
9月に旬を迎える魚介一覧
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
|
|
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
9月頃に旬を迎える魚をご紹介します。
また、おいしい食べ方も紹介するので、参考にしてみて下さい。
9月に迎える魚介とおすすめの食べ方
シマアジ
シマアジは暖かい海を好む魚ですので、産卵期だからと言って極端に身質が落ちることはありません。ただし生息適温は18~24℃と言われていますので、ただでさえ目にする機会が少ないのですが、10月以降は特に本州付近でさらにお目にかかる機会が減ります。したがって天然物に限っては9月が年内ラストシーズンと言っても良いでしょう。初秋は産卵期直前ですので、夏よる脂がのることが多いと言われており、身質としては最も良い月と言えます。
シマアジのおすすめの食べ方
この時期のものは小さなものでも脂がしっかりと、しつこいくらいのっていますので、お刺身よりはお寿司の方が食べやすいかも知れません。小振りなものでお刺身すると歩留まりが悪くなる場合は、少し贅沢ですが焼物や煮物にすると良いでしょう。
ムロアジ
ムロアジは産地での評価は高く、鮮魚での消費はもちろん、クサヤを代表とする干物や節などに加工されているのですが、消費地での評価は低く、スーパーなどに並ぶことはまずありません。
暖海性の魚で1年中身質が大きく変わることはありませんが、漁獲時期である夏はマアジの美味しい時期なので、どうしてもこちらと比較されてしまいます。
産卵期は5~6月にかけてで、この時期に沿岸部に近付くため水揚げが増えそうですが、水揚げ統計を見ると7~10月が多くなっています(近種のモロなどと一緒に集計されていることが影響していると考えられます)。
主な漁場は伊豆諸島や太平洋の暖流に面した西南日本の沿岸で、宮崎県、鹿児島県、和歌山県、長崎県、大分県、高知県などで良く見られます。
ムロアジのおすすめの食べ方
鮮度が良ければ、お刺身がお勧めです。マアジのように脂はありませんが、あっさりした味わいで、タタキにするとネギ、生姜などの薬味ともよく合います。また、酢締めにしても美味しく頂くことが出来ます。
脂が少ない魚ですので、加熱調理する場合はソテー、ムニエル、揚物など油を加えた料理が良いでしょう。
クサヤの評価は賛否が綺麗に分かれますので、調理される場合はご近所への配慮を徹底して下さい。
クロアナゴ
クロアナゴは関東以南でよく見られ、大きくなると1m以上にもなるため、夏の東京湾では釣りの対象魚として人気があります。しかし、マアナゴと比べて味が落ちると評価されることもあり流通は少ない上に、値段もかなり低く抑えられています。そのためか、水揚げがそこそこ期待出来る時期であっても本種を目的とした漁はありません。また廃棄されてしまうこともあれば、良く似たダイナンアナゴと区別されることなく流通するなど、かなり雑な扱いを受けてしまうこともあります。しかし、実際には決して極端に味が落ちる訳ではありません。ただ、マアナゴと同じ時期に漁獲が増えること、大型が中心であるため小骨が目立ち調理に手間がかかることなどが評価が低い大きな要因と考えられます。
実際、島根県、長崎県、宮城県などの産地では普通に流通していますが、ここでも大きなものはあまり好まれてはいません。
クロアナゴのおすすめの食べ方
脂ののりもよく、透明感のある白身で、加熱しても硬くなりにくい、大きいものは歩留まりも良いなど、毛嫌いされる要因は少なそうです。しかしアナゴと言うと小骨が多いのがやっかいです。小さなものであれば加熱してしまえば気になりませんが、大きなものになると小骨とは言えないくらいに太くなるため、ハモのように骨切りが必要になります。また皮も厚くなりますので、皮を柔らかくする工夫も必要になります。しかし、面倒でも下処理をきちんとすれば、どのように調理しても美味しいお魚です。
※アナゴの血液にはウナギと同じように血清毒のLD50が混じっているため、鮮度が良くても安易に生食しないように注意して下さい。血清毒はたんぱく質なので60℃以上で5分間加熱すると無毒になりますが、生食する場合は徹底的に血を洗い流す必要があります。
アカアマダイ
アマダイは日本近海で5種確認されています。食用として流通しているのはアカアマダイ、キアマダイ、シロアマダイの3種ですが、一般的にアマダイと言えばアカアマダイを指します。
古くから高級魚として扱われており、福井県の若狭で獲れたアマダイに薄塩を振ったものは「若狭ぐじ」と呼ばれ京都や大阪では特に珍重されてきました。水揚げが多いのは山陰から北陸の日本海側で、山口県、長崎県、島根県、福井県などが産地としては有名です。1年を通して水揚げは確認出来ますが、多く出回る盛期は8月から12月にかけてです。いつが美味しいかについては諸説あり、北陸では8月頃から10月頃まで、山陰では夏としているところが多いようです。一方、太平洋側の駿河湾周辺では冬から春としており、この辺では遊漁船の釣りシーズンにもなっています。ただ、産卵期は9月頃から12月頃にかけてですので、夏から秋口が最も良いと言うことになりそうです。
アカアマダイのおすすめの食べ方
上品な白身で、脂は多くなく、肉質は柔らかく水っぽいため、そのまま食すのはお勧めできません。お刺身にする場合でも塩や昆で水分を適度に抜いた方が旨味が増します。加えて、その日のうちに食べるのではなく、下処理をした後、氷温で1~2日程度寝かせるとさらに旨味が増します。皮は柔らかく、皮下にうっすらある脂も美味しいので、湯霜造りがお勧めです。
アラからは良い出汁が出ますので、煮物や汁物などに使うと良いでしょう。鱗も良く加熱すると食べられますので焼物や揚物にすると良いでしょう。
イボダイ
イボダイの名前の由来は、エラの上部にある黒い斑点を、灸の後でただれた後(いぼお)に例えたとされています。
産地によって様々な呼び名があり、関東でエボダイ、愛知県でマメダイ、関西や徳島県でボウゼ、九州でモチウオやモチノウオ、中四国はシズとなど呼ばれています。これだけ地方名があると言うことは全国で馴染みのあるお魚ということになりますが、近年水揚げが減少しており、スーパーなどで見かけることはほとんどなくなりました。
また、特にここで多いと言う産地もなく、関東以南の太平洋沿岸、北陸以南の日本海沿岸でわずかずつ、まんべんなく確認出来ます。
水揚げが多いのは8月頃から11月頃までと2月から3月頃ですが、美味しい時期は秋とされています。
イボダイのおすすめの食べ方
一見すると鱗がなさそうですが、細かな鱗がかなりびっしりと付いていますので、取り残さないように調理する必要があります。
鮮度が良いものはお刺身でも良いのですが、どちらかと言うと軽く酢で締めた方が、クセも取れて良いようとされています。徳島県では郷土食の「ぼうぜの姿寿司」としてて人気があります。
秋のものは適度に脂ものっていますので、塩焼きや煮付けにしても美味しく頂くことが出来ます。また、干物に加工されることも多いお魚で、こちらは生鮮とは異なった旨味があります。
メダイ
1年中全国各地で水揚げがありますが、何故かメジャーな魚にならないお魚のひとつです。流通しているものの多くは50~60cmくらいですが、大きなものは1m程度にもなることに加え、歩留まりも良いお魚です。産地も伊豆半島沖から小笠原諸島、種子島や屋久島周辺など広く、鹿児島県ではプライドフィッシュにも指定されていますが、比較的深いところに生息しているため、水揚げが安定しないと言うのが欠点です。したがって、産地であってもスーパーなどに並ぶことはほとんどありません。
産卵期は冬なので、その前の夏から秋が旬となりそうですが、産地によって様々な説があり、三重県では春、鹿児島では1月から3月、山陰では7月から10月にかけてが美味しいとされています。
メダイのおすすめの食べ方
流通価格は安価な部類で、適度に脂が噛んだ白身はクセや臭みがなく、火を通しても硬くなりにくいなど、メジャーになっても良い要素ばかりですが、身質の個体差が激しいと指摘されるほど、当たり外れが多いお魚と言われています。なので、調理前に身質をしっかり確認して、それに見合った調理をすることをお勧めします。
脂が適度に噛んでおり、身に透明感がある場合は、どのような調理にも合いますが、身が白濁していたり、脂が少ない場合は、揚物やソテーなどに仕向けた方が無難でしょう。
マイワシ
マイワシは大きさによって呼び名が変わり、よく知られているところでは、シラス(体に色素がなく白い稚魚の総称)、平子(ヒラゴ 10cm未満)、小羽(コバ 10cm前後)、中羽(チュウバ 15cm前後)、大羽(オオバ 20cm前後)と呼ばれています。サイズごとに名前が変わるものを出世魚と言いますが、そう言う意味で言うとマイワシもその中のひとつかもしれません。
マイワシは大きくなると、体色は背が黒に近い紺色で腹は銀色に光り、七つ星(実際にはな七つ前後)と呼ばれる黒い斑点が背と腹の境目あたりに並ぶのが特徴です。しかし、七つ星は流通中に擦れて取れてしまうことも多いので、スーパーに並んでいるものにはないことがあります。逆に背と腹の色がしっかしていて、七つ星がしっかり残っていたら鮮度が良いものということにあります。
以前は日本海側に水揚げが集中していたのですが、近年は太平洋側、またここ数年は以前は水揚げがなかった北海道で増えるなど、産地は一変しています。また、1年中どこかで水揚げがあることに加え、水揚げ時期が年によってかなりずれることもあるなど、非常につかみどころがないお魚になっていますが、一般的には5月から10月にかけてが旬とされています。
マイワシのおすすめの食べ方
マイワシに限らずイワシ類はとにかく鮮度落ちが早いので、加熱調理であっても鮮度の良いものを選ぶことが大前提です。鱗がしっかり残っている、背の紺色と腹の銀色が明確、七つ星が残っている、眼に透明感がある、腹が破れておらず内臓が飛び出していない、ドリップが少ない、などを基準に選ぶと良いでしょう。
鮮度が良ければ、もちろんお刺身がお勧めですが、脂が多いと感じた場合には軽く酢締めした方が良いでしょう。
焼物、煮物、揚物など何でもできる万能選手ですので、旬の美味しい時期には、たくさん召し上がって頂きたいお魚のひとつです。
また、干物には程よい苦みと独特の風味があり、酒の肴にはもってこいと言われています。
アカエイ
アカエイは全国で水揚げがありますが、食卓にあがる機会が少ないお魚です。
古くは縄文時代から食べられており、昔は全国で食べられていたようですが、食生活の多様化に伴い徐々に消費されなくなってきました。関東以北での流通はほとんどなく、関西では市場流通もまだ見られますが、活物も野締めも同じように安値で流通しているため、生産者も積極的に獲ることはしていません。
エイの仲間はアサリなどの貝類を貪り食うため、特にアサリなどの2枚貝を生業とする漁師からは特に嫌われています。加えて、尾に毒棘があることも嫌われる要因です。アサリなどの2枚貝を主食とするため、これらが生息する河川や海水浴場などの浅い砂地に入り込むため、人との接触機会も増え、被害も毎年発生しています。万一刺されると激痛に襲われ、数週間も痛みが続いたり、アレルギー体質の人はアナフィラキシーショックにより死亡することもあるので非常に危険です。市場流通する場合、毒棘は切り取られていますが、浜辺などで生きたものに遭遇した場合は、興味本位で触ったりしないようにしなければなりません。
旬の時期は夏から秋とされています。しかしこの時期は繁殖期と被るので、身質が良いというより水揚げが多い時期と考えた方が良いでしょう。
アカエイのおすすめの食べ方
サメなどと同様に、軟骨魚類のアカエイは死んでから時間が経つとアンモニア臭がするので、食用とする場合は新鮮なものがお勧めですが、入手が難しい場合は、味噌、生姜、酒などで臭みを消す下処理が必要です。また、可食部分は肝と川と骨を取り除いたヒレのみで、それ以外に食べるところがほとんどないので歩留まりは無茶苦茶悪くなります。
韓国料理にはヒレの刺身(フェ)、肝の刺身などもありますが、アニサキスが寄生している場合があるので、これはお勧めしません。どうしても食べたい方は、ー20℃以下で、24時間以上冷凍したものを使って下さい。ただし、独特のアンモニア臭は覚悟して下さい。
一般的な調理方法は煮付け、煮こごり、味噌汁、唐揚げなどです。新鮮なものを使えば臭みはありません。酒の肴として有名なのは乾燥させたヒレで、軽く炙ると非常に香ばしくなります。郷土食として根付いている地域もあり、東北方面では、一旦干物にしたものを水で戻してから煮たりするなどの調理法もあります。
エソ(総称)
エソには、マエソ、ワニエソ、トカゲエソ、アカエソなど多数の種が存在しますが、区別して流通することはないと言って良いので、ここではまとめてエソとして紹介します。
ワニやトカゲなど爬虫類の名前が付いていることから想像出来るように、口は目の下まで裂けたように開き、小さな歯はまるでヘビかトカゲのようです。また、大きい鱗に覆われた体表にはヌメリがたっぷりあり、正直見た目はあまり宜しくありません。水揚げ時期は地域差があるものの、7~10月が多いようです。
