方法がありません。乾いた高い音がすれば中身は空っぽで、反対に妙に重たい音がすると泥が詰まっている可能性が高くなりますので、包丁などで開いて確認した方が良いでしょう。選別が終わったら、しばらく活かし込みをして砂出しをします。
また、そのまま調理するより一旦冷凍すると、旨味が増すと言われておりますので、試してみても良いでしょう。
シジミは大きくても殻長2cm弱と非常に小さな貝ですので食べるのが正直面倒です。出汁だけ飲んで、身は食べないと言う人もいるようですが、身には旨味だけではなく、栄養成分もたっぷり詰まっていますので、しっかり食べるようにしたいものです。
簡単で美味しいのは料理と言えば味噌汁ですが、酒蒸し、バター醤油などもお勧めです。身を取り出すのが少々面倒ですが、佃煮や炊き込みご飯などもお勧めです。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
エゾバイ
エゾバイは、その名の通り北海道周辺に多く見られる貝です。市場ではイソツブと呼ばれることが多く、居酒屋の突き出しなどでよく見かける貝のひとつです。
肉食性で、臭いを頼りに魚などの死肉などを探して食べていますので、海のお掃除屋さんとも言えます。
この貝を目的とした漁の始まりは平成元年くらいからと歴史は浅く、理由も国産バイの水揚げが減少したことによる代替としての需要の高まりからです。ただし、漁が始まった当初は無計画な乱獲が行われたために、10年程度で一気に水揚げが減りましたが、今では稚貝の放流やサイズ制限などの資源保護が進められており、回復しつつあります。
エゾバイはほぼ1年中流通していますが、産卵期はおおむね5~9月ですので、美味しい旬の時期は冬から春にかけてと言われています。
エゾバイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選んで下さい。少し触っただけで、蓋がさっと閉まるくらいのものが目安です。エゾバイは小さいので可食部分が少ないのですが、太ると蓋をしても身が収まり切らなくなるようなものもいますので、出来るだけこのようなものを選ぶと良いでしょう。
エゾバイは大きくても5cm程度と小さいので、可食部分も少ないですが、加熱すれば内臓も全て食べられます。基本的に殻付きのまま調理して、食べる際に身を取り出すようになりますので、殻は綺麗に洗っておきましょう。
塩茹でや酒蒸しなどシンプルな料理であれば、エゾバイそのものの風味を味わうことが出来ますが、一番のお勧めは、醤油、酒、味醂、砂糖などで甘く煮付けた煮貝です。日持ちもしますし、お酒のあてはもちろん、ご飯のおかずとしても最適です。
マテガイ
マテガイは細かく分けると、マテガイ、オオマテガイ、アカマテガイ、エゾマテガイなどがありますが、全てマテガイとして流通しており、区別されることはありません。
その中でもマテガイは、潮干狩りなどでも採りやすいため、一番馴染みがあると言っても良いでしょう。ただし、その採り方は独特で、マテガイが潜っているところに開いている穴を探し、そこに塩を注ぐと、マテガイが驚いたように飛び出すので、それを素早く掴むと言ったものです。
昔は身近に見られた貝だったのですが、近年は様々な要因により生息場所が少なくなっており、産地としては長崎県や熊本県の有明海沿岸、愛知県三河湾、、三重県伊勢湾、山口県の瀬戸内海沿岸などに限られます。加えて、マテガイの仲間は輸送に弱いため、ほとんど産地で消費されてしまい、消費地にはほぼ出回りませんが、殻が薄く歩留まりがいいこともあってか、産地市場でも高めの値が付くことが多いようです。
水揚げが増えるのは、産地によって多少ずれていますが、全体に秋から春に増える傾向が高いため、この時期を旬として良いのではないでしょうか。
マテガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。選別が終了したら、しばらく塩水に漬けて、しっかりと砂抜きをし手下さい。
アサリやハマグリなどと比べると、旨味が少ないとされていますが、その分どのような料理にも合わせることが出来ます。焼物、煮物、蒸し物、炒め物は殻付きのままで料理出来ます。また、大ぶりなものであれば、天ぷら、フライなどの揚物などにしても美味しく頂くことが出来ます。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
アカウニ
アカウニは、その名の通り殻の色が赤みがかっていることが特徴です。食用ウニの中では殻長5~7cmと小さ目で、収穫量も少ないことから、かなりの高値で取引されています。
産地は西日本に集中しており、特に佐賀県と長崎県は有名で、佐賀県唐津市ではプライドフィッシュになっています。関西以西では重要な食用ウニですが、収穫量が少ないため、ほとんどが産地で消費されており、産地ではない関東以北ではまず馴染みがありません。
アカウニの美味しい旬の時期は、他のウニの収穫が終わった9~11月で、特に産卵前の10月中旬頃に最も充実すると言われています。
尚、バフンウニも可食部である生殖巣の色からアカウニと呼ばれることがあります。ちなみに、アカウニの生殖巣は黄色味を帯びています。
アカウニのおすすめの食べ方
産地では殻付きのまま販売されていることもありますが、見た目や持った感じで良し悪しを判断するのが難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。
新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのはかなり手間ですので、当たり外れが少なく、味も無難なのは板ウニや塩水ウニです。
アカウニの粒は小さいですが、甘味が強く、独特の風味があるとされており、根強いファンが多いです。決して安いものではありませんので、まずはお刺身がお勧めとなります。無論、焼ウニなど、加熱しても美味しいのです。また、生鮮の入手が困難な場合は粒ウニがお勧めで、こちらは、ご飯やお酒のあてに最適です。
出回りが少ない上ので、お目にかかる機会はほとんどありませんが、一度はお召し上がり頂きたいもののひとつです。
※無許可の採取は禁止されています。
シャコ
シャコはエビなどの甲殻類に外観が似ていますが、十脚目であるエビやカニのようにハサミを持たないため、口脚目(シャコ目)に分類される全くの別物です。
江戸前寿司のネタとしては有名で、かつては日本各地で大量に水揚げがあったため、産地では家庭で気軽に沢山食べられていましたが、近年は資源量が激減したため、入手自体が難しくなり、高級品の仲間入りをしていしまいました。
以前は東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などが主な産地でしたが、資源量の回復はあまり見られず、現在は三陸や北海道の割合がかなり増えています。
シャコは、少ないながらほぼ周年水揚げがありますが、美味しい旬の時期は、カツブシと呼ばれる卵巣が発達する春から初夏のメスと、オスメス関係なく身が最も充実する秋から初冬にかけてと言われています。
シャコのおすすめの食べ方
シャコは死んでしまうと酵素を出し、自らを溶かし始めるため、必ず生きているものを選んで下さい。生きたものが難しい場合は、浜茹でして、凍結せず流通しているものを選んで下さい。それもない場合は浜茹での冷凍、最後がむき身です。ただし、一度冷凍してしまうと、どうしても解凍時に旨味が一緒に抜けてしまうので、あまりお勧めできません。
生きているものであれば、生食も可能ですが、むき身にするには相当手間がかかりますし、旨味は強くありませんので、一番のお勧めは茹でシャコです。シャコは加熱した方が、食感も良くなり、旨味も増すと言われています。刺身醤油はもちろん、甘ダレや酢味噌などとも良く合います。また、唐揚げや天ぷらなどの揚物もお勧めで、茹でたものを使えば、衣に火を通すだけで出来上がりとなります。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。