このお魚は、そう大きくならないにも関わらず、小骨が太く非常に多いので、料理されることはまずありませんので、スーパーなどに並ぶことはないと言っても良いでしょう。ほぼ100%すり身にされて、蒲鉾などの原料になりますので、いつが美味しいと言う情報はありません。ただし、エソを原料にした蒲鉾はとても美味しいとされており、また煮干しに加工すると上品な出汁が取れることでも有名です。
エソのおすすめの食べ方
エソは上質の白身で全くと言ってクセがないお魚なのですが、太い小骨が嫌と言うほど入り組んでおり、骨切りしても口に残るため、一般家庭で調理されることはまずありません。
すり身にするのが一般的ですが、出来るだけ骨を取り除き、残った骨も口に当たらぬ程度にすり潰すなどの労力が必要です。
大分県佐伯市の郷土料理にエソの身を使った「ごまだし」と言うものがありますが、近年はアジやサバなど調理しやすい魚を使うことが多くなっており、やはり一般家庭で扱うお魚としては難易度が高いようです。
※ごまだしとは、魚を焼いてから身をほぐし、胡麻・みりん・砂糖と一緒にすり合わせ、醤油を足して仕上げた万能出汁。
カツオ
8~10月はいわゆる戻りガツオのシーズンです。実際のところ北上中のもの南下中のものが混じっているようなので、厳密に「戻り」とは言い難いところがありますが、いずれにしても脂はしっかりのっています。また、しっかり肥えた大きなものも増えます。
漁場は三陸沖が中心になるので、この時期のブランドカツオだと、宮城県の金華鰹がお勧めです。
カツオのおすすめの食べ方
この頃のカツオは脂がのってきますので、春から初夏のものとは異なる味わいが楽しめます。タタキやお刺身はもちろんですが、加熱してもパサつきにくくなりますので、ハラスの焼物、揚物、お吸い物など多種多様な料理を楽しむことが出来ます。
※カツオにはサバなどと同様にヒスチジンという成分が含まれており、鮮度が落ちて古くなるとヒスタミンというアレルギーを起こす成分に変化しますので、鮮度が悪いものは食べないようにして下さい。
ハガツオ
カツオに似ていますが、鋭い歯を持つことからハガツオと名付けられたと言われています。また、細長い顔つきからキツネガツオと呼ばれたり、背に幾筋も縦筋が入っていることからスジカツオと呼ばれたりもしています。他のカツオ同様に大きくなると1ⅿを超すこともありますが、流通しているものの大半は50cm前後です。また、本種を目的とした漁はあまり行われておらず、カツオやサバなどの混獲ですので、水揚げ自体は多くはありません。また鮮度落ちが早いためか、カツオほど人気もなく、産地か産地近くの消費地で流通する程度で、全国的な認知度は低いお魚です。
主な産地は鹿児島県から高知県、和歌山県など太平洋沿岸部と、長崎県五島から山口県、鳥取県や福井県など日本海沿岸部です。
日本近海で水揚げされるのは初夏から秋にかけてで、盛漁期は8~10月とカツオと漁期が重なるのも認知度が高まらない理由かも知れません。ただ、カツオと違って晩秋から冬にも水揚げがあり、脂もしっかりのるので、産地では人気の高いお魚となっているようです。
ハガツオのおすすめの食べ方
鮮度落ちが非常に早いため、お刺身で美味しく食べられるのは水揚げされた翌日くらいまでと言われていますので、必ず鮮度の良いものを選びましょう。生食する場合は、カツオのようにタタキにしても良いのですが、7~9月のものはまだ脂が薄いので、マリネやカルパッチョにした方が良いかも知れません。
身は加熱してもカツオのように固くはならないので、焼物、煮物、揚物などにしても美味しく頂くことが出来ます。
イシガレイ
大きいものでは60cm程にもなる大型のカレイです。表も裏側も鱗がなく、表側の背や側線に沿って部分的に骨質状の硬い板があるのが特徴で、これが名前の由来にもなっています。
イシガレイとしての水揚げ統計がないため、産地などの詳細は不明ですが、ほぼ全国で水揚げが確認されており、昔から安くて美味しい惣菜魚として馴染みがあります。しかし、活物での流通が発達したため、その価値も高まり、活物や鮮度の良いものはそこそこの値段で取引されるようになりました。
イシガレイも夏に美味しいお魚のひとつで、お刺身で食べるなら夏から秋口辺りまでですが、夏場の水揚げは正直期待出来ず、それなりの値段になります。反面、秋から冬の産卵期には底曳網で大量に漁獲されることもあり、安価での出回りも期待出来ます。特に子持ちのものは煮付け用として古くから親しまれています。
イシガレイのおすすめの食べ方
この時期に鮮度の良いものが手に入ったら、まずお刺身です。最も身質が良い時期ですので、プリプリとして甘味タップリの白身がご堪能頂けます。
もちろん加熱調理しても問題はありませんが、この時期の良いものは決してお安くないので、加熱調理するには少しもったいないかも知れません。
マガレイ
名前に「マ」が付くように、カレイの中では最も広く親しまれているお魚と言っても良いでしょう。
主な産地は北海道、東北地方、北陸地方などで、底曳網でまとまって水揚げされることが多く、カレイの中でも比較的値段の安い部類ですが、この時期は底曳網漁を行っている地域も少ないため、水揚げもそこまでは多くありません。
マガレイは1年中どこかで水揚げされていますが、これからは産卵を終えたマガレイが栄養を蓄えだす時期ですので、肥えたものが増えてきます。
マガレイのおすすめの食べ方
秋は底曳網漁シーズンではないため、水揚げが少なくお目にかかる機会は減りますが、逆に鮮度の良いものが手に入る可能性が高くなる時期でもあります。
もし大きくて良いものが手に入ったら、まずはお刺身がお勧めです。
マコガレイ
産卵期と真反対の夏場は、身が最も充実した時期になりますが、底曳網漁のシーズンではないため、水揚げはほとんどありません。以前はさしたる評価もされず流通していましたが、活物での流通が発達したことと、夏場の身の良さが評価され、今では活物を中心にかなりの高値で取引されています。中でも、大分県別府湾の城下かれい、富山県射水市新湊の万葉かれいなどは高い評価を受けています。
マコガレイのおすすめの食べ方
身質が最も良い時期ですので、丁寧に取り扱いされたものであれば、もちろんお刺身がお勧めですが、それなりの値段は覚悟が必要です。
ただし、気温が高い時期ですので、大きさだけで判断せず、身質をしっかりと確認してから購入しましょう。
メイタガレイ
メイタガレイは全国各地で水揚げされており、非常に馴染み深いお魚のひとつです。名前の由来は諸説ありますが、全て特徴的な飛び出した目によるものです。
主な産地は北陸から山陰地方にかけてで、特に愛知県、三重県、和歌山県、瀬戸内海周辺地域などに多く見られます。大きくなっても30cm程度にしかならない小型のカレイですが、中部以西では美味しいカレイのひとつとして人気が高く、活物はかなりの高値で取引されます。
産卵期が晩秋から冬にかけてですので、身質が良いのは初夏から初秋までとされています。
メイタガレイのおすすめの食べ方
7~9月は産卵期前で最も身質が良い時期とされていますので、鮮度の良いものが手に入れば、まずはお刺身がお勧めです。
小さなものや野〆のものは、煮物、焼物、揚物などにすると良いでしょう。
ウマヅラハギ
ウマヅラハギは、カワハギ、ウスバハギと共に、カワハギの仲間では数少ない食用魚です。カワハギの仲間は鱗がありませんが、皮が非常に硬くザラザラしており、皮を剥いで料理するところからこの名が付いたと言われています。加えてウマヅラハギはその名前の通り、顔が馬に似ているところから来ています。
ウマヅラハギに限らず、食用となるカワハギは、水揚げが比較的多く、スーパーなどにもよく並ぶ惣菜魚ですが、淡白な白身は上品な味わいで、食感はフグに例えられることがあります。また、肝が非常に美味しいことでも知られています。
日本海側でよく獲れ、主な産地は、石川県、富山県、福岡県などです。
美味しい旬の時期は、産地により諸説あり、夏の産卵期を旬とする地域もありますが、この時期は単に水揚げが増えるだけで、決して身質が良いとは言えません。身が充実するのは産卵明けの晩夏から秋で、肝が大きくなるのは晩秋から春先にかけてなので、寒い時期が最も美味しいようです。
ウマヅラハギのおすすめの食べ方
ポピュラーな大衆魚ですが、活物や活〆されたものはお刺身用として高値で取引されることもあります。
鮮度の良いものが手に入れば、まずはお刺身がお勧めで、肝も一緒に頂くことが事が出来ますが、スーパーなどに皮を剥いで並んでいるものは、見た目が良くてもお刺身には向きませんので、注意して下さい。
小さなものは唐揚げにすると美味しく頂くことが出来ますが、骨はとても硬いので食用にはなりません。焼物にする場合は、身自体が非常にあっさりしていますので、味醂や味噌に漬けた方が良いようです。
カワハギ
カワハギは、ウマヅラハギ、ウスバハギと共に、カワハギの仲間では数少ない食用魚です。カワハギの仲間は鱗がありませんが、皮が非常に硬くザラザラしており、皮を剥いで料理するところからこの名が付いたと言われています。このお魚を単に「ハゲ」と呼ぶ地域が多いのですが、関西などでは単に「ハゲ」というとウマヅラハギを指すため、カワハギを「マルハゲ」と呼び区別しています。
日本各地に分布していますが、暖海系のお魚なので西日本の水揚げの方が多いです。また、静岡県や愛媛県などでは養殖も行われています。
カワハギは肝が美味しいため、一般的には肝が大きくなる秋から冬にかけてが旬と言われています。夏を旬とする説もありますが、これはカワハギ自体が1年を通して身質が大きく変わらない上に、夏場に美味しい白身魚が少ないことが要因のようです。
カワハギのおすすめの食べ方
比較的ポピュラーな大衆魚ですが、活物や活〆されポピュラーな大衆魚ですが、活物や活〆されたものはお刺身用として高値で取引されることもあります。
鮮度の良いものが手に入れば、まずはお刺身がお勧めで、肝も一緒に頂くことが事が出来ますが、スーパーなどに皮を剥いで並んでいるものは、見た目が良くてもお刺身には向きませんので、注意して下さい。
小さなものは唐揚げにすると美味しく頂くことが出来ますが、骨はとても硬いので食用にはなりません。焼物にする場合は、身自体が非常にあっさりしていますので、味醂や味噌に漬けた方が良いようです。
シロギス
産卵を控え深場に移動するので、9月にはほとんど見られなくなりそうですが、何故かこの時期に再び浅場に寄って来きます。
サイズは小さなものが主体ですが、ほんとうに浅いとろで釣ることが出来るので、釣り好きな人にはトップシーズンとなり、10月中旬まで続きます。
シロギスのおすすめの食べ方
もし子持ちの大きなものが手に入ったら、煮魚がお勧めです。卵と一緒に独特の食感が楽しめます。小さなものは揚物が良いでしょう。
アユ
アユの寿命は1年で、秋になると川を下って産卵し、命尽きます。
この頃のものは「子持ち鮎」とか「落ち鮎」と呼ばれ、1年でこの時期にしか味わえない、真夏のものとはまた違った美味しさを楽しむことが出来ます。
アユのおすすめの食べ方
8月も下旬になると子持ちが出回り始めます。真子子を一緒に楽しむ場合、焼物、煮物が良いでしょう。子持ちの時期は11月くらいまで続きます。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
サケ
この時期のサケ漁は産卵のため川は回帰してくるものが対象となります。また、9月に解禁となるところが多い上に、9月が最盛期となるため、ニュースなどにも取り上げられることが多くなり、その姿があまり見られなくなる11月くらいまで続きます。
この頃に獲れるサケは「アキサケ」とか「アキアジ」とか呼ばれて流通することが多いです。
また別の呼び名として、未成熟魚を「鮭児(ケイジ)」、鱗がびっしりきれいに付いたものを「銀毛(ギンケ)」、婚姻色になったものを「ブナ」、婚姻色になり鼻先が大きく出張ったオスを「ハナマガリ」などがあります。
水揚げの大半は北海道で、本州ではあまり見られなくなっています。
サケのおすすめの食べ方
以前は塩蔵や乾物に加工されたものの流通が主体でしたが、流通の発達により、今では前日に水揚げされたものが翌日消費地に届くようになったため、様々な調理が可能になりました。
ただし、アキサキスなどの寄生虫がいることが多いので、お刺身にする場合は必ずー20℃以下で24時間以上冷凍したものを使用しましょう。
産卵期のため、身質は決して良いとは言い難いところがありますが、高たんぱく質・低脂質のため、和洋中どんな料理にも合います。
当然この時期は、身だけではなく、イクラや白子を楽しむことが出来る時期です。
※釣りなどを行う場合は、河川等を管理する漁協の許可が必要となることがありますので、必ず事前にご確認下さい。
タイセイヨウサケ
名前の通り、大西洋の北部冷水域に生息しているサケで、アトランティックサーモンと呼ばれ、以前は北米北欧の大西洋沿岸地域のみで消費されていました。1980年代からノルウェーで盛んに養殖されるようになり、その後、需要の高まりとともに、南半球のチリ、ペルー、オーストラリアのタスマニア島などでも養殖が始まりした。元々大きな需要があったことに加え、流通の発達により販路は世界中に広がり、現在では生鮮での空輸も増えています。世界中で消費されているるサケの中で最も需要が高く、ほぼ養殖で賄われています。日本国内でもサーモンと言うと、ほとんどがタイセイヨウサケを指します。また、他の養殖魚と比べて、骨取りフィーレやロインなどの加工品の割合が非常に多く、捌く手間などが大きく軽減されているのも、需要が拡大するひとつの要因でしょう。また、特に北欧、豪州では厳格な管理の元で養殖されているため、身質も非常に安定しており、1年中良質のお魚を口にすることが出来ます。
また、サケの中でも大型で、大きなものでは1ⅿを超えることもある上、体に比べて頭が小さく、歩留まりが良いのも特徴のひとつです。
タイセイヨウサケのおすすめの食べ方
養殖は寄生虫の心配がありませんので、ほとんどが生食用として流通しています。日本国内ではお刺身やスシネタとしての需要が定着しており、スーパーや寿司店には必ずあると言っても良いお魚になっています。
脂が多く、身が柔らかいので、加熱調理しても身が硬くなりにくいのも利点で、生食に限らず色々な料理を楽しむことが出来ます。ただし、脂が非常に多いので、お好み次第で、塩焼きなど幾分脂を落とすような調理や、ポン酢などあっさりとした調味料などと合わせる工夫も必要になるでしょう。
コノシロ
コノシロは大きさで呼び名が変わり、5cm位までの稚魚をシンコ、10cm位迄をコハダ、13cm位をナカズミ、それ以上をコノシロと呼び流通しており、初秋はコハダサイズの出回りが増えます。
シンコとは異なり、価格も一気に下がり非常にお安くなります。冬のコノシロほど脂はありませんが、あっさりした味わいと柔らかい身質は決してシンコにも引けを取りません。
コノシロのおすすめの食べ方
大きくなったとは言え、まだ10cm程度で、ご家庭での調理はまだ難易度が高いので、酢締めなどはお店で頂いた方が良いでしょう。
家庭で調理する場合は揚物が簡単ですが、骨が口に当たることが多いので細かく骨切りをして下さい。あんかけにしたり、南蛮漬けなどにするとさらに美味しく頂けます。
ゴマサバ
ゴマサバは、胴体の中央あたりから腹にかけては銀色の地に丸い黒点が一面に散らばっており、胡麻を散らしたように見えるのが名前の由来とされています。
ゴマサバの旬は一般に夏とされていますが、これはマサバは秋冬に脂を蓄えて美味しくなる一方、夏は身が極端に痩せてしまうことに対して、ゴマサバは1年を通して身質の変化はほとんどないため、マサバと単純比較されたためと言われています。また、ゴマサバはマサバのように季節に寄る水揚げの変動が少なく、ほぼ1年中安定した水揚げがあるようです。産地も紀州、四国、九州などマサバより暖かい海域であることが、水揚げが安定している要因のようです。
また、マサバ同様にブランド化も進められており、高知県土佐清水市の「清水サバ」や鹿児島県屋久島の「首折れ鯖」などが有名です。
ゴマサバのおすすめの食べ方
鮮度が良いものはお刺身で食べることも出来ますが、マサバ同様にアニサキスが寄生していることがありますので、どうしても食べたい場合は-20℃以下で24時間以上冷凍したものを使いましょう。
脂があるとは言っても、旬の時期のマサバほどになることはありませんので、どうしても物足りなさを感じてしまいます。お好みで少し濃いめの味付けにされたり、ソテーや揚物など油を加える料理などが良いでしょう。
※サバにはヒスチジンという成分が含まれており、鮮度が落ちて古くなるとヒスタミンというアレルギーを起こす成分に変化しますので、鮮度が良いうちに食べ切るか、余った場合は冷蔵ではなく冷凍することをお勧めします。
サンマ
サンマは広い海域を回遊するお魚で、南の暖流域で孵化した稚魚が成長しながら北上し、秋に産卵に向けて南下するとされていますが、詳しい回遊経路はまだわかっていません。また、寿命は2年程とされています。主な漁場は北海道根室沖から三陸沖を経て銚子沖の太平洋沿岸で、水揚げの半分強は北海道です。
例年であれば7月中旬から太平洋北東部からオホーツク海で漁が始まります。最盛期は9~11月で、9月頃までは北海道から東北、10月以降は三陸沖から銚子沖などでも水揚げ確認できるようになります。しかし、ここ数年は不漁が続いており、このパターンは通用しなくなっています。加えて、過去の数倍の価格で取引されることも増えています。このため、鮮魚店やスーパーなどでは生鮮の取り扱いを控え、解凍や輸入品の販売を増やすなどして対応していますが、決して安いものではありません。
とは言え、夏から秋の代表的な味覚ですので、シーズン中に一度はお召し上がり頂きたいものです。
サンマのおすすめの食べ方
脂がしっかりのったサンマはもちろん美味しいのですが、秋になると、脂も多少落ちてきて塩焼きなどにすると少し物足りなくなるかも知れません、そういう時はお刺身、酢締めなどがお勧めです。脂が少なくなることで、サンマそのものの味を楽しむことが出来ます。それでもまだ脂が気になる場合は、スダチなどの柑橘類と合わせるとし、さっぱりと頂くことが出来ます。
シイラ
シイラの名前の由来は、その形が身が詰まっていない不良の籾である粃(しいな)のように平べったいことからシイナと呼ばれ、それが訛ってシイラに変わったと言われています。中国地方などで万作(マンサク)と呼ぶのは、シイナが不作を意味しており不吉であるため、その逆を敢えて付けたそうです。
外洋の暖流域に面したところでは水揚げがあるため、九州全域、関東までの太平洋側、山陰などでは昔から水揚げがありますが、最近では、夏限定とは言うものの東北や北海道でも水揚げが確認されています。
シイラは海水温が上がる7~10月頃に水揚げが増えるので、夏を旬としているところが多いです。ただし、産卵期が春から夏にかけてと、水揚げが多くなる時期と少し被るため、出始めのものは少し痩せているかも知れません。産卵期のことを考えると、秋から冬の方が身質が良いと考えるのが普通ですが、そのころはさらに温かい海域に移動するため、日本近海でお目にかかることはまずありません。
シイラのおすすめの食べ方
シイラの体表のぬめりには表皮粘膜毒と呼ばれる弱毒が含まれ、摂取すると下痢や嘔吐などの食中毒を起こすことがあります。加えてアニサキスが寄生していることがありますので、いくら鮮度が良くても生食は要注意です。生食する場合は皮をしっかり洗ってぬめりをしっかり取った上で、念のため皮は取り除き、ー20℃以下で24時間以上冷凍すしたものを使って下さい。ちなみに表皮粘膜毒は熱に弱いので、加熱調理する分には問題ありません。
下処理が厄介ですが、安価で美味しいお魚のひとつですので、機会があればトライして下さい。
この時期は身質も改善してきていますので、照焼き、味噌漬け、味醂漬けなどの和食でも美味しく頂けます。
※シイラにもサバと同様にヒスチジンという成分が含まれています。これは、鮮度が落ちるとヒスタミンというアレルギーを起こす成分に変化しますので注意が必要です。特にシイラは鮮度落ちが早いので、とにかく鮮度が良いうちに食べ切ってしまうか、それが難しい場合は冷蔵ではなく冷凍することをお勧めします。
タチウオ
タチウオは、日本近海は元より、世界中の亜熱帯や温帯海域に生息しています。また、釣物や特大サイズを除けば、比較的安価で流通しているため、とてもポピュラーなお魚です。
名前の由来は、「太刀(たち)」のように見えると言う説や、体を立て「立ち泳ぎ」する様子が由来とする説などがありますが、はっきりはしていません。
主な産地は、愛媛県、和歌山県、大分県、広島県、長崎県、鹿児島県、熊本県などで、特に近年は九州が増えています。逆に瀬戸内海はかなり少なくなっています。
1年中水揚げがあり、身質も大きく変化しないため、旬を感じにくいお魚のひとつですが、産卵期である6~10月に食欲が旺盛となり、水揚げも増えることから、夏から秋を旬とする地域が目立ちます。冬を最も良いとする地域もありますが、この時期の水揚げはほとんどありません。
タチウオのおすすめの食べ方
タチウオは皮が非常に薄く引きにくいため、どのような料理をするにしても皮付きが基本です。特にお刺身にする場合は、鮮度が悪いと皮に臭いが付いていることがあるので、銀がしっかり残った鮮度のが良いものを選びましょう。また、基本的に身が薄いお魚ですので、出来るだけ大きなものを選んだほうが捌きやすく、また、脂がのっているので、美味しく頂くことが出来ます。
お刺身には厳しいものは、焼物や煮物にすれば美味しく頂くことが出来ます。ただし、小骨が多いお魚ですので、加熱調理であっても、出来るだけ下処理時に取り除いておいた方が良いでしょう。ただし、小さなものであれば、背鰭や中骨を揚物にして頂くことも出来ます。
テンジクダイ
テンジクダイは大きくても10cm程度と小さなお魚です。全国で水揚げは確認出来ますが、食用として流通しているのは、岡山県、広島県東部から中部、徳島県、香川県など瀬戸内海に面する地域のなどに限られています。な魚で、何でこんな名前になったのかすらもはっきりしていないようです。
天竺(インドの古称)と言う名前が何故付いたのかについては不明ですが、自然発生した名称ではなく、学者が付けたのだろうと言われています。
標準和名で流通することはなく、消費地ではネブトとかメンパチと呼ばれており、季節になるとスーパーにも並ぶ人気が高いお魚で、じゃこ天などの原料としても利用されています。しかし、上述した地域以外では雑魚扱いされているため、もったいないことにほとんどが選別もされず廃棄されているようです。
9月を迎えると水揚げも徐々に減ってきて、来春までシーズンオフとなります。
テンジクダイのおすすめの食べ方
頭の骨が硬く、大きくて硬い耳石を持っているためいずれも取り除く必要があります。また、鱗や内臓はもちろん、ヌメリや血合いもしっかり洗い流しておかないと臭みが残るため、しっかりした下処理が必要です。加えて小さなお魚のため、最終的な可食部分は3割から4割程度と歩留まりも悪いです。唯一の救いは包丁など使わずとも、手だけで処理できることくらいです。しかし、小さな体に似合わず旨味が非常に強いお魚ですので、手間の見返りは期待出来ます。
とにかく小さいので、お刺身、焼物、煮物などの調理は不可能に近く、基本的に揚物となります。中骨は柔らかいので、二度揚げまでせずとも食べることが出来ます。素揚げの場合は、塩や柑橘などで頂くと香ばしさが際立ちます。三杯酢や南蛮漬けにする場合は、軽く打ち粉してからを揚げたものを使うと良いでしょう。
少しレアなですが煮干しも作られていますので、こちらはだし汁などで戻して、酢の物にすると頭から丸ごと食べることも出来ます。とは言え、硬いことに変わりはないので、気になる方は頭だけは外した方が良いでしょう。
トビウオ
トビウオは細かく分けると数十種類もおり、その特徴は様々ですが、一見して区別することは難しいため、全てまとめてトビウオとして流通することが多いです。その中でもて市場に良く出回り、比較的区別されているものには、トビウオ(ホントビウオ)、カクトビ(ハマトビウオ、ツクシトビウオ)、マルトビ(ホソトビウオ)などがいます。
このお魚はトビウオと言う代表的な名前が付いており、全国で水揚げが確認出来ます。しかし、市場流通しているのは関東近辺くらいで、何故かカクトビやマルトビほどの需要がありません。しかし、ハマトビウオに次いで大型なので、鮮度の良いものはお刺身用としてトビウオの中では比較的良い値段で取引されています。
トビウオは普段は概要を回遊していますが、9~10月頃の産卵期に接岸してきますので、8~10月頃に水揚げが増えます。抱卵の時期と重なり、多少身は痩せていますが、外洋回遊中の水揚げは皆無に近いので、この時期が旬となります。
トビウオのおすすめの食べ方
鮮度が良いものであれば、お刺身で頂くことが出来ますが、血合いが多く、青魚特有のクセが少しありますので、出来れば鮮度だけではなく、血抜きなど下処理がしっかりしたものを選ぶようにしましょう。そうものの入手が難しい場合は、薬味を多めに入れたタタキや、ナメロウのように味噌などで味を調えた方が良いでしょう。
ただし、産地では鮮魚としての利用はあまり多くはなく、すり身にして蒲鉾や竹輪の原料になったり、出汁用の煮干しになったりなどしています。山陰や九州ではトビウオのことを総じてアゴと呼ぶことが多く、あご竹輪やあご出汁は広く知られています。
ニギス
一見するとキスの仲間のようですが、ニギス科の別種です。ニギスは漢字で似鱚と書くように、キスに似ていることからる名付けられたとされています。他にも様々な呼び名がありますが、沖ギス、沖イワシ、沖ウルメなど、いずれも何かに似ていることから名付けられたものばかりです。
ニギスは海底に棲息しているため、底曳網漁での水揚げが基本となりますので、底曳網漁が盛んな日本海側の石川県、新潟県、島根県などでの水揚げが多く、特に島根県沖は日本有数の好漁場として知られています。
ニギスは1年を通して水揚げがあり、季節による身質の違いもさほどありませんが、食欲が旺盛になり、脂がのるのは5月頃と9月頃と言われています。産卵期は3~4月と、9~11月の年2回で、この前後は比較的水揚げが多くります。
あまりメジャーなお魚ではありませんが、旬の時期には美味しい上に安いので、財布に優しいお魚と言えるでしょう。
ニギスのおすすめの食べ方
ニギスは水分が非常に多いため、鮮度落ちが著しく早く、水揚げされるとすぐに干物などに加工されることが多いので、鮮魚で出回るのは産地でもごくわずかです。鮮度が良ければお刺身も可能と言われていますが、これは産地でもかなり難しいです。
基本的に焼物、煮物、揚物などに向けられますが、前述したように水分が非常に多いので、調理前に適度に水分を抜く下処理が必要となります。また、調理中も丁寧に扱わないと、すぐに身崩れしてしまいます。干物を使うと身崩れしにくくくなりますので便利ですが、塩味が強いので、配慮した味付けが必要です。
ワラスボ
ワラスボは有明海にのみ生息する珍魚です。内臓や血管が透けて見えるような紫色のヌルヌルとして気味が悪い細長い魚体と、歯がむき出しになった醜悪な面構えは非常にグロテスクで、映画「エイリアン」の怪物にそっくりですが、これもハゼの仲間です。
普段は巣穴に潜んでいるので、ナギナタのような道具で泥の中をひっかき回して獲ります。この漁法は有明海の夏の風物詩になっていますが、実際には底引網で獲れる方が多いようです。ムツゴロウと同じく、産地以外での流通はないと言っても良いでしょう。
産卵期は6~9月とされており、この前後に水揚げが増えます。
ワラスボのおすすめの食べ方
産地では普通は味噌汁や煮付けにして食べるのが一般的ですが、鮮度が良いものはお刺身にすることもあるようです。
また、干物に加工したものは、食べ易い大きさに切って揚物や焼物にしたり、ふぐのひれ酒のようにお酒に浸したり、粉末状にしてご飯のふりかけにされたりもしています。
キジハタ
キジハタは、非常に味がよく、水揚げも少ないため、特に活物など鮮度の良いものは高級魚として流通することが多く、産地でもなければ一般の食卓に並ぶことはまずありません。
主に福井県あたりから九州にかけての日本海沿岸や瀬戸内海で水揚げが見られますが、前述した通り、その量はわずかです。
美味しい時期は秋から冬の寒い時期とされていますが、少ないながらも1年中水揚げがあり、また身質が大きく変化することもありません。しかし、夏の産卵期だけしてどうしても身が痩せてしまうため、この時期のものと、産卵明け早々のものは避けた方が無難かも知れません。ただし、産卵明けは食性が戻るため、水揚げが増える傾向にあるため、少ないながらも見かける機会が増えます。
キジハタのおすすめの食べ方
キジハタは、クセや臭みがなく、引き締まった肉質が特徴です。活物は身が反り返ることもあるので、1~2日寝かせてから調理した方が良いでしょう。また、小さな鱗がビッシリと付いており、取り除き損ねると食味が悪くなりますので、丁寧に取り除くことが必要です。
旨味が強いお魚ですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。また、皮下の脂やアラからも良い出汁が出ますので、骨と内臓以外は余すことなく食べることが出来ます。
クエ
クエはハタの仲間の大型魚で、1mを優に超えるものもいます。九州ではアラとも呼ばれ、主に冬場の鍋料理ではとても人気が高く、特に大きなものはかなりの高値で取引されています。
和歌山県や五島列島などでは養殖もされていますが、その量もわずかで、養殖物であって高価です。
主な産地は、鹿児島県、長崎県、高知県など主に西日本です。水揚げはがほとんどなきに等しい状態で、あったとしてもほとんどが高級料亭直行のため、なかなか口にすることは出来ません。
クエは鍋料理で知られていることから、冬に美味しい魚というイメージが強いのですが、身質は1年を通して大きく変わることはありません。ただし、数が少ないこともあるため、資源保護の観点で春から夏の産卵期は避けた方が良いでしょう。
クエのおすすめの食べ方
クエは活物か活〆の流通が基本のお魚です。このため、すぐに調理すると鮮度が良すぎて身が反り返ったりしますので、どのような料理をするにしても、少なくとも1~2日寝かせた方が良いでしょう。また、1尾丸ごと購入するのは無理な話なので、購入される場合は専門店で柵にしたものを分けてもらうと良いでしょう。
鍋料理はもちろんのこと、お刺身や煮物、焼物、揚物など、どのような料理にも合わせることが出来る万能魚です。
また、は捨てるところが無いお魚と言われており、アラはもちろん、調理法によっては鱗、胃袋、肝も美味しく食べられます。
鱗はサクサクになるまで揚げると、香ばしくなり、美味しく頂くことが出来ます。
ハモ
ハモは特に関西で珍重され、京都の祇園祭や大阪の天神祭には、なくてはならないお魚とされています。しかし他の地域で食する機会は料理屋くらいで、関西のようにスーパーなどに並ぶことはほとんどありません。
主な産地も西日本に集中しています。ハモの統計はここ数年行われていませんので詳細は不明ですが、兵庫県淡路島周辺、徳島県、豊後水道周辺(大分県、愛媛県)などで水揚げが多く見られます。
ハモは「梅雨の水を飲んで美味しくなる」と言われており、産卵前の6~7月あたりが最も美味しいとされ、祭りの時期と重なるため1年の中では最も値で取引されます。産卵後の9月は最も水揚げが最も多い時期とされていますが、この頃は身が痩せているために1年で最も安い時期のようです。しかし、実が再び充実する10~11月の晩秋あたりに獲れる物は評価が高く、体表が金色を帯びてきますので「金ハモ」とも呼ばれ珍重されます。
ハモのおすすめの食べ方
ハモは細長い上に、体中に細く頑丈な骨が複雑に入り組んでいるため、料理するためには骨を全部貫くか、骨切りするなどの工程が必要です。ご家庭で料理される場合は、あらかじめ下処理をしたものを購入された方が良いでしょう。ただし、お店で販売しているものには、解凍したものなどもありますので、出来れば生鮮で、かつ鮮度が良いものを選んで下さい。
基本の料理は湯引き、蒲焼、塩焼き、天ぷらなどですが、鮮度が良いものはお刺身で食べることも出来ます。
アオダイ
イサキの仲間のように見えますが、フエダイの仲間です。標準和名で呼ばれることはほとんどなく、沖縄県ではシチューマチ、鹿児島県ではホタ、伊豆諸島周辺ではアオゼなど様々な名前で流通しています。高知県ではウメイロと呼ばれており、近縁種のウメイロ(標準和名)と区別することなく流通しています。一般には馴染みがないお魚ですが、上品な白身の白身の評価は高く、水揚げも少ないことから、鮮度の良いものは高値で流通することが多いです。
主な産地は、沖縄県、鹿児島県、伊豆諸島など暖かい海域です。暖海系のお魚ですので、1年を通してあまり身質が変わらないと言われています。夏が産卵期ですので、この時期は外した方が良いように思われますが、夏~初秋には水揚げも増えることから、この時期を旬とする傾向が高いようです。
アオダイのおすすめの食べ方
鮮度が良いものが手に入れば、まずははお刺身がお勧めです。お刺身にする場合は、皮下にはとても美味しい脂があるので、皮付きで頂きたいです。ただし、少し硬い皮ですので、切り込みを入れてから、しっかり目の焼霜造りにした方が良いでしょう。
加熱調理する場合には、ソテー、ムニエル、揚物など、油を加える料理の方が良さそうです。煮物は身が硬くなりますので、正直あまりお勧めはしません。
カンパチ
カンパチは、お刺身向けの魚として流通することが多いため、基本的に高級魚として取引されています。アジ科の中ではヒラマサに次いで大きくなり、大きなものは2m近くになります。近縁種にヒレナガカンパチがいますが、こちらは大きくても1ⅿ程度です。
ブリと同じく成長とともに呼び名が変わる出世魚と言われてはいますが、呼び名は地方やその時々で異なりますので、正直なところはっきりしていません。関東周辺では、30cm位までをショッコ、60cm位までをシオゴ、80cm位までをアカハナ、それ以上をカンパチと呼びますが、全国的にはどのサイズもカンパチで流通しているようです。
産地としては、天然物だと長崎県、鹿児島県、高知県、福岡県などです。養殖も盛んに行われており、産地としては鹿児島県が全体の半分程度と抜きんでており、その他は愛媛県、宮崎県などです。
美味しい旬は夏から秋と言われていますが、この時期は産卵期から産卵期明けとなりますので、正直なところ良い時期とはは言いにくいのですが、水揚げが増えること、時期に暖海性のお魚のため、ブリとは違い身質に大きな変化がないこと、冬のブリと夏のヒラマサの合間を埋めるような使い方を良くされることなどから、この時期を旬としているのではないかと推察されます。
カンパチのおすすめの食べ方
お刺身向けとして丁寧な扱いを受けることが多いお魚ですので、まずはお刺身をに勧めざるを得ません。
脂ののりは、寒ブリほどではないものの、適度に程良くと言う感じですので、どのような料理にも合わせることが出来ます。
養殖を召し上がる場合が、寒ブリに負けないくらい脂がのっているので、逆に少し脂を落とす意味でも、焼物や煮物などにした方が良いかも知れません。
キュウセン
メスの体に9本のラインが入っており、これから「九線」という漢字が当てられたのが名前の由来らしいです。大きくなって雄になり青くなったものを「青ベラ」、小振りの小さいものを色合いから「赤ベラ」などと言うので、恐らく違う種類として認知していたのだろうと考えられます。
キュウセンはほぼ全国に生息していますが、食用とするのは西日本の瀬戸内海に面する地域に限られるようで、関東地方では見向きもされないようです。
旬は産卵期前の6月くらいから、産卵期に当たる7月から9月と言われています。産卵期は身に栄養がなくなるので敬遠されることが多いのですが、この魚は水温が下がると(15℃以下)になると砂に潜って冬眠してしまうので、お目にかかれなくなります。
キュウセンのおすすめの食べ方
キュウセンの身は少し水っぽいので、水分を軽く抜く下処理が必要です。この時期ものは適度に脂がのっていますので、鮮度が良いものが手に入ったら、少々面倒でもお刺身がお勧めです。派手な皮には少し抵抗があるかも知れませんが、皮下の脂も美味しく、皮も柔らかいので、湯霜か焼霜造りがお勧めです。
塩焼きにすると、ほくほくした上品な白身が味わえます。
また、お刺身や塩焼きに出来ない小さなものは、唐揚げや南蛮漬けにすると、骨まで美味しく頂くことが出来ます。
キハダ
キハダは世界中の温帯から熱帯で広く漁獲され、ツナ缶などの原材料としても重要で、世界的に需要があります。今では安価でポピュラーなマグロとして、スーパーなどに良く並んでいますが、冷凍や物流技術が未発達であった頃は、近海で水揚げのある高知県、三重県、九州各地などの産地と、産地に近い関西地方でのみ消費されていました。
現在では、冷凍はもちろん、生鮮の輸入含めて1年中流通していますので、旬かわかりにくいお魚のひとつになってしまいました。
産卵期は、赤道及び熱帯域では周年、西部太平洋では4~7月と言われており、1年中どこかで産卵を迎えていることになりますが、日本近海では産卵期の夏に水揚げが増えますので、夏を旬としています。
キハダのおすすめの食べ方
生鮮のキハダの身は、特別大きなものを除き、鮮やかな薄いピンク色をしており、脂肪分が少ないのが特徴で、赤身の割にあっさりした味わいです。
お刺身でも美味しいのですが、旨味が足りないと感じられた場合は漬けにすると良いでしょう。
ハラミやカマは非常に安価で出回っている上に、脂がしっかりのっていますので、焼物にすると良いでしょう。
また、産地でないと難しいですが、この時期は卵が流通することがありますので、入手出来たら煮付けがお勧めです。
マナガツオ
カツオと言う名前が付いていますが、カツオとは似ても似つかぬ容貌に加え、身質も全く異なります。江戸時代に書かれた「本朝食鑑」によれば、「カツオの鱠(なます)は世間で広く知られているが、これは鮮度のいいカツオでなければならない。京都は海から遠く、新鮮なカツオが手に入らないので、代わりの魚のカツオに学び鱠で食べている。」とされており、ここから学鰹(まながつお)と名付けたと記されています。
体は楕円形で側扁し、背ビレと臀ビレがカマのような形に大きく発達しています。また、頭部が小さく、それに準じて目や口も非常に小さくなっています。また、一見するとウロコがないように見えますが、実際には燻銀色の細かいウロコが沢山あります。ただし、非常に剥がれやすいため、特に網で獲られたものは地肌がむき出しになっていることもあります。
主な産地は東シナ海に面した九州東岸から南九州と、瀬戸内海ですが、いずれの海域も水揚げが減少しており、鮮度の良いものは高値で取引されることが非常に多くなりました。
漁期は地域により異なります。瀬戸内海では産卵のため入って来る初夏から秋までで、少ないながら水揚げは増えるものの、やや身が薄く、脂ののりもいまひとつで、あっさりした味わいになります。東シナ海は12月頃から翌春先までで、この時期は脂ののりも良く、最も身が充実した季節となります。
マナガツオのおすすめの食べ方
上述した通り、細かい鱗が残っているので、しっかりと取っておく必要があります。また、身が非常に柔らかいので、丁寧に優しく取り扱う必要があります。
この時期は、産卵期のためやや身が薄くなっていますので、お刺身にする場合は、鮮度はもちろんですが、少し大き目のものが必要です。焼物にする場合は、少し旨味が足りないので、味醂や味噌に軽く漬け込んだものを使ったり、ソテーなどにすると良いでしょう。アラは煮物やお吸い物にすると、冬場のものよりあっさりとした上品な味わいとなります。
アカムツ
アカムツは、口の中を覗くと奥が真っ黒になっており、これが流通名のノドグロの由来となっています。また、名前にムツと付きますが、ムツ科のお魚ではなくホタルジャコ科のお魚です。味がとても良く、白身のトロと呼ばれるほど脂がのっていることから、もっぱら高級魚として取引されています。
アカムツは大きいものだと50cmを超えることもありますが、普通市場に出回るものは大きくても30cm前後で、20cmくらいのものが多いです。
産地は、富山県などの北陸から、島根県などの山陰地方など日本海側で多く獲れ、太平洋側ではあまり見られません。各地でブランド化も進められており、島根県の「どんちっちノドグロ」、長崎県の「紅瞳」などがあります。
また、近年はその人気の高さからか、韓国からの輸入も増えており、国産と比べると安価なことから、スーパーや回転寿司などで見かけることもあります。
美味しい旬の時期には諸説あり、晩秋から冬と言う説があるかと思えば、真逆の産卵前7~8月と言う説もあります。また、子持ちの煮付けを重宝する地域では9月頃を最良とする地域もあります。
ただし、1年中脂がのっていることは事実ですので、その時々の身質に合わせた調理をすれば、年中楽しむことが出来るのは間違いないでしょうが、ここでは春、夏、冬を旬として紹介します。
アカムツのおすすめの食べ方
抱卵したものが手に入ったら、とにかく煮付けがお勧めです。味付けは控えめにしておくことで、適度に脂を含んだ白身と、芳醇な真子を楽しむことが出来ます。
アマエビ(総称)
ここでは国産のアマエビを紹介しますが、アマエビと言う呼び名は流通名で、標準和名はホッコクアカエビ、もしくホンホッコクアカエビです。前者はロシアから日本の日本海側で獲れます。後者は北欧や北米など北大西洋で獲れ、スーパーや回転寿司などでよく見られるのはこちらです。この2種は本当にそっくりで、ぱっと見で区別するのは難しく、産地で判断するくらいしか出来ません。
国産のアマエビはは1年中水揚げがありますので、お目にかかる機会が多そうな気はしますが、輸入品と比べてかなり高いこと、冷凍や加工品での流通がほとんどないこと、鮮度落ちが早いことなどから、産地や料理専門店でもない限りお店に並ぶことはまずありません。したがって、食べたい場合は料理専門店に問い合わせして入荷がある場合に予約するか、水揚げが多い時期に産地に行くくらいしか手がありません。
美味しい旬の時期についても悩ましいくらい複数の説があります。晩秋から冬にかけての海水温度が下がる時期が良いと言う説、北陸地方では休漁明け9月上旬から10月と言う説、北海道では水揚げピークの5月などと言う説などがありますが、いずれも明確な根拠はありません。ひとつ言えることは、抱卵しているものは間違いなく身が痩せていると言うこと、産卵後はさらに身が痩せると言うことです。ただし、卵は食べることがありますので、産卵明けの6~8月だけは避けた方が無難と言うことになりそうですので、ここでは産卵明けの夏以外を旬として紹介します。
アマエビ(総称)のおすすめの食べ方
アマエビは基本生食用ですので、鮮度が命です。鮮度が良ければ、頭を抜いたときに背ワタも一緒に獲れますし、芳醇なミソも一緒に味わうことが出来ます。抱卵したものであれば、卵のプチプチ食感も一緒に楽しむことが出来ます。ただし、適正に管理することが出来れば、1日程度置いた方が、獲れたてより甘味が増巣と言われています。
お刺身には少し厳しい場合は、殻付きのまま調理すると良いでしょう。お勧めは塩茹で、唐揚げ、炒め物、汁物などです。ただし、頭の先のトゲは口に刺さることがありますので、取り除いておいた方が良いでしょう。
ヨシエビ
ヨシエビは大きくても20cm程度までの中型エビです。西日本に産地が多いため、東日本以北ではほとんど馴染みがありませんが、クルマエビほどではないものの、食味の良さからスシネタや天ぷらネタとしての需要も多く、クルマエビほどではないものの活物はそこそこの値段で取引されており、産地であってもスーパーなどに並ぶことはほとんどありません。また、標準和名で呼ぶ地域も少なく、近畿圏以西ではシラサエビと呼ぶ地域が多いです。
主な産地は、愛知県三河湾以西、及び若狭湾以西で、種苗放流している地域もあります。また、東南アジアなど海外にも生息しており、各地で重要な食用エビとなっています。
まとまった水揚げはないため、本種を目的とした漁はなく、様々な漁法で混獲されていますので、1年中水揚げがありますが、比較的水揚げが増えるのは初夏から秋にかけてで、この時期を旬とする地域が多いです。しかし、この時期のメスは卵巣が発達しているため、本当に美味しいのは冬とする地域もあります。ただし、冬場の水揚げは多くありません。
ヨシエビのおすすめの食べ方
ヨシエビはどのような料理をするにしても活物が基本となります。黒変したり、白濁したものや、ドリップが出ているものは、臭いもあり風味も失せていますので、避けた方が良いでしょう。また、砂泥地に生息していますので、調理する前ににしっかり洗って、背ワタは必ず抜いておきましょう。
生きているものであれば、お刺身と行きたいところですが、このエビは加熱した方が旨味が増すと言われていますので、まずは、塩茹で、塩焼きがお勧めです。次いで、天ぷら、お刺身と言う順番でしょうか。頭や殻からはとても良い出汁が出ますので、天ぷらなどにする際には捨てずにとっておき、お吸い物などに使いましょう。
ゾウリエビ
ゾウリエビは、見た目が草履(ぞうり)にそっくりなところから名付けられています。ちなみに英名もslipper lobster(スリッパー・ロブスター)とスリッパにそっくりなところから来ています。
ウチワエビと比べると、体にやや厚みがあるものの、大きさは15~20cmとほぼ同じです。ただし、殻は極めて厚く硬く、歩留まりは非常に悪いです。
また、余程ジッとしていることが多いのか、ウチワエビなどとは異なり、特に頭部周辺ににフジツボやエボシガイが付着しているものが多いです。
市場の評価は高く、産地であっても高値で取引されることが多いため、活物での流通が基本です。
産地は暖流域に集中しており、沖縄県、鹿児島県では良く見られます。ただし、本種を目的とした漁はなく、イセエビ漁の混獲ですので、沖縄県ではイセエビの解禁時期である9月から春くらいまでがゾウリエビの水揚げ時期となります。
ゾウリエビのおすすめの食べ方
死んでしまうと、臭みが出る上に、身が痩せてしまうので、とにかく生きているものが前提です。しかし、生簀で数日生かしたものは身が痩せている場合があります。
見ての通り、頭が大きく、体が小さく、殻も分厚いので、歩留まりは極めて悪いですが、まずはお刺身がお勧めです。イセエビに負けない芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
もちろん、塩茹で、焼物などシンプルに味わって頂いても結構ですし、変わり種では天ぷらもお勧めです。もちろん、殻からは美味しい出汁が獲れますので、汁物もお勧めです。
アサヒガニ
アサヒガニの最大の特徴は、一般的なカニ類の尾が退化し完全に腹部に折りたたまれているのに対し、はエビのように頭胸甲の後方に出ていることで、このため原始的な形態を残すカニと言われています。また、名前の由来とされている、生きている時の甲羅の色が鮮やかな橙赤色をしていることも特徴のひとつです。
海外から活物や冷凍で輸入されることが多いようですが、国内でも九州南部で水揚げされており、味の良さと希少性から高級品として扱われています。
主な産地は、鹿児島県の種子島、屋久島、奄美大島海域で、他に高知県、三重県、和歌山県でも確認出来ますが、こちらはごくわずかです。
アサヒガニは5~10月に産卵期を迎えることもあってか、鹿児島県では6~7月、種子島では5~10月までが禁漁とされています。旬の時期については諸説あり、11~12月の冬と言うところもあれば、春先を旬として紹介しているところもありますが、ここでは解禁明けで身が充実しているであろう秋から冬を旬として紹介します。
アサヒガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
アサヒガニは旨味はあるものの、やや水っぽい身質なので、鮮度が良くても生食にはあまり適しません。蒸したり焼いたりした方が、水分が抜けて旨味が増すことに加え、ミソはもちろん、時期によっては内子も一緒に楽しむことが出来ます。殻からはとても良い出汁が出るので、甲羅や足先など可食部位が少ないところは汁物に使うと良いでしょう。
ケガニ
ケガニはクリガニやトゲクリガニなどと同じクリガニ科のですが、クリガニやトゲクリガニは安価なのに対し、ケガニはオスで甲長15cmと大きくなるため、身がしっかりあることに加え、身やミソの美味しさから高級品として流通しています。
主な産地は、胆振、日高、網走、宗谷、十勝、釧路などの北海道沿岸各地と岩手県です。以前は大量に水揚げがあったとされていますが、今では最盛期の10分の1程度まで減少しているため、各地で厳しい規制が行われています。メスガニ、甲長8cm未満、脱皮直後ののものはリリースされます。加えて、リリース時に傷ついていたりすると死んでしまうため、必ず籠を使って漁をしなければなりません。また、漁が行える船隻数、1隻が使える籠の数、漁期中の水揚げ総量などの制約もあります。
ケガニは冬にになると出回るが増えるようなイメージがありますが、実は1年中どこかで水揚げがあります。それぞれの漁期は、胆振で6~7月、登別から白老町沖で7月中旬から8月中旬、日高で12月~4月、十勝と釧路で1~3月と9~12月、オホーツク沿岸は流氷がなくならない塗料が出来ないため、網走で3~8月、雄武町で3月下旬~7月下旬、宗谷で3月15日~8月21日となります。道外の岩手県では12~3月となっています。
それぞれの産地で、最も身質が良いであろう時期に漁が行われていますので、他のカニ類とは異なり、いつでも美味しいケガニに巡り合うことが出来ます。
ケガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。高いカニですので、慎重に選びましょう。
新鮮なものはお刺身で食べることも出来ますが、クリガニの仲間は足が短くいので、可食部分はわずかです。やはりお勧めお薦めの食べ方は、茹でるか蒸すかしたものの身やミソをほぐして食べることです。クリガニの仲間は何と言ってもミソが美味しいので、この食べ方が一番でしょう。
もちろん、良い出汁が出ますので汁物にも最適です。また、グラタン、パスタ、サラダ、コロッケなどの洋風料理でも、他の具材に味が負けることなく、ケガニの芳醇な味わいを楽しむことが出来ます。
ベニズワイガニ
ベニズワイガニは松葉ガニでも知られるズワイガニの仲間で、姿形はそっくりですが、その名の通り加熱しておらずとも既に赤い色になっているのが最大の特徴です。水揚げがズワイガニより多いと言うこともありますが、足が細く、身が水っぽいと言うことなどから、国産ズワイガニの5分の1~10分の1の値段で流通することも多いです。しかし、ミソの旨味や身の甘味はズワイガニより良いと言う評価もあり、とにかくコストパフォーマンスには優れています。
産地としては、鳥取県、島根県、兵庫県、新潟県、石川県など日本海側に集中しており、特に山陰地方で多く水揚げされています。兵庫県では香住漁港にしか水揚げされていないことから、香住ガニと呼ばれており、良いものは漁船の名前が印字された白いタグが付けられてから出荷されます。
ベニズワイガニもズワイガニ同様、資源保護のため各地でサイズ規制や禁漁期間が設定されており、また、メスは全国一律で捕獲禁止とされています。
主な漁期は、鳥取県(境港市)で9~6月、兵庫県(香住)と富山県で9~5月、新潟県と石川県で3~12月、北海道の茂津多岬以北で7~4月、北海道の茂津多岬以南で4~8月と、1年中どこかで水揚げされていますので、いつでも楽しむことが出来ます。
ベニズワイガニのおすすめの食べ方
カニの仲間はは死んでしまうと、ほぼ例外なく自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
鮮度がべらぼうに良い場合はお刺身でも食べることも可能ですが、水分が多いのであまりお勧めはしません。ミソは濃厚で、身の甘味は強いため、特にお勧めするのはシンプルに焼き、茹で、蒸し、汁物などです。また、カニの風味が強く、乳製品などとの相性も良いので、グラタンやクリームコロッケなどもお勧めです。
また、ベニズワイガニは缶詰などでむき身になったものも多く流通していますので、調理の下処理が面倒な時には便利です。
ハナサキガニ
ハナサキガニの手足は8本で、タラバガニの仲間ですので、分類上はカニよりヤドカリに近い種類となります。名前の由来は 花咲半島(根室半島)で多く獲れたことからと言う説と、茹でた時に花が咲いたような見事な朱色になるからという説がありますが、どちらかははっきりしません。
主な産地は、釧路港(襟裳から根室にかけての太平洋沿岸)と、花咲港(根室半島のオホーツク海)です。以前は年間1000トン程度水揚げがあったようですが、見境なく獲ってしまったこともあり、今では10分の1程度まで減少しています。このため、水揚げされたものは、地元や、札幌、函館などでほぼ消費されてしまい、道外に出回ることは滅多にありません。現在では、漁期を4~9月(6~7月は産卵期)、オスは甲長8cm以上、メスは甲長11.5cm以上のみを漁獲対象としていますが、何故か産卵期のメスも漁獲対象としている影響もあるためか、明確な資源回復には至っておりません。
ハナサキガニのおすすめの食べ方
ハナサキガニも死んでしまうと、く自己消費を始めてしまい、どんどん身が痩せ、鮮度が落ちてしまいますので、生きているものか、水揚げ後すぐにボイルしたり、冷凍したものを選んで下さい。また、大きさだけで判断せず、必ず手に持ってみてズッシリと重みがあるものでなければなりません。
ハナサキガニは殻がとにかく硬い上に、刺々しいため、調理する際には必ず軍手などでカバーして下さい。
とても濃厚な味わいが特徴ですので、あまり余計なことをせず、茹でガニ、焼きガニ、汁物などで素直に味わうのが良いでしょう。
また、タラバガニ同様に加熱するとミソが流れ出てしまいますので注意が必要です。
モクズガニ
モクズガニは、ハサミに藻屑のような毛が沢山生えているのが特徴で、名前の由来にもなっています。中国の高級食材である上海ガニの仲間で、味わいもほぼ変わらないとされていますが、日本では中国のように珍重することはありませんので、比較的安価で手に入ります。
日本全国に生息していますが、積極的に漁が行われているわけではありませんので、産地として著名なところはありません。また、標準和名のモクズガニで呼ばれることは少なく、西日本ではツガニと呼ぶところが多く、鳥取県と岡山県ではカワガニ、徳島県ではガンチなどと呼ばれています。
モズクガニは、上海ガニと同じくミソや内子を食べるカニですので、産卵期前のものは価値がないとされています。このため、旬とされる時期は産卵期に当たる9~11月です。ただし出始めのものは内子を持っていない場合がありますので、9月下旬以降のものの方が無難です。11月下旬以降になると、メスは産卵のため海に下りますので、採取は難しくなります。
※地域によっては、一般の採取を禁止しているところもありますので、近隣の漁協などに必ず確認して下さい。
モクズガニのおすすめの食べ方
モクズガニは比較的水質の良いところを好んで生息していますが、食べ物などの影響で泥臭い場合が多いので、食べる前に必ず綺麗な水で数日活かし込みして、泥をしっかりぬいておくことが必要です。また、爪に生えている毛にも泥などが付着していることがありますので、調理前にしっかり洗っておくことも必要です。加えて、活かし込みしている際に共食いすることもありますので、出来れば1尾ずつネットなどに入れて分けておくと良いでしょう。
モズクガニは、身よりミソや内子を楽しむカニですので、とにかく生きているもので、手にもってズッシリと重みがあるものを必ず選びましょう。ミソはウニのように濃厚で、内子はとても芳醇な旨味を有していますので、蒸して単純に楽しむのも良いのですが、味噌汁、炊き込みご飯 パスタ、パエリアなどにしても旨味を堪能することが出来ます。
※生活排水が流れ込んでいるようなところにも生息していることがありますので、可能であればどこで獲れたものかを確認しましょう。
※淡水のカニには肺吸虫という寄生虫がいることがありますので、生食は絶対にしないで下さい。
コウイカ
コウイカは墨を沢山持っており、水揚げした時に大量にこれを噴くため墨烏賊(すみいか)とも呼ばれます。また、胴のてっぺんに甲の先が針状に突き出していることから、針烏賊(はりいか)とも呼ばれます。背側には横縞模様が入っており、オスの方が明確で、メスはぼんやりしているものが多いとされています。
主な産地としては、瀬戸内海沿岸や九州などですが、特にここが多いと言うところはありません。
この時期は、生まれて間もない5cmくらいの「新イカ」の季節です。新イカは身が柔らかく瑞々しいことから珍重され、かなりの高値で取引されます。
コウイカのおすすめの食べ方
新イカは小さい分、傷むのも早いので、とにかく鮮度が良いものを選んで下さい。白っぽくなったり身の色が濁ったものはお刺身には向きません。また、小さいからと言って薄皮をそのままにしておくと、食味が悪くなり、臭みも出ますので、面倒でも丁寧に取り除く必要があります。
良いものはかなりの高値で取引されて寿司店などに直行しますので、入手すること自体難しいのですが、柔らかく瑞々しい食感はこの時期にしか味わえないものですので、機会があればぜひお召し上がり下さい。
ケンサキイカ
ケンサキイカはヤリイカの仲間で良く似ています。見た目の違いとしては、胴がヤリイカよりも太く、腕も太く、触腕については太く長いことなどが挙げられます。胴の先が尖って剣先に似ることが名前の由来とされていますが、ヤリイカも胴の先が尖って鎗のようになっていることが名前の由来とされているように、実際には並べて比較しないとわかりにくいかもしれません。ただし、ケンサキイカが春から夏に水揚げが増えるのに対して、ヤリイカは冬が多いので、同時に見る機会は多くありません。
ケンサキイカは、生息域よって体形に違いが出て来る特徴があり、大きく3つのグループに分けられています。九州沿岸に棲息するものは典型的な体形をしておりゴトウイカと呼ばれています。島根県から兵庫県の山陰地方で獲れるものは腕がより太く、ブドウイカとかシロイカとか呼ばれています。三浦半島や伊豆近辺で獲れるものは、他の半分くらいの大きさいで成熟する特徴があり、メヒカリとかマルイカと呼ばれています。どの生息域のものであっても、身が厚く味の評価も高いことから、高値で流通することが多く、特に干スルメに加工されるものは「一番するめ」とも呼ばれ、輸入品であっても高級品になっています。
主な産地は、長崎県、佐賀県、山口県、島根県などで、佐賀県と山口県ではプライドフィッシュに指定されています。中でも玄界灘は産地としても有名で、佐賀県の呼子ではイカの活き造りが名物になっています。ただし、呼子ではケンサキイカのことをヤリイカと呼ぶので、注意して下さい。
産卵のため春から夏にかけて岸に近寄るため、水揚げのピークを迎えます。特に初夏から真夏に水揚げが増えるため、夏のイカとされています。ただし、獲れ始めのものは子持ちが多いため、身だけを味わうなら産卵を終えた後に、食欲が活性化して身が充実し始める7~9月のものが良いでしょう。
ケンサキイカのおすすめの食べ方
鮮度の良いケンサキイカは何と言ってもお刺身がお勧めです。その身は半透明で艶々しており、歯触り、旨みともに申し分ありません。甘味を増すためには、少し寝かせるか、一度冷凍したりすると良いのですが、柔らかくなってしまいます。また、生のまま明太子などと和えても美味しく頂けます。
加熱しても硬くなりにくいイカですので、お刺身には少し厳しいものや、耳、下足は炒め物や揚物にするとコリコリとした食感とともに、イカの旨味を味わうことが出来ます。
スルメイカ
スルメイカは日本近海で最も多く漁獲されているイカです。瀬戸内海などの内湾を除けば、ほぼ全国で水揚げがあることから、マイカ、マツイカ、バライカなど様々な呼び名もあります。ここ最近は不漁が続いており、値段もかなり上がってきましたが、どのような料理にも合わせることが出来るため、イカの中では最も重宝されています。
生きている時は半透明ですが、興奮すると全体に赤褐色に発色します。一般市場に出回るものの多くはこの発色した状態で、この色はケンサキイカやヤリイカの色に比べ濃く、時に黒っぽく見えます。
主な漁場はほっかいどうから東北地方にかけてですが、イカ釣船は全国各地から出漁しており、その時々の産地を求めて移動します。水揚げ港は船籍に関わらず主漁場の近くになることが多いため、統計は漁場の近隣である北海道と青森県で全体の6割を占めています。
またスルメイカの魚群は、発生する季節により秋、冬、夏の3つに大まかに分けられ、それそれが育つ海域が異なり、また大きく移動する群もあるため、ほぼ1年中どこかで水揚げがあります。ただし、夏イカと呼ばれるように、水揚げが最も増えるのは夏です。また、大きくなり身が肥えるのは、秋頃に青森県から北海道で獲れるものです。
スルメイカのおすすめの食べ方
生きているものは半透明(または赤褐色)ですが、死んでしばらくすると黒褐色になります。それからさらに時間が経つと段々白くなってしまいます。購入される場合は、少なくとも真っ白になったものは避けた方が無難です。生鮮で良いものがない場合は、鮮度が良いうちに凍結したものを選んだ方が良いでしょう。
鮮度の良いものはお刺身で食べることも出来ますが、スルメイカはアニサキスなどの寄生虫がいることが多いので、特に注意が必要です。
このイカは加熱調理にも良く向き、焼物、煮物、、炒め物、揚物など幅広い料理に対応出来ます、
また、お刺身は元より、干物、珍味、イカ飯などに加工されてたものが多く流通していますので、お手軽に楽しむのであれば加工品を購入されるのもありです。
※スルメイカはアニサキスやニベリニアが寄生していることが非常に多いので、そのまま生食することはお勧め出来ません。ニベニリアは人体には寄生せず、食べても無害とされていますが、見た目が非常に悪いので取り除いた方が無難です。アニサキスはー20℃以下で24時間以上冷凍するか、70℃以上で加熱すれば死滅します。冷凍せず生食する場合は、アニサキスライトなどを用いて隅から隅まで徹底的に目視確認した上で、発見した場合は100%除去しなければなりません。
ソデイカ
ソデイカも多くのイカと同様には1年魚なのですが、大きなものは胴長1m、重量30kgにもなります。あまりにも大きすぎるため、冷凍の柵などでの流通が大半で、産地でもない限り丸のまま見る機会はまずないでしょう。
名前の由来は、第三腕に付いているヒレ状の幕が袖の様に見えることですが、地方によっても様々な名前があり、兵庫県から鳥取県の山陰地方ではアカイカ(標準和名でアカイカと言う別種あり)、京都府から石川県ではタルイカ、沖縄県ではセーイカと呼ばれています。など、地方によって様々な呼び名があります。
産卵期も産卵場所も特に決まっておらず、暖海域であればほぼ1年中いたるところで産卵していますので、ほぼ1年中どこかで水揚げがあります。
主な産地は兵庫県、鳥取県、福井県、鹿児島県、沖縄県ですが、中でも沖縄県が抜きん出ており、県のプライドフィッシュにも指定されています。
沖縄県では、毎年変更されますがおおむね7~10月が禁漁期間となっており、2~3月が最盛期となります。一方、日本海沿岸では6月頃から若い個体が獲れ始め、最盛期は9~11月となります。
ソデイカのおすすめの食べ方
丸のままで入手出来たとしても、大きさによっては一家庭で食べ切れなくなりますので、柵などに切り分けられたものを購入した方が無難です。生鮮の場合、赤みがかったものは鮮度が落ちている可能性がありますので、綺麗な白色のものを選んで下さい。また、生鮮のままだと、身が硬く、大味で旨味が足りないため、面倒でも一度冷凍するか、冷凍したものを購入されることをお勧めします。そうすることにより、甘味が増すとともに、もっちりとした食感になり、加熱してもそう硬くはなりません。
料理用途は、お刺身はもちろんん、焼物、煮物、炒め物、揚物など多種多様ですが、大きな切身にする場合は食べやすくするために、切り込みを入れておいた方が良いでしょう。
ヤリイカ
ヤリイカの名前は、胴が細長く先が鎗のように尖っていることに由来します。良くケンサキイカに似ていると言われますが、ケンサキイカと比べると胴長短足のため、並べてみると違いははっきりします。ただし、ヤリイカは冬場の水揚げが多く、ケンサキイは春から夏の水揚げが多いため、並べて比較する機会はそう多くありません。また、価格的にはスルメイカより高く、ケンサキイカより安い中間的な立ち位置です。
日本全国で水揚げがあり、主な産地も、北海道、青森県、宮城県、長崎県など広範囲です。水揚げが増えるのは、産卵のため接岸して来る冬から春にかけてですが、この時期は、春先に生まれた新イカがある程度育ったものが水揚げされます。
ヤリイカのおすすめの食べ方
この頃獲れるヤリイカは胴長10cm程度と小さいので、鮮度落ちもかなり早いです。また、巻網などでまとまって獲れることも多いため、鮮度的に厳しいものが多いですが、お刺身にする場合は、半透明か、綺麗な赤色をしているものを選んで下さい。
身は非常に柔らかいので、お刺身にする場合は、糸造りや細造りにする必要はないでしょう。お刺身にするのが少し厳しいものは、軽く洗ってから、丸のままで煮物や揚物などにするのがお勧めです。
マダコ
マダコは昔から重要な食用魚介類で、普通タコと言えばマダコを指しますが、近年水揚げが減少していることもあり、輸入物に加えて、ミズダコ、ヤナギダコなどの割合が増えており、タコ=マダコの構図は崩れつつあります。
マダコは全長60cmほどになる中型のタコで、オスよりメスの方が大きくなります。オスとメスの違いは交接腕と説明されることが多いのですが、一番わかりやすいのは吸盤の配置で、メスはサイズ含めて綺麗に配列しているのに対し、オスはサイズも配列も不規則です。ただし、オスとメスの区別が付いた方が良いのは産卵期くらいで、それ以外は特に区別する必要は感じられません。
マダコだけの水揚げ統計はありませんので具体性に欠けますが、主な産地としては瀬戸内海沿岸、有明海沿岸、三陸沖などがあげられます。
産卵期は海域や水温などの条件で大きく異なるとされており、春頃から始まり秋まで続くとされています。本来であれば、産卵期前のものが良いとされるのでしょうが、西日本では産卵期に当たる夏に半夏生などでタコを食べる習慣があり、三陸ではお正月にタコを食べる週間があり、この時期にマダコを重宝する傾向がありますので、美味しい時期と言うより食べる時期で旬を定める傾向が高いようです。したがって、産卵期に入る夏を旬とする地域は有明海沿岸と瀬戸内海沿岸で、有明海沿岸では「盆ダコ」、瀬戸内海沿岸では「麦わらだこ」と呼び重宝します。ただし、これは抱卵している状態までで、産卵した後のメスは身が痩せていることもあり、評価がガタンと落ちます。一方、三陸では11~12月が漁期と重なることもあり、冬の物を良いとする傾向が高いようです。
マダコのおすすめの食べ方
生鮮のマダコは、新鮮なものほど赤茶色が濃く、軽く押すとその部分の色が変化します。また、吸盤に強い吸着力があるものも鮮度が良い証拠です。時間が経過とともに白っぽくなり、吸引力も落ち、臭いも強くなってきますので、このようなものの購入は避けた方が良いでしょう。茹でたものの場合は、色合いが鮮やかで、しっかり中まで火が通っており、ドリップが出ていないものを選んで下さい。
マダコは砂泥地に生息していることもあります。このため、特に底曳網で取れたものは、吸盤などに砂を噛んでいることがありますので、生鮮を購入された場合は、調理する前にしっかり塩揉みをして、ヌメリとともに砂や汚れを取り除いておきましょう。
マダコは生のままで食べると、歯応えだけで、旨味が足りないとされていますので、お刺身であっても火を通した方が良いとされています。基本は茹でることですが、皮目だけを炙っても美味しく頂くことが出来ます。煮物にする場合は、じっくり長時間煮込むことで柔らかく仕上げることも出来ます。コリコリとした食感の楽しみたい場合は、しっかり茹でてから、和え物、酢の物、炊き込みご飯、揚げ物などにすると良いでしょう。硬くて食べにくいと感じる場合は、調理する前に細かな切り込みなどを入れておくと良いでしょう。。
アサリ
アサリは2枚貝の中で最も馴染みがあると言っても良いくら広く認知されており、スーパーには季節を問わずほぼ毎日並んでいます。大きくても殻長6cm程度の小さな貝ですが、表面の模様は千差万別で、変化に富んでいます。昔は干潟さえあれば、どこでも採れていたようですが、乱獲、開発による干潟の減少、水質汚染など様々な影響で、水揚げは年々減少しており、水揚げは年々減少しており、これに伴い値段も年々上がってきています。これを補うため、中国や韓国からも活物で輸入されており、その量は国産を上回ることもあります。
国内の産地では、愛知県が全体の65%程度を占め、次いで静岡県が10%程度、その他は三重県、北海道などが5%程度となり、それ以外は本当に微々たるものです。各産地では資源復活に向けて、種苗放流や、禁漁期間を設けるなどの動きが出ていますので、今後に期待したいものです。
アサリは海水温度が20℃位になる春と秋に産卵しますが、当然南の方から海水温が上昇しますので、海域によりずれが生じます。ちなみに北海道では、夏しか水温が上がらないので産卵も夏だけになります。産卵期は栄養の大半を生殖巣が持って行ってしまうため、身はかなり痩せてしまなくなります。したがって美味しい旬の時期は、産地により多少ずれますが、産卵前の2~4月頃と9~11月頃になります。
アサリのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、2枚貝は砂泥地に生息していることが多く、元気が良くても泥臭い場合がありますので、臭いがないことも確認しておく必要があります。また、稀に中身がなく泥が詰まっているということもあります(俗に爆弾と呼ばれています)。これが混じったまま調理すると、最悪の場合、料理全体にヘドロやヘドロ臭が付いてしまうので注意が必要です。大体は出荷元で除去されていますが、すり抜けてくる場合もありますので、面倒でも5~6個くらいずつ手に持って、音で確認するくらいしか方法がありません。乾いた高い音がすれば中身は空っぽで、反対に妙に重たい音がすると泥が詰まっている可能性が高くなりますので、包丁などで開いて確認した方が良いでしょう。選別が終わったら、しばらく活かし込みをして砂出しをします。
旬の時期のアサリはとても肉厚で、旨味も強いので、あまり味付けはせず、素直にアサリそのもの旨味を味を楽しむよう、味噌汁、酒蒸し、あさりバターなど簡単な料理がお勧めです。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
イガイ
イガイはレストランなどで見かけるムール貝(ムラサキイガイ)の仲間ですが、全国各地で昔から食用とされている在来種で、多くの呼び名があります。しかしながら、岩礁地帯での採取が基本であるため、流通漁は決して多くはなく、後進のムール貝より知名度が低いです。
同じ仲間ですので、見た目もムール貝そっくりですが、ムール貝より大きくなること、イガイの殻の内側は真珠層が発達し、虹色に光る部分が見られますが、ムール貝は真珠層が薄く発達していない、イガイが外洋に面した岩礁域に多いのに対し、ムール貝は穏やかな内湾に多いなどで、区別することが出来ます。
イガイは潮間帯から水深数mの岩礁域に軟体部から足糸を伸ばし、岩礁などに絡めて固着していますので、牡蠣のように一生を同じ場所で過ごしているかのように見えますが、実は自ら足糸を切って、より良い環境を求めて移動することが出来ます。
産地については、イガイに関する水揚げ統計がないことに加え、ムラサキイガイと区別なく流通していることが多いため、はっきりはしませんが、山陰地方、瀬戸内海沿岸、三陸沿岸などがあげられます。
産卵期は諸説あり、3~9月、11~5月、産地である鳥取県のホームページには単に冬と記載されているなど様々ですが、漁の最盛期は夏と言われていますので、産卵期は晩秋から春と考えて良いと思われます。したがって、夏から初秋が産卵前で最も身が充実する時期と考えて良いでしょう。
イガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。イガイは岩礁域に生息していますので、砂噛みや臭いなどはさほど気にする必要はありませんが、念のため砂抜きと臭いのチェックもしておいた方が無難です。また、殻には海藻や汚れが付着していますので、調理前にタワシなどでしっかりこすり落とし、足糸は綺麗に抜いておきましょう。
イガイの仲間は生食には向きませんので、必ず加熱調理して下さい。ただし、あまり加熱しすぎると半分くらいまで縮んでしまうので注意して下さい。
旨味が非常に強い貝ですので、味付けは適度で十分です。酒蒸し、煮物、焼物、揚物、炊き込みご飯など一般的な貝料理は何でも出来ますし、サラダやパスタなどのトッピングにも適しています。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ムラサキイガイ
国内でムール貝として流通しているもののほとんどはムラサキイガイです。元々日本に生息している貝ではなく、地中海のものが船のバラスト水に紛れて移入し繁殖したと考えられていますので、スペインやイタリアなど地中海に面した地域で食べられているものと同じと言うことになります。
余程居心地が良いのか、今では全国に繁殖していますが、産地として出荷を行っているのは、広島県や宮城県などカキの栽培が行われている内湾に面した地域が多く、また北海道では栽培も行っています。
産卵期は地域により違いがありますが、おおむね秋から初春とされていますので、美味しい旬の時期は夏から秋にかけてということになります。
※イガイとの違いについては、イガイを参照して下さい。
ムラサキイガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。ムラサキイガイは内湾に生息していますので、砂噛みや臭いなどのチェックは欠かせません。また、殻には海藻や汚れが付着していますので、調理前にタワシなどでしっかりこすり落とし、足糸は綺麗に抜いておきましょう。
イガイの仲間は生食には向きませんので、必ず加熱調理して下さい。ただし、あまり加熱しすぎると半分くらいまで縮んでしまうので注意して下さい。
旨味が非常に強い貝ですので、味付けは適度で十分です。酒蒸し、煮物、焼物、揚物、炊き込みご飯など一般的な貝料理は何でも出来ますし、パエリア、サラダ、パスタなどにも適しています。
※2枚貝は時期(おおむね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ツキヒガイ
ツキヒガイはとても綺麗な貝で、表が濃い赤褐色なのに対し、裏が黄色みを帯びた白という対照的な色味をしています。このことから、裏を「月」に、表を「日」に見立ててツキヒガイと名付けられました。食感や味は、イタヤガイやホタテガイ以上と評価の高い貝なのですが、採れる数は非常に少なく、産地以外で見かけることはまずありません。
産地としては、鹿児島県が特産としているほか、鳥取県から福岡県にかけての日本海沿岸、愛知県から紀伊半島、高知県にかけての太平洋沿岸などがあげられます。
美味しい時期については、イタヤガイなどと同様に冬が産卵期のようですので、真子や白子を一緒に食べるのであれば秋から冬が美味しいと言うことになりますが、貝柱が充実するのは産卵明けの春から初夏にかけてと考えれば良いでしょう。ちなみに鹿児島県では水揚げが多少なり増える9~11月を旬としています。
ツキヒガイのおすすめの食べ方
貝全般に言えることですが、殻付きの場合は、必ず元気よく生きているものを選びましょう。また、ツキヒガイは底曳網などで採られることが多いため、ほぼ確実に砂や泥を噛んでいると思って下さい。活かし込みで砂を吐かせる方法もありますが、食用箇所は貝柱、ヒモ(外套膜)、真子、白子くらいなので、水管などに含まれている砂まで抜く必要はあまりないと思われます。ですので、むき身にした後に、しっかり水洗いすれば良いでしょう。また、貝殻を皿などに再利用する場合は、煮沸消毒した後、しっかり洗って汚れを落として下さい。
とにかく旨味の強い貝ですので、不用意に濃い味付けをすると風味が台無しになります。お刺身、焼物、煮物など、あっさりと味わう料理が良いでしょう。
※2枚貝は時期(概ね春から夏)により自然毒(貝毒)を持つ場合がありますので、ご自分で採取される場合は、必ず各自治体の発表を確認し、該当する時期の採取は行わないで下さい(市場流通しているものは問題ありません)。また無許可の採取は罰せられる場合があります。
ツブガイ(総称)
ツブ、またはツブガイと言う標準和名の貝は実際にはおらず、これはエゾバイ科の中で食用にされているもの総称として使用されています。ざっくりですが、エゾバイ科の中でもエゾボラ属をツブガイと呼び、それ以外はバイガイと呼ぶ事が多いようです。しかし、地方によりツブガイのことをバイガイと呼んだり、その逆もあったりするなど本当に様々ですので、実物を確認して判断するしか方法がないのが実情です。ここではエゾボラ属の貝類をツブガイとして紹介します。
市場に出荷されるツブガイで比較的流通が多いのは、マツブと呼ばれるエゾボラです。これはツブガイの中では最も大きく、味の評価も高く、最も高値で取引されています。その他には、エゾボラモドキ、チヂミエゾボラ、ウスムラサキエゾボラ、ウネエゾボラなどがありますが、専門家でもない限り区別するのは難しいため、まとめてツブガイとして流通しています。こちらは小さなこともあってか、刺身に使い肉などの理由から、エゾボラよりかなり安いのですが、味がそこまで違うかと言われると微妙な範囲ですので、かなりお買い得です。
産地としては、北海道が飛びぬけています。本州の日本海沿岸や三陸沿岸でも見られますが、その量はわずかです。
産卵期は冬から夏にかけてと言われていますが、資源がある程度見込めるためか漁は1年中行われています。旬は地域によって言い分があり、日高地方から稚内周辺は4~9月、十勝周辺は12~4月頃と言われていますが、正直大きな違いはなさそうです。
ツブガイのおすすめの食べ方
貝類全般に言えることですが、殻付きの場合は元気に生きているものを選びましょう。また、手に持った時にズッシリと重みを感じるものであることはもちろん、特にツブガイの場合は、出来るだけ大きなものがお勧めです。これは、調理が容易になることに加え、味わいも良いとされることが理由です。
大きなものは何と言ってもお刺身がお勧めで、サザエのようにコリコリした食感で、程よい磯の風味と旨味を感じることが出来ます。小さなものは、焼物、煮物、和え物、炒め物などにすると美味しく頂けますが、加熱すると硬くなってしまいますので、軽く火を通す程度にしておきましょう。
※エゾボラ属の貝には唾液腺の部分に人の神経を麻痺させるテトラミンという有毒成分が含まれており、これは加熱しても分解されませんので、必ず取り除いて下さい。取り除くのが難しい場合は、取り除いたものを必ず購入して下さい。また、無許可の採取は罰せられる場合があります。
オニコンブ
オニコンブの成長した葉は笹状で、長さは1.5ⅿから3mほどになります。主な産地は北海道の厚岸町から根室市を経て羅臼町で、北方四島でも確認されています。中でも羅臼町での収穫が多いため、「羅臼昆布」として流通することが多いのですが、北海道水産物検査規格では羅臼町内で生産したものは「りしり系えながおにこんぶ」という名称で出荷しています。
漁期は6~8月で、ねじりと呼ばれる漁具を小舟から伸ばしてコンブに巻き付けて採取します。また、浜に打ち上げられたコンブを採取する方法もあります。
コンブはそのまま出荷されることはほとんどなく、乾燥したものの流通がほとんどですので、旬を感じにくい食材のひとつになっていますが、加工したばかりのコンブはとても風味が良いので、ぜひこの時期に味わって欲しいものです。
オニコンブのおすすめの食べ方
オニコンブの葉は褐色で大柄ですが、厚みはさほどありません。味が濃く、香りが高いのが特徴で、収穫量も多くないこともあり、最高級品として扱われることが多いです。
出汁はとても濃厚で、特有の香りと旨味がありますが、黄色味を帯び、少し濁るため、お吸い物などのように透明感が必要な料理には向きません。出汁として使うのであれば、めんつゆ、鍋など濁りが出ても良いような料理が良いでしょう。
また煮出すとコンブの旨味が抜けてしまいますので、佃煮などの煮物には向いていません。お勧めは、おぼろ昆布、とろろ昆布、昆布茶、塩昆布などで、コンブそのものの旨味をダイレクト味わうことが出来ます。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ナガコンブ
ナガコンブは文字通り非常に長くなる昆布で、平均で10m、中には20mを超えるものもありますが、生息場所の水深は3~6mと比較的浅場です。
産地としては、釧路港以東、昆布森、厚岸、浜中、花咲、歯舞、貝殻島周辺などの太平洋沿岸で、納沙布岬沖と貝殻島地域でのさお前こんぶ漁は日ロ民間協定による操業となります。
漁期は、6月に生育途中の若生コンブを採取する棹前こんぶ漁と、7~10月まで十分生育したコンブを採取する成こんぶ漁のふたつに分かれています。棹前こんぶとは、成こんぶの解禁(棹入れ)前に採取するもののことです。
コンブはそのまま出荷されることはほとんどなく、乾燥したものの流通がほとんどですので、旬を感じにくい食材のひとつになっていますが、加工したばかりのコンブはとても風味が良いので、この時期に味わって欲しいものです。
ナガコンブのおすすめの食べ方
コンブの乾物は、しっかり乾燥していることはもちろんですが、ナガコンブの場合は、黒味を帯びて艶のあるものを選んで下さい。
ナガコンブは早煮昆布と言う名前で良く売られているように、煮ると簡単に柔らかくなり、食べやすくなります。お勧めは、おでん、昆布巻、炒め煮、佃煮、サラダのトッピングなどです。出汁が取れないことはありませんが、他のコンブに比べると風味も旨味も薄いので、あまりお勧めは出来ません。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ホソメコンブ
ホソメコンブは、北海道では最も古くから採取されてきたコンブですが、他のコンブと比べて味の評価が低いことが多く、寿命も1年と短いため大きくならず、コンブの中では最も安い部類に入ります。このためか、年々生産量は少なくなっており、漁を行っていない地域も出て来ています。増殖しようとうする動きもありますが、良い結果は得られていないようです。
分布域は、利尻島、礼文島から渡島半島の福島町までの水深は0~10mの海域で、波当たりの強いところでは深く、逆に弱いところでは浅くなります。また、波打ち際に生息しているもの0.4~1mと特に短くなります。現在では、食用としてではなくウニやアワビなどの餌としての価値の方が重要視されていますが、実際に食べてみると、決して味が悪いわけではないのですが…、
コンブはそのまま出荷されることはほとんどなく、乾燥したものの流通がほとんどですので、旬を感じにくい食材のひとつになっていますが、加工したばかりのコンブはとても風味が良いので、この時期に味わって欲しいものです。
ホソメコンブのおすすめの食べ方
ホソメコンブは乾物でも他のコンブのように黒くはならず、茶色味を帯びていることが多いので、色目はあまり気にせず、艶のあるものをを選ぶと良いでしょう。出汁の香りは弱いのですが、あっさりとした物を好まれるのであれば、全く問題はありません。
このコンブは比較的粘りが強いため、干し昆布ではなく、とろろ昆布やきざみ昆布などに加工されて出回っていることの方が多いようです。とろろ昆布はお吸い物、おひたしや麺類のトッピング、おにぎりに、きざみ昆布は佃煮などの煮物にして頂くと良いでしょう。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
マコンブ
マコンブは、コンブの中では最も古くから食用とされてきており、主に出汁用として使われています。
主産地は渡島半島南東部沿岸で、産地別に5銘柄に分けられ、砂原町から南茅部町までのものはコンブの切口が白いことから白口浜と呼ばれ、葉は小さいものの厚みがあり、5銘柄の内で最も良い評価を得ています。その昔、松前藩が朝廷や将軍家に献上していたことでも有名です。椴法華村から戸井町までのものは、切口が黒いことから黒口浜と呼ばれ、白口浜に次ぐ評価を得ています。そのほかは、本場折浜、真折浜、場違い折浜があります。
収穫時期は6月から10月ですが、栽培も盛んに行われており、こちらは6月下旬から8月下旬に水揚げされます。
コンブはそのまま出荷されることはほとんどなく、乾燥したものの流通がほとんどですので、旬を感じにくい食材のひとつになっていますが、加工したばかりのコンブはとても風味が良いので、この時期に味わって欲しいものです。
マコンブのおすすめの食べ方
マコンブの乾物は、しっかり乾燥されていることはもちろんですが、黒みを帯びて艶やかなものを選びましょう。また、マコンブの場合は切りの色で等級が異なりますので、良く確認しておきましょう。
マコンブは、山出汁昆布と呼ばれることもあるように、上品な澄んだ出汁が取れるのが特徴で、特に関西地方で人気があり、汁物、煮物、鍋料理など広く使われています。また、コンブそのものの味も良いことから、塩コンブや佃煮などにも向けられます。
最近は、成長途中の春先に採れる身の柔らかいコンブが海藻サラダや昆布巻きなどに使用されており、需要も増えています。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
ミツイシコンブ
ミツイシコンブの名前は、主産地である北海道日高地方の三石にちなんだものです。
また、採取された浜に応じて、日高、十勝、釧路、道南(函館) 4種類の銘柄が付けられ、このうち、日高地域で採取されたものを日高昆布と呼びます。加えて、日高地方では、上浜、中浜、並浜と称する浜格差があり、そのうち浦河町井寒台地区のものは最上級とされています。
主産地は北海道日高地方で、津軽海峡東側から襟裳岬を経て十勝沿岸までの広い海域に見られ、北海道での棹入れは7月から10月で、それ以外の時期は拾いコンブ漁となります。
コンブはそのまま出荷されることはほとんどなく、乾燥したものの流通がほとんどですので、旬を感じにくい食材のひとつになっていますが、加工したばかりのコンブはとても風味が良いので、この時期に味わって欲しいものです。
ミツイシコンブのおすすめの食べ方
ミツイシコンブの乾物は、しっかり乾燥されていることはもちろんですが、黒く艶のあるものが良品です。茶色っぽいものは、旨味も足りず、煮崩れしやすいので避けて下さい。
良い出汁が出ますが、濁りが出ますので、お吸い物など透明感を求める料理にはあまりお勧め出来ません。一方、関東や東北地方など、濃い出汁を好む地方では人気があります。
また、火が通りやすく、すぐに柔らかくなりますので、煮物、昆布巻などの料理で楽しむことも出来ます。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
リシリコンブ
リシリコンブは松前半島の白神岬から宗谷海峡を経て、知床岬まで広く分布しますが、主な産地はその名の通り北海道利尻地方の稚内市、利尻島、礼文島などです。
寿命は2年で、2年目の夏になると大きさ、重量とも最大となり、収穫の時期を迎えます。6月には棹前漁も行われますが、水揚げのピークは成長著しい7~8月で、9月頃まで続きます。1年目のものが収穫されることもありますが、葉が薄く柔らかいためか水コンブと呼ばれており、評価は良くありません。
リシリコンブには天然物、栽培、促成栽培の3種類があり、天然物と栽培物は上述したように2年目の夏が収穫時期となりますが、促成栽培のものは1年目で収穫してしまいます。味の評価は天然>栽培>促成栽培の順で、天然は最も高値で取引されます。
コンブはそのまま出荷されることはほとんどなく、乾燥したものの流通がほとんどですので、旬を感じにくい食材のひとつになっていますが、加工したばかりのコンブはとても風味が良いので、この時期に味わって欲しいものです。
リシリコンブのおすすめの食べ方
リシリコンブの乾物は、しっかり乾燥されていることはもちろんですが、黒く艶のあるものが良品です。退色して茶色っぽくなったものは、風味も食感も落ちますので、避けましょう。
天然の良いものは、特に京都の料亭で人気があり、高値で取引されることが多いです。この出汁は、澄んで、香り高い上に、かつお出汁との相性も抜群で、透明感が必要なお吸い物などに良く使われます。また、千枚漬けや湯豆腐などにも欠かせません。おぼろ昆布やとろろ昆布に加工されることもありますが、リシリコンブで作った加工品は高級品となります。
※無許可の採取は罰せられる場合があります。
アカウニ
アカウニは、その名の通り殻の色が赤みがかっていることが特徴です。食用ウニの中では殻長5~7cmと小さ目で、収穫量も少ないことから、かなりの高値で取引されています。
産地は西日本に集中しており、特に佐賀県と長崎県は有名で、佐賀県唐津市ではプライドフィッシュになっています。関西以西では重要な食用ウニですが、収穫量が少ないため、ほとんどが産地で消費されており、産地ではない関東以北ではまず馴染みがありません。
アカウニの美味しい旬の時期は、他のウニの収穫が終わった9~11月で、特に産卵前の10月中旬頃に最も充実すると言われています。
尚、バフンウニも可食部である生殖巣の色からアカウニと呼ばれることがあります。ちなみに、アカウニの生殖巣は黄色味を帯びています。
アカウニのおすすめの食べ方
産地では殻付きのまま販売されていることもありますが、見た目や持った感じで良し悪しを判断するのが難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。
新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのはかなり手間ですので、当たり外れが少なく、味も無難なのは板ウニや塩水ウニです。
アカウニの粒は小さいですが、甘味が強く、独特の風味があるとされており、根強いファンが多いです。決して安いものではありませんので、まずはお刺身がお勧めとなります。無論、焼ウニなど、加熱しても美味しいのです。また、生鮮の入手が困難な場合は粒ウニがお勧めで、こちらは、ご飯やお酒のあてに最適です。
出回りが少ない上ので、お目にかかる機会はほとんどありませんが、一度はお召し上がり頂きたいもののひとつです。
※無許可の採取は禁止されています。
キタムラサキウニ
キタムラサキウニは、エゾバフウニとともに国産を代表するウニのひとつです。身の色がオレンジ色のバフンウニやエゾバフンウニに比べて薄いことからシロウニとも呼ばれることもあり、濃厚な味わいのバフンウニに比べると、比較的あっさりした味わいが特徴です。
名前の通り、主な産地は北日本で、特に北海道が大半を占めます。産地では、資源保護のため各地で種苗放流が行われており、厳格な漁期も定められています。主なところでは、北海道日本海側が8~10月、北海道噴火湾(内浦湾)で3~5月と8~10月、北海道太平洋側で6~9月、北海道オホーツク海側で7~9月、三陸で9~10月などとなっており、11~2月は禁漁となるところが多くなります。生殖巣が最も充実するのは9~10月の禁漁前と言われています。
キタムラサキウニのおすすめの食べ方
殻付きのまま販売されていることもありますが、見た目や持った感じで良し悪しを判断するのが難しいので、販売店の方に良く吟味して頂いた方が良いでしょう。
新鮮な殻付きは美味しいのですが、生殖巣を取り出すのはかなり手間ですので、当たり外れが少なく無難なのは板ウニや塩水ウニです。
キタムラサキウニは生のまま食べるのは一番美味しいとされています。お刺身はもちろん、お寿司や丼などご飯との相性も抜群です。
※無許可の採取は禁止されています